郡岳(こおりだけ)〜経ヶ岳(きょうがたけ)縦走
 1人で登る  2005.4.16

長崎空港から見た多良山系
場所 長崎県大村市
地形図はここをクリック
断面図,概念図はここをクリック
標高 郡岳 826m
遠目山 849m
経ヶ岳 1075m
歩く標高差 .累積1350m 歩行距離 約14Km
所要時間 大人
約7時間
郡岳西登山口〜45分〜坊岩〜15分〜郡岳〜30分〜北川内分岐〜35分〜遠目山〜30分〜春日越〜45分〜岩屋越〜40分〜狸だまり〜45分〜ツゲ尾〜15分〜経ヶ岳〜25分〜中山越〜40分〜八丁林道登山口〜10分〜八丁林道駐車場
駐車場 八丁林道駐車場に車を停め,郡岳登山口まで別の車で送ってもらった。
データ  郡岳から経ヶ岳へ。
 山登りを始めてから,いつか歩き通してみたい道だった。


 
昨年,膝の痛みを抱えながら挑戦してしまい,大失敗。岩屋越からやっとのことで日暮れ前に下山できた。
     その様子はここ→郡岳〜遠目山〜岩屋越
 
そして,リベンジは岩屋越から経ヶ岳へ。
     その様子はここ→岩屋越〜経ヶ岳

 
去年,2回に分けた道を今回やっと通して歩いてみた。道の様子はわかっているが,郡岳から歩き続けるとどんな感じになるかは未知数であり,挑戦である。

 朝,黒木に車を停め,妻に郡岳の登山口まで送ってもらう。
 途中,郡岳の岩場を一緒に見たりしながら,林道を進む。

 
西登山口に着いて,車から降り,いよいよ山登り開始である。
 
 
久しぶりの西登山口。郡岳の西側には猪が多い。猟師も搬送がしにくい西側はあまり捕らないということだ。いつもはしないのだが,今日ばかりはカウベルを鳴らしながら歩く。とにかく猪さんにこっちの気配を察して,逃げてもらわなければいけない。

 郡岳の自然林はとても気持ちいい。落ち葉を踏みしめながら,ゆっくりと歩く。今日は先が長い。調子にのって登るとバテがくる。落ち着いて冷静に冷静に足を進めた。

 
ほどなく坊岩に着く。今日はいい天気だ。坊岩からの眺めもすばらしい。しばし休憩して,郡岳山頂へ。
 郡岳山頂は誰もおらず,静かなたたずまいだ。春の陽射しがとてもあたたかい。気持ちに気合いを入れて,自分の体調を確認し,いよいよ縦走路に足を踏み入れる。この先の道は,人に出会っても数人の道である。猪くんの姿も見たことがある。カウベルをリンリンと鳴らしながら歩く。しかし・・・・,カウベル・・・・うるさい。せっかくの静かな山歩きを自分でうるさくする必要もなかろう。カウベルくんには申し訳ないが,ザックの中行きとした。

 
まずは遠目山を目指す。遠目山までの道は,木々が左右から囲み,まるでおとぎ話の中に入っていような美しい道がある。途中,一端植林地帯を通るが,ゆるやかな起伏を繰り返しながら,進んでいく。大きな岩が見え,その岩場を回り込んで上がると遠目山である。展望はないが,個人の標識で山頂とわかる。

 
遠目山を後にし,30分ほど歩くと春日越に着く。春日越からは北川内に降りることができるので,体調が悪いときなどのエスケープルートとして確認しておきたい。春日越を越えると,国見山との分岐があり,また起伏を繰り返しながら進む。40分ほど歩くと岩屋越だ。

 岩屋越から降りると,平谷トンネルの黒木側出口のすぐ上を通り,岩屋に出る。ここもエスケープルートとして確認しておきたい。また,岩屋越からは,平谷側にも降りることができ,平谷〜経ヶ岳〜岩屋越〜平谷と利用する人もいるようだ。

 岩屋越までの道は,前回膝がとても痛かったことを思い出させる。足をひきづり,ひきづり,まるで逃亡者のように降りていったっけ。きっとすごい形相をしていたに違いない。普通に歩けることがとてもうれしく感じられるこの道だった。

 岩屋越で休憩していると,遠くで木の幹を「コッコッコッ」と叩く音がする。キツツキ科の鳥だろう。アオゲラか?コゲラ?姿は確認できなかったが,その音がとても心地よくエコーしながら鳴り響いていた。

 
岩屋越から先は,アップダウンがたくさん出てくる。今日は,いったいいくつのアップダウンがあるのが数えてみようなどと考えていたが,途中でわからなくなった。(笑) 岩屋越の先は,妖気が漂うような雰囲気を持った場所があったり,びっくりの急下りがあったりと,なかなか変化に富んでいる。

 
起伏の繰り返しは思った以上に体を疲労へと導く。ガッーと登り,ガッーと降りるような山登り中心の私などは,登りがあるとついついガッーと行ってしまいそうになる。しかし,このガッーの繰り返しで気がつくとバテバテになるのである。今日は,登りこそ,ゆっくりあわてず周りの木々を見ながらを守り,起伏を登っていった。

