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利根川下流水運施設遺構ほか見学 (pageー2) |
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このあたり一帯の地盤は,ブヨブヨ豆腐みたいなものだ。そこに高い水密性の要求される閘門を築造するのは並大抵のことではなかったと思う。 軟弱地盤に石材を放り込んで基礎を造り”かたわく”をも兼務するレンガを積んで内側に無筋コンクリートを充填していく工法が採用されたと言う。 それにしても 締め切りはどうやったの? 施工中の排水は? 不同沈下は? 当時の技術者の苦労が偲ばれると共に偉大さに頭が下がる。 日本に残存するレンガ造り閘門では最大規模で,通船用の水路は幅11m,長さ91m,両側に木材の防舷材が設置されている。関東地方では最後に造られたレンガ造りの閘門・水門と言われている。古びたレンガが80年の歴史を感じさせる。 |
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二重門扉構造
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門扉巻き上げ機
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外側と内側に開く鋼鉄製二重の門扉とした複閘式閘門である。 壁の隅や水門取り付け部などには花崗岩のブロックが使われている。構造的な理由もあるだろうが,当時の技術者の美的センスもなかなかのものと感心する。 |
当初は手巻き式であった。当時の船頭さんたち皆,相当の力持ちだった? | |||
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本日の最終見学地である潮来に移動。 中央径間だけが斜長橋となっている潮来大橋で常陸利根川の北岸側に出て,潮来の町に入る。 案内のS君は,狭い,曲がりくねった小路をものともせずにドンドン飛ばして行く。このあたり何度も行ったり来たりしてあちこち遺構をさがして歩き回ったんだろうなあと感心する。 潮来の前川十二橋めぐりで有名な”前川”は,江戸時代の水運に利用された霞ヶ浦(北浦)の下流鰐川と常陸利根川を結ぶ水路である。ここに仙台河岸や,津軽河岸があり,流通基地として盛えたらしい。 探訪の締めくくりは,潮来市牛堀町の権現山公園。見晴るかすほどの広大な低平地の中にポツンと標高25m位の小高い丘が,常陸利根川が西浦から発するあたりの左岸にある。ここからの水郷の眺め,とくに夕日がきれいだと言われている場所である。 本日はやや霞がかかっていて眺望は今ひとつの感じであったが,霞ヶ浦(西浦),常陸利根川,横利根川,利根川の位置関係がよく分かる格好のビューポイントであった。 16:30 ここで解散。利根川下流をめぐる新しい発見のあった一日であった。 |
前川の千石橋近くの道端に津軽屋敷や仙台河岸跡を示す石碑がある。 | |
仙台河岸跡石碑付近の旧家 | 前川の水路 |
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権現山公園は,牛堀が水運の要として賑わった江戸時代にも水郷の町並を見おろす美しい風景で人々を魅了したことだろう。 かの葛飾北斎もここを訪れ,「富嶽三十六景」の中の「常州牛堀」という絵を描いているそうだ。 晴天の日には筑波山と富士山を同時に見渡すことができ,ここからの風景は茨城百景にも選ばれている。 |
─28 JUNE 2005─ |