みんなでしあわせになるまつり 2012
「9月も半ばだと言うのに暑いねえ」「東京より暑いんじゃない?」知っている人に会うたびそんなあいさつを交わしてしまう9月の16日、本当に久々に栗原市で開催の「みんなでしあわせになるまつり」に足を運びました。
思えば私がここを訪れたのは、第1回の「まつり」。もう6年も前のことだったのです。そのときのレポートはこちらをご参照いただくとして、試行錯誤で始まったこの「まつり」は、知名度、規模、参加者ともに大きな伸びを見せていました。
(撮影はすべて2012年9月16日。画像を縮小していますので、スタッフ、来場者ともに、基本的にモザイクなどの画像処理はしていませんのでご了承ください)
トヨタBMバスが走る
このバスの走る姿を見たかったのです。
現在の日本の公道を、終戦間もない時期に製造されたキャブオーバーバスが自力で走行するなどということが、そうはあるものではありません。ましてや波乱万丈の人生の末、ふるさとである宮城県で再び生を受けたことは、このバスにとって願ってもない幸運だったと思います。
6年前にも周回バスが走ったこの道、写真を比べてみたら、右側の木造家屋のスナックは閉店し、看板が取り払われていました。過疎化はその歩みを止めていないようです。
ボンネットバス路地へ曲がる
レトロバス試乗会の秘かなハイライトといえるのが、狭い路地へ曲がるこのルート。
飛び出したボンネットとサイドミラーが電信柱ぎりぎりのこの場所を、ボンネットバスは慎重に曲がります。ドアの内側に立った車掌さんが、左側面の安全を確認しています。
車両は日産のU690。関東地方から応援に駆けつけた個人所有のボンネットバスです。
車掌さん、降りて誘導
左右の余裕を目視できるように、車掌さんが降りて誘導します。
かつて男性車掌のことを「ボーイ車掌」などと呼んだとも聞いていますが、今回の試乗会の車掌さんはみんなボーイ車掌です。
バスはこのまつりではおなじみのいすゞBXD30。
商店街に到着
狭い路地を抜けると六日町通り商店街の「まつり」主会場の一端に到着です。
ここに到着させるために狭い路地をコースに選んだのか、狭い路地をコースにするためにここに到着場所を作ったのか、その辺のことはよく分かりません。
商店街に設けられたバス乗り場
六日町通り商店街の西側に設けられたバス停留所です。
まつりの歩行者天国からは外れているため、人影はまばらだったりしますが、バスが到着するとにわかに活気が出ます。バスを降りる人、バスを見つけて駆け寄ってくる人。しばし記念写真の時間になります。
バスのすぐ横にあるのは「大学食堂」。どうしてこの名前がついたのか、大学生がよく食べに来るのか、「大学さ行ってくる」と言ってみんなが飯を食いにいけるようにしたのか、今も一人のおばさんが店に入る所です。
重ステとダブルクラッチ
さっきはボーイ車掌だった人が今度は運転手です。
重ステにダブルクラッチ、棒ギアといった今の車両にはない難しい運転技術を身につけた人だけが運転できる「レトロバス」。重々しいエンジン音を響かせながら、角を曲がります。
トヨタBM角を曲がる
六日町通り商店街のバスのりばから出発したバスは、交差点を左に曲がります。
不意に姿を現した60年前のバスに、一般ドライバーは多分驚いていることでしょう。
水路の脇を行く
商店街南側の水路の脇を走るBMバス。小奇麗に整備されてしまった水路は、ちょっと古いバスには似合わないかもしれません。
バスターミナル
レトロバス試乗会のスタート場所は、商店街南側のみちのく風土館前でした。
3台のバスがまとめて到着し、チケットを持ったお客様が集まってきます。何と言うか、昭和40年代の鉄道駅前の雰囲気と言うのは、こんな感じなんでしょうか。
ただ、残念ながら、6年前には列車も走っていたくりはら田園鉄道の栗駒駅舎は、もう影も形もありませんでした。
記念写真
停まっているボンネットバスには、あらゆる世代の人々が集まってきます。そして、代わる代わる記念写真を撮影して行きます。
一方、六日町通り商店街は
レトロバス試乗会はともかくとして、「まつり」の主会場である六日町通り商店街に足を運んでみました。
