星生山(ほっしょうさん)・久住山(くじゅうさん)・稲星山(いなほしやま)・三俣山(みまたやま)
 一人で登る  2003.11.1
場所 大分県九重町 地形図はここをクリック
断面図,概念図はここをクリック
標高 星生山1762m
久住山1786
稲星山1774m
三俣山1745m
歩く標高差 約500m
(累積約1700m)
歩行距離 約19Km
所要時間 大人
10時間)
大曲〜30分〜牧ノ戸〜60分〜扇ヶ鼻分岐〜25分〜星生山〜25分〜久住分かれ〜20分〜久住山〜30分〜池の小屋〜20分〜稲星山〜80分〜法華院温泉〜30分〜北千里が浜〜20分〜すがもり越〜30分〜三俣山西峰〜25分〜三俣山4峰〜15分〜三俣山南峰〜50分〜すがもり越〜30分〜大曲
駐車場 山行によって,牧ノ戸,大曲,長者原といろいろな駐車場が選べますが,遅いと満杯です。

データ
      10時間の山歩き・・・気持ちよかったあ


 
4月に霧の中を歩いた久住連山。いつかリベンジをと思いつつ,なかなかその機会が持てない。
今日は三連休の初日。仕事はいっぱいたまっているのだが,この機会を逃しては,今年はもう久住に行けないかも・・・・ 前日,帰りに冷えたビールを一缶,妻の差し入れのために買う。帰って
「明日は,一日わがままをさせてもらうので・・・」とかっこよく渡すつもりだったが,帰るなり,「ごめん,今日車ぶつけた・・・」の妻の声。「何いぃぃぃっ!」と出そうになったが,ここは大人だ。明日のことを考えてぐっとこらえる。(笑) ビール一缶で妻は上機嫌。夜中の出発なのに,見送りまでしてくれた。(これから遠くの山に行く際は,この手を使おう(笑))

 朝3時半に出発。日の出とともに歩きたかったので,今回はやむなく高速を使う。玖珠インターで降り,長者原に到着。トイレを済ませようと長者原の駐車場に着くと,朝6時前なのに車が結構いる。トイレは車で寝泊まりした人たちが歯磨きや顔洗いをしていた。闇の中で動物の鳴き声がする。うーん,久住に来たという感じ。

 
車を大曲の駐車場に停める。朝6時,車はまだない。ここから牧ノ戸まで一般道を歩く。天気予報は,晴れのち夕方から雨。山は静かで,晩秋の装い。そういえば,雨の中,白のビニール合羽で歩いた半年前。ビニール合羽は,汗がたまり,体を冷やした。
「これは命にかかわる」 そう思って,モンベルのレインスーツも買った。半年前は全然景色が見えなかった。あの歩いた道がどんな景色を見せてくれるのか,わくわくしながら道を進む。
                  
雲の中の半年前はこちら → 久住山雲の中編
 
 
牧ノ戸峠に着くと,6時半なのに結構な車の数。「ひょぇ〜。みんな好きねえ。」 自分を差し置いて,叫びたくなる。牧ノ戸からコンクリートの階段状の道を登ると,東屋に到着。そこの眺めにびっくり。「へぇ〜,こんな景色だったんだ。」 木の階段を登り,登山道を進み,沓掛山に到着。再び,感動。「こんな眺めのいい道を歩いていたんだ。」半径50メール四方くらいしか見えなかった半年前,道は同じだが,眺めのよさに唖然。扇ヶ鼻の分岐を過ぎ,解禁になった星生山を目差す。

 
星生山から眺める扇ヶ鼻,久住山,三俣山,硫黄山にため息が出る。星生山から,星生崎を通り,久住分かれに向かう。この道はなかなかスリルがあった。岩場の尾根歩きの気持ちよさ。扇ヶ鼻分岐から,久住分かれに向かう道はぞくぞくと人々が歩いてきていた。

 
久住分かれから久住山へ。久住山からは阿蘇の山並み,花公園が見える。一方は硫黄山・三俣山の山並み,一方は瀬の本から広がる久住高原。手軽にこれてこの眺めは人気があって当然だと思う。

 
久住山から御池を経て,池の小屋から,稲星山へ向かう。稲星山からの眺めも格別。久住山,中岳,大船山,平治岳,坊ヶつるが見える。久住の紅葉は先週が見頃で,今週はすっかり葉は散っていた。

