描かれた家族(FAMILIES THROUGH THE EYES OF ARTSITS, 1989)、
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児童書の新刊棚で見つけた。子どもだけでなく、大人にも新鮮で教育的な画集。六冊シリーズのうち、興味をもった三冊をまず借りてきた。これら三つは、本や絵を通じて、何度も考えている「庭」の重要な主題。 ほかには「食べもの」「都市」「エンターティナー」。とりあげられる絵画はいわゆる名画ばかりではない。順序も歴史どおりではない。でも、眺めていて混乱することもない。 なぜなら著者二人の基本方針が明快だから。それは、絵画にはメッセージがある、という考え方。絵には、美の追求という抽象的な目的だけではない、具体的な主張が込められていると彼らは考えている。具体的な主張を深く掘り下げることで、つまり、技法を向上し、構図を吟味することによって、画家は抽象的な美に一歩ずつ近づく。 言葉をかえれば、技法や構図は表現方法という形の問題ではなく、何を絵に託すかという画家の信念と切っても切り離せない問題といえる。一枚ずつにそえられた著者の解説はもとより、各巻末にある若桑みどりの解説も、この基本的な考えに沿いながら、絵画に込められた思想を教えてくれる。 ふしぎなことに、今日のわたしたちの目から見ると、独学で絵を学んだ画家の作品のほうがおもしろく、真実味があって、新しいものに思えます。編者は、テーマに上下がないように、絵を描く権利がすべての人にあって、その価値にも上下はない、ということとをはっきりと主張しています。 若桑は、まず筆をとることを勧める。絵筆ではないけれど、すでに描きはじめた私は、独学で学びながら、面白く真実味がある作品を生み出すまでの苦労について考える。 絵筆を持てば、誰でも画家。それでは、キーボードで文字をたたき出し、その文字は印刷も製本もされない人でも、作家といえるだろうか。もう一つの疑問。筆をとれば画家というなら、いったい何をすれば思想家といえるのだろうか。 以下、備忘録として、気になった画家、作品、所蔵元を記しておく。いつか見る機会に思い出せるように。クールベや松本俊介のように、名前を覚えておいたおかげで、後で思わぬ再会を果たせた画家もいる。 家族
仕事
戦い
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