ダイスケ の 日だまり日記

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7月17日〜7月31日

                  
                                  
            
                                               
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7月17日(水)  「チビのこと

チビが姿を消して丸1ヶ月。お母さん(Dorianさん)はもうほとんどあきらめているけれど心のどこかでまだチビがミャーと出てくるような気がしてならないんだって。でもボクは知っているんだ、チビがどこにいるのか。

実はあの日の夜、友達のクロと遊んでいて偶然梅の木の下で冷たくなったチビを見つけたんだ。この梅の木はボクのうちから100メートルほど離れた畑の隅にある。あの身体でよくここまで来られたもんだ!

ボクは大急ぎで仲間のコンフーミャーたちを呼んできた。みんなこの梅の木の下で遊んだ仲間たちなんだ。ボクたちは一生懸命穴を掘り、その中にチビを入れ土をかけた。こんな姿を人間たちに見せるわけにいかない。ボクたちは必死だった。

次の日、お母さんたちはチビを探して梅の木の下に来たけれど、チビは土の下。永遠に見つかるわけがないのさ。

 

    7月18日(木)  「集会」

きょうは月に一度の集会の日。場所はもちろんあの梅の木の下さ。きょう来たのはコン(野良の♀)ふー(野良の♀)コロ(家猫の♂)クロ(野良の♂)とボクの5匹。ミャーはボクの兄貴なんだけど箱入り猫なので夜は外に出してもらえないんだ。チッ・・・

話はやっぱりチビのこと。だいたいボクとチビはあんまり仲が良くなかったんだ。ボクがDorianさんちに来たときチビはもう9歳、突然の闖入者にチビは怒ってボクを半径1メートル以内に近づけようとしなかった。ボクの方は遊びたくてしかたなかったんだけどね。でも、年とともに性格も円くなって、最近ではシッポにじゃれても何も言わなかった。しんどくて怒る気力もなかったんだね、きっと。悪いことしたなぁ・・・

こうして集会はチビの思い出話に終始し、夜は更けていくのであった・・・
         
                     ☆∴★∵☆∴★

 

7月19日(金)  「寝場所」

今日も暑かった!ボクたち猫族は寒がりのくせに暑いのもニガテなんだ。だから家の中でどこが一番涼しいかよく知っている。Dorianさんはズボラなので、いまだにフローリングの上に冬用のモコモコカーペットを敷きつめているので、部屋の中は暑くてたまらない。んで、ボクは玄関のタイルの上に寝そべっているわけだ。ここが一番冷たくて気持ちがいいんだよ!

お客さんが来たとき踏んづけられないか、だって?だいじょうぶ。近所の人や親戚の人はみんな庭の車庫の所から入ってくるからね。玄関から入ってくるのは新聞の勧誘ぐらいなものさ。

 

7月20日(土)  「ボス」

この辺のボスは野良のフー裏の駐車場に住んでいるんだ。彼女は若い頃、人間に捕まってむりやり避妊手術をさせられたんだ。だから元メス女を捨てた猫は強いよ。でも、人間たちがエサをたっぷりくれるもんだから、野良といえどもデップリ太って貫禄十分なんだ。人間が近づくと「フーッ!」と怒って毛を逆立てるから「フー」って名前になったらしい。

コンは元はどこかのお嬢様だったらしいが、ある日この近くに置き去りにされたんだ。つやつやした茶色の長い毛と、クルリとした丸い目がとてもチャーミングで、おまけに人懐こくてミャー・・・と甘えてすり寄るので人間にはとても評判がいいんだ。シッポがふさふさして狐みたいだからコンって呼ばれるようになったらしい。ただ残念なことにコンも手術を受けたらしく元メス。だからボクの恋の対象にはならないんだ。

 

7月21日(日)  「ホモ?」

Dorianさんもまわりのみんなもボクがホモ猫だと思っているらしいけど、それはとんでもない誤解だ。そりゃぁ一時クロとイチャイチャした時もあったよ。でもあれはボクが「母猫」の役を演じ、クロが「子猫」の役を演じていたんだ。オスなのに「母猫」なんておかしいと思うだろう。でもネコの世界では珍しくないんだよ。相手をペロペロなめてやれば、大きな野良猫だって突然赤ちゃんネコになっちゃうんだ。でも相手の気分が乗らなければ、怒られて猫パンチを食らっちゃうけどね。

だからボクが興味があるのはやっぱり可愛いメス猫さ♪ でもいないんだよなぁ、可愛いコ。

 

7月22日(月)  「荒ワザ」

チビや先住のミーに比べて、ボクは頭が悪いと言われ続けてきた。どうしてかというと、チビもミーも手で戸を開けられたからなんだ。爪で戸を引っ張ってほんの少しできた隙間に手を突っ込んで開けるワザをDorianさんが何度も教えてくれたけど、ボクにはどうしてもできなかった。やっぱり頭が悪いのかなぁ・・・(;_;)

