8回目 | 8月3日 〜13日 |
陸奥アユ釣り&キャンプの旅 | ||
第1日 | 8月3日(水) | 晴れ&曇り | 青森県鯵ヶ沢町 金鮎の赤石川まで移動 |
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第2日 | 8月4日(木) | 晴れ&曇り | 赤石川・上流部 釣果:16 |
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第3日 | 8月5日(金) | 快晴 | 追良瀬川・観音堂 釣果:19 |
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第4日 | 8月6日(土) | 快晴 | 真瀬川は不調とのこと 米代川へ移動 |
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第5日 | 8月7日(日) | 晴れ後曇り | 琴藤川・大沢橋 釣果:19 |
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第6日 | 8月8日(月) | 曇り、雨・雷 昼間少し晴れ |
阿仁川・桂瀬橋 釣果:17 |
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第7日 | 8月9日(火) | 晴れ&曇り | 阿仁川・桂瀬橋 釣果:15 |
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第8日 | 8月10日(水) | 曇り後晴れ | 玉川(桧木内川は泥濁り) 釣果:チビ6 |
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第9日 | 8月11日(木) | 曇り一時小雨 | 小国川・船形橋 釣果:36 |
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第10日 | 8月12日(金) | 雨 | 小国川・瀬見温泉 撃沈0 |
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第11日 | 8月13日(土) | 雨、曇、晴 | 小国川から横浜へ |
第1日 8月3日(水) 金鮎の赤石川まで11時間のドライブと川見。
今年は四国の吉野三郎や四万十川などを訪れようと計画していたのだが、アユ遡上時期から渇水が続いているとのことで急遽出かける方角を北に変更。8月になれば北国も梅雨明けとなり、キャンプも楽だろうと3日出発とした。向かう先は、金鮎の川・赤石川だ。
東京都内の慢性的渋滞を避け早朝のうちに都内を通過しなければ1時間ほども時間をロスしてしまう。KY宅へ寄りKY,Sの両氏をピックアップ。ヘボ老鮎師3人組での「アユ釣り&キャンプ陸奥の旅」の始まりである。
東北道に入ると、いつもの事だが走行速度が速い。道中どこの川へどう行くかとか、入れ掛かりでクーラーが満タンになるのではとか、釣ったアユはどうしようとか、捕らぬナントカの話に花が咲く。
昼頃に盛岡着となるので、昼食は盛岡名物わんこ蕎麦に決めた。東北道を降り、盛岡駅前の東屋へ入る。
若いお姉さんがわんこ蕎麦の作法を説明してくれ、幾種類かの薬味と蓋付きの椀、汁入れの桶が並べられた後、左写真のように赤い椀から客の椀へ蕎麦を投げ入れる。手元の椀に入れられた蕎麦を全部食べ椀に蓋を閉めて終了となる。タイミングを見図らないとなかなか終了できない。満腹になるまで食べさせられてしまった。
腹をさすりながら車に戻り、東北道を再び北上。
大鰐弘前ICを出て弘前郊外を抜け雲に隠れ山裾だけが見える岩木山を見ながら鯵ヶ沢町へと向かった。弘前から鯵ヶ沢までの道筋では、どこの庭にも枝振りの良い立派な黒松が植えてあり、樹齢数百年かと思われるものも何ヶ所かあった。弘前近辺では庭には黒松を植えるものという習慣があるようだ。家並みを外れると、右も左もリンゴ畑が続いていた。9月になれば赤く色付きたわわに実ったリンゴが見られることだろう。
鯵ヶ沢の港に立派な公園があったので立ち寄った。農水省の助成で作られた公園で、海岸の内側に円形に掘り込んで作られた海水浴場、シャワー室、清潔なトイレがあり、海沿いの遊歩道はウッドデッキで敷き詰められている。おまけに周囲と不似合いな立派なつり橋や人工渚まで作ってある。なんとも贅沢な公園である。数家族の人々が海水浴を楽しんでいたが、公園も広い駐車場もガラガラ状態。このような所でゆったりと夏の一時を過ごすのが本当の贅沢というのかもしれない。イモ洗い状態の海水浴場しか知らない首都圏の人がこれを見たら何と云うだろうか。
まだ日は高い。噂の金鮎が棲むという赤石川に沿って上流へと向かった。中流部の開源橋を右岸から左岸へ渡り、橋から眺めると、数人が竿を出していた。橋の上から川を覗くと(横浜在住者の感覚では)チビアユがウジャウジャ見える。時折アユが掛かるが、見たところ14、5cmのチビ。チビではしようがないと、種里堰堤を越え、左岸をさらに上流へ向かうと橋の脇に釣り券・囮を扱う太田商店があったので、立ち寄って様子を聞くことにした。老夫婦が営む雑貨屋で、老婦人が店番をしていた。聞けば、地元の人で場所を良く知っている人が上流の熊の湯温泉近くで20cm位のを20ほど釣ってくるという。店の前はどうか尋ねたが、まだ小さいといい、今年はアユの遡上が一月ほど遅れ数も少ないという。例年並に遡上したら、どんなことになるのか想像が出来ない。
テントを張れるような場所が近くにないか尋ねたところ、すぐ傍の集会場が空いているからテントを張るよりそこに泊まったらどうかと勧められた。3人なら一人2千円で良いという。5,6人なら一人千五百円で良いそうだ。炊事場もトイレも完備しており、ガス水道は自由に使って良いし、布団は無いが座布団が沢山あるからそれを使えば良いと言う。他県からの釣り人がしばしば利用しているという話なので、今晩そこに泊まる予約をした。熊の湯温泉に入れるかと尋ねたところ、町営病院の前に