イングランドの古代巨石文化
        ストーン・サークル ドルメン メンヒル
      Megalithic Stones in England
     
                         
                                   
   このストーンヘンジを初
  めて見た時の衝撃が、いま
  だに忘れられないでいる。
   1989年の冬の事で、「ミ
  ステリアスな巨石のオブジ
  ェ」というのが最初の印象
  だった。
   どのような人々が、何の
  ために、どのような方法で
  建造したのか。
   この究極の命題が、今で
  も私を古代巨石遺蹟への旅
  へと向かわせるのだ。
   日本庭園の石組にも共通
  するのだが、石は立てられ
  ること、並べられること、
  組まれることによって、永
  遠性を示すパワーと、神秘
  的な美しさを発揮するので
  ある。


   
Stonehenge (Wiltshire)
    
 

      


   
   
     ロング・メグ&ハー・ドータースストーン・サークル
      Long Meg & Her Daughters/Stone Circle
   
                           Cumbria
              
   “のっぽのメグとその娘達”と
  いう名のサークルがあると聞いた
  時から、それにまつわる伝説を想
  像していた。案の定、魔女が石に
  なった、という説話が残っている
  らしい。メグと呼ばれる大きな石
  も立っていた。
   イングランドでも三本の指に入
  る規模のサークルで、直径は100m
  前後はあるだろう。
   サークルを形成する石の数は現
  在70前後とされるのだが、不思
  議なことに定説が無いそうだ。実
  際に数えてみたが、途中で判らな
  くなってしまった。魔女の祟り、
  だったのかもしれない。
   これだけの規模の巨石を用いた
  建造には、かなりの労働力が必要
  だったはずで、何らかの大きな集
  合体の存在が想像される。
   すぐ近くの村に、
Little Meg
  という小さなサークルが在った。

     カンブリア地方の中心都市カーライル(Carlisle)の19マイル南に、湖水地方の北東端の町
    ペンリス(Penrith)がある。ここから地方道686号線を北東へ3マイル行き、
Langwathby
    村で左折して北へ向かう。約1マイルで Little Salkeld の集落へ着く。左折するサークル入
    口には、案内標識が出ている。サークル一帯は遺蹟公園として保護管理されている。 
     

    
      
     キャスルリッグストーン・サークル
      Castlerigg/Stone Circle
    
                           Cumbria   
          
   湖水地方を訪れる観光客の増加と共に、比
  較的アクセスの容易なこのサークルを訪れる
  人も近年相当増えたらしい。事実、私たちが
  訪ねた時には、大学の調査隊のほかにかなり
  の観光客の姿が見られた。観光バスの団体客
  だったらしい。
   どこを撮っても人の姿が写り込んでしまう
  ので、私たちは嵐が去るのをじっと待った。
  バスが帰ってしまうと残ったのは調査隊と私
  達だけだった。
   町から近いとはいえサークルが谷に面した
  高台に位置しているので、山に囲まれた緑の
  景観がより神秘的な雰囲気を醸成している。
   倒壊したと思われる石も多いのだが、それ
  でも立っている石に存在感が感じられた。最
  大のものでも1.7mの高さだから、圧倒的
  な威圧感は感じられないが、ここでは、石が
  円形に並んでいること、そのことに判別不能
  ながら妙な共感を覚えていたのだった。
   ケルトのドルイド祭祀に関する話が必ず出
  るが、彼らはこの遺蹟を利用しただけで、造
  ったのは更に数千年も前の新石器時代や青銅
  器時代の人々なのである。想像力をそこまで
  延ばしたいと思うのだが、石を眺めているだ
  けでは思いつくことは限られてしまう。現代
  人、いや少なくとも私のアンテナは錆び付い
  て感度を失ってしまったのだろうか。 

     湖水地方を旅する人が必ず通る北の玄関であるケズウィック(
Keswick)の町の中心から、
    東へ約2Km行った高台の上に在る。町の中にも交通案内板が出ているので、道に迷うこと
    は無いだろう。駐車場から100mほど歩くだけである。
     サークルは約30×32mの楕円形で、サークルの中央に列石で四角に囲まれた部分があ
    る。用途は不明らしい。
          

     
       
     スウィンサイドストーン・サークル
      Swinside/Stone Circle
    
                           Cumbria   
                       
   地球上にもこんな素晴らしい場
  所が残されていたのか、と心から
  感動した。
   古代の人々が構築した石造文明
  の名残であり、現在は人が切り開
  いた牧草地になっているのだから、
  純粋な自然とは言えない。しかし、
  自然に溶け込んでしまったかのよ
  うなこの遺蹟の姿は、完璧な円形
  サークルの形と共に、生涯忘れ得
  ぬ風景となったのだった。
   それにしても、こんなに美しい
  ストーン・サークルは、ヨーロッ
  パ中歩いても、そう滅多に在るも
  のではないだろう。
   先述のキャッスルリッグとは天
  と地、人っ子一人見えない辺境の
  遺蹟である。かなり長い間ここに
  居たが、他に訪れたのは放牧され
  た羊たちだけだった。

     湖水地方の南の町
Newby Bridge から国道A590を西南へ5マイル程行き、A5092を
    左折する。しばらく行くとA595と合流し何回か左折をするが、そのままA590を進む。
     
Duddon Bridge を過ぎ、2マイルほど行ったところで斜め後ろへ右折する。標識が無いので、
    ここが一番判りにくい。次のY字路を左折すると、道は石ころだらけの悪路となる。
     運転はかなり大変だが、我慢して2マイル弱行けば、石垣の向こうにサークルが見えてくる。
     直径は29mほである。

     

   
       
