此れや君は夜の細顎 (これやきみはよのほそあぎと) (2) R-18性描写有り 閲覧注意 その頬を涙ですっかり汚した娘は、抵抗する気力すら失ったのか、ほぼ素裸の態(てい)で肌もあらわに倒れ伏している。飾り紐で流行りの形に丁寧に結われた長い髪も、続く無体に乱れてほつれて後れ毛が目立つ。 浅く乱れた呼気で上下する剥き出しの乳房や、薄紅に色づいてつんと勃った頂点の周辺には男から施された朱い吸い痕が無数に散って、それは何とも言えない艶を放っていた。 大人と少女のちょうど中ほどに位置するであろうこの娘の身体は、清らかさを感じさせる中にも何とも言えぬ色香がある。 「あ……っ、く、ふ」 男が蜜壺中でゆるく動かす指に合わせて確かに乱れている細腰は、女を抱き慣れたこの男ですら時折喉を鳴らすような艶(なま)めかしさだ。 「だめ、見ないで……もうやめて……」 両の脚を開かせられ、花弁の浅瀬と奥深くとを繰り返し弄られた娘が、息も絶え絶えに懇願する。 こんな箇所は親兄弟にだってそうそう見せはしないだろう。羞恥に頬を染めながらも与えられる快楽に身を捩らせる姿に、男がにやりと笑み崩れた。 「じゃあ交代だ」 言われた言葉の意味が分からなかったのか、娘が緩慢な動きで目を瞬く。 「お前もやってみろ」 薄暗がりの部屋に低く囁いて、熱く勃った己の肉塊を娘の鼻先に突きつける。そしてそのまま、そのふっくらとした唇に先端を擦りつけた。 「こんな店の娘なら、やり方くらい分かるだろう」 二度三度、娘の頬や唇のしっとりとした質感を味わうように腰を動かす。 嫌がるようなら無理にでも口へ捻じ込んでやるつもりで声をかけたが、意外にも娘は素直な様子で小さくこくりと頷いた。 ……そろりそろりと、桃色の可憐な舌が男根を這う。 「ん……」 血管の浮くそこに、濡れた唇が押し付けられる。いくらか幼さの残る手指が大きな肉棒にそっと添えられて、娘は飴でも舐めるように丁寧に舌を動かした。獣欲に満ち満ちて醜悪な形を成したそれに薄紅の唇が添い、桃色の舌がまとわりついて、少しづつ娘の唾液が塗りつけられていく。 ためらいながらの初々しい仕草で、脈打つそれへの奉仕を娘は繰り返す。絶えず押し付けられる肉棒に顔を上向かせながら口を動かすたび、控えめだが形の良い乳房がふるふると揺れた。 「ふぅ……、は、ふ」 娘の苦しげな息遣いが場に満ちる。唇の端から零れた唾液がとろりと娘の顎を伝って、何とも言えず艶めかしい。 浮いた血管に舌を必死で這わせ、先端を唇で吸い、禍々しい肉塊に頬を染めて奉仕する健気な姿に、吐息まじりで男が笑う。 「素直なのは良い事だが、少々じれったいな」 笑って、――……強引に、口内へ男根を割り入れた。 身を強張らせた娘の頭を髪ごと掴み、こうしゃぶれと教えるように、ゆっくりと腰を突き動かす。 大きく前へ、喉の奥へ。口内の熱と舌肉の動きを楽しむように、小刻みに中で数回男根を振って、全体を吸わせて舐めさせる。 息が苦しいのか娘は辛そうに顔を歪ませたが、過(あやま)って噛みつくような事も無く、程なくして教えられたように顎と喉を動かし始めた。 「……っ、はぁ、ふっ」 「いいぞ」 男も、娘の奉仕に合わせて腰を動かす。 逃げることを諦めたのか、男の責め苦を娘は従順に受けている。清らかな舌と唇とを肉塊で貪る男の動きに時折怯えたふうを見せながらも、肩をかすかに震わせて大人しく従うその姿に、男は笑いを隠しきれない。 これは掘り出し物だ。 これは見つけものだ。 売り飛ばしてもいい。良い値が付くだろう。 連れ去って持ち帰ってもいい。良いなぐさみものになるだろう。 これは、何とも―― 「……はっ」 ぞくりと背を走った快楽に身を任せながら、男は、にたりにやりと笑み崩れる。 男が、娘の口から己の男根を引き抜いた。上気した唇から垂れた白濁が糸を引いてこぼれ落ちるのも構わず、引き抜いたその勢いのまま、娘の身体を床へと突き倒す。 そして、床に押し付けられて小さく痛いと叫んだ娘の腰を両手でわし掴み、その剥き出しの白い尻を掴んで高々と持ち上げて―― 「いくぞ」 震える秘所へと背後から、未だ衰えぬ肉棒を突き挿れた。 