その代わり、と言っちゃあなんだけど、ボクには天窓から出入りする「荒ワザ」があるんだ。柿の木に登り、そこから台所の天窓に飛び移り、テーブルの上にドスンと飛び降りる。これをDorianさんたちはダイスケの天下りと呼んでいるんだ。

もっとも、天窓をいつも少し開けておいてもらうことが条件だけど・・・・でも、ドアを開けるんだって、鍵をかけられたらアウトだけどね。

 

7月23日(火)  「おみやげ」

猫はネズミを捕るものだと思われているらしいけど、ボクはいまだかってネズミはおろかトカゲやバッタ、コオロギなどさえ捕ったことがない。どうも動くものは苦手なんだ。(猫としての本能が欠如しているのかなぁ)。
それにひきかえ、チビはよくいろんなものを捕ってきた。スズメ、セミ、トカゲなんていつものことで、30pもあるヘビが廊下にトグロを巻いていたこともある。モグラを捕ってきたときはネズミのお化けかと大騒ぎになったものだ。

こんなところからも、チビは利口でボクはマヌケと思われていたんだ。それでいておみやげを見るとギャーギャー大騒ぎをするんだから、人間の気持ちはさっぱりわからないね。

 

7月24日(水)  「猫地図」

親戚のうちのミミはヒマラヤンのメスで完全室内飼い。いつも窓のガラス越しに外をみている。Dorianさんは「ミミは可哀想」と言うけれど、そうでもないんだなぁ、これが。

ネコには「ネコ地図」というものがあって、小さいときからの行動範囲がネコの頭の中に地図のように描かれているんだ。ボクの場合はかなり広くて、東は線路の手前、南は中学校の校庭まで、時にはその先の神社まで遠征することもある。
でも、ミミの「ネコ地図」は家の中だけ。外の世界を知らないんだから、それはそれで幸せなんだよ。冷暖房完備で敵もいないし、病気もうつされない、食べ物にも困らないし家の中で自由気ままにしていられる。実にうらやましい人生(ネコ生)だよ。

「ダイも室内飼いになるか?」だって?い・・・いや、ボクは今のままのほうが・・・・(◎-◎;)(^_^;)

 

7月25日(木)  「名前」

前にもどこかで書いたと思うけど、ボクの名前の「ダイスケ」は実に簡単に、いいかげんに付けられたんだ。ボクがDorianさんちに来たときは兄貴も妹もいっしょだった。兄貴はすぐに裏の家に貰われていったけど、妹とボクはしばらく一緒に暮らしていたんだ。ぼくたちは「ネコ、ネコ」と呼ばれていてなかなか名前を付けてもらえなかった。2匹いっしょに名前を考えるのが面倒だったんだね、きっと。

ある日のこと、テレビを見ていたDorianさんが「そうだ!あれにしよう」とひらめいた。テレビでは「宮川大助・花子」の漫才をやっていたんだ。斯くしてボクはダイスケ、妹はハナコと名付けられた。ハナコはまもなくインターネットで里親が見つかり、東京の方に貰われていったんだ。ハナコは今頃どうしているかなぁ・・・・

でもボクは自分の名前をかなり気に入っている。松坂大輔、荒木大輔、元木大介などカッコいいダイスケを連想させるからね。

 

7月26日(金)  「ネコにイカ」

「猫がイカを食べると腰を抜かす」という言い伝えがあるけど、これは本当だろうか?実はボクもイカは大好きなんだ。ときどきお父さん(オド)のビールのつまみを失敬して食べているけど、いまだかって腰を抜かしたことはない。これは人間が「びっくりして腰を抜かす」という例えと同じように使われているんじゃないのかな。なんでも針小棒大に例える人間のクセで。びっくりして腰を抜かした人間なんて見たことがないし。

イカは消化が悪いので食べ過ぎるとお腹をこわして下痢をする。下痢をすると腰に力が入らなくて歩行が困難になる。だから消化の悪いものは食べさせてはいけない・・・という戒めかもしれない。

「犬にネギを食べさせると死ぬ」という話もよく聞くけど、これは本当らしい。なんでもネギ類の中に含まれる何とかという物質を分解する酵素が犬にはないんだって。でもうちのエスはタマネギ入りみそ汁ぶっかけ飯をときどき貰っているけど、今のところ元気だよ。年を取ってから影響が出てくるのかも・・・・怖い!