     ドルイド・テンプルストーン・サークル
      Druid Temple/Stone Circle
    
                            Cumbria 
                       
     湖水地方 (Lake District)
  南に延びる半島の東はモアカン
  ブル湾
(
Morecamble Bay) で、
  対岸まで見晴らせる眺望の良い
  高台の草原に、この見事なサー
  クルが残されている。
   現在は9石で構成されている
  が、もう数石あったものと思わ
  れる。
   それにしても、何故サークル
  は大きく天空の開けた場所に造
  られたのだろうか、といつも思
  う。ある広さの平坦な場所とい
  う条件からは当然の帰結だが、
  余りにも感動的な場所が多いか
  らなのである。
   最大の石は右端と手前のもの
  で、高さは
1.5m である。日没
  との関係を記した説もあるが、
  方角のラインはサークルのどれ
  かの石に必ず当たるのではない
  だろうか。

         湖水地方の南の町
Newby Bridge から国道A590を西南へ8マイル程行くと、
        ウルバストン
Ulverston の町に入る。町の中でA5087に左折し、湾に沿ってし
        ばらく進んだ辺り、峠道に差し掛かる手前に細い小道が山側に通じている。
         そこを右折し、坂を登り切った草原にこのサークルが見えてくる。
    

       
       
     キャッスルホウ・スカーストーン・サークル
      Castelhowe Scar/Stone Circle
    
                           Cumbria   
                       
     英国の石歩きに常用して
  いる縮尺5万分の1の地図
  
OS (
Ordnance Survey)
  中で、無名のサークルの存
  在を知った。次に掲載した
  
Oddendale のサークルを
  訪ねる途中のことだった。
   細長い牧草地の中に在る
  のだが、囲いが厳重で中へ
  立ち入るのは不可能だった
  ので、望遠レンズで撮影し
  た。
   残念ながらかなり崩壊し
  ているようだが、それでも
  サークルとしての面影は十
  分に残している。
   羊と石が混ぜこぜになっ
  ているのが、何とも楽しか
  った。
   周囲の美しい山々や森の
  光景の溶け込んだようなサ
  ークルだった。

         ペンリス
Penrith の南約10マイルにあるシャップ Shap の町から、クロスビー
        
Crosby に通じる地方道を東に約2マイル走る。
         右手にこんもりとした森が見え、手前が右へ曲がる道路、その角が写真の牧草地で
        ある。手前の道からは50m以上離れており、左側の石塀近くまでは行けるが、塀と
        鉄条網が邪魔でよく見えない。
    

       
       
     オッデンデイルストーン・サークル
      Oddendale/Stone Circle
    
                           Cumbria   
                       
     この一帯は古代巨石遺
  跡の密集地のひとつだそ
  うだが、実は余り知られ
  ていない。このサークル
  もそうだが、石がほとん
  ど倒れるか、最初から丸
  石が多かったため、印象
  が地味であることがその
  要因なのかもしれない。

   ここは珍しい同心円の
  二重サークルで、ケルン
  のマウンドの上に造られ
  ている。
   果てし無く続く草原の
  中、古代の人々が何を祈
  り、何を目指して石を組
  んだのかを想う時こそ、
  石を旅する者にとっての
  ロマンがじんわりと感じ
  られる時なのである。

         先述の森の手前を西へ向かって右折し、そのまま道なりに2マイル進む。廃坑のような場所
        を過ぎると、
Oddendale の農場が見えてくる。
         農場の方へは進まず、南へ延びる荒れた道へ車を乗り入れる。悪路だが走行は可能だ。
         南へ400ヤードほど行って車を止め、草原を真東に向かって歩く。
やや小高いマウンドを
        目指せば、200ヤードほどに在るサークルの発見は割りと簡単である。
    

        
       
     ゲームランズストーン・サークル
      Gamelands/Stone Circle
    
                           Cumbria   
                       
     大きなサークルで、直
  径は長いほうが約
45m
  短いほうが
38mという
  やや楕円の形をしている。
   ここでもほとんどの石
  が倒壊してしまっている
  のが残念だった。
   立てることに意義があ
  ったと思われるメンヒル
  と違い、サークルの石が
  容易に倒れている多くの
  事例を考えると、サーク
  ルは円形に石が組まれる
  ことに意義があったもの
  と思われる。
   石は近辺の山から採出
  された花崗岩で、メンヒ
  ルに用いられる片岩のよ
  うな切れ味鋭い印象から
  は程遠い大らかさだ。
   
Gamelands という名
  前の由来は不明だが、牧
  草地の所有農園の名だろ
  うと思う。

         前掲二箇所のサークルの基点となったシャップの町から、B6261を南へ約5マイル行くと
        オルトン
Orton の町へ着く。町の南端のT字路を東へ左折し、そのまま1マイル直進する。
         道の右側の森が途切れた所で、農道を左折。サークルは右手の牧草地の中にある。

    
 

       
       
     バラーフスタンディング・ストーン
      Ballaugh/Standing Stone
    
                           Isle of Man
                       
     マン島 (Isle of Man)
  は、アイルランドとの間
  に広がるアイリッシュ海
 
(
Irish Sea) に浮かぶ南北
  
53Km、東西21Km
  いう大きな島である。
   このメンヒルの存在は
  地図に表記されていて知
  ったのだが、探すのにか
  なり苦労した。
   囲いの石垣の背が高い
  ので、これと思った畑の
  中を覗く場所が限られて
  しまうからである。
   ようやく見つけた石塀
  の隙間から、望遠レンズ
  で撮影した。
   胸の高さまで生育した
  小麦を押し分けながら、
  メンヒルまで近付くのは
  無理だったからである。
   高さ
4mはありそうな
  豪壮な立石である。

         マン島へは、ランカスター
(Lancaster) のヘイサム (Heysham) 港から、フェリーで島のダグ
        ラス
(Douglas) 港まで3時間かかる。
         島最北端の町ラムジー
(Ramsey) から、国道A3を西へ7マイルほど走ると Ballaugh バラ
        ーフ
という大きな集落に着く。この立石は、集落の西側に大きく広がる麦畑の真ん中辺りに立っ
        ている。
         町の西の外れの
Broughjairg Beg という農園から、西へ延びるハイク用のフットパスを、約
        500ヤードほど歩けば到着する。(但し小麦収穫後の話)
    