 途中,目標の経ヶ岳が時折見える。だんだん近くになってきているのがうれしいとともに,この美しい縦走路が終わるのもさみしい気もしたりして。

と,一人の方と出会う。
「すみません,道がわからなくなって・・・」
えっ,この道は地図もない人が入っちゃだめですよ。まして一人で・・・。平谷に戻りたいということなので,経ヶ岳に戻って降りる道,岩屋越まで歩いて平谷に降りる方法を,地図を示しながら説明した。地図はやっぱり持っておきましょう。国土地理院の地図か入手できないなら,インターネットで図は手に入ります。数百円出して地形図を買うのが一番ですが,ないよりはましかと思います。
  ここ→ 国土地理院の地形図
 
 
そろそろツゲ尾かなと思った頃の最後の方に,急な登りが数回待っている。ここがこの縦走路の正念場だ。あせらずゆっくり登ることにした。

 
そして,ツゲ尾へ。いつもの場所に来るとなんだかうれしい気持ちがする。もう午後を回っているので,多くの人には出会わないだろう。

 
経ヶ岳山頂では一人でのゆっくりした時間を過ごす。これが午前中だったらまず一人でいられることはない。しかし,午後はとても静かな山頂だ。はるか遠く郡岳からの縦走路に目をやる。あそこから歩いてきたんだなあという感慨が味わえる。膝か痛かった去年の冬から,一年半後にやっとこの縦走が完結できた。ひとつの目標達成である。またいつか,今度は五家原まで足を伸ばしてみたいと思った。ただし,寒い頃がいいかなと。

 経ヶ岳を下り,金泉寺までとも考えたが,一人であり,疲労も考え,
中山越から下山することにした。

 ああ,まことに久しぶりの山満喫の一日だった。山も里も春爛漫。

 
 
西登山口を出発。朝の光が美しい道を進む。
 
 
自然林の心地よい道を進む。途中には「ガマ岩(勝手に命名)」がある。ガマの顔そっくりだ。
 
 
そして,坊岩へ。天気もよくすがすがしい眺めだった。
 
 
 
坊岩にある白い斑点。よくよく観察してみると,ははん,
お墓につく白い苔と同じようなものだった。

 
 
郡岳山頂へ。春の陽射しが暖かく,風が心地よい。
 
 
そして,経ヶ岳への縦走路へ。
 
 
一度,植林地帯に出た後,また自然林の中へ
 
 
 北川内との分岐点。その先には,猪のぬた場だろうか,大きな穴があった。
 
 
 緑の木々と青い空,火照る体に涼しい風,小鳥のさえずりが響き,山歩きの楽しさがいっぱい。
 
 
 大きな岩を回り込むと,遠目山の山頂
 
 
目指す経ヶ岳は・・・・,まだまだはるか遠く。
(左端の雲の下が経ヶ岳)
 
 
春日越に到着。北川内へのエスケープルートがとれる。
 

 
春日越からは,やせ尾根を通ったり,ちょっとした岩場があったりと変化のある道になる。
 
 
おとぎ話に出てきそうな木々が囲む美しい道。
 
 
岩屋越に到着。去年,ここに着いた時には,膝がひどい状態だったのを思い出す。
今日は元気ばりばり。健康ってありがたい。


ストックは使わない主義だったが,この日だけはせめてもの護身用に杖を持つ。
しかし,杖があるとずいぶん足への負担が軽減されるんだなあと驚く。
下りが滑りにくくなる。登りのふんばりに役立つ。
こりゃあ,ストック買おうかなあ。(笑)

 
 
岩屋越からはアップダウンの繰り返し。まだまだ続く。
 
 
しょうもないとも思いつつ。途中で見つけたおもしろい木。
左はニンフの絵「叫び」
右は木の皮ビキニを着た木。
 
 
最後に急な登りを何度か経て,ツゲ尾へ。
 
 
ツゲ尾にて,一休み。ここまで来たなあという感じ。
 そして,経ヶ岳山頂へ。
 
 
 経ヶ岳山頂から今日歩いてきた道を眺める。
よう歩いたなあという感じ。
 
 
経ヶ岳山頂から,多良岳,五家原岳方面を眺める。。
またいつか,郡岳からあの五家原岳まで足を伸ばしてみたいと思う。
涼しくなってからかなあ。

 
 
 下りは中山越から。実は中山越から八丁への道は初めて通った。
沢音をずっと聞きながらの気持ちよい道だ。

 
 
 
 春爛漫。黄緑が美しい頃である。

この縦走路の魅力は何かと問われると・・・
ひとつは,落ち葉を踏みしめる心地よい自然林の道であること。
ひとつは,実に静かな山歩きができること。
ひとつは,これだけ歩けたという自己満足。


ただ,下調べもなしに踏み込むには躊躇する道である。
エスケープルートの確認。
歩行時間の確認。
早出の必要性。
体力や体調の確認。
地形図の把握。


思ったよりも歩き方の工夫と栄養補給と水分補給を考えて行わないと,
体がばててしまう道でもある。

この道を行くときにはちょっとした覚悟を持って臨みたい。
歩いてみると,この看板は決してだてではないことがわかる。

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