下ノ沢 2012(会津駒ヶ岳)

日付;2012年8月4−5日

L:F川さん、メンバー:I井さん、自分

 2004年の6月(9月にも)に、この下ノ沢に行ってきました。それが初めての「沢の中での焚火」で、「沢に行くのに高速道」でした。その時はもう、ついていくだけで精いっぱいでした。今回、計画が出され、あのころの自分と違った自分が出せるか行ってきました。改めて行った下ノ沢は簡単ではなかったものの、バテルことなく問題なく行ける沢になり、前回到達できなかった山頂にも行けました。それでも、前回よりは、ましになったものの至らぬところも多かったです。参加できてよかったです。

今回の山行の大まかな位置図(手書き)
 (赤:沢登り、黄:登山道)

【今回の事前予習】
 前回、大除沢に行って、岳人に出ていた「地図を読むのは入山前 山では地図よりも山を見る」ということを痛感し、今回挑戦してみました。
 改めて、感じたのは、「マクロ、ミクロの二つの見方が必要で、ルートを休憩時間程度に分割しA〜B区間では○○、B〜C区間では□□」
とのようにすれば良いのでは? ということでした。その他、作ったのは良かったですけど、まだ作るだけに終わって、もう少し有効に活用するには、試行錯誤が必要だと思います。
 上記に気が付いたのは、良かったと思いますが、それとは別に今回の自分の読図は凡ミスが多かったです。

今回の事前予習・その1
 概念図(青:沢、黒:尾根、赤:ルート)

 その1の概念図は、作成してみたら、思ったよりも簡単にできました。地図の画像の上からトレースして、トレースしたものを別のレイヤーにすれば良かったのでした。

今回の事前予習・その2(断面図)
カシミール3Dを使って断面図を作りました

8月4日

天気:晴れ
【コースタイム】7:50 浦和IC−10:05 西那須野IC−12:10/12:45 駐車場−12:55 入渓地点−15:45 1430m二俣

12:50 登山道へ
 この入口は忘れやすい自分にも記憶がありました

【今回の服装】沢の中では、自分のいつもの格好(ファイントラック下着に、山用長袖、沢用ズボン、薄めの渓流ソックス、スパッツ、リストバンド、指空きグローブ)。水を汲んだ地点でリストバンドを外しました。4日の夕食後、雨具(上)を追加して、就寝時はシュラフカバーでちょうど良かったです(自分の場合)。

12:55 入渓地点

 沢装備をして駐車場を出発したので、入渓地点では、自分がヘルメットをかぶり、リストバンドを装着したくらいで、息を整え、入渓。

【今回の水量】薪も乾いていて、最近それほど降っていないようですが、雪渓がまだまだ残っているためでしょうか。水量は多い気がしました。水をかぶるので、8月か9月に来ると良い沢です。

13:10 竜門の滝手前のゴルジュ

 左側に残置スリングがぶら下がっていましたが、難しそうなので、右を巻きました。巻きの途中、斜面をくずしてI井さんに石を当ててしまいました。リーダーよりの指摘「ハンマーで足場を作りながら登る」、その指摘は、自分の中に全くなかったわけではないですが「言われてみれば」程度できちんと理解が必要でした。

13:15 竜門の滝

 ずいぶんとつらい巻きでした。竜門の滝の下から右を巻けば良かったですが、手前のゴルジュから特に下降路が見当たらず、そのまま上がろうとしたらずいぶんと大変な巻きになってしまいました。沢歩きのルートファインディングも、そこそこできるようになってきましたし、滝登りのルートファインディングもそこそこできるようになってきました。巻きのルートファインディングは、まだまだです。
 駐車場から、出発する際に昼食をとるのかと思っていたら、他の二人は、もう昼食をとっていてシャリバテになりそうだったというのもあります。今回出だしのこの部分が一番つらかったかもしれません。巻く途中で、メガネが藪に引っかかり、落ちて、あやうくメガネを無くすところでした。
 

13:45 滝を巻き終えて

 暑かったので、とにかく水が気持ちよかったです。

14:10

14:17 前回来た時も、こういった倒木がありました

14:25

14:30 来た道を振り返って

14:30 休憩

 この頃だったか不鮮明ですが、小滝の小さな淵に20cmくらいのイワナがいました。声を上げると、瞬時にいなくなってしまいました。自分のような人間にも、発見できたのですから、釣り師が来れば、さらに多くの魚影を確認できると思います。カエルも何匹かいました。

