■ 茅野から高遠へ
新宿07:00発の特急”あずさ”で茅野へ。
今日は天気がよさそう,車窓より甲斐駒,八ヶ岳がすっきり見える。
駅前でレンタカーを借りる。
カーナビの指示にしたがって市街地を抜けすぐに国道152号線(以下R152)を南下する。R152は長野県上田市~静岡県浜松市を結ぶ全長134.9kmの国道である。北から順に大門・杖突・中沢・分杭・地蔵・青崩と6つの峠を越えて行く山岳道路である。今回はこのうち杖突峠~青崩峠間の中央構造線に沿った谷筋を行くことになる。
先ずは,杖突峠を越えて高遠城址公園を目指す。30年ほど前,夏の家族旅行で走ったことがある。
高遠城址公園は,昨日まで連休であったため,今日はほとんどのお店がしまっていてひっそりとしていた。駐車場も管理人がおらず,無料。公園を抜けて,「高遠町歴史博物館」・「絵島囲み屋敷」を見学せんとしたが,ここも振替休館。
桜の名所として知られる高遠城は,天正10年(1582),勇猛果敢で知られた武田武士の最後と云うべき激しい戦いが繰り広げられた。
江戸七代将軍の時,大奥総取締役で大年寄・絵島が,役者生島新五郎との仲を咎められ遠流の罪を受け幽閉された場所が囲み屋敷。当時の図面を参考に復元されている。ここ花畑の地は,南アルプスと中央アルプスの雪嶺を望む景勝の地である。
■ 美和湖~分杭峠
高遠から2kmちょっと南下した所に長谷村非持(ひじ)という集落がある。その小さな村落の地名がついた「非持石英閃緑岩」と呼ばれる岩体が中央構造線に沿って30キロほど帯状に分布している。このうち中央構造線に接した幅2~300mの部分は,とくに揉まれていて圧砕岩(「鹿塩ミロナイト」)と呼ばれる)。
非持から溝口にかけてのR152の右手に,三峰(みぶ)川を堰きとめた人造湖「美和湖」がある。美和ダムの上から南を望むとはるか彼方に「分杭峠」のケルンコルが見える。
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中央構造線の谷に造られた人造湖美和湖から南を望む。遠景の凹部がケルンコル分杭峠 |
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鹿塩ミロナイト
花崗岩のもとになるマグマが固まる途中で引きずられたり押しつぶされたりして,結晶が丸く変形したり一定方向に並べられたりしている。 |
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ダムから3kmほど先右手に「中央構造線公園」という案内板を見つけ,慌ててバックしてダム湖のほとりに向かう横道に入る。「溝口露頭」と呼ばれる中央構造線がむき出しになった崖が湖岸にあり,遊歩道が付けられて中央構造線の有様を観察出来る筈なのだが,生憎湖水の水位が高く,露頭が半分近く水没しており,かつ近づけない。”長野県の地学”にその様子が掲載されている。”
美和湖の上流堪水端で,黒川と三峰川が合流する。
ここでちょっと寄り道。
黒川に沿って上流へ向かう。およそ1kmほど先に「南アルプス林道戸台口バス停」がある。すこし先の戸台から奥は一般車乗り入れ禁止である。戸台から先は,甲斐駒・仙丈岳への登山口である北沢峠を越えて,日本第二の高峰北岳登山口の広河原を経て山梨県南アルプス市芦安や早川町奈良田に通じている。
日帰り&休憩温泉宿「仙流荘」で遅い昼食。
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蛇紋岩で出来た特異な形をした岩山
黒川をさかのぼった「仙流荘」付近から見える |
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三峰川と黒川の合流点
大きく開けた河原が広がる, |
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三峰川橋を渡って三峰川左岸をおよそ2キロ。中央構造線から離れ,大きく蛇行しながら南アルプスの懐深く仙丈ケ岳の真下まで迫る三峰川と市野瀬で分かれ,中央構造線が造った右支流粟沢川のV字谷に沿った国道を進む,すぐに一車線の山道となりカーブの多い峠道となる。
やがて分杭峠(1424m)
峠の手前に駐車場があって10数台が停車している。ここから北方の眺めは絶景である。皆さん景色を愉しみがてら休憩をとっているのだろうか。ここはTVで紹介された「ゼロ磁場ポイント」とか「『気』の集中する場所」とか言われている場所である。断層の両側から押されて磁場が生じるが,局部的に力が相殺されて「ゼロ磁場」が生じ,ここに大量の「気」がはっせいし心身を活性化するという,その「気」を体感すべく大勢の人々が訪れるらしい。わたしは何も感じなかった。国道の標識の”分杭”が”分抗”になっているのが気になったくらいである。
峠には,江戸時代には,高遠領であったことを示す石柱が建てられている。
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是より北 高遠領 |
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分杭峠から高遠方面を望む
遥か彼方に杖突峠が霞んで見える |
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