 

7月27日(土)  「肉球」

ボクたちネコ族には足の裏に肉球というプヨプヨしたスポンジみたいなものが付いている。小さい頃はよくDorianさんはボクの肉球をモミモミして遊んでたもんだ。冷たくて気持ちがいいんだって。でも最近は外にばかりいるから汚れて真っ黒になっちゃったので誰も触ってくれなくなっちゃった。(-.-#)

実はこの肉球はボクたちネコ族にとってはとても大切なものなんだ。獲物に近づくとき、この肉球が足音を消してくれる。それに高いところから飛び降りるときクッションの役目をしてくれるんだ。肉球に傷が付いたら怖くて歩けないよ。

ついでに言うと、ネコが高いところから飛び降りても上手に着地できるのにはある秘密があるんだ。背骨が柔軟にできていること、脚の骨格がバネ仕掛けみたいになっていることなどもそうなんだけどもう一つ、脇の下と脚の付け根のところにがあって、その膜がパラシュートの役目をしてくれるんだよ。それでかなり高いところから飛び降りても、フワリと回転して怪我をしないわけなんだ。

もっとも最近では、木の上から降りられなくなったり、椅子からドタンと落っこちるズッコケ猫が増えたことも確かだけどね。あ〜嘆かわしい・・・

 

7月28日(日)  「ネズミを捕るネコ」

昔からネコはネズミを捕るものだといわれ、よくネズミを捕るネコの見分け方として、ボクたちの首筋をつまんで持ち上げたとき、後ろ足が曲がって体が丸くなるネコはネズミ取りが上手だといわれてきた。これは本当だろうか?実はあながち嘘じゃないんだな、これが。

お母さんネコが赤ちゃんネコを運ぶとき、赤ちゃんネコの首筋をくわえて運ぶんだけど、もともと優秀でやる気のある子猫は、自然と丸くなって運ばれやすくするんだ。でも、あまり頭の良くない子猫はだらんとのびたまま。これがそのまま狩りの優劣につながるというわけなんだ。

でも、言っておくけどこれは子猫にだけ有効なやり方なんだよ。大人のネコを吊り上げたって重みで脚がだらんとするに決まっているだろ!イタタ・・・やめろ!

 

7月29日(月)  「ノミ取り首輪」

Dorianさんが猫なで声で「ダイ、ダイ」と呼ぶ。こんな時はあまりうれしくないことをされるので警戒しなければ・・・案の定、Dorianさんはいきなりボクの首に何やら巻き付けた。
ノミ取り首輪よ。あんたノミがいるでしょ。これでノミも退治できるからね」
実は、ボクは生まれてこのかた「首輪」というものをしたことがない。外で遊ぶネコは木の枝などに首輪が引っかかって危険なんだって。でも、外ネコの宿命でボクにもノミがたかって痒くて仕方なかったんだ。

ノミ取り首輪はピンク色で可愛いけど、臭くてかなわない。だいいち鬱陶しい。ボクは後ずさりしたり手でひっかいたりして外そうとしたけどはずれないので、あきらめて外に遊びに行ったんだ。ところが仲間の間ではけっこう評判がいいんだ。コンちゃんなんか「ダイちゃん、かっこいい!」だって。
テヘッ・・・・・・

遊び疲れて帰ってくるとDorianさんが駆け寄って「ダイ、無事に帰ってきたね。よかった・・・」と抱きしめてくれた。首輪が引っかかって動けなくなっていないかと心配した・・・のかと思ったら、首輪をどこかにおいてきたんじゃないかと心配だったんだって。
「なにしろ1500円もしたんだから」・・・・・なんて親だ!

 

7月30日(火)  「ノミ取りおばさん」

ボクにノミがいることを知った親戚のおばさん(Dorianさんの義妹)がノミ退治に来てくれた。このおばさんはネコのノミ取りが大好きなんだって。それに1匹のノミをみつけて爪でプツンと潰すまで5秒とかからない早業で、わずか30分でボクのノミは完全にいなくなった。ボクは体をいじられるのが大好きなので、うれしくてゴロゴロのどを鳴らして大満足。ノミ取りおばさんも大満足。よかったよかった。(^◇^)

いつも思うんだけど、このおばさん、ネコのノミ取り業をやればいいのに。飼い猫のノミに悩まされている愛猫家はたくさんいるはず。きっといい商売になるとおもうんだけどなぁ・・・

 

7月31日(水)  「ネコババ」

人間の世界で「ネコババ」といえば、他人のものを自分の懐に入れてしらばっくれることを言うけど、これはもちろん「猫糞」と書いて、猫がウンチをして土をかけることからきているんだ。猫がウンチを土に埋めるのは、猫がきれい好きで頭が良く、とても優れている証拠だと思う。それなのにどうして「ネコババ」は悪い意味に使われるんだ!?犬がウンチを土に埋めるか?鳥がトイレの後かたづけをするか?

だいたいにおいて、猫に関することわざで良い意味に使われているのは一つもない。あ、アタマにきたので続きはあした・・・・


   つづく