 

       
       
     ポート・セント・マリースタンディング・ストーン
      Port St. Mary/Standing Stone
    
                           Isle of Man   
                       
     このメンヒルは良く知られているが、それ
  は大きな町の幹線道路からも良く見える場所
  に立っているからである。

   マン島の最南端にあるポート・セイント・
  マリー
(
Port St Mary) という港町で、メン
  ヒルは町の北側の町外れ、国道A29とA3
  1が交差する地点の北東に広がる牧草地の中
  に立っている。
   高さは約4m弱といったところだろう。片
  岩系の石ではないので、薄さの鋭さには欠け
  るが、それでも正面から見た重量感に満ちた
  印象と、写真のように側面から見た時との表
  情の変化が面白い。
   もしかしたら、この石を立てた古代の人達
  も、同じような変化を大切にしていたのかも
  しれない、と思う。その意義は不明ながら。

   マン島には、こうしたメンヒルやサークル
  やケルンなどの遺跡が数多く点在しているの
  だが、今回は島に1泊しか予定しなかったの
  が残念だった。腰を据えて巡りたい、古代遺
  跡の島である。

   
TT (
Tourist Trophy) レースというモータ
  ー・サイクル界では良く知られたレースの会
  場として、また尻尾の無い黒猫の住む島とし
  て有名である。
                          

        
       
     ミール・ヒルストーン・サークル
      Meayll Hill/Stone Circle
    
                           Isle of Man   
                       
     大変ユニークなサー
  クルである、と言える。
   なぜなら、写真でも
  判る通り、サークルの
  石が二重になっており、
  その間が細い溝のよう
  に見えることである。
   また、南北両端にT
  字型の通路や、部屋の
  遺構とも見える石組が
  組まれていることなの
  である。
   同心円のサークルで
  あると同時に、アイル
  ランドなどで見られる
  
Passage Grave (通路
  式墳墓) が組み合わさ
  れたものではないか、
  と小生は考えている。
   変化に富んだ石の配
  列は、日本庭園の優れ
  た護岸石組を思わせる。

         先述のポート・セイント・マリー
(Port St Mary) の町から、A31を西南へ1.7マイル行
        くとクレグネッシュ (
Cregneish) という集落に着く。
         そこからポート・エリン
(Port Erin) まで、荒野を抜ける小道が通じている。車の走行も可
        能である。この道を100ヤードほど進んだ右手の小高い丘の上にサークルが在る。急な崖に
        作られた歩道を登ればよい。
    
 

     
      
  コーンドンミッチェルズ・フォールド・ストーン・サークル
      Corndon/Mitchell's Fold Stone Circle
     
                           Shropshire
              
       無数の放牧牛と羊たちが出
  迎えてくれる、この世の天国
  かと思えるような牧草地だっ
  た。ラヴェンナ・クラッセの
  ドームのモザイクを思い浮か
  べていた。
   サークルはそんな草原の真
  ん中に広がっているのだが、
  何かとりとめの無い感じがし
  てならなかった。
   直径が
70mはありそうな
  大きなサークルだが、立って
  いる目立った石が写真の二石
  だけで、あとは小さな石か倒
  石ばかりであった。
   おそらくは、かなりの数の
  石が持ち去られたのではない
  だろうか。そうでなければ、
  これほどの規模のサークルの
  意味は無いし、天にも届くよ
  うな古代人の祈りを伝える仕
  掛けとしては、少し貧相に思
  えたからなのであった。     
 
                    
         シュロプシャー (Shropshire) 州の州都シュルーズベリー (Shrewsbury) の町から、
        西南へと向かうA488でキングトン
(Kington) 方面へ向かう。16マイルほど行った所
        がウェールズとの国境で、そこの角に
Stone Circle の看板が立っている。そこを右折し、
        プリーストウェストン
(Priestweston) の集落の手前に、北へ向かう分岐があるので、そ
        こを直進するようにして原野の中の道を進む。
         行き止まりが駐車スペースで、ここで車を止め、そのまま北へ牧草地を歩く。300ヤ−
        ドも行けば、直ぐにサークルが見えてくる。
           
                 

     
       
     ドーストーンアーサーの石(ドルメン)
      Dorstone/Arthur's Stone (Dolmen)
     
                           Herefordshire
              
       ヘレフォード (Hereford)
  の町の西側にはブラック山脈
 
(
Black Mountains) があり、
  その山裾の谷はゴールデン渓
  谷
(
Golden Valley) と呼ばれ
  る自然豊かな地方である。こ
  この高台に、この見事なドル
  メンが残っている。
   アーサー王の名を冠したド
  ルメンは数箇所在るが、たと
  え実在の王だったとしても5
  〜6世紀の話であり、古代青
  銅器時代の巨石文明とは何の
  関係も無い。
   アーサー王伝説に出てくる
  いかにも謎めいた石や剣のイ
  メージが、神秘的とも言える
  ドルメンの存在と結びついた
  ものだろう。
   やや崩れてはいるものの、
  このドルメンの重量感に満ち
  たキャップストーンの迫力は
  一級品である。
   通路式墳墓らしい石組も、
  ちらほらと散在している。
      

          ヘレフォードからA49で南へ向かい、すぐに分岐をA465に入る。また直ぐの
         分岐から、B4349〜B4348と西へ進むと、ゴールデン渓谷へと入っていく。
          ドーストーンの町の近くまで来ると、Arthur's Stone という案内標識が出てくる。
         案内に従って進めば問題ない。駐車場から歩く必要は無い。
                                              

    
      
