第 1 部 | |
1. | 川で安全に友釣を楽しむために |
2. | 友釣に必要な釣り道具、服装、その他の用具 |
3. | 釣りに出かける前に確認すること。 |
4. | いよいよ釣行当日 |
5. | 友釣の実践 |
6. | 地元の釣見物をしているベテラン(老人)と世間話 |
なんでBGMがこの曲なの?と思うでしょう。この曲の元は18世紀末に流行ったシャンソンで、娘が恋心を母に訴えるという内容だったそうです。これをモーツアルトが弟子の練習用としてピアノ変奏曲に作ったものです。12のヴァリエーションを一度最後まで聞いてみて下さい。鮎に恋する友釣も、この曲のように基本は簡単そうですが、変化に富み奥が深いのです。 |
作成2003/02/25 03/02追記、03/15「鈎の研ぎ方」を追加
05/20 「第2部 瀬釣り、引き釣りの勧め」追加
07/02/11、5.友釣の実践に『はじめてのアユ友釣り教室』(がまかつカタログ)追加。
本などにあまり書かれていないが初級者に参考になるだろうと思う事を、自分の経験に照らして書いてみました。これから、少しずつ内容を充実させたいと思っていますので今のところはこの程度でご勘弁下さい。
1.川で安全に友釣を楽しむために
川を“かわ”と呼ぶようになったのは、水の流れる音を「がはがは」と形容した擬音にもとずいているという説がもっともらしいといわれています。
海から遡上してきた鮎は、川の下流域の上端あたりから上流域の渓流といわれる下端あたりまでの、川底に石がぎっしり敷き詰められているような中流域に住み着き、石の表面に生えた藻類を食べて成長します。中流域といっても、それぞれの川によって異なり、海が見える場所から中流域になる川もあれば、河口から何十キロもさかのぼってようやく中流域に入る川もあります。
友釣ができる川の様子は、それぞれの川で千差万別で、穏やかな流れもあれば、岩を咬む急流もあるし、ときにはダムとダムの間の流れであったりします。
そのように変化に富んだ川の流れで、安全に友釣を楽しむための初歩知識を書いてみます。
(1)川は公のもので、一般の人々が共同で利用するもの
誰でも自由に、川原を散歩したり、水遊びをしたり、釣や船遊びを楽しんだりすることが出来、誰もそれを邪魔する事はできません。
しかし、皆が勝手気ままな事をしてしまうと、共同で利用する事が出来なくなるので、
川については「河川法」、
釣りや漁をすることについては「漁業法」があり様々な事が定められています。
河川法では勝手に川原に家を建てたり砂利や石を取ったり水を自分だけの水路に引き込んだりすることは禁じられています。
漁業法では釣や漁の対象魚介類の種類や場所、期間などが定められているし、許されていない魚介類を勝手に放流することは禁止されています。
川や湖は皆で共同で利用するものですから、お互いを尊重し、自分勝手なことをしないようにしなければなりません。
川や湖で楽しんだ後は、自分が楽しんだのと同じように他の人が気持ち良く楽しめるように、ゴミなどはきちんと持ち帰るようにしましよう。ゴミのちらかった川原では気持ちよく遊べませんよね。
「自分が楽しむために、他の人も楽しめるようにする」ということが大切です。
(2)川沿いの道や堤防から川原へ下りる時の注意
川原へ下りる道が、土の踏み分け道の場合は滑りやすいので、ゆっくり足元に注意して下ります。
梯子などが付いている場所は、一段ずつ注意して下ります。勾配が急な場合には、後ろ向きになって一段ずつ掴まりながら下りると良いでしょう。格好より、安全第一です。
川原へ下りる場所が、ガラガラの石の斜面の場合には、特に注意が必要です。一歩ずつ足場を確認ながら下ります。
このような場所では、浮き石には絶対に乗らないこと。浮き石に乗って崩れて、一緒に落ちたり、崩れた石の下敷きになってケガをする例が時々あります。一抱え位より大きな石には、特に注意が必要です。
浮き石とは、地面にのっているだけで埋まっていない石のことをいいます。
川から土手や道へ上がる場合も、下りる時と同じ注意が必要です。
(3)川を渡渉するときの注意
鮎釣りをしていると、釣り場へ行く時や、帰る時に川を渡る場合が頻繁にあります。
*他の釣り人から離れた所を、できれば竿2本分以上離れて、渡る。
近くを渡らなければならない時には、挨拶してことわってから渡る。
*浅い所、流れのゆるい所を渡る。
流れが速い所では、ヒザ位の水深のところでも転ぶとかなり下流まで流されてしまいます。
*流れにさからって歩かない。
上流側から下流側へ向かって斜め下流に横切るように歩きます。流れにさからうと何倍も疲れます。
*下手に速い流れの瀬や、深い淵が無い所を渡る。
万一転倒して流されても、瀬や淵に流されないようにする注意です。
*川底が見える所を渡る。
浅いと思う所でも、その場所を熟知していない限り、川底が見えない所を渡ってはいけません。
*大きな石の間や周りには深みが出来ている場合が多いので、注意する。
*流れがぶつかっている岸べりや、岸にそって流れの速い所は、部分的に流れでえぐられた深みになっていることがあるので、棒や竿などで深さを確認して渡る。
<千曲川での失敗>
釣り終えて、車を止めてある対岸まで渡ろうとした時のことです。その日は前日までの雨で、ヒザの少し下位の所までは見える程度の濁りが残っていた。少し水深のあるトロ場の下手でヒザ位の深さの瀬肩を渡る事にし、友人と二人で渡っていた時のことです。自分が先に歩いていたのですが、川の中ほどまで来た時です。突然体がふわっとし、アッと思った時には胸から下は流れの中で友人の見ている前で4〜5メートル流されていました。運良くすぐに足が底に着いたので立ち上がれました。立ち上がった所の水深はヒザ位でした。下手が深い流れだったらどうなったろうかと後になってゾッとしました。
なぜ流されたのか?その場所の川底が、2メートル位の幅で部分的に背丈位の深さに、流れでえぐられていたのでした。その後少し場所を変えて、竿で深さを確かめながら対岸まで渡りました。後で聞いたのですが、千曲川ではこのように部分的にえぐれて深みになっている所がかなりあるとのことでした。
(4)ダムの放水、鉄砲水に注意
ご承知のように、いたるところにダムが作られています。上流にダムがある所で鮎釣りをする機会も多いと思います。上流にダムがある場合には、ダムの放水に注意する必要があります。