14:43 上の写真の上の段の滝(3mCS?)
 左を行ったと思います

14:48 15m大滝が見えてきました 14:52 正面より滝を

【今回のロープワーク】行動中、ロープは3回使われました。1回目が15m大滝、2回目が「7:23 12mの滝」、3回目が「第3ゴルジュ最初の10m」です。自分は、1回目がセカンド、2回目がラスト、3回目がトップでした。全て、セカンドはフィックスで、ラストがビレイです。1回目のセカンドは、クレムヘイスト結びで登りました。タイブロックは持って行ったものの使いませんでした。タイブロックは、案外、無くてもいいかもしれません。15m大滝は、高度感はあったものの、特に難しくはなかったと記憶してます。

トップで登るF川さん
15:12 ラストで登ってくるI井さん(15m大滝)

 第1ゴルジュ突破、第1ゴルジュは、ゴルジュという割には、狭苦しくなく、上空もずいぶん開けていたと思います。

15:20 右を登ったと思います(7m2条)

15:35 雪渓
 これより上部で点々と現れました

 雪渓が出てきました。周囲も別に涼しいわけでもなく、なんでまだ残っているか不思議でした。1週間後はどうなっているかな。

15:43 ゴルジュを抜けて、もう少しで二俣
15:45 1430m二俣(テン場)
(一番下の今回のルートの位置図で、C地点)

 竜門の滝の巻きではどうなることかと思いましたが、その後はそれほどでもなく、バテることなくテン場につきました。タープを張って、焚火の準備、薪は豊富にありました。(通常テン場に着くころはバテている、もしくはテン場に着くと安心してどっと疲れが出てくる、ことが多く)バテていない自分がうれしくて、普段なら扱えないような大物の薪に手を出してしまいました。でも、大物の薪はまた鋸で小分けにしなければならないので、中くらいのをもっと集めればよかったです。焚火自体は先日、東黒沢でもしましたが、その時は他の方がつけてくれました。今シーズン初の焚火挑戦。太い薪を使って焚火床を作り、その上に小さい小枝をのせ、新聞紙の火を小枝に移し、小枝が燃えてきたら、どんどん太い木をくべてゆく。ですが、
 自分では小枝のつもりが少し太かった。本当に、細い(長さは特に関係ない)小枝(イメージ:爪楊枝)を集める。
 どんどん太い木をくべてゆくときも「ドサッと(極端には)放り投げるように」置かない、丁寧に崩さないように載せる。
木は乾燥していて、ついて当然でしたが、今シーズン初の自分による焚火、無事着火。また、以前も焚火を着火させたことはありましたが、その時は着火剤を使った記憶があるので、使わない本当の意味での焚火は、自分自身初めてかもしれません。
 夜更かしをせず、早めに寝ました。タープのわきから夜空が見えました、快晴。月がとても明るかったです。

8月5日
天気:晴れのち曇り

【コースタイム】6:40 1430m二俣−10:30 標高1770m二俣−12:15 登山道−12:25 駒ノ小屋−12:40 会津駒山頂(自分のみ)−12:50/13:10 駒ノ小屋−14:30 会津駒ヶ岳滝沢登山口−14:40/15:00 駐車場−15:05/15:40 温泉−17:35 西那須野IC−20:20 中野長者橋IC

朝、焚火

 前日の焚火は、横から「ああでもない、こうでもない」と指摘が入ったうえでの着火でしたが、この朝は他の二人が起きる前に起き、前日の残りの薪を使い、一人で無事着火できました。

【今回の読図】この泊まった二俣では、左へ行くことは一目瞭然でした。それなのに、1日目は二俣まで来て一安心、二日目出発の朝は、二俣より先のルートが気になり、そっちのルートばかり気になって「二俣より先は右から支沢1本、そのあとだいぶ歩いて左から支沢2本」などと考えていたら、肝心の二俣を右に行ってしまいました。右の方が雪渓が見えておもしろそうに見えたというのもありましたが、ある意味、「マクロを押さえたうえでのミクロ」というのがわかっておらず、ミクロにこだわるとこうなりますよ、という例です。
 その他、1780mの二俣を左というのは、把握していましたが、それより上流は当日聞きました。二俣1850m(地図は1870m)は、休憩の前、リーダーが右に行くようなそぶり(あくまでもそぶり)をしたように見えて、右なのか、とよく確認もせずに思い込んでいたら、左とのことでした。
 2件とも、地図を見る時間はたっぷりある中での凡ミス(片一方は幕営)、(特に自分にはそういう傾向があるのでしょうか)休んだ後の二俣は要注意なのかもしれません