     ロールライト・ストーンズストーン・サークル
      Rollright Stones/Stone Circle
     
                           Oxfordshire
             
   コッツウォルズ地方の美しい町や
  村を巡っていた時、何気なく見た観
  光案内にキングズ・メンと呼ばれる
  ストーン・サークルの写真が載って
  いた。
   コッツウォルズでもこの辺りには
  集落は無く、一面に麦畑が広がって
  おり、遺蹟周辺は写真のサークルの
  ほかに、崩落したドルメンやメンヒ
  ルが集中するという、古代巨石文明
  の聖地となっている。
   石は石灰岩で、風雨に晒されて表
  面がボロボロになってしまっている。
  石そのものの美しさには欠けるが、
  それがかえって異様な雰囲気を醸し
  出し、サークルの持つ神秘性を高め
  ているようにも見える。
   妖精の棲家といった伝説が似合う
  土地柄でもあり、石を立てた古代の
  人々とは隔絶しているとは知りつつ
  も、今にも出てきそうな雰囲気を備
  えているのが何とも不思議だった。

     コッツウォルズの東部 Chipping Norton に向かい、Stradford-upon-Avon からA3400
    を走る。約16マイルで Long
Compton、さらに1マイル行ったあたりに左折の案内標識が出て
    いる。
     サークルの奥、麦畑の向こうに
Whispering Knights というドルメンが、そして道を隔てた
    牧草地の中に King Stone というメンヒルが立っている。
          

    
    
     ストーンヘンジストーン・サークル
      Stonehenge/Stone Circle
    
                           Wiltshire
       
   写真は初めて訪ねた1989年に
  撮ったもので、近年は立ち入り禁止
  となってしまったが、当時は柵も歩
  道も無く、石の下まで近付くことが
  出来た。
   遠望するだけでは駄目で、石の直
  下に立ち、その質感に触れながら見
  上げてこそ、この立石群がいかに巨
  大であるのかを実感することが出来
  るのである。
   ソールスベリーから車を走らせた
  が、波のようにうねる草原の遥か彼
  方から見えてくるのだから、やはり
  とてつもないスケールなのである。
   石の高さは約6m、サークルとし
  ては横石を載せたのが最大の特徴で
  ある。また、サークル内にU字形の
  列石組があるのも珍しい。写真はそ
  の内の一つである。
   立石上部の突起は、横石の凹部と
  を連結するためのものである。

     地元産サーセン石による横石を載せた立石を巡らせた直径30mのサークルの内側に、背の低
    いウェールズ産ブルーストーンのサークル。その内側に立横石組5基によるU字列石。さらに内
    側に、ブルーストーンによるU字形列石が並んでいた。それが往時の完成された姿だったらしい。
     現存するのはその一部だが、人智を超えた壮大なスケールを想像すると目が回りそうだ。
     ブルーストーンがウェールズ産であり、何のために遠方の石を使ったのか、どうやって運搬し
    たのかなどを考えるほどに、ミステリアスな謎は深まるばかりである。
     紀元前2300〜2500年という、気の遠くなるような古代の話なのだ。
        

   
      
     エーヴベリーストーン・サークル
      Avebury/Stone Circle
     
                              Wiltshire   
       
   ストーン・サークルの中に村が在る、と言っ
  ても何のことか想像がつかないだろう。しかし、
  この世界最大のサークルの中には、れっきとし
  た集落が存在していた。ランチを食べたパブは、
  まさにサークルの中心に建っていたのだ。
   サークル外側の土手の直径が400mという
  壮大な規模で、立っている石の中にはストーン
  ヘンジのものより重いものも在るという。
   ストーンヘンジと同じ地元産サーセン石だが、
  こちらは加工されていない自然石のままだ。
   写真はサークルの南東部分で、比較的巨石が
  集中している部分である。サークルの大半は羊
  が放牧される牧草地になっており、サークルを
  巡る散歩はのどかで精神が洗われる気分だ。
   古代からのメッセージが聞こえそうな気がし
  たので、一つ一つの石に触れながら歩いた。
   大きなサークルの中に、さらに小さなサーク
  ルが二つ在ったらしく、現にその名残のような
  石の列を見ることが出来た。
   この一帯は古代遺跡の博物館で、数キロ続く
  アヴェニューと呼ばれる巨石の列、新石器時代
  の墳墓や囲い地などが密集している魅力的な地
  域なのである。
   

     ソールスベリー(Salsbury)から国道A345を北へ28Km行き、
Marlborough の少し
    手前でA4号線に左折する。7Km行った交差点を右折すると、1Kmほどでこの村に着く。
     村の真ん中に建つパブ“Red Lion”に車を停め、ゆっくりと歩けば良い。
          

    
      
     スタントン・ドゥルーストーン・サークル群
      Stanton Drew/Stone Circles
     
                           Somerset
               
   この広大な牧草地が、そっくり
  そのまま三つのストーン・サーク
  ルのある古代遺跡として管理保護
  されているという。日本では有り
  得ない話だろう。牧畜が盛んな事
  と、貴族のような大きな地主がい
  る事が幸いしているのだと思う。
   写真は中央のサークルで、直径
  は112mあり、桁違いのエーヴ
  ベリーに次ぐ、イングランド2番
  目の大きさである。
   サークルの中心に立って見ると、
  円形に配置された数十の石が、ま
  るで悪魔の悪戯によってバラ撒か
  れたかのように見えた。
   他のサークルは直径が30mの
  ものが中心のサークルと接してお
  り、少し離れて44mのサークル
  が在った。三つのサークルは何故
  か一直線上にではなく、屈折した
  格好で並んでいる。方位に基づく
  何らかの意図が存在したのだろう
  と思う。
   
   
     ブリストル(Bristol)の町から南へ下るA37号線を約7マイル行った所で、右折しA3130
    に入る。標識に Stanton Drew の文字が見える。但し、近くまで行ってもストーン・サークル
    の標識は無く、2マイルほど行って見えてくるゴシックの聖メアリー教会が目印である。
     村に入るとサークルを示す標識が出てくる。遺蹟への入口は教会のすぐ脇にある。
        

     
      
     スピンスターの岩ドルメン
      Spinster's Rock/Burial Chamber
   
                           Dartmoor (Devon)
       