ダムの放水は、サイレンを鳴らして知らせます。広報車が堤防を走って知らせる場合もありますが、特別の場合に限られます。放水を知らせるサイレンは、堤防や小高い場所の鉄塔やポールの上に取り付けられています。サイレンの設置場所には、たいてい、何秒おきに何回鳴らす(例:1分鳴らし5秒休むを3回繰り返す)、と説明が出ています。
とにかく、川にいてサイレンが断続的に鳴る場合は、ダムが放水する合図です。
サイレンを鳴らして放水する場合には、水かさが一気に増え、時によっては50cm
〜1m位も水位が上がることがあります。
ですから、サイレンで放水の合図を聞いたら、高い所へ避難する用意をして下さい。のんびりしていると、オトリ缶やクラーなどを流されてしまうことになります。また、対岸へ戻るのであれば、直ちに戻って下さい。ぼやぼやしていると、水かさが一気に増えて戻れなくなります。
注意する時期は、梅雨時などで雨が降り続いたとき、ダム上流側で大雨が降った後、秋に台風の進路に予想されていて台風の大雨が予想されている時などです。また、夏に、甲子園で高校野球が始り電力消費が急増する時などにそのピークをカバーするために発電量を上げるために、発電放水量が急増することもあります。
鉄砲水にも注意が必要です。
川の近くの山が岩や砂礫の多い所では、雨が降ると雨水が一気に川に流れて鉄砲水になることがあります。
自分が釣をしている場所が晴れていても、上流で大雨が降っていると鉄砲水の可能性があります。
「木の葉やゴミが流れてきたら、鉄砲水がくる前触れと思って避難の準備をせよ」というのが昔、先輩が教えてくれたことです。水かさが増えるときは、川岸にあった木の葉やゴミが先に流れてくるからだと言われました。
また、上流側の空が真っ暗になり雨が降っているように見える時も、同様に注意が必要です。
愛知県や岐阜県の山間の川では、以前は時々鉄砲水が出たと聞かされました。
2.友釣(ともずり)に必要な釣り道具、服装、その他の用具
友釣用の釣り道具、服装、その他の用具を下の表にしました。全てが必要なわけではありません。
友釣を始める時に最低限必要なものは青字にしましたので、それ以外のものは各自で判断して下さい。
値段の高いものは性能が良いのですが、それで鮎が釣れるわけではありません。各自の予算に合ったもの購入すれば良いと思います。
アユが釣れる決め手は、道具よりも場所とオトリ鮎を自然に泳がすことと、鈎がピンピンに切れることです。
友釣用の道具 | |||
No | 名 称 | 道具の説明 | 価格(円) |
1 | 友竿 | 4間(7.2m)〜5間(9m)のもので重量350g以下の中硬〜硬中硬の調子のものが無難です。 カタログやケースに書いてあるのは総重量です。表示重量よりも竿を全部伸ばして、手に持って"持ち目"を確かめよう。同じ重量でも、持った時の重みの感じ方がかなり違います。竿尻を片手で持つと違いが良く判ります。 小河川の場合には、5〜6mの清流用の万能竿でも代用できます。 |
2万位 〜60万位 |
2 | たも網 (玉網) |
スダモ:普通のタモ網。網目の細かいほうが良い。 抜き上げて取り込む場合は36cmか39cmが受けやすい。最初に買うのならスダモが良い。 これは昔使っていたタモ網。 枠の直径は8寸(24cm)か9寸(27cm)これが標準の大きさだった。 引き抜きでの取り込みが一般化した今は、尺2寸(36cm)とか尺3寸(39cm)を使う人が多くなった。 左から8寸、尺2寸、尺3寸、自作のカヤ天然木枠。 網の深さはどれも1尺。 京ダモ(袋ダモ):網の下1/4位が目の詰んだ布袋になっている。チョット移動する時に、鼻管を付けたままオトリを袋の部分に入れて(もちろん水も入れます)移動できるので便利です。ただし、流れに立ち込んで釣る時は、袋の部分が水流に引かれて危険な時があるから使用しないこと。 |
2千位 〜3万位 |
3 | ベルト | 腰に付けて、タモ網をさしておく。 | 2〜5千位 |
4 | 尻手ひも | タモを流したり、落としたりする場合があるので、タモをベルトに留める紐。電話コードの様にコイル状になった物が市販されている。 | 1〜2千 |
5 | 仕掛け 仕掛け巻 or 仕掛けケース |
天井糸-水中糸-鼻管仕掛けのセットと水中糸、目印、鼻管仕掛けの予備。仕掛けについては本が沢山出ているので、それで見て下さい。 自作が良いのですが、完成品が市販されています。 仕掛け巻、ケースはいろいろな物が市販されています。 |
仕掛け 0.5〜2千 |
6 | 掛け鈎 掛け鈎ケース |
チラシ、三本錨、四本錨が一般的。 最初は三本錨が無難です。四本錨はオトリ操作が上手になってからトライして下さい。 掛け鈎、ハリスは各メーカーより何種類も販売されています。初めは地元の上手な先輩に何が良いか教わってください。 大切なのは、針先の切れ、鈎の形と大きさに合ったハリスの太さとハリスの硬軟です。 自作が良いのですが、完成品が市販されています。 鈎ケースもいろいろな物が市販されていますが、空いた完成品のケースを使うことも出来ます。 |
掛け鈎 10組入りで 千円前後 |
7 | 砥石 | 掛け針の先が鈍ったり切れなくなった時に針先を研ぐために使う。 オイルストーンのハード・アルカンサスが良いが、入手できない場合は目の細かい仕上げ用のセラミックやダイヤモンド砥石でもよい。 流れに落とすと、どこにいったか判らなくなり失うことが多いので、紐を付けてベストなどに付けておくと良い。 掛け鈎1組を3〜4回研いで使う。砥石で鈎を研がない場合には、一日に20組以上の掛け鈎が必要になります。参照:5.友釣の実践(5)鈎の研ぎ方 |
2千位 |
8 | 背バリ | 一般には、流れの強い所やオトリが弱った時に使う。 泳がせ釣りで初めから使う人もいます。 |
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9 | 鼻オモリ | 0.5〜5号位のゴムを貼った割りオモリが一般的です。オトリが弱って底まで潜らない時に使う。 急・激流では初めから使います。 天竜川などの急・激流では10号位を使う場合もある。 参照:初級者への助言第2部 |
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10 | ハサミ | 糸や目印を切るとき使う。 | |
11 | 引き舟 (流し箱) |
オトリや釣ったアユを入れておくために使う。 流れに立ち込んで釣る時は、腰のベルトに引き舟の紐を付けて流れに浮かべておく。 岸辺に浸けておく場合には、錨を付けておくと固定するのに便利です。 昭和50年代ころまで使われていた木製の「流し箱」。容量は3L位。太い孟宗竹製の引き舟も使われていた。 現在の引き舟はプラスチック製。 |