「――ッ」 一息に根元まで、可憐な女陰へと熱い肉の塊が入り込む。 遠慮のない挿入の途端、娘の背がびくりと跳ねて仰け反って、強張ったその喉からは悲鳴が上がった。 「ちょっ、まっ、きゃあッ」 「あぁ?」 腰を激しく打ち付けながら、男が娘の肩口に噛みついた。獣のような態勢で背後から犯され、しかも噛みつかれ、娘が叫ぶ。 「や、まって、待って待って……っ」 しかし男はそんな言葉を気にも留めない。うねりながら絡みつく蜜壺の締め付けを夢中で貪ろうと、一層激しく腰を突き動かす。逃げようとしてか娘が大きく身悶えるたび、肉棒を締めつける動きはより一層強くなって、男はその快楽を追う事に必死になった。 根元まで突き入れたまま、胎(はら)の最奥に届けとばかりに揺さぶりをかける。かと思えば半ばほどまで一気に引き抜き、また押し込み、波打って吸いつく胎内の襞のあちこちを肉棒で嬲る。 娘の身体の前面に手を伸ばし、片手で乳房を揉みしだいて乳首を捏ねて、もう片手で濡れた陰核を擦り上げると、娘の喉からは今までで一番甘い喘ぎが零れ落ちた。 「ひゃ、やぁあんっ、そこ、ああッ」 鋭敏な箇所を弄りながら荒々しく腰を打ち付けるたび、娘の嬌声がひときわ熱を帯びる。 男が与える責め苦の動きのたび、娘の身体は何とも甘美に蠢いて、至極の快楽を男にもたらしてくる。 それを余さず全て貪ろうと、男は獣のような必死さで身体を動かし―― 「やあっ、こんっ、こんな格好、じゃ、んッ、ああッ」 「うるさいぞ、大人しくしやが……っ」 ――その時。 天井が、大きくゴトリと音を立てた。 不自然に鳴り響いた物音に、欲望のまま娘を犯していた男の動きが流石に止まる。 「何だ」 だが天井に眼光鋭く視線を投げかけたその時、自身を責め苛む男の身体から、娘が身を捩って四つん這いで逃げ出した。 「あっ、お前!」 自身を熱く強く締め付けていた筈の肉壺からずるりと蜜糸を引いて肉竿が抜け、男の意識は不審な物音から瞬時にそちらへと向かう。身悶えるように揺れながら逃げ行く白い尻を捕まえようと、逃がすものかと、男は野獣の勢いで娘に向かって腕を伸ばす。 だが男の予想に反し、そのまま部屋の外へ逃げ出すかと思われた娘の動きはすぐに止まった。 それどころか床にぺたりと尻を下ろし、なんとも恥ずかしげに頬を染めながら、男に向かってゆっくりと脚を開いて見せさえしたのだ。 両腿の付け根、さっきまで激しく犯されて乱れて開いた肉色の花弁が、雌の香りを漂わせながら露わとなる。 「あの、さっきみたいな、ああいう格好は……いやなんです」 勢いを殺がれて注視するしかない男に対し、両の脚を開いたまま、娘は更に言い募る。 「後ろからだと、顔が見えなくて怖いから……」 楚々とした、しかしどこか妖艶な仕草で、娘の指が花弁に潜って自らの秘肉をそうっと広げる。 恥じらいながらも見せ付けるように、細指でひらかれた紅色のそこから、誘う様な優雅さでとろりと蜜が零れ落ちた。 「……こっちから、来て……」 頬を染めての懇願に、男が吠えた。 獣の雄叫びを上げ、娘の身体にむしゃぶりつく。 「あうっ、くぅっ」 「欲しいのかよ、もっと言えよ!」 娘の細い身体が軋むほど乱暴に両の膝裏を持ちあげて、猛々しい肉棒を蜜を湛えた秘裂へと擦りつける。挿入を焦らすように花弁を捲れ上がらせながら、肉塊が乙女を淫らに苛んだ。 「ん……っ、は、くっ」 その度に床板がギシギシと鳴り、娘の喉からは堪えきれない切なげな吐息が漏れる。焦らす男の腰の動きを追うように自らも動き、受け入れようとしてか濡れた花弁を肉棒へ押し付ける。 男の動きが獣じみて早まった。 「やぁっ、もっとっ、ゆっく、り」 男の大きな掌が娘の背を捉え、分厚い胸板が乳房を抑えつけて愛らしい丸みを押し潰す。愛液のぬるつきと温みとを楽しむかのように花弁へ擦りつけられていた男根は、あっという間に蜜壺への再侵入を果たし、淫らな水音と共に乱暴な抜き差しを繰り返している。 