   Spinster とは紡ぎ女を意味し、
  名の由来を示す伝説があるらしいの
  だが余り興味は無い。古代の人々と
  は関係の無い、後世の人々の脚色だ
  からであり、石を組んだ人達の意識
  そのものにもっと迫りたいと思うか
  らである。
   ダートムアでは珍しいドルメン、
  それも三石で巨石を支える最も単純
  な様式のドルメンである。
   
Burial Chamber というのは英国
  でのドルメンを意味するのだが、こ
  の意味は「埋葬の部屋」であり、墓
  を意味している。
   フランスでも同様の表現が主流と
  なっているが、遺骨の発掘が稀なこ
  とを見ると、ドルメン墓室説は単純
  には受け入れられない。
   私は、ドルメンは神あるいは神聖
  なるもの、が降臨する部屋または居
  所として構築されたのではないか、
  と考えている。
   今は、羊達の格好の寝所となって
  いた。

     Exeter から高速A30を約12マイル行き、
Whiddon Down のインターで下りる。
     A382を道なりに南下し、約2マイルの所にある十字路を左折する。とても判りにく
    いが、この辺りでは最初の十字路である。直ぐに左手に農家、右手に柵に囲まれた牧草
    地がある。ドルメンはその中に在り、柵の扉を開いて中へ入ることが出来る。
          

     
      
     スコーヒルストーン・サークル
      Scorhill/Stone Circle
   
                           Dartmoor (Devon)   
       
   遥かなる草原の彼方に、このサ
  ークルは在った。時折降り付ける
  激しい雨や、地図の方向だけを頼
  りに道無き草原を歩く心細さと戦
  いながら、ようやく探し当てたこ
  のサークルは、夢のように素晴ら
  しいたたずまいを見せてくれた。
   果てしなく続くダートムアの草
  原の見晴らしの良い場所である。
   鋭く尖った石が多いことが、こ
  のサークルをとても戦慄的なイメ
  ージに掻き立てるのだった。
   直径は27mの円周に、当初は
  70個の石が立てられたと思われ
  るのだが、現在は30数個しか確
  認できない。それでもかなりの迫
  力なのだから、原初の姿はどんな
  だったのだろうか。
   神に接近するための石組、ここ
  ではそう感じられた。
   雨が強くなったので、そこから
  更に倍位歩いた所に在る
Buttern
  
Hill のサークルは断念した。
    
     先述のA382から西南に入った Chagford の町から、小さな Scorhill の標識に従って
    狭い道を突き当たりまで進む。柵の手前に駐車し、そこから続く草原を正確に西南西へ向かっ
    て歩く。勿論、磁石が必需品である。
     
このサークルへのアプローチは容易ではないが、かと言ってそれほど至難というわけでも
    ない。地図上で確認した方向を信じ、周囲の山や丘に惑わされず歩けば問題無い。草原の起伏
    は小さくはないが、わずか1Km強の距離なのだ。
            

     
      
     メリヴェイル列石
      Merrivale/Stone Row
   
                           Dartmoor (Devon)   
       
   フランス・ブルターニュのカル
  ナック列石群を見ているから、石
  が並んでいることにはさして驚く
  ことはないだろうと思っていた。
  ところがどっこい、ダートムアの
  列石の何と面白いことだろうか。
   石は小振りでたったの2列だが、
  写真で見る通り、草原の果てまで
  延々と石が立てられているのだ。
   この一帯にはサークルやメンヒ
  ルが密集しており、古代人居住の
  痕跡も多い。ダートムアには、こ
  の列石
Row が数多く存在する。
   この列石を黙々と立て続けた古
  代人の感性に、どうすれば近づけ
  るのだろうか。膨大な労力を必要
  とするのであり、そこに何らかの
  上からの権力か、信仰などといっ
  た共同体的な労働力の結集が無け
  れば決して出来ない仕業なのであ
  る。

     Tavistock の町から真東に伸びるB3357線で、約8Kmのところに
Merrivale の小
    さな集落がある。ここには花崗岩の採掘工場などが残っている。さらに少し進み、小さな
    橋を渡った所で路肩のスペースに駐車してから、右手の丘の上へと歩いて登る。
     牛の放牧に構わず東南方面へ歩くと、写真の列石が見えてくる。小さなサークルが、さ
    らに少し南奥にメンヒルと並んで見える。
          

     
     
     ダウン・トールサークル付列石
      Down Tor/Stone Row & Circle
   
                           Dartmoor (Devon)   
       
   この遺蹟へ行くには、道無き道
  を歩くトレッキングの覚悟が必要
  である。だがその代わり、素晴ら
  しいダートムアの展望と、爽快な
  達成感が約束されている。
   ダートムアらしい列石なのだが、
  ここが一味違うのは、写真手前に
  見える数石がサークルの一部で、
  列石の端とサークルが接している
  という特徴が見られることである。
   いかにもダートムアと言える、
  果てしなく続くヒースの丘に、列
  石は300m以上、延々と続いて
  いる。
   神が降臨する道筋、というのは
  誰しもが抱く第一印象なのだが、
  でも、それこそが古代人も抱いた
  イメージだったのではないだろう
  か。

     Yelverton の東にある人造湖 Burrator の東端に駐車場が有る。ここに駐車し、真東に
    そびえる
Down Tor という岩山に向けて歩き始めねばならない。標識は一切無く、岩山だ
    けが目印なので、霧だけには要注意だ。
     正面の岩山の右側を迂回し、ちょうど真向こうへ出た辺りで、この列石が目に入るだろう。
    片道約3Kmのトレッキングである。高低さは120mほど、かなりのものであることを覚悟
    せねばならない。
         

     
    
     イエローミードストーン・サークル
      Yellowmead/Stone Circle
   
                           Dartmoor (Devon)   
       
