ビールをやめた理由


この夏、ビールを飲むことをやめた。絶対に飲まないというわけではないが、以前のようにケースを買いおくことをやめた。理由は、費用対効果が低いから。6パーセント程度のアルコール分、350mlに200円近く払うのであれば、25パーセントの焼酎、40パーセントのジン、ウイスキーのほうが「安く」酔える。もちろん酒を飲むのは酔うためだけではない。まさにそれがビールをやめたもう一つの理由になる。

ビールが飲みたくなるのは汗をかいて帰宅したとき、風呂にはいったあと、暑い休日の昼下がり。飲むのはのどごしをすっきりさせたいからで、酔いたいからではない。だったらビールでなくてもいい。すっきりしたいときは、「ただの炭酸水」を飲むようになった。


ビールをやめたわけはもう一つある。端的に言うとビール会社が信用できないから。最近は一時期ほどではないが、ビール会社は競って価格の安い発泡酒を発表している。これは文字通り発泡するだけの酒でビールではない。味もまずい。

日本では、本来ビールとは呼ぶことのできない雑穀のまざったものもビールと呼ばれている。そのうえ、その緩やかな規定にすら入れない酒を平気な顔をして売る神経が信じられない。

安い価格は、「ビールでも高いと思うような貧乏人にはこれでも飲んでろ」と言われているようで腹が立ってくる。


美味いものをより安く提供するのが食品メーカーの使命のはず。不味いものを安くだされてもうれしくもなんともない。メーカーにも言い分もあるだろうし、財務省にも責任の一端はあるのかもしれないが、本業で手抜きをする姿勢はいただけない。

これは酒造・食品業界に限ったことではない。本業で手を抜いた製品を出しておいて、寄付や慈善事業で善人面するような企業は少なくない。

企業はまず本業で社会に貢献してほしい。


碧岡烏兎