日本庭園紀行 
 
 
 
 桂離宮庭園(京都市)  
 
    
 
  小川氏邸庭園(島根県江津市)  
 
  日本庭園という「美術作品」が、文化財とし
ては「名勝」という呼称で分類されている事に
私は疑問を感じている。
 それは松島や天橋立といった自然の景勝と、
全く同じ視点で評価されている事に他ならない
からである。
 石や植栽など自然の素材を用いて、自然に模
した風景を造っているのだから、一見それは致
し方の無い事かもしれない。
 しかし、それは自然そのものではなく、抽象
的に再構築された、人の手による超自然の空間
なのである。それは造形そのものであり“美術
作品”なのである、という認識やとらえ方が、
余りにも欠けている。
 作者が持てる美意識を駆使して造形に取り組
んだ庭園というものは、正に芸術作品以外の何
物でもなく、自然に姿を借りたモニュメント或
いは空間芸術であると思う。
   
 日本庭園の美しさを構成する最も重要な要素
は、石と石を組み合わせることから生まれる均
衡や緊張感や変化などを作り出す「石組」と、
それらをどう配置するかという庭全体の設計図
である「地割」とに尽きる、と私は思う。
 この二つの物差しを重視すると共に、自然を
愛でる感性を大切にしながら庭園を鑑賞すれば
楽しさは大きく広がるだろう。
   
 旅人としての視点から、私の心に強い印象を
残した全国の古庭園を巡ってみたいと思う。
 
 
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