喘いで震える娘の歯列をこじ開けて舌を吸い、唾液を貪り、男はなお一層激しく娘の秘肉を責めたてた。 娘の長くつややかな髪を束ねていた飾り紐がはらりと落ちて、黒髪が宙に舞い踊る。 「俺はお前が気に入った」 荒い吐息と男が共に呟く。 「お前も一緒に連れて行く。明日、港に荷が入ったら、俺はお前も連れて行くぞ」 「るそんに、ですか」 細い身体を下から突き上げられながら、途切れ途切れに娘が喘ぐ。 「堺の街に鶴白(つるしろ)屋という店がある。その店の店主は、俺たちの昔の頭領たちとも付き合いのあった人で、見返りさえ積めば何でも用立ててくれる。お前一人連れて行くくらい、何とでもなる」 「鶴白屋……」 店の名を熱に浮かされた様な声で呟いた娘が、激しく責められながらも男の髪を優しく撫でる。 「昔の頭領……、百舌党の?」 「そうだ」 娘の潤んだ視線を受けた男が、束の間誇らしげに胸を張った。 「先々代の大将の時代から、俺は百舌党の一員だ。白尸(しろかばね)の大将、その息子の道顕(どうけん)殿……。そして俺は、百舌党当代の頭領だ」 怖いものなど何もない。 恐れるものもありなどしない。 百舌党は十年ほど前の争いでほぼ壊滅状態まで追いやられた。そのうえ一派の生き残りは悪行と名前とが周辺諸国へ手配書と共に知れ渡り、日の当たる場所へは到底出られない身になってしまったが、そんなものは異国の地なら関係が無い。 新しい愛妾を連れ、新しい国へ行くのだ。そこでまた、先代や先々代の頭目たちのように欲望の赴くまま、悪行の限りを尽くす。 なめらかな肌に汗を散らす娘の細い腰を抱き込んで、その身体に欲望をぶつけて激しく突き上げながら、男は都合のいい未来を夢想してほくそ笑む。 「そう……」 娘の細い腕が男の首に回され、慈しむような優美さで汗ばむ男の頭を抱き込んだ。接吻(くちづけ)をねだるようにゆっくりと寄せられた唇に、応えようと男が首を巡らせる。 巡らせた、その瞬間。 「――あんたが今の首魁なのね」 男の耳を、冷たい感触が貫いた。 男が温度を感じたのも一瞬だった。 冷たかったものが、刹那の内に灼熱に変わる。耳の奥から熱湯の如き血潮がどろりとごぽりと湧き出して、抱き合ったままの娘の胸に鮮紅色の血が零れ落ちる。 「が……ッ」 ひときわ激しく男の身体が波打った。痙攣(けいれん)したその拍子に肉棒が女陰からずるりと抜ける。両の鼻穴(びけつ)から赤黒い血を流し、血泡混じりの唾を飛ばして男が呻いた。 「なに……っ、何、を」 「これだけ聞ければ、あたしからはもういいや」 娘の手指が軽やかな動きで空を切る。 男の耳元から血の飛沫を散らして引き抜かれたのは、結った黒髪に潜めておいた隠し針だ。つや消しに煤(すす)で黒く燻(いぶ)しをかけて、髪と闇とに隠して持ち歩く暗器の大針だ。 耳穴から軽々とその奥を穿った長さと太さの黒針が、今度は男の喉の中程へと突き込まれる。男は苦しげにもがき出し、耳障りな呼吸音を吐き出しながら、黒目を朦朧と泳がせて床の上へと転がった。 「フン」 可憐な姿へ巧妙に擬態していた“獣”の細い顎(あぎと)が、邪悪な百舌鳥(もず)を噛み砕く。 虫も殺せぬような愛らしい形(なり)で、肉など食まぬような細面の華奢な牙で、それでも娘は小鳥の名を冠した猛獣の喉笛を、血の香を漂わせながら食い千切る。 倒れ込んできた重い身体をめんどくさげに足で蹴りどかし、未だ全裸の白い肌を晒したままで、娘が侮蔑の眼差しで吐き捨てた。 「バカの相手は疲れるったらありゃしない」 先程まで見せていた清楚さや初々しさは、もはや欠片も見当たらない。 娘が痙攣を繰り返す男を見下ろし吐き捨てたと同時、部屋と廊下を隔てていた障子が音無くスラリと開かれて、総身を紺色の装束に包んだ体格の良い男がその場へ身をすべり込ませてきた。 「おい、こや」 低く太い声が娘の名を呼ぶ。 「あっ組頭さまぁ、終わりましたー」 娘が――こやが、肌を隠すでもなく、諸手を上げて笑顔で応える。 その瞳は生気と自信に満ちて輝いていた。 「おつとめ完了! ですよっ」 |