5千位 〜3万位 |
12 | オトリ缶 (イカシ) |
釣ったアユを生かしておくための容器で、川の流れに浸けておく。石で囲ったり、石で重しをして固定する。 ステンレス製、銅製の丸型や角型のものが昔から使われている。 写真は「狩野川型」 (現在のように大きな引き舟が一般化する以前によく使用された。今は、大釣りでもしない限り必要はありません。) 最近はプラスチック製の角型のものでオトリ鮎の運搬にも使用できるものが市販されている。 無くても良いが、買いたい人には、ブクが付けられてオトリ鮎の運搬にも使えるものを勧めます。 |
7千位 〜3万位 |
13 | オトリ筒 | 1.本来のオトリ筒 片方に節の付いた竹筒状で、水を入れた筒に仕掛けを付けたままオトリ鮎を頭を下にして入れ、チョット移動する時に使用する。竹製、木製、プラスチック製がある。 急瀬、荒瀬の釣りでは持っていたほうが良い。 2.通い筒ともいわれたもの 現在のように安価な引き舟が一般化する以前に、野鮎を釣る度にオトリ缶の所まで戻っていては手返しが悪くなるし場所を荒らすので、釣ったアユを数匹入れておくためのもので、竹製、金属製のものがあったが、最近はあまり見ない。 引き舟があれば不要。 |
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14 | オトリ鮎 運搬用タンク |
オトリ屋から釣り場まで車で移動しなければならない場合に、オトリを釣り場まで運搬するために使う。 10〜15リットルのプラスチック製角型タンクでブク(エアーポンプ)が付いている。 単独釣行の場合には、オトリ運搬が出来るオトリ缶か、運搬用タンクを用意しておいた方が良い。 短距離移動の場合には、引き舟を大き目のポリ袋に立てて入れ、ブクでエアーを入れながら移動する手もある。 |
5千位 |
15 | 竿立て | 一休みする時に、竿を立てて置くのに使う。 酒匂川とか狩野川などで、人が多くて移動もままならぬ時などには場所をキープしておく意味で有効です。 海、砂浜での投げ釣り用の竿立てが利用できます。右側は棒状で、長さが調節できる。左側の折りたたみ式だと、竿尻が地面に付かないので尻栓から水や砂が入らず、携帯にも便利です。 三脚式の竿たてを使う人が増えています。 竿立てに竿を立てオトリを岸近くに泳がせて休んでいる間に、アユが釣れていることがあります。移動しながら釣る場合は邪魔になる。無くても良い。 |
川を渡渉したり、川に立ち込んで友釣をする場合には、タイツとタビが必要ですが、岸からだけ釣る場合には必要ありません。
友釣の服装 | ||
No. | 名 称 | 説明 |
1 | 帽子 | キャップ、麦わら帽子、菅笠など陽射しを避ける。 |
2 | 偏光メガネ | 水面からの乱反射を除き、水中や道糸の目印が良く見える。メガネをかけている人用に、メガネにバネ等ではめるタイプや、キャップのツバに留めるタイプもある。 外側が撥ね上げ式の偏光レンズで内側にメガネのレンズがはめられるようになっているものもある。 前から日が射す時は、偏光メガネが無いとほとんど水中の様子が分かりません。渡渉の場合にも必要です。 |
3 | シャツ | 必ず濡れるので、水切れが良く、速乾性の長袖が良い。 解禁当初と秋終盤は保温性の良いもの。 梅雨明けから盛夏は、薄手の涼しいもの。 夏の日焼けを気にしない人は半袖でも良い。 |
4 | 手甲 | 日焼けに弱い人は、付けた方が良い。 |
5 | ベスト | 釣り用のベストがあれば、それを着用すれば良い。 購入する場合は、丈の短いものが良い。 仕掛け、鼻オモリ、鈎ケースなどを入れます。 |
6 | 下着 | 合成ゴム製のタイツでかゆみが出る人は薄手のアンダータイツを着用すると良いようです。 水温の低い時には、保温のために履くこともある。 そうでない人は特に必要ない。 P.Pの水切れの良いパンツ等が市販されていますが、日常使っているものでも問題はありません。 |
7 | タイツ | 保温と石角などでのケガ予防のために履く。 クロロプレーン、ネオプレーン製とナイロンジャージ製がある。 クロロプレーン、ネオプレーン製にはウェット・タイプとドライ・タイプがある。 盛夏には、写真のナイロンジャージ製が蒸れなくて涼しい。 昔は、田舎の人はこれを穿いたまま釣をしたが、東京あたりの人はこの上から半ズボンを穿く人が多かった。 (水に濡れるのが嫌で、胴長や渓流用のウェーダーを使う場合にはヒザより深い所へは入らぬこと。瀬の流れの中で転ぶと足が浮き袋になって立ち上がれなくなったり、水が入り重くて立ち上がれなかったりして、命を落とす人が毎年出ています。) |
8 | タビ | 石垢がヌルヌルして滑るので、滑り止めの付いたタビを履きます。タビのように親指が分かれているものと、靴のようになったものと2タイプある。親指が分かれているほうがフンバリがきくように思います。 滑り止めは、フェルトの物とフェルトにスパイクが付いた物とがある。 |
9 | 靴下 | 水温の低い時に、保温のために履きます。 |
10 | 雨合羽 | 雨の時や、気温が低い時の防寒として着ます。 上着の部分だけで良いのですが、友釣専用のものは高価です。普通の合羽の上着でも用は足ります。 水中に腕を入れて根ガカリを外すなどで濡れることが多いのですが、そんな時には厚手のビニール製の上着が水がすぐ切れて以外に使い勝手が良いです。 |
その他の用具 | ||
No. | 名 称 | 説明 |
1 | タオル | 特に説明は要らないでしょう。 |
2 | チリカミ | 特に説明は要らないでしょう。水に濡れぬよう注意。 |
3 | 虫除けスプレー | 時期と場所によって、ブヨやアブがいて刺されます。 事前にオトリ屋で、ブヨやアブなどのことを聞いて、虫がいるようならば虫除けスプレーを付けて釣り場へ出てください。 小型の虫除けスプレーをベストに入れて携行して下さい。 無視すると、ひどい目に遭います。 |
4 | 防虫ネット | 経験はありませんが、虫除けスプレーでは防げないほど、ブヨやアブなどが猛烈に多い場合があるそうです。そのような場所では帽子の上からネットをかぶって虫を避けます。 そのような所では、シャツも厚手のものが必要で、手袋もする必要があると思います。シャツ、手袋には防虫スプレーを充分かけておきます。 こんな所へは行きたくないですね。 |
