ホームへ
1.湖産は冷水病に対する抵抗性が弱い。
2.鮎釣りファンに朗報!! ついに冷水病ワクチン完成。
3.冷水病、原因はオトリアユ
4.稚アユも飲める冷水病薬
5.アユ冷水病 伝搬経路の特定に成功


 アユ冷水病 伝搬経路の特定に成功(8/24産経新聞)


 群馬県水産試験場は、河川で発生したアユの冷水病について、感染源や伝搬経路を科学的に推定することに全国で初めて成功した。食中毒菌の分析方法を冷水病菌に応用し、42タイプに分類した。県ではすでに、アユ漁解禁前に「保菌検査」を実施することで、冷水病の蔓延(まんえん)防止に一定の効果を上げている。今回の研究成果は、解禁後に感染源などを特定できることから、より効果的な蔓延防止策を講じていく考えだ。

 冷水病は、体に穴ができたり、貧血になるなどの症状を起こし、致死率も高いという。県内では約10年前に発生が確認され、漁獲量が最盛期の約10分の1まで減少したこともあった。

 細菌感染により発症するといわれ、これまでは検査法の種類ごとに、4〜8タイプに分類されてきた。同試験場では、県衛生環境研究所と共同で、全国各地の冷水病菌を食中毒菌などの分析に利用される「パルスフィールドゲル電気泳動法」で分析し、世界で初めて42タイプに分類することに成功した。

 これにより、冷水病菌に感染したアユがほかの河川に持ち込まれ、感染源となっている可能性が高いことを確認。発生時期などを分析することで、感染経路や発生源の解明も、科学的にできるようになったという。

 県は約5年前から、冷水病対策として、アユを放流する前に原因菌の有無を調べる保菌検査を徹底しており、アユ漁解禁前に発生するケースは、ほとんどなくなったという。ただ、解禁日以降については、効果的な対策を打ち出せないでいたため、今回の研究結果を、解禁日以降の蔓延防止に役立てていくとしている。

(7月12日群馬県農業局農政課より「アユ冷水病のまん延防止について」と題し報道発表されたもので、群馬県ホームページにも掲載されております。)。)


 ********************

 冷水病に感染した保菌アユが河川に持ち込まれて、その川のアユに冷水病が感染していることが、和歌山県、徳島県に続いて群馬県でも確認されました。⇒参照 No.4 ’07

 漁協は、オトリアユの保菌検査をして、無菌オトリの供給を確実にして下さい。
  オトリ持ち込みの禁止を周知徹底して下さい。釣り人にも漁協にもメリットになることをPRして下さい。

 釣り人は、オトリアユを他の河川に持ち込むことは止めましょう。
  オトリも釣れたアユも全部持ち帰りましょう。
  釣から帰ったら
  タビ、タイツ、網、船、オトリ缶などの道具は、日光消毒やアルコール消毒などで冷水病菌を殺菌しましょう。

  簡単なことですから、冷水病を広めないために、ご協力をお願いします。
  釣仲間にも教えて下さい。
 

   * 釣り道具の消毒方法 
(1)日光消毒;裏表を充分日光に当て乾燥し日光消毒する。
(2)消毒アルコール(エタノール80%液)を霧吹きで裏表に満遍なく吹き付ける。
   (台所用としてスーパー、薬局で売っています。)
(3)逆性せっけん液の100〜200倍稀釈液 を霧吹きで裏表に満遍なく吹き付ける。
 (日本薬局方塩化ベンザルコニュウム液 オスバンS 殺菌消毒剤(逆性石けん液) (商品名)
                       が薬店薬局で購入できます。600ml¥800.-)
  アレルギーのある方は、噴霧消毒した後5分以上おいてから、水で洗い流して下さい。
(4)台所用や洗濯用の殺菌、漂白剤で消毒する。
   材質をいためないかどうか不明です。確かめてから使ってください。
     *消毒と殺菌についてはこちらをご覧下さい。

 稚アユものめる冷水病薬
  直径1ミリカプセル、エサに混ぜる
     早ければ2年後には市販される。
     reisui-vaccine070625.PDF へのリンク
                      神奈川県内水面試験場

  待ちに待った冷水病ワクチンが市販される見通しが立ちました。
  漁協やアユ養殖関係者の首が、長がーくなりそうですね。


2007327曜日
 冷水病 原因はオトリアユ


冷水病で死んだアユ
 県水産試験場内水面試験地(紀の川市)は、養殖業や河川漁業に大きな被害を及ぼすアユの冷水病発生の大きな原因が、外部から持ち込まれるオトリアユであることを突き止めた。
 有田川二川ダム上流(有田川町)の調査水域で無菌オトリアユを供給することで、病気の発生が押さえられることを確認した。関係者は「無菌アユに絞った導入は有効な手だてになる。ほかの河川でも被害を軽減できるだろう」と注目している。

 調査水域には、周辺にアユ養殖場がないことと、試験場から比較的近い場所という条件から二川ダム上流域を選んだ。

2004年から3年間、4月から漁解禁(6月初旬)前まで、無菌アユ以外を川に放流せず、流域のオトリアユ取扱店のアユも、無菌のものにしてもらうなど徹底した防疫対策を講じて調べた。その結果、その間は冷水病の発生は確認されなかった。

 今回調査するまでは、同水域で冷水病に感染していない無菌アユを解禁前に放流しても、放流直後から冷水病にかかることがあり、菌が河川に残っているのではないかと考えられていた。

 しかし、流域のオトリアユ取扱店も加わった今回の調査結果から、菌は存在しないことが分かり、オトリアユ取扱店から川に流れ出ている飼育排水に菌がある可能性が高いという結論に至った。