6年前に比べると、人数の多さに圧倒されました。多いのは人の数だけではなく、出展されている自動車の数も、出店の数も、すべてが6年間の「まつり」の成長を見せ付けているようでした。
いすゞヒルマン
ひときわ鮮やかな輝きを見せるのは、いすゞのヒルマン。ツートンカラーが似合う車というのは今ではほとんどありませんが、当時だって、こんな色が似合う車はそうはなかったはずです。
この「レトロカー」たちが子供たちの目にはどう映っているんでしょう。
スバル360
私の好みでいえば、こんな感じに商店街の前に普通に止めている雰囲気が好きです。
6年前の初回の「まつり」はすべてがこんな感じでした。
店から出てきたお客さんが、フッとこれに乗ってボボボボと走り去っていくような気がします。
栗原大輔vsロックコンサート
商店街の中では窓の大きい建物の中に、「栗原大輔のりもの絵画展」がありました。
しかし、目の前はコンサート会場と化しており、絵画展に入っていくにはとても勇気の必要な状況になっていました。
サミットバス
おお、こんな所にサミットバスが。
今回海和さんから「サミットバスも来るんですよ」という殺し文句で誘惑されたのです。このバスを見なければいけないから来たんです。
ボンネットバスに比べるとかなり新しいバスですが、1990年代に生まれたような若い人にはどう映るんでしょう。
山車とスカイライン
絢爛豪華な六日町二区飛翔会の山車(でいいんですよね?)の前に、スカイラインが2台並びます。私の世代としては、この間に置かれるべき3代目スカイラインが最も馴染み深いのですが、もちろんこの2台もリアルで目にした車です。
駄菓子屋さん
木造のお店を利用して展開された駄菓子屋さん。店の中で子供が自然な感じだったので、もともとの駄菓子屋さんなのかと思いましたが、店の看板がないのでこれもアトラクションの一つのようです。
北上コロッケ
商店街の中の広場には出店が連なっています。B級グルメと思しきもののなかで、私のお昼は「北上コロッケ」に決めました。どうしても岩手県を選んでしまいます。宮城県の皆さん申し訳ありません。
しかし、帰りには仙台駅で牛タンと笹カマボコを買って帰りましたので、宮城県の皆さんお許しください。
窓にはポスター
こんな感じで、商店の窓には「みんなでしあわせになるまつり2012」のポスターが貼られています。
やっぱり、このまつりのイメージはボンネットバスです。
本日の締めはパレード
まつりの終了が近づくと、参加した車両が全員参加してパレードが始まります。
旧車たちに続いて・・・なのか、先導してなのか、ボンネットバスもパレードに参加します。どうやらバス3台はパレードのしんがりだったのようです。
画面中央で周囲に笑顔を振りまきながら歩いている駅長さんは、栗原大輔画伯です。
本当のしんがりはこれでした。パレードのトップを切って出発したはずの人たちが最後にやってきました。
おまけに、さっき愛想を振りまいていた栗原大輔駅長が得意げに便乗しています。
運転しているのは、岩手県南バスRB10Pサルベージで主役を演じた「旧型重機の若大将」桂田さんです。
6ページに渡る桂田さん特集
この桂田さんを紹介した本があったのです。
「オールドタイマー」の2012年6月号で、「旧型重機の若大将」として桂田さんが紹介されています。
6ページに渡る特集記事に書かれた細かい文字を読むのは面倒ですし、バックナンバーを探すのも面倒だという人にこの記事を要約すると、つまり「若いのに様々な旧型重機を乗りこなす桂田さんは変人ではないけれど変人だった」というようなことが書いてあります。
バス部門の打ち上げは4台並び
パレードが終わると、バス発着場に本日出演したバス4台が集結、並んでの撮影会となりました。
左端のサミットバスが異色といえば異色ですが、まあ「昭和のバス」とひとくくりにすれば、確かにみんな昭和のバスです。
そんな世紀の並びに興奮してカメラのシャッターを押し続ける大人たちの前で、子供たちは屈託なくじゃれ回っていました。
この後、それぞれのバスの所有者たちは、自分のバスを運転して帰路に着きます。今日は暑い中お疲れ様でした。