   ダートムアの遺蹟の大半は、普
  通の観光地図には記載されていな
  い。少なくとも5万分の1の地図
  が無いと、アクセスは不可能だ。
   このサークルへは、最後の駐車
  可能な場所からは、小川に沿って
  1.2
Kmほど歩かねばならない。
   見つけたサークルは、今まであ
  まり見たことの無い、四重のリン
  グを持つサークルだった。
   最も内側が7m弱、最も外側が
  約20mの楕円形である。いずれ
  も同心円ではないので、整然とし
  た四重ではなく、思いつくままに
  立てられた前衛的なモニュメント
  みたいな印象を受けた。
   石はいずれも1m未満の小振り
  なものばかりで迫力には欠けるの
  だが、多重リングのミステリーと
  でも言うべきか、円心付近に立つ
  と、中心に向けて押し寄せる不思
  議なパワーが感じられた。
  

     このサークルの位置を示すのに、SX575、678という表示が使われている。英国独
    自の地図上の座標で、National Grid と呼ばれている表示方法である。地図に表記された
    SX地区のグリッド線から、東経方向57.5、北緯方向67.8のポイントにサークルが
    在る、というわけだ。
     道順を文字で説明することは至難で、ここへは地図を見なければ決し行くことは出来ない。
     
Yellowmead は牧場の名である。
              

     
      
     ブリスワーシーストーン・サークル
      Brisworthy/Stone Circle
   
                           Dartmoor (Devon)   
       
   Brithworthy の牧場の建物の脇か
  ら、牧草地へ続く草原の小道をしば
  らく歩いた。
   サークルは牧草の波間に浮かぶ岩
  島のように見え、草の中に埋まって
  しまいそうに見えた。
   石の高さは最大でも1m強なので
  巨石というイメージではないが、サ
  ークルの直径が25mというのはダ
  ートムアでは大きい方だろう。
   リングの中心から木炭状の破片が
  発掘されたというのだが、ダートム
  アでは他のサークルからも発見され
  ているらしい。
   中心から眺めると、この大きな弧
  を形成する石のサークルはやはりと
  ても美しい。素材は石でなければな
  らないし、形状は円でなければなら
  ないのだ。ストーン・サークルは究
  極の姿なのだ、と確信した。

     ここも Yelverton の東南東5Kmとしか説明のしようがないのだが、地図ではSX565,
    655地点を探すことになる。牧場の横に駐車してから、草原の道を約1Km歩くのだが、広
    大な牧場を眺めながら行けば全く苦にならない。ちなみに、牧場の位置はSX560,652
    地点である。
     これを見て、ああ3北5東へ歩くんだな、と思われた方は地図に相当明るい方である。
                      

     
      
     デュローストーン・サークル
      Duloe/Stone Circle
   
                           Bodmin Moor (Cornwall)
       
   セント・ジャマンズ(St Germans)
  の教会の古い門を見てから、私たち
  はボドミン・ムアの南端に位置する
  小さな村のサークルを訪ねた。
   白く輝く石英岩が8個、その内の
  6個が屹立して、直径12mのチャ
  ーミングなサークルを形成していた。
   大半の石が2m以上の巨石ばかり
  なので、いかにも石を立てた、とい
  う印象が一際強く感じられた。
   村外れとはいえ、周囲を雑木林に
  囲まれたとても美しい牧草地で、サ
  ークルが見事に保存されていること
  に感動した。ナショナル・トラスト
  運動などの遺蹟保存意識の強い英国
  ならではであって、日本だったらと
  っくにマンション業者によって開発
  され、庭石にでも使われているのが
  オチだろう。

     Liskeard の町から地方道B3254を、標識に従って約8Kmほど道なりに行くとこの村
    に着く。右側に教会が見えるが、その手前50mくらいの左手民家の奥にこの牧草地がある。
    入口に、Stone Circle と記された小さな看板が出ている。
                  

     
      
     トレマートレスヴィー・クォイットのドルメン
      Tremar/Trethevy Quoit Burial Chamber
   
                           Bodmin Moor (Cornwall)   
                               
   探すのにかなり苦労したのだが、ボドミン・ム
  アに残る唯一のこのドルメンの存在感は別格のも
  のだった。
   「墓の蓋
(
Trethevy Quoit)」とも「巨人の家」
  とも言われるそうだが、ドルメンの謎が幾多の伝
  説を生み、多くの夢が育くまれた結果なんだろう
  と思う。
   事実こうして4mもの高さのドルメンを下から
  見上げると、巨人の力を借りなければ組み上げる
  事など到底出来そうにない、と思えてしまう。
   屋根石に丸い小さな穴が開いているのが気にな
  って仕方が無いのだが、専門家にも全く解明はさ
  れていない。
   石を綱で引くための穴ではないかと思えるし、
  人によっては天体観測のための穴ではないかと言
  う人もいる。
   推測の余地が多いほど、素人の出番が多くなる
  し、楽しみの機会が増えるというものだ。

     Liskeard の町から北へB3254を2Kmほど行くと、本道は右折するがここを St Cleer
    方面に直進する。1Kmほどで
Tremar 方面へ右折し、集落の中をほぼ直進して背後の高台へ登
    って行く。
     道は狭いが車でのアクセスは可能だ。登りきったあたりに、ドルメンの看板が出ている。
              

     
     
     ミニオンズハーラーのストーン・サークル群
      Minions/The Hurler's Stone Circles
   
                          Bodmin Moor (Cornwall)   
                                  
   ミニオンズの集落の西側は広大
  に続くヒースの荒野になっており、
  ダートムアに準じる巨石文明の遺
  蹟が密集していることで知られて
  いる。
   このハーラーのサークル群は詳
  しいガイドブックになら載ってい
  る、とても著名な遺蹟である。
   三つのサークルが団子三兄弟の
  ように繋がっている、何とも珍し
  いサークル群なのである。
   写真は中央のリングの北側の円
  弧を写したもので、右奥に小さく
  北リングの姿が見える。
   フランスの葡萄畑の多さには驚
  くが、英国の牧草地(荒野)の広さ
  には舌を巻かざるを得ない。お陰
  で、巨石遺蹟を保護することが可
  能となった、という功績は大だ。
   それにしても、このサークルの
  立石は、全てが魅力的な佇まいを
  している。  