5 | クーラーボックス | 弁当、飲み物などを入れて、釣り場まで持参します。盛夏には多めに飲み物を用意したほうが良いです。帰りには釣ったアユを入れます。氷は帰りまで保つ量を入れておきます。 |
6 | ボトルホルダー | 500mlのペットボトルを保冷する袋で、これに飲み物を入れて腰のベルトに付けます。クーラーボックスの置いてある所まで戻らなくても水分補給が出来ます。 盛夏には、脱水症状にならぬ様に、こまめな水分補給が必要です。 |
7 | 携帯灰皿 | タバコを吸う人は、持参して下さい。 |
3.釣りに出かける前に確認すること。
釣り道具など忘れ物が無いか確認したりすることはもちろん必要ですが、アユの友釣の場合にはそれとは別に確認しておく大事な事がいくつかあります。
(1)釣に行きたい川の漁業協同組合(漁協)に電話をして、次のことを確認します。
漁協に電話した際は、こちらが何処の誰か名乗ってから聞くようにして下さい。
また、忙しいようであれば時間を変えて問い合わせして下さい。
(イ)遊漁料を確認する。
遊漁料には一日のものと、年間のものとがあります。
一日のものは、あゆ日釣券、鮎漁日釣券、一日入漁券、遊漁証、遊漁承認証、など管轄する漁協で名称がちがいますが、一般に「日釣券」(ひづりけん)と云えば通じます。
さて、釣に出かける川が決まったら、そこを管轄する漁協に電話をかけて、「日釣」と「年間」の遊漁料金がいくらか確認します。「年券」の場合には写真などが必要な場合があるので、何が必要か確認します。
一つの川でも、下流、中流、上流と漁協が別れて管轄している場合が多いですから、その漁協の管轄範囲はどこからどこまでかも確認しておきます。
その川へ、今シーズンに何回位アユ釣に出かけるか考えて、「日釣券」を買うか「年券」を買うか、有利なほうを決めます。川の近所の人は「年券」がいいのですが、そうでない日曜釣師の場合には、一般的に東日本では「日釣券」を、西日本では「年券」を買うほうがいいようです。(西日本では日釣券を割高に設定している漁協が多い。)
(ロ)種苗別放流量と放流場所を聞く。
どこの漁協でも稚アユの放流は義務付けられているので、必ず放流しています。
どこに、どの種苗を、何キロ(何尾)放流したか、又は放流予定かを聞いてメモします。
種苗別とは、湖産か海産か人工産の区別のことです。湖産であれば蓄養ものか遡上ものか、人工産なら何処の人工産かも聞きましょう。
放流後の成育状況も聞いておくほうが良いと思います。
(ハ)漁協の管轄管内で友釣に良い場所はどこか2〜3箇所教えてもらう。
友釣で良い場所というのは、初期・中期・後期でちがいますが、毎年ほとんど同じです。
聞いた場所はメモしておきます。
また、その良い場所の近くにあるオトリ屋の名前とTel.No.も教えてもらいましょう。
良い場所の近くには、必ず稚アユが放流されるのが一般的ですが、天然遡上の多い所ではそうとも限りません。
(ニ)最近の川の様子や釣れ具合などを聞く。
大雨が降った後なら、どの位でアカがつくようになるか、川で注意する事があるかなど。
コロガシや投網が何日からどの場所で始るか確かめる。投網が入ると、友釣はほとんどダメです。
(ホ)ブヨとかアブなどの虫が出る所はないかたずねる。
(2)地図で放流場所、友釣に良い場所を確かめる。
大きな地図でなければ、難しいかもしれませんが、放流場所などがどのあたりか地図で確認しておきます。そして、目的の川のどのあたりに行くかおおよそ決めます。
(3)漁協で聞いたオトリ屋へ電話して、次のような事を聞く。
こちらが何処の誰か、何日頃釣に行く予定かを言ってから、聞いて下さい。
一箇所だけでなく、何箇所かのオトリ屋に聞くと良いと思います。
オトリ屋への道順、川のそばか離れているか、朝何時から開いているか、駐車場はあるか、オトリの値段はいくらか、オトリ屋の近くで良い場所はどこか、漁協で聞いたよい場所への距離はどのくらいで歩いていけるか、等です。
さて、これで出かける前の準備と問い合わせは終わりました。いろいろ聞いたことで、頭がグチャグチャにならないように整理して、目的地&オトリ屋と釣行日を決めましょう。
初期の間は、稚アユが沢山放流されている付近が当たり外れが少ないです。
4.いよいよ釣行当日
まず、弁当と飲み物を用意して、クーラーボックスには氷を入れておきます。
盛夏には、飲み物を多めに持参しましょう。水分が不足すると、どろどろ血液になります。
ただし、ビールは1缶くらいにセーブして下さい。足元不如意で滑ってはこまります。
さー、オトリ屋が開く時間をめどに、目的のオトリ屋を目指します。
(1)オトリ屋で
オトリ屋からすぐ川へ出られる場合には、釣の服装に着替えてからオトリ屋へ行きます。
最近の釣果はどのくらいか、上手な人の釣果を云う場合が多いので自分の腕に照らし合わせて、割り引いて聞きます。
どのあたりがよく釣れているか、川の右岸が良いか、左岸が良いか、瀬の肩か、中か、瀬尻かトロかなど出来るだけ詳しく教えてもらうようにします。
また、ブヨ、アブなどの虫が出る所はないかも聞いておきます。
(イ) 日釣券か年券かどちらかの入漁証を買います。
(ロ) オトリを2匹買います。
1匹目で野アユを釣ることを目標にしますが、2匹目は万一の時の予備にします。
友釣に慣れてきて、釣り場がオトリ屋のすぐ近くなら1匹にします。(早く上達したい人は)
4匹も5匹も買う人がたまにいますが、それでは上達しません。
昔は"オトリは野アユが良くて養殖はダメだ"などと云われましたが、今は専門に毎日オトリ用の野アユを捕る人がほとんどいないので、養殖アユのほうが安心です。
オトリを買う時に、オトリを生簀から洗い桶やバケツに移して、釣客に選ばせるところがほとんどです。どんなオトリを選べば良いかの目安を下の表にします。
桶などに移した直後は、激しく泳ぎまわりどれも皆元気そうに見えますが、アユが落ち着くまで少し待ってから選びます。
まず、引き舟に水を入れて、蓋を開いて桶の横に置きます。
オトリアユは、手を水に浸け冷やしてから掴むようにします。釣り場でも同じです。
選んだアユを掴んだら直ぐに引き舟に入れ、引き舟の蓋を閉じます。
オトリ屋から釣り場まで、車で移動する場合には運搬用タンクなどにオトリアユを入れます。水温が高くなるとアユは直ぐに弱りオトリに使えなくなることが多いので、夏気温が高い場合には、水温が上がらないように移動の途中で氷片をタンクに入れたりして注意します。
オ ト リ の 選 び 方 | |
