〜〜スーパーセル型超巨大雷雨〜〜
「ス−パ−」、「超」、「巨大」
欲張って3つも修飾語をつけて
まるで造語みたいだ、というなかれ。
それに、なんといかめしい名前だろう。
こんな奴が来た日にゃ、
町もろとも粉々にされそうな感じがする。
が、感じだけでない。
本当にコワイのだ。
一つ幸いなことは、
日本ではほとんどお目にかからないことだろう。
スーパーセルとは、雷雲の一種。
話の順序として、以下、性格の穏やかな奴から登場してもらうと――
1.気団性雷雨(日本の普通の雷雨)>
日本の雷雨は、たいていこれ。
おなじみ、夏の午後に多発する
「ごろぴか!ザー」という夕立である。
雷雲である以上、
雷が鳴って大雨が降るけれど、性格はかなり穏やかと言えそう。
ひょうを降らせたり、竜巻を起こすことはあまりしない。
短い時間で消えてしまいます。
2.マルチセル型巨大雷雨
日本で出逢う、”もの凄い雷雨”は
いくつもの雷雲が、手を組んで強め合い(組織化)、
スーパーセルよりは気が弱いとはいえ、
マルチセルの、ごく弱いものであることが多い。
耳がキンキンするほどの落雷が長時間続いたり、
ひょう、突風、竜巻を起こしたりする。
強大で、長寿の巨大雷雨へと成長したものが、このマルチセルだ。
(某ゲームで、スライムが集まってキングスライムになった感じであろうかw)
この雲の近くで感じる恐怖感は相当なものである。
3.スーパーセル型超巨大雷雨
マルチセルと違って、
いざ発生してしまうと、いくつもの町を全滅させてしまうこともある。
雲の中に、ぐるぐると渦巻く気流(メソサイクロン)を隠し持つのが特徴
一つの雷雲が、凄まじいまでに発達したもの
(組織化というより、単独発達)。
グレープフルーツ以上、
時にカボチャくらいの大きさの”ひょう”を降らせ、
強力な竜巻(トルネード)を起こします。
放電活動も激烈で、落雷数は何万発にも達する。
条件が整うと、メソサイクロンはトルネードになる。
欧米では、スーパーセルが人里に近づくと、
専用の地下室へ避難するそうです。おそろしや……
このスーパーセルは、老廃物(雲を弱めるエネルギー)を
効果的に吐き出し、
栄養(雲を成長させるエネルギー)を
高能率で利用できるメカニズムをしてる。
それで、信じられんほどまでに
発達してしまう。
「ツイスター」という映画があったが、
あれこそスーパーセルを追いかけている科学者のロマン物語である。
日本ではほとんどないといったけれど、
小型で少し性格温厚な「ミニスーパーセル」なるものは年にいくつか発生するようだ。
※2006年11月、北海道佐呂間町で大きな被害を出した竜巻も
ミニスーパーセルによるもののようです。
くわしくは次章で。
2006.11.18改訂