     ミニオンの町の南西端に駐車場が在り、そこから荒野を北へ200m歩けばサークル群に到
    達する。最初に見える南のサークルはかなり崩壊しており、サークルが明確でない。
     中央のサークルは直径40m強、北のサークルは35mである。
                 

     
      
     イースト・ムアナイン・ストーンズ・サークル
      East Moor/Nine Stones Circle
   
                           Bodmin Moor (Cornwall)   
                                  
   ボドミン・ムアの中央にイー
  スト・ムアという荒野が在り、
  その東側に
Nine Stones とも
  呼ばれるストーン・サークルが
  ひっそりと佇んでいた。
   アクセスに関しては、今回の
  旅の中では最悪の部類だった。
   しかし、湿地帯の中に残るサ
  ークルの姿は、まことに鮮烈な
  印象を残してくれた。
   直径は15mのサークルで、
  写真手前の石も含め、周囲に八
  つの石が並んでいる。写真には
  写っていないが、円の中心には
  やや傾いた石が立っていた。
   石と石の間隔が開いた部分が
  あるので、当初はもう数石が並
  んでいたと思う。
   材質はボドミン・ムア産の花
  崗岩だという。

     
Lewannick の南、B3257とB3254の交差点から、B3254を南へ500mちょっ
    と行ってから右折。細い道を道なりに西南にどこまでも直進すると、大きな農場の一画に突き
    当たる。SX236,772のポイントである。
     そこから、荒野の中をひたすら真北へ向かって約2Km歩く。靴が埋まってしまいそうな湿地
    帯で、ルートを上手くとらないと北への向きがずれてしまう。ゴム長靴は必需品である。牛の
    大群も難関だ。数頭なら可愛いが、数十頭となると恐怖に近い。遠巻きに進むしかない。
        

     
      
     ラニオン・クォイットドルメン
       Lanyon Quoit/Burial Chamber
   
                           Cornwall
                                  
   アイルランドのバレン高
  原のドルメンと同じように、
  このドルメンも「巨人のテ
  ーブル」と呼ばれている。
   平らで傾斜がない分、こ
  ちらの方が名前に相応しい
  かもしれない。
   三立石に支えられた平石
  は見る方向によって様々な
  表情を見せるが、この写真
  の角度が最もスリリングで
  ある。
   子供の積み木みたいなこ
  の構造、メンヒルに蓋をし
  たような単純な造形に、何
  故こうも感動するのだろう。
   組み上げられた不安定さ
  と、その重量感がたまらな
  いのかもしれない。
   壮絶なほど風が強かった
  が、きっと巨人が息を軽く
  吹きかけていただけの話な
  のだ。  

     ペンザンス(Penzance)からマドロン(
Madron)へと通じる地方道がある。道なりに進み、マド
    ロンも通過すると道が二回二又に分かれるが、常に本道をモルヴァ(
Morvah)方面へと進んでい
    くと、右側の土塀の向こうにこのドルメンが見える。小さな案内板が出ているが、よく見ていな
    いと通り過ぎてしまう。マドロンからここまでは約4Km(2.5マイル)である。
                         

     
      
     メン・アン・トル列石
      Men an Tol
/Standing Stones
   
                           Cornwall   
                                  
   ここはコーンウォールでは最も
  著名な遺蹟、と言えるかもしれな
  い。穴の開いた丸石の存在がとて
  もユニークなので、多くの書物に
  穴の中に向こうの立石を配した写
  真が掲載されているからである。
   私も同様の構図で撮ろうと思っ
  たのだが、あまり上手くいかなか
  った。草が濡れていたからだ。
   この三石のほかに、二個の石が
  すぐ横に立っており、元来はサー
  クルだったという説が有力である。
   改造されたのかと思うとやや興
  ざめの感無きにしもあらずだが、
  古代のデザインとしての穴あき石
  の面白さには惹かれるものがある
  のも事実である。
   妖精の悪戯、などと言いたくな
  る気持ちも分からないではない。
   
Men は石、Tol は穴を意味す
  るのだが、ダートムアからコーン
  ウォール一帯にはメントル石とか
  トルヴェン石と呼ばれる、この様
  な穴あき石が広く分布している。   

     前述のラニオン・クォイットから更に同じ道をモルヴァ方面に進むと、1マイル(1.6Km)
    ほど行った右側に農道入口の鉄扉が見える。案内板も設置されていた。
     ここから農道を約1Km歩いた右側奥、畑と牧草の中にこの遺蹟が在る。ドルメンからは北北
    西の方向となり、直線距離も1マイルほどである。
       

     
     
     ボスカーウェン・ウンストーン・サークル
      Boscawen-Un/Stone Circle
   
                           Cornwall   
                                  
   コーンウォールの最西端
  であるこのランズ・エンド
  
(
Land'S End) 地方は、古
  代巨石遺蹟の超密集地であ
  る。
  主要なサークルは4つ、メ
  ンヒルやケルンに至っては
  数え切れないほどの数であ
  る。古代人の住居跡も残さ
  れており、壮大な祭祀地域
  となっていたことが想像で
  きる。
   このサークルは直径25
  mほどのやや細長い楕円形
  で、円心にかなり傾斜した
  板石が立っているのが特徴
  である。サークルを形成す
  る19個という石の数は、
  コーンウォールに共通する
  ものだという。
   それにしても、ここのサ
  ークルは格別優美な円を描
  いていた。

     ペンザンスからランズ・エンドへ向かう国道A30を進み、St Buryan 方面と分かれるY
    字路を過ぎる。さらに約2Kmの所で、農場へと通じる細い道へと左折し、突き当りを右に進
    むと民家に突き当たってしまう。その少し手前の右側500m奥にサークルが在る。車を上
    手く駐車し、ハリエニシダの繁る細い道を歩かねばならない。
           

     
      