良 い | ダ メ |
動きが素早い | 動きが鈍い ひょろひょろしているものは絶対選ばない。 |
底を泳いでいる | 水面近くを泳いでいる。 |
鼻の先がきれい | 鼻の先が傷ついて赤かったり白かったり。 赤く剥けているのは絶対選ばないこと。 |
腹部がきれいな白 | 腹部が赤くスレている 赤いのは絶対選ばないこと。 |
スマート | 太ってポッテリしている 痩せ細っているのも良くない。 |
肌がヌルヌルしている | ヌメリがなくザラツとしている 何度も人に掴まれたり、網ですくわれてヌメリが取れて弱っている場合がおおい。 |
釣り場の野鮎と同じか小さめ 小さめのほうが野アユに追われやすい。 |
野鮎より大きい 他に元気なものがいない場合にだけ選ぶ |
体色が濃い 養殖場から運んだ直後以外は、飼っている生簀の色に近くなるので生簀の色に近いものが良い。 |
体色が薄い 白っぽいのは一般に元気もなく良くない。 |
秋以降はメスを選ぶ (お盆をすぎる頃になると、♂と♀の尻ビレの形が変わってくる。) |
秋になるとオスはスタミナがなくなる。 秋のオスは弱るとサビが出やすい。 アユは黒色のものは攻撃しません。 ⇒参照:アユの話、なわばりでの行動 |
野アユ(天然)のオトリを買う時には、次の点にも注意する。
頭やエラ、腹に鈎掛かりの跡がないこと。背掛かりがベスト。
尻ビレに逆バリを打った跡が一箇所または無傷のもの。
尻ビレに何箇所も逆バリの傷があるのは酷使された証拠。
(2)川原を歩く時、渡渉する時の注意
石ゴロゴロの川原では、足元に充分注意して歩いてください。
先にきて釣をしている人がいて、その側を通る時には、挨拶をして通ろう。挨拶ついでに釣れ具合も聞いてみよう。
釣をしている人の下手を渡るような場合には、少なくとも竿2本分以上離れた所を渡るようにしよう。上手の場合でも竿1本分以上は離れた所を渡ろう。友釣が良く解ってくると、その理由が解ります。
(3)川岸に着いたら
引き舟を川の水に浸けますが、水温が急変するとアユが弱るので、一気に浸けず少しずつ水を入れ替えるようにします。川の水温にオトリアユが慣れるのを5〜10分待ちます。
その間に、石アカの付き具合、ハミ跡や流れの具合などを観察して一番良さそうな所へ引き舟を持って移り、最初にオトリを入れるのに良さそうなポイントに目星を着けます。
場所を選ぶ時に、川の石アカがアユに食まれて薄黄色や栗色や暗褐色にツヤが出て光っていることが大切です。アユが石垢を食んだ所(なわばりにした場所)は石に艶(ツヤ)が出てくるからです。
アユがいない所の石アカは石の表面全体に厚く繁茂し、ボヤーと曇った状態です。石アカが付いたままになった石は、水通しの良くない所などでよく見られます。
ハミ跡が無い所にはアユはいません。ハミ跡があっても、スジがチョンチョンとある程度の所では友釣は難しいです。
水が濁っていたり透明度が悪くて水中の石がよく見えない場合には、岸辺の石に食み跡があるか良く見ます。
増水後に水が引いた場合などは、増水時は水面下だった岸の石にハミ跡が残っている(オカハミ)場合があるのでそれも参考にします。オカハミは、水が引くまでは、その辺りにアユがいた証拠です。
オカハミの例
狩野川でのオカハミ例 真ん中の大きな石には矢羽形のハミ跡がクッキリ残っています。その他に右下や左上の石にもハミ跡がついています。石の汚れが取れてきれいになっているように見えるところがハミアトです。 土埃が付いたように汚れている所は、食まれずに残っていた石垢が乾いた部分です。 水中にある時は、食まれた部分はツヤがあり、食まれていない部分は写真のようにボヤーとしてツヤがありません。 |
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酒匂川でのオカハミ例1 台風で増水した後で平水までもどった時の河原で見かけました。 この位の食み跡では、まだナワバリが出来ていないと思われます。ナワバリを持つようになると、矢羽形のハミ跡が判らなくなり石の表面がテカテカする位きれいになってきます。 |
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酒匂川でのオカハミ例2 上の例と同じように、石のよごれが取れたようになって石の地肌が見えている所がハミアトです。 (矢羽形のハミアトがいつでも残っているとは限りません。どちらかというと、左上の石のような例の方が多いと思います。) |
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昔は(二十数年前まで)、友釣りをする場合に、「一人一瀬」とか「竿下十間」とか「竿先一間」という言葉があって釣り人は暗黙の了解事項であるその言葉を守って釣り場に入りました。
それぞれの意味は次のようなものです。
「一人一瀬」は、一つの瀬で友釣をするのは一人で、他の人が釣っている瀬に入ってはいけない。
「竿下十間」は、先にきて釣っている人がいたら、その下手に入る場合には十間(18m)以上間隔を空けて入れ。
「竿先一間」は、並んで釣っている二人の間隔は、お互いの方に竿を倒した時にそれぞれ竿の先に一間(1.8m)以上間隔が取れるように立て。
理由その一は、「川を見、ハミ跡を見て釣り場を選定するのは経験と研究・努力が必要であるから、他の人が苦労して探した釣り場に入っては失礼である」ということ。
理由その二は、「大物が掛かり、下がらなければ取り込めないような時でも十間あれば下手の人に迷惑をかけずに取り込める」という意味です。
これらは、お互いを認めて各自が友釣を楽しく行うための了解事項であったのです。
最近は友釣をする人が増え、特に首都圏に近い川では釣り人が非常に多く、このような事は望むべくもない状況になってはいますが、その精神はお互いに守っていきたいものです。
最近になり友釣を始めた都会の人は、このような事を知らずに地方で無礼な振る舞いをしているケースが多々見受けられるので、先人の言葉の意味を良く理解して行動してほしいものです。
また、川原に竿を置いて休んでいる人がいる時に、その場所に入る事は非常に無礼千万で下劣な行為であることも理解してほしいと思います。“川原に竿を置き休む”ということは、その場所を一通り釣ったので川を休めて空き家になったナワバリに二番手の野アユが入るの待っているということを憶えておいて下さい。
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5.友釣の実践と観察