 
稲星山から,法華院温泉への長い下りを進む。この道は,なかなか急で,道も歩きにくかった。途中,左ひざに痛みが走る。「げっ,まずい。この人通りの少ない道で,痛めたらしゃれにならん。」左ひざをかばうようにゆっくりと下ることにする。足の角度によっては,ズーンと来るしびれるような痛み。「三俣山までは無理かなあ」と思いつつ,ゆっくりゆっくり歩く。しばらくすると痛みは消えた。どうも,休憩後に痛みが走るようだ。足を冷やさないように,無理せず歩くことにした。

 
長い下りを進み,坊がつるのテントが見える。沢の音が聞こえてくると,法華院温泉。長者原からの自然歩道を来た人々でごったがえしていた。法華院温泉の中を通り,すがもり越へ。ここの坂は結構きつい。坊がつるの眺め,大船山の眺めを楽しみながら,北千里が浜をめざす。今回,いろいろな人と声を交わしたが,驚いたのは,「この山は何ですか?」の質問。遠くの「あの山は何ですか?」ならわかる。自分が歩いている横の山がわからないというのは,地図を持っていない,コンパスを持っていない,いまどのあたりにいるか把握していないということだろう。天候が急変して,ガスでも出たらこの人たちはどうするのだろう。わかりやすい久住の山でさえ,道をちょっと間違うと深く迷うことがある。半年前の霧深い久住を知っているだけに,余計なことを思ってしまう。(初めての久住登りが霧の中だった自分の無謀をさしおいて)

 
北千里が浜に腰を下ろし,しばし休憩。硫黄山の噴煙と白い砂状の北千里が浜の積み上げられたケルンを眺めながら,遠い昔の久住での遭難事故に思いをはせる。吹雪の中,この北千里が浜で大きな遭難事故があった。30年近く前だろうか。山への畏怖と緊張感はいつまでも忘れまい。

 
すがもり越から,今日,最後の山,三俣山を目指す。結構な急登で,7時間ほど歩いた体にはこたえる。西峰に到着。星生山,久住山,扇が鼻が見える。「あそこから,ぐるっとまわってここまで来たんだ」という感慨にふける。西峰から4峰,南峰へ。南峰では数組に「写真撮ってもらえますか?」と声をかけられる。福岡から来られた3人組の方に,「せっかくなので,撮りましょうか」と言っていただいた。そういえば,山で自分の記念写真をとったことがなかった。ご厚意に甘えて,記念写真をとっていただいた。しかし,今回持参のデジカメは職場の物をだまって借りてきたもので,しっかり備品のシールが貼ってある。「職場のカメラですいません」と,別にその人に言わなくてもいいのに,罪悪感がそう言わせてしまう。同じ職場で前の席の備品担当のSくん,だまって拝借してごめんね。(この場を借りてお詫びします。上司には内緒よ。とても大切なプロジェクトの前に,こんな無謀な山行をしたこともね・・・) 

 今年の冬。長者原に雪遊びに来て,背後に美しかった三俣山。そのときは,まさか自分一人で登るようになるとは思わなかった。人生のいろいろな思いが重なった今回の山行だった。


 一人で大村を朝3時半に出て,10時間山を歩き,一睡もせず下道を5時間かけて大村に帰る自分は,結構タフかもと思った。(笑) 肉体的な疲労には強いが,精神的な疲労には弱い自分を再認識する。(笑)




大曲から歩いて,午前6時半牧ノ戸峠。結構な車が来ていてびっくり。
 
 
牧ノ戸登山口から,コンクリートの道を歩き,東屋の展望台へ
 
 
向こうに涌蓋山(わいたさん),下に牧ノ戸峠
 
 
沓掛山(くつかけやま)から,今から歩く道をのぞむ
扇ヶ鼻の分岐,向こうが解禁になった星生山。いくつか登り口がある。
 
 
星生山への登り口。頂上近くに急塔する道を選ぶ。おっ,陽が射してきた。
 
 
星生山山頂に到着
 
 
 星生山から,硫黄山,三俣山。登る途中から見た久住山 
 






久住分かれに向かう道。結構スリルがあった。
 
 
星生山を通らず,久住分かれに向かう道
 
 
久住避難小屋と久住山
 
 
久住避難小屋を過ぎ,久住山へ
 
 
9時20分。久住山山頂,たくさんの人がいた。
 
 
久住山から見る星生山,硫黄山,向こうが三俣山。あの三俣山まで今日は完結できるか。
 
 
久住高原を見下ろす
 
 
そして,稲星山,三俣山へ・・・