     メリー・メイドンズストーン・サークル
      Merry Maidens/Stone Circle
   
                           Cornwall   
                                  
   ランズ・エンド地区では最も知
  られたサークルである。
   前述のサークルと同様に、ここ
  でも19個の石で円弧が形成され
  ている。この数にどういう意味が
  あるのか、は判っていない。
   サークルの直径は24m弱だが、
  先述のボスカーウェン・ウンのサ
  ークルよりも大きく見えた。
   それはここが見晴らしの良い高
  台に在って、景色が大きく開けて
  いたからだろう。
   ここは石が優美に整然と並んだ、
  お行儀の良いサークルである。
   メリー・メイドンズという名前
  は「陽気な乙女達」であり、ケル
  ト的な伝説に由来するのだろうが、
  ケルトが大陸からこの島に到来す
  るより遥か3000年も前に、土
  着の民族によってこれらの巨石構
  造物は完成していたのである。

     ペンザンスから
Newlyn を抜けるルートで、ランズ・エンドへと通じるB3315壱線が
    ある。
Lamorna Valley という小さな渓谷を横切った辺りから注意して進み、道が直角に左
    ・右と曲がったすぐ後の左側にちょっとした駐車場がある。そこがサークル入口で、高台のサ
    ークルは目の前である。
                

     
      
     ザ・パイパーズメンヒル
      The Pipers/Standing Stones
   
                           Cornwall   
                                  
   “陽気な乙女達”というストーン・サークル
  の近くに、この“笛吹き男達”という名前のメ
  ンヒルが二基立っている。仕切られた二つの牧
  草地に一基づつ、少し離れて立っているのだ。
   いかにもケルト的な伝説を暗示する命名では
  ないか、と感じた。

   巨石にまつわる数々のケルト的な伝説が、こ
  うした遺蹟を構築した古代の民族とは直接的に
  は関係ないとは知りつつも、少なからず興味は
  持ってしまう。
   それは、移住してきたケルトと先住民族とが
  融和し血が繋がり、先住民族が伝えてきた説話
  や伝説が、ケルト自身の民俗的な記憶として受
  け継がれて来たとも思えるからである。

   “地の果て
(
Land's End)”という地名には、
  誰しもがそこを訪ねる前から、何モノかが潜ん
  でいそうなミステリアスな夢を抱いてしまうに
  違いない。
   事実、このあたりには数多くのメンヒルが立
  っているのだが、いずれもが石に変えられてし
  まった悪魔の姿だという。低く立ち込めた雲と
  深い霧の中でこのメンヒルを見ると、そんな気
  がしてくるから不思議だ。
   

     前述のメリー・メイドン・サークルの少し手前、直角に二度曲がる直前の右側牧草地の中に
    このメンヒルが立っている。もう一基は少し奥になるが、視界には入っている。牧草地を数百
    m歩くことになる。
           

     
      
     セント・バーヤンメンヒル
      St Buryan/Standing Stone
   
                           Cornwall    
                                  
   ランズ・エンド地区のほぼ中央を走る地方道
  B3283の真ん中辺りに、ゴシックの塔の建
  つ教会を中心にしたセント・バーヤンの町が在
  る。静かで平和な田園の集落だ。
   町の中心から少し離れた牧草地の中に、写真
  のメンヒルが立っていた。

   英国の牧草地は勿論所有者がいるのだが、散
  策のための公共の道として開放されている所も
  多く、パブリックな雰囲気が強い。
   しかし、ここは生垣に囲まれていて、いかに
  も個人が所有しているという雰囲気が強かった。
  勝手に鉄の扉を開けて入るムードには程遠かっ
  たので、所有者らしいお宅で頼んでみた。御自
  由に、という明るい返事が嬉しかった。

   特に名前は付いていないようなので、私が勝
  手に町の名前のメンヒルにしておいた。これが
  日本だったら、差し詰め「観音岩」とでも呼ば
  れるところだろう。
   高さは2m強の、堂々たる石である。やや傾
  斜し、苔むした風情がたまらなく良い。
   メンヒルには石そのものの魅力が具現化して
  おり、天の方向へ向かって伸びていくベクトル
  が感じられる。
   

     セント・バーヤンの町の教会の前から、左手(北北西)に向かう道がある。700mほど行
    くと、左に入る細い道があるので左折する。メンヒルはその右側の牧草地の中に立っている。
                   

     
      
     ブラインド・フィドラーメンヒル
      Blind Fiddler/Standing Stone
   
                           Cornwall   
                                  
   写真からもお判りのように、素晴らしい緑の
  森や牧草地を一望に展望出来る高台に、このメ
  ンヒルはしっかりと大地に根を張ったような格
  好をして立っていた。
   この角度から見るのが眺めも良く、石そのも
  のの表情も魅力的だった。

   巨石文明のモニュメントは、海辺や丘の上な
  どの辺鄙な場所ばかりに造られたように見える
  し、考え方を変えれば、辺鄙な場所の遺蹟だけ
  が残されたとも言える。もっとも、古代ではほ
  とんどの場所が辺鄙だったのだろうけども。
   いずれにせよ、やや小高い所、眺望の開けた
  所、などが選ばれたことは間違いない。

   ここでもケルト的な“盲目の楽師”という、
  夢いっぱいの名前が付けられている。

   この後私たちは、すぐ近くの海辺の断崖の上
  に造られた野外劇場として有名なミナック劇場
  
(
Minack Open-Air Theatre) へ行き、オスカ
  ー・ワイルドの喜劇を観た。
   怒涛打ち寄せる劇的な絶壁を建設地に選んだ
  地元出身のロウィーナ・ケイドという人の血の
  中に、もしかしたら、センセーショナルな場所
  に巨石モニュメントを構築した民族の遠い記憶
  のようなものが流れていたのかもしれない。

   

     ペンザンスから来るA30に面しており、先述のボスカーウェン・ウンのサークルへと曲がる
    角から、ペンザンス方面へちょうど1Km戻ったあたりの牧草地に立っている。ペンザンスから来
    れば右側である。
                     

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