仕掛けについては、いろいろ本が出版されていますので、それを参考にして下さい。
以下のことは早瀬か緩い瀬、チャラ、浅いトロなどで釣る場合についての助言です。鼻オモリが必要となるような荒瀬や急瀬は初級を卒業してから挑戦して下さい。
まずはこちら(がまかつカタログ『はじめてのアユ友釣り教室』tomozuri(1).PDF へのリンク)を見て下さい。
(1)オトリの泳がせ方
これから友釣をはじめる人、はじめて間もない人の場合には、水中糸はナイロン糸0.25〜0.2号とノーマル鼻管を使ってオトリの泳がせ方を練習し、オトリの基本操作を習得するのが良いと思います。ナイロン糸で自信がついてからPE、複合、メタルなどのラインを試して下さい。
用意した仕掛けをつけ竿を伸ばします。水中糸の一番下の目印を目測した水深のおよそ1.5倍くらいの位置に動かします。(オトリ鮎が泳いでいる時に、目印が水面から20〜50cm位上にあれば理想的です。)
手を流れに浸けて冷やしてから、オトリを船からタモに取り出して鼻管を通し掛け鈎の逆バリを尻ビレに打ってポイントの方に頭を向けて放します。
人の手で触られるのは、アユにしてみれば、人が熱い蒸しタオルで全身をくるまれた様なものですから、鼻管を通し逆バリ打って放してやるのは出来るだけ手早く行います。
運がいいと、オトリはスーっとポイントの方へ泳いでくれますが、大抵の場合には目的の方には行ってくれません。(本に書いてあるように目的の方に行かせられたら、もうあなたは名人です。)
ここで、オトリの鼻ずらを引っ張って狙いのポイントへ行かそうとしないことが肝心です。
ここは、じっと我慢してオトリが行きたい所へ行かせます。自分のそばにいて動かない場合は、動き出すまで待ちます。たいてい2〜3分もすると泳ぎ出します。
何度もやって慣れてくると、オトリは自然に流れの深い方、野アユのいる方へ行ってくれるようになります。
オトリが泳ぎ出したら、それに合わせて糸を送りだし、出来るだけ何もせずにオトリの行きたいように自由に泳がせます。
オトリがどんどん泳いでいって水中糸の目印が水に浸かっても気にすることはありません。
糸の目印を見て、自分のオトリが今どこに居るか良く見ます。数個の目印で糸の角度が分かるので、その先にオトリアユが泳いでいます。鼻管から一番下の目印までの長さから、オトリアユの位置を推定します。水が澄んでいて見える場合は、見てオトリがどこにいるか確認します。
自由に泳がせていると、オトリがあちこち行ってくれて、そのうちに野アユのなわばりに入ってグルグルンと野アユが掛かり、ギューンと手応えが竿に伝わるという寸法です。
(注)「何もせずにオトリの行きたいように自由に泳がせる」と書きましたが、オトリが泳いでいった場所に野鮎のハミ跡がある事が前提です。ハミ跡が無い場所には鮎はいないので、オトリをいくら上手に泳がせていても釣れません。
野アユが掛かった時に、どの石の所で(どの場所へ行ったとき)掛かったか憶えておきます。そこの石アカの色艶が他の場所とどう違うか見ておきます。同じような石の色艶の所が釣れる確立が高いわけです。
釣れた石の近くには、別のなわばりアユが居る確立が高く、釣れた野アユとオトリを替えたら今釣れたあたりにまた泳がせてやると2匹目3匹目が続けて釣れるということが結構あります。オトリがそっちへ行ってくれなければ、行きたい方へ行かせます。
とにかく、初めのうちは、オトリの行きたい所へ自由に泳がせてやることに専念して下さい。2〜3分以上一箇所に止まって動かない場合には、鼻先を少し持ち上げて直ぐに糸を緩めてやると泳ぎだします。「鼻先を少し持ち上げる」目安は、穂先が少し曲がる状態(竿を持っている手元に、オトリの動きを感じるとき)です。
オトリの鼻を引っ張らないことと、糸をたるませすぎないことに注意してオトリを自由に泳がせてやれば、そこそこの数のアユが必ず釣れます。
「オトリの鼻を引っ張らない」の目安は穂先が曲がらない状態です。穂先が曲がるのは、オトリの鼻を引っ張っているからです。
糸をたるませすぎると、水中糸がオトリの尻尾の方になびいていって掛け鈎にからまって、俗に云う「エビ」の状態になり、オトリが一気に弱りますから、糸をたるませすぎない注意が必要です。
オトリを30分以上ある程度元気に泳がせられるようになったら、「とにかく何もせずオトリを自由に泳がせる」ステップは卒業です。
『出来るだけ何もせずにオトリの行きたいように自由に泳がせます。』と書きましたが、
友釣の一番のコツは、<<オトリを川底に沈ませて、自然体で泳がすこと>>だからです。
(こんな事を分かったふうに書いていますが、未だに自然体で泳がせることが出来ないでいます。)
オトリを自由に泳がせる自信が付いたら、本にいろいろ書いてある釣法を試して下さい。
竿の角度は、オトリが底に潜るように流れが早ければ寝かし、緩ければ立てるのですが、竿先は常に自分より上流側にあるようにして下さい。上達するまでは、取り込みが大変になりますから、下竿(竿先を自分より下流側にする)にはしないように注意して下さい。
<どうしてもオトリ鮎が足元にいて沖に出て行かない場合の対策>
初めのうちは、なんとかオトリを深みの方へ行かせたいのに、足元に寄ってきて沖に出て行ってくれないということがあります。これは、鮎は鼻サキを引っぱられた方向の逆方向に泳ぐという性質があるためです。竿先を流心に向け差し出しオトリを出してやろうとすると、オトリは鼻先を流心の方に引っぱられるので引かれた逆方向つまり岸のほうに向かって来てしまうという訳です。
そうは云っても、とにかくオトリを野鮎のいる流心の方に入れてやらなければ鮎は釣れないので、どうしてもオトリが出て行ってくれない時は次の方法でオトリを深みのポイントのある方に入れてやります。
(イ)オトリを流れに乗せて深み・流心へ出してやる。
まず竿を立て腕を頭の上の方に伸ばして、オトリ鮎の頭が水面から出るか出ないかのところまで吊るし上げます。
オトリ鮎を流れに乗せて、下手の方に流してやるようにします。少し下手の方にオトリが流されてオトリの頭が水面から出るようになったら、竿を少し倒してオトリの頭が水に浸かるようにします。また少し流れでオトリが下手の方に流れて水から頭が出るようになったら竿を少し倒します。こうして、少しずつオトリを下手の流れの深い方に移していって、この辺りで良いだろうという所までいったら、竿を寝かせてオトリ鮎を流れに潜らせ、糸を少しゆるめます。
これで、なんとかオトリが深い方、流心の方に入ります。