 結論を裏付けるように、調査期間中もアユ漁が解禁されると数日で冷水病が発生した。オトリアユの需要が多くなって
無菌アユの供給が追いつかなくなることや、釣り人によって外部から保菌オトリアユが持ち込まれることなどが原因と考えられる。

 また、アユと在来魚類を定期的に捕獲し、アユと在来魚類の冷水病の菌は遺伝的にタイプが違い、相互に感染しないことも確認した。

 藤井久之研究員は「今後は保菌アユの持ち込みをどのように阻止するかが課題。県も後押しするが釣り人に呼び掛けるなど地元の努力も必要になってくる」と話している。

 冷水病 「フラボバクテリウム・サイクロフィラム」という細菌が体内に侵入し、体にかいようができ貧血死する病気。一度この病気に侵されると薬で治癒しても体内で原因菌が残存し、ストレスなどで再発しやすい。感染したアユを食べても人体に影響はない。
 【冷水病で死んだアユ(和歌山県水産試験場内水面試験地提供)】


 徳島県水産研究所からも、海部川における同様の研究報告がありました
 「アユ冷水病の感染経路の解明と防疫対策」 環境増養殖担当 谷本 剛(2007/04/17 水研だより61号掲載)

  ********************************

 やはり、河川で発生する冷水病は、保菌養殖アユ・オトリからの感染がその原因だった。
 一部の漁協で、無菌オトリの供給に努力し、オトリアユの持込を禁止している。これは冷水病対策として正しい方向であった事が今回の報道で証明されました。

 漁協は
 無菌オトリの供給に全力をあげて下さい。監視員(川回り)、オトリ屋さんの教育をしっかりやってください。
 オトリ屋さんは、冷水病対策を勉強して下さい。

 釣り人は
 オトリの持込は止めましょう。(オトリアユは釣りをするその川で購入する)
 釣れたアユは、チビも弱ったものも含めて全部持ち帰りましょう。
 釣りから帰ったら、タモ網、タイツ、タビ、引き舟、オトリ運搬具などの道具を消毒しましよう。

 消毒法・参照:冷水病


 鮎釣りファンに朗報!! ついに冷水病ワクチン完成。
 高知大大学院・大嶋助教授、大手製薬メーカーと協力し2年後の実用化目指す。
 感染実験では、投与しない鮎の生存率が35%に対し投与した鮎の生存率は、95%位だそうです。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 

2005年02月04日 高知新聞 朝刊ヘッドライン

アユ冷水病ワクチン開発
 大嶋 俊一郎・高知大大学院黒潮圏海洋科学研究科助教授


 アユなどに感染し、魚体損傷などの被害をもたらす「冷水病」に有効なワクチンが、県内で開発された。実験では、ワクチンを経口投与したアユの生存率はほぼ100%で、餌に混ぜて与えることができるなど、効果の高さと利用の簡便性が大きな特長。既存ワクチンは投与方法に難点があり、実用化に耐えるワクチンの開発は全国でも例がないという。実用化に向けて大手製薬会社*との共同開発も進んでおり、内水面漁業関係者の期待を集めている。

 高知大大学院の大嶋俊一郎助教授が、県の15年度地域研究開発促進拠点支援(RSP)事業を活用して開発。12年秋から研究を始め、香美郡吉川村の県内水面漁連(樋口清允会長)も、養殖しているアユを提供するなどで協力した。

 効果が強いワクチンを作るには細菌の大量培養が必要だが、大嶋助教授は細菌が加速度的に増える時期が最も生命力が強いことに注目し、この時期の培養に成功。このワクチンは有効成分を多量に含むため、経口での接種が可能になったという。

 冷水病のアユを対象に行ったテストでは、ワクチン非投与の生存率は2日後に60%、6日後に40%だったが、投与したアユは、10日たってもほぼ100%を維持した。

 県内水面漁業センターの岡部正也・主任研究員は「対症療法的な投薬や、1匹ずつ注射する手法はこれまでにもあったが、経口という手法が画期的。簡便で実用化しやすい」と評価。昨年10月に開かれた日本魚病学会などでも研究経過を報告し、昨年末に発表した論文に注目が集まっている。

 大嶋助教授は「世界的にはサケ科を養殖している国が多く、(サケ科でも)実用化すれば大きな市場になる」。県外の大手製薬会社*と共同で改良実験を重ねており、来年度にも放流実験などを行って実用化を目指す。

 冷水病はアユやサケ科の魚類がかかる細菌性の病気。魚のひれが欠損したり、体表が充血し穴が開いたりするため、市場価値が著しく落ちる。近年、全国の河川のアユにまん延し、県内でも平成6年ごろから被害が広がっている。

( *:動物用医薬品の大手、川崎三鷹製薬(株)(共立製薬グループ) )

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

     平成15年度大学等連携促進研究成果報告書
      アユ冷水病の病害発生阻止に関する研究

 河川の天然親魚(海産遡上アユ)から生産した人工産種苗(海産系F1)は冷水病に強い
 失敗は成功のもと(冷水病に強いアユの生産方法がわかった時)の話(11月15日号)

 冷水病に強いアユを作ってワクチンを飲ませれば冷水病を克服出来る日も近い!


1.湖産は冷水病に対する抵抗性が弱い。
広島水産試験場の「水試だより」<212号15年12月>の“冷水病に強いアユ種苗
広島水試継代アユ(太田川産)、継代アユx湖産オス、継代アユx海産オスの3系統のアユ種苗の冷水病に対する抵抗性を調べた結果、冷水病感染後の累積死亡率は、湖産系が海産系より3倍も多かった。
報告に出てくる「西城川」は西城町を水源とし三次市で江の川に合流する川です。
広島県水試のホームページで確認して下さい。
(209号15年3月の「養殖アユに発生した細菌性腎臓病(BKD)」も見てください。)



    戻る