たしか、幼稚園のころだったと思います。
気に入ったクラシックのひとつにビバルディ‐の四季があった。
”春”はよく卒業式や入学式で耳にするけれど、
当時、妙に気になったのが”夏”だった。
日本では、夏といえば豪華絢爛の
明るい日差しという印象が普通かもしれない。
しかし、
ビバルディ‐の四季での夏の第一楽章は、
仄寂しいト短調で始まり、
おだやかで優美なメロディーの中に、陰が感じられた。
後で聞いたことなのだが、
この”夏”の第一楽章は、
なんと、
涙を流す農家の人を描いているそうだ。
この農家の人は、焼けつく暑さの中に
不吉な風、雷の予感を感じて、
恐ろしさのあまり泣いているのだという。
舞台は欧米。雷が起これば「お天記の3章」の話、
スーパーセルになる可能性がある。
スーパーセルが人里の近くを通れば、
財産、そして命が危ない…。
案の定”夏”の第三楽章では、
嵐がやってきて村をむちゃめちゃにしてゆく
という恐ろしい場面が、
ど迫力で描かれているのだ。
これを考えれば、日本の夏は恵まれている。
短い時間にジョバッっと降る、さっぱりとした
気団性雷雨がほとんどなのだから。
夕立の接近を見ても、恐れおののいたり
嘆き悲しんだりしなくてよいのだから
感謝感謝。
|