オトリが、この辺と思っていた所よりも下手にいってしまった場合には、自分が少し上手に移動して竿を立ててオトリを水面まで上げてから竿先を上手に動かしてオトリを入れたい場所の少し上流がわまで引き上げてから、スッと糸をゆるめてオトリを潜らせます。
この方法は、オトリが弱った時や、流れが早くて自力では潜らない時に、鼻オモリを付けてオトリを流れに潜らせる場合にも使う方法です。
(ロ)空中輸送でオトリをポイントに入れる。
この、空中輸送の方法を使う場合は、手尻(竿尻から出るバカの長さ)を30〜50cm位の短めにしておくことが必要です。この方法は、竿を立ててオトリ鮎を水から吊るし上げて、時計の振り子のようにオトリをポイントに一気に送り込むものです。振り子のようにオトリ鮎を振ってポイントに入れるときのコツは、水面にフワッと着水させることで、着水させたら、水深分だけ糸をゆるめてやることです。フワッと着水させるには、オトリが振り子のように振られて向こうに行ったときにそれに合わせて竿を倒してオトリの尻尾の方から水に入るようにしてやるとうまくいきます。
この方法は、雛壇状や段々の滝になったような瀬で釣るときにも使います。
(2)取り込み
オトリを自由に泳がせていると、オトリがあちこち行ってくれて、そのうちに野アユのなわばりに入ってグルグルンと野アユが掛かり、竿先がギューンと野鮎に引かれます。
初めての時は、急に竿先がひったくられるように引かれたりして何をどうすればよいのかパニック状態になるかもしれませんが、まず竿先を上流側にねかせて竿をしっかり持ち、気持ちを落ち着かせます。
野アユが鈎掛かりしたら、直ぐに竿を流れの上手に倒して野アユの引きが弱まるまで竿をタメてしのぎます。
引きが弱まったら、竿は上手に倒したまま竿を自分のほうへ絞りながら掛かりアユを流れの緩い方へ寄せて、抜き上げる場合は抜きあげ、寄せて糸をたぐる場合は糸を取ってたぐり取り込みます。こうすると、ほとんど動かなくても取り込めます。
「野アユが鈎掛かりしたら直ぐに竿を立てる」と書いてある本が多いのですが、初めのうちは、チャラやトロでの釣以外ではあまりお勧め出来ません。
野アユは、鈎掛かりした直後は全身の力を出して死に物狂いで疾走します。水深のある所では底よりも水面近くの流速が何倍も早いので、掛かって直ぐに竿を立てると野アユは流速の早い表面の流れに乗りしかも全力で底に潜ろうとするので何倍もの力で下流に引っ張られる結果となります。へたをすると、どんどん下手に引き回されることになります。
掛かり鮎が、底の流速が遅い所にいるままで竿を上流側に寝かしてタメると、野アユの力だけタメれば良いので寄せるのが楽なわけです。
野アユが鈎掛かりしたら上手に竿を寝かしてタメる癖をつけておくと、バリバリの馬力のある天然遡上アユを掛けた場合でも無理なく取り込めるようになります。
(3)オトリ継ぎ
野鮎が釣れて、オトリ鮎と交換することを、「オトリ継ぎ」といいます。
(1)で書いたように、野鮎のいる所でオトリ鮎の泳ぎたいように泳がせていれば、必ず野鮎が釣れます。釣れた野鮎とオトリ鮎をタモ網に取り込んだら、掛け鈎を野鮎から外してタモ網の横か上のほうに掛けておきます。鮎は水から出しておくと直ぐに弱ってしまうので、タモ網を水につけてオトリも野鮎も水に浸かっているようにします。
引き舟かオトリ缶の所へ戻ります。釣れた所から離れている場合には、戻る途中に時々鮎を水に浸けながら戻ります。
野鮎とオトリが水に浸かるように、タモ網の柄ををしゃがんでヒザに挟むか、腰のベルトに差します。この時、タモの下部分が水に浸かっていて鮎が水の中にいるようにします。
オトリを掴み、鼻管を外して引き舟かオトリ缶に移し入れます。入れ方は、入れ口の蓋を押して頭から滑り込ませる感じで入れます。
次に、鼻管仕掛けを持ってカラミやヨジレがあれば直して、掛け鈎の針先が鈍っていないか確認します。
針先が鈍っていたら、(5)の方法で鈎を研ぐか新しいものに交換します。
次に、(右利きの人は右手で)まず鼻管を親指と人指し指で持ち、鼻管の後ろの逆針と掛け鈎を中指〜薬指で軽く包むかんじで持ちます。こうすると、鼻管を通す時や通した後に掛け針や逆針がタモ網にカラムのを防げます。
タモ網の内で、左手で野鮎を掴み、鼻管を通して直ぐに逆針を尻ビレに打って、ポイントの方向に頭を向けて放します。
釣れたばかりの野鮎は、放してやるとピューと沖に向かって走るので、ブレーキをかけないように糸を送り出してやります。
これで、オトリ継ぎは終了です。また、(1)のように、鮎の行きたい所へ行かせます。
オトリ鮎の行きたい所、泳ぎたい所へ泳がせていると、また次の野鮎が掛かるはずです。
(4)根ガカリを外すとき
川に入って根ガカリを外す場合、川の流れに慣れない間は、膝以上の深さには立ち込まないほうが安全です。特に下手に水深のある急瀬や荒瀬、深い淵が控えている場合には、ベテランの真似をして立ち込まないで下さい。竿を担いで、川を泳ぎ渡れるような人は心配いりませんが、毎年流されて事故に遭う人いるので注意して下さい。
よほど川に慣れるか、川での泳ぎに自信がある人以外は、流れの速い所ではヒザ以上の深さには立ち込まないのが無難です。
オトリが弱った時や、底石にごみや小枝などがひっかかっている場合によく根ガカリがおきます。
根ガカリを外しに流れに入った時は、石アカの様子を観察する最高のチャンスです。
根ガカリを外しに行く途中や、外して戻るときに流れの中の石を良く観察して、アユが釣れたあたりの場所の石アカの色艶や、全く釣れない場所の石アカの色艶などを憶えておきます。石アカの様子を手で触って見るのも良いことです。岸に戻ってから、川の中で見た石アカの色艶と、岸から見た色艶を比較対照して憶えておくようにします。これは、後日釣行して釣り場所を探すときの参考データになります。
(5)一休みしている時
一休みしている時は、他の人がどのような釣り方をしているか観察するチャンスです。
良く釣れている人が近くにいたら、その人が釣っている場所の石の色艶や、釣れている流れの筋を良く見ましょう。また、どのようにオトリを泳がせているか、どんな竿の操作をしているかもじっくり観察しましょう。上手な人が目の前でやってくれていることは、どんどん憶えておくことです。
6.地元の釣見物をしているベテラン(老人)と世間話をしよう
鮎釣をしていると、地元の老人が土手や橋の傍らで釣談義などしながら飽きもせず釣を眺めている人がいます。このベテラン達のなかには、かって名人上手と云われた人が少なからずいます。
