2004年5月9日作成
外海泰秀さんは、私が国立医薬品食品衛生研究所(旧・国立衛生試験所)大阪支所に在職していた16年間を通じて上司でした。38年間大阪支所に奉職され、食品試験部長、大阪支所長などを歴任されて今春定年退官され、記念誌を出版されました。「私的な記念誌」とのことですが、資料的にも価値のあるものですので、内容をご紹介します。(元上司を「さん」づけで呼ぶことには少し抵抗がありますが、このサイトの 方針 に基づくものです。ご容赦ください。)
この本は、B5判147ページ、ペパーミントグリーンのレザック紙の表紙で、簡単な装丁ながら、内容はとても丁寧に編集されています。タイトルは「川の流れのように」。写真ではわかりにくいかもしれませんが、「川」という字が本当に流れているかのようなさわやかな字体になっています。主要目次は次のとおりです。
まえがき
1.私の職場紹介
2.主要研究論文紹介
3.著書、総説、講演
4.厚生科学研究、行政協力研究、各種研修
5.留学、学会、出張
6.学会出張(JICAの活動)
7.岐阜薬科大学との関係
8.各種の交流活動
9.研究論文業績集
10.私の履歴書
あとがき
まず、資料的価値を求める人には、「食品試験部の歴史」「輸入食品検査の変遷」などのまとめや、過去のさまざまな時点で外海さんが書かれた総説や講演要旨が読みごたえがあると思います。この30年余、食品衛生でどんなことが問題になってきたのかが、行政研究の第一線からの視点で描かれています。
それから、外海さんは在職中を通じて国際協力活動のために海外派遣された期間がたびたびおありでした。主な派遣先はタイ、南米、フィリピン、マレーシアです。それらの滞在記は、各国の事情を知りたいかたにとって役に立つでしょう。米国ケンタッキー州への留学体験記もあります。
仕事以外のテーマでも興味深いことが色々書かれているのですが、ここでご紹介するのはやめておきましょう。一つだけ、岐阜薬科大学の環境衛生学教室には、小瀬洋喜氏の作詞による「教室歌」があるそうです。その歌詞は「湧きたつ歌声 チームを組んで 一人が二人の仲間をつくる 済生の道 薬学の その中にえらぶ Environmental Hygiene」(一番のみ)。これには感動しました。教室歌のある研究室とは、初めて聞きました。同窓会の活動の模様からも、研究室の結束の固さがうかがえます。
なお、みどころではありませんが、私が現在の職場へ着任した直後に外海さん宛てにお送りした手紙も「大阪支所の人物往来」として入っています。
外海さんは現在メールアドレスをお持ちでないので、オンラインで直接連絡を取ることはできません。この記念誌を入手ご希望の方は、私までメールをください。外海さんからお送りできるそうですので、連絡を仲介します。
現在外海さんは、某機関での検査業務におけるGLP対応の陣頭指揮という役割をもって第二の人生を送っておられます。のんびりする暇もなく次の職に就かれ、忙しく活躍しておられるようです。
2021/10/30 追記
外海さんは2018年4月に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りします。
管理者:津村ゆかり yukari.tsumura@nifty.com