6:55 雪渓(右脇を通過しました)

 雪渓の通過は慎重にですが、今回、右側が問題なく通過できました。

7:00

【他のパーティー】沢の中では、一人の人間にも会いませんでした。巻き道もそれほど明瞭ではなく、有名な沢にしては、それほど入られていないようです。登山道に入ってからは、たくさんの人に会いました。

7:10 樋状12m 7:18 くの字8m 右を登りました

7:18の滝は別のサイトにも出たましたが、落ち口が難しかったです。

7:23 12mの滝 7:35

 この滝は、右を登りました。トップのF川さんが空身で登り、そのあと、I井さんがセカンドで登り途中の支点(ハーケン)を外し、ザックのみの荷揚げを行うということをしました。ザックの荷揚げの際に、ロープとザックの接点は1か所だとザックが傾いたりして上げずらいので、ザックピストンのように前と後ろ2か所に結び、ザックががぶらぶらしないようにする。

7:55

8:13 第3ゴルジュ手前の二俣(一番下の今回のルートの位置図で、D地点)

8:20 第3ゴルジュ最初の10m

 この滝は右から、水をかぶりながら赤丸地点まで行き、そこからロープをつけて登りました。空身で、自分がトップで登りました。I井さんにショルダーをしていただき滝の左を登りました。滝を登り終えたところ、2、3歩先にFixできそうな石があったのでそこにシュリンゲをかけてFixしました。その後、登るI井氏より、改めてお助け紐が必要と言われたので、長さ2mのスリング2本を、カラビナで連結し、さらに1mのスリングを連結させて、長さ5mのお助け紐を作り、I井さんのお助けにしました。登ってきたI井さんより、「カラビナを使う必要がない、スリングとスリングはシートベンドで…」というようなことを言われる。確かにそうです。
 最後の、F川さんビレイはI井さんがし、自分はお助け紐でF川さん補助の役を務めました。

9:10

9:15 9:30

9:30の滝は左を巻き、その写真が、下の9:47の写真だと思います。

9:47

9:48

9:57 10:12 左の写真の上部の滝

「10:12 左の写真の上部の滝」が第3ゴルジュの最後の10m滝で、左を巻きました。

10:30 標高1770m二俣、左を行きました
(一番下の今回のルートの位置図で、E地点)


10:32 12mの滝 左を登りました

 この滝を2/3くらい登ったところでふいに右足が滑り、しかもつかんでいた右手ホールドがホールドがもろく、ミカンくらいの大きさの岩が二つくらい落石、運よく下にいた二人には当たらず、自分も左手ホールドがしっかりしていたので無事通過できました。滑った右足は、スメアリングのような形で置いていて、平らなホールドではありませんでした。ヒヤリハットを作成してしまいました。横着してスメアで処理してしまいました。スメアは、できる限りしない、つかむホールドがもろいかもろくないかきちんと確認。

10:40 二俣 1810m 右を行きました(一番下の今回のルートの位置図で、F地点)。
10:47 二俣 1850m(地図は1870m)(一番下の今回のルートの位置図で、G地点)・休憩 最初右を行こうとしましたが、左でした。
 この二俣を過ぎた後、急に水量が減り、二俣の10分後程度で水をくみ(この水はとても冷たくておいしかったです。基本的に、雪渓がありましたがこの二俣より下は特に水は冷たくなかったです)、水を汲んだすぐ上で水は枯れました。
 水が枯れたと同時に、笹薮が始まり、傾斜がきつくないので藪の中では、7級(自分の中で勝手に、1−10級で、10級とんでもない藪)くらいで進めないことはないですが、なかなか稜線に出ることはできず、30−40分ほどで直登をあきらめ右に進路をとりました。
 右に進路をとって10分ほどで沢筋が現れ、その沢筋はすぐに消えてなくなり、さらに右を進んで5m程度で、再び沢筋が現れ、当初は沢筋の方に行こうとしたのですが、左上に藪の薄い箇所が見え、試しにそっちへ進んだら藪はなくなっていました。先頭のI井さんに、「こっちの藪は薄いよ」と指摘したのですが、本人が沢筋へ行くと言ったので、「左上の藪の薄い箇所」ではなく沢筋の方へ進んでいただきました。

 藪漕ぎのポイント:平泳ぎを泳ぐように前にいる人の藪をつかむ、その際藪をつかんで通過しやすいようにする(頭ではわかっているもののどうも上手くいかなかった)。藪の距離が短い場合は別ですが、距離が同じ場合、斜面上に藪を漕ぐのが一番簡単。