お昼弁当をつかっている時や、岸に上がって休んでいるときなどに、話しかけると色々とためになることを話してくれたり、今の時期はどういう所を狙うと良いかなど教えてくれたりするものです。
彼らベテランの話は、日曜釣師の何十倍も何百倍も川と鮎を見てきているので、とても参考になったり面白いことなどが沢山あります。ときどきは地元のベテランと世間話でもして下さい。
(講釈だけで実践はゼンゼンという人もたまにはいますが、話していると判ります。)
鈎の研ぎ方 (平成初期のころまでの旧来の製法で作られた掛け針に対しての参考知識としてご覧ください。)
新しい鈎でもやや切れ味が悪いものや、釣りをしていて石に触れたり引っ掛ったりして切れなくなった鈎は、砥石で研ぐ必要があります。
友釣では「合わせる」ということが無いので、特に針先の鋭さに気を配り、いつでもピンピンに切れる状態にしておくことが大切です。
したがって、鈎が切れなくなったら新品に換えるとすると、一日満足な友釣をしようとしたら20〜50組の掛け鈎が必要になってしまいます。
一本の仕掛け(鈎)を3〜4回砥石で研いで使えば、10〜15組の掛け鈎で一日満足のいく釣ができます。
砥石:上の二つはセラミック砥石、下の二つはアルカンサス(HARD ARKANSAS)砥石。
ハード・アルカンサスという白色の砥石がベストです。入手できなければセラミック砥石でもダイヤモンド砥石でも良い。その場合は仕上げ用(#1000〜#1200)を購入して下さい。アルカンサスで研ぐ時は、砥石を水で濡らして研いで下さい。ダイヤモンド砥石の場合は、説明書に従って研いで下さい。
砥石は落とすと割れたり、水に流されてわからなくなったりするので、紐などでベストに付けておくと良い。
鈎は滑らかな表面の部分が大切なので、左の図にあるように、研ぐときには鈎のフトコロ側の表面は研がずに残すようにします。
図の右側の丸は、研いだ針先を正面から見た研ぎ跡の図です。
(図;鈎の研ぎ方:「静岡の友釣(上)(昭和50年)」より)
鮎の鱗や皮を刺し通すには、針先を三角錐状に研ぐのが理想的なので、鈎のフトコロ側はそのまま残し、外側の二面に砥石をあて研ぎます。
円錐状に研ぐと、切れ味が悪くなります。
最初、少し切れ味が悪い程度のものは、砥石でやや急勾配に軽くなでるようにして研ぐ。力を入れて研ぐと、一、二回で使い物にならなくなるので、最初から力を入れて必要以上に研がないこと。
鈎のシンはもろいので、あまり研いでシンが出てくるようになると、研いでもすぐに切れなくなる。
何度も研いで鈎先が短くなったものは鮎が掛かっても身切れなどでバラすことが多くなるので、軽く研いでも5回位を限度にして、新しいものと取り替えるようにする。
<<<“注”がまかつGハードのように高硬度のハイス鋼(ハイスピード工具鋼)を使用した鈎は、河原で研ぐのは難しいです。>>>
研ぎ方は、鈎を指で固定して砥石を動かす研ぎ方と、砥石を固定して鈎を動かす研ぎ方とある。
どちらの方法でも鈎がぐらつかないように指先でしっかり固定し、針先から元の方へ斜めに引くように研ぐ。
写真は砥石を動かす研ぎ方で、砥石を針先から元の方へスーっと軽く大きく動かすようにすると、うまく研げる。鈎にあてる砥石の角度は上の図「鈎の研ぎ方」を参考にして、一つの面を砥石を1〜3回スーっと軽く大きく動かして研ぎ、次に二つ目の面を同様に研げば良い。
針先の方に向かって砥石を動かすと“カエシ”が出てうまく研げない。また、砥石や鈎をこまかく往復させるのも良くない。
針先が切れるか簡単に見分ける方法
針先を親指の爪に斜めに立てて、力を入れずに軽く動かしてみます。針先が切れる状態では、爪に刺さる感じで止まりますが、スルッと滑るようでは完全に鈎先が鈍っています。
こんな事をすると、「せっかく研いだ針先をいためる。指のはらで触るだけで判るようにしなければダメだ。」と昔の先輩にしかられてしまいますが、指先で触るだけで針先の切れ具合を判定するのは年季がいります。
しばらくの間は、爪で判定して下さい。その時ついでに指先でも触って感触を確かめておいて下さい。
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明治の中頃までは、ハリはヤスリで研いでいたそうです。明治中頃になって伊豆狩野川の漁師がカミソリ砥石を使ってハリの三角研ぎを創めたのですが、大正の末頃までは自分達だけの秘密にしていたとのことです。
他の川の漁師は、砥石でハリを研ぐことを知るまでは昔どおりにヤスリで研いでいたのだそうです。砥石とヤスリでは研いだ後の針先の切れは段違いだったことでしょう。
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近年は、「鈎を研ぐよりは、新しい鈎に換えるほうが良い」とか「鈎が切れなくなったら直ぐに新しい鈎に換えること」などと云われていますが、これは釣針の製法が以前とは変化したためです。
旧来の製法では、鋼線を掛け針の形に成型してから熱処理して焼き入れをしてからガラに入れて肌を磨いき最後に熱処理をして茶〜紫〜青と処理温度によって針の肌に焼き色をつけた。通常、青焼きのハリはハリ先までシャキッとしており、へたりにくく強いといわれていました。昔の針は表面に焼き入れで強くなった層が厚くなっていたので先がナマッタ時に針先を鋭く研いで再度使うことが出来ました。
現在の製法では、焼き入れ焼き戻しの方法が変化し、途中で化学処理やメッキ、コーティング(鮎掛け針以外では塗装で着色)等の処理が施されるようになり、硬く強い層が薄いので研ぐともろい芯がすぐに出てしまい逆にナマクラになってしまうようです。
したがって、現在販売されている鮎掛け針は、針先が傷んだら新しい針に交換するのが良いということになります。
念の為
友釣りをしていて次のような時に、針先の切れを確認し、針先がなまっていたら新しい針に交換してください。
*鮎が掛かったのに、途中でバレた時。
(鈎先は切れるのにバレる時は、鈎の型、サイズやハリスの硬軟が合っていない場合がある。)
*鮎がいるのに、なかなか掛からない時。
*オトリを手元に引き寄せた時。
*根ガカリした時。
*まわりの人が皆釣れているのに自分だけ釣れない時。
<<つまり、始終針先の切れ具合に気を配るということです。針先の切れに注意するだけで2〜3割は釣果が上がると思います>>
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