12:10 藪漕ぎ終了

12:15 登山道到着(一番下の今回のルートの位置図で、H地点)

12:15 尾瀬の山々

12:17 駒ノ小屋(中央)はもうすぐ

12:17 I井さん(中央)、ありがとうございました、あと少しで登山道です

 登山道に合流したところで、沢装備を外すか、もう少し上の駒ノ小屋まで行くか、議論になりましたが、登山道に合流した場所は狭く、通過する人に邪魔になりそうなので駒ノ小屋まで向かいました。

12:35 駒ノ小屋に荷物を置き、空身で山頂へ
 道の途中から駒ノ小屋を見下ろす

 前回、山頂まで行けず、悔しい思いをしたので、「一人でも山頂」でした。リーダーと、I井さんは駒ノ小屋で待機、自分のみ空身で山頂へ、二人をあまり待たせるのもなんなんで、駆け足で往復しましたが、山頂付近は眺め・高山植物共に良く、この程度の距離なら全員でいけばよかったとも思いました。

カメラの電池残量が少ないので、急ぎ自分撮り 12:40 会津駒ヶ岳山頂

 本来なら、きちんとピーク写真ですが、カメラの電池残量が少なかったので、ざっと撮って下山しました。

12:40 木道、駒ノ小屋、燧ケ岳
 来た道を戻ります

 駒ノ小屋に荷物を置いて、空身でピストンというのは自分だけでなく、他の方も考えることは同じのようでした。

12:45 今年も出会えた、チングルマ

 電池残量が少なかったので、行きは撮りませんでしたが、返りはピーク写真も撮れたので、安心して1枚

12:46 ハクサンコザクラ 左写真を拡大

13:10 駒ノ小屋を出発

【今回のルート(下り)】下りの道は百名山だからでしょうか、(最近自分が下っている道に比べて)非常に下りやすく、「このくらいの傾斜が一番得意かもしれない」と思いながら快適に下れました。駆け足で下りてしまいましたが、眺めの良いところはそれほどなかったと思います。

13:18 ワタスゲ

 下山中は基本的に曇りで、暑くなく眺めもそれほどなかったので、むしろラッキーでした。

14:32 滝沢登山口
(一番下の今回のルートの位置図で、I地点)

【使わなかった装備】共同装備:今回の自分の共同装備はロープで、当然使いました、個人装備:(結果論として)防寒着、予備電池、ホイッスル、細引、巻紙、メタ、応急パックとテーピング、医薬品
 高度計が電池切れを起こし、行く前から使えなくなっていました。大除沢のころから表示が薄くはなっていたのですが、他のことにとらわれて、改めて再認識したのは前日で、高度計は持ち歩けず、腕時計も「最近は携帯を見れば…」でそれほど使っていなかったので、今回の時間記録は基本的にデジカメです。
 そのデジカメも沢の中に入って1時間くらいで、「バッテリーが少なくなってきました」の表示、結果論として最後まで持ちましたが、ピーク写真などは、ざっと撮ってしまい、ここは個人的趣味の問題ですが、そんなことがあったということです。

今回のルートの位置図
(A:駐車場→B:入渓点→C:二俣(テン場)→D:第3ゴルジュ手前の二俣→E:標高1770m二俣
→F:標高1810m二俣→G:標高1850m二俣(地図は1870m)→H:登山道と合流→I:滝沢登山口)

【終わりに】
 渓流シューズ等、少しでも破れがあると「何かあったら」と思うと怖くて破棄していました、補修も頼みましたが同じ場所からすぐ破けてしまいました。破れたくつはホールドに足を置くのも怖かった。今回、改めてベテラン二人の靴を見ると、ずいぶん荒れていました。程度にもよりますが、逆に、「靴が敗れたくらいでホールドに足を置くのが怖くなる」のも考えすぎかもしれません。といっても、ベテランの方の荒れて見えるのは外面だけで、案外、肝心なところはしっかりしているかもしれません。

 山行内容を忘れてしまうことが多く、今回は時間もないので、今回は翌日の電車内で覚えていることをメモ帳に箇条書きということをしました。それはそれで有効でしたが、似たような滝の写真があった場合、ずいぶん不鮮明な記述になってしまいました。写真と照らし合わせねば、わからない。山行後に、返りの電車等で「写真を見ないで箇条書き」は有効ですが、写真を撮った滝は登り終えた後大雑把な記録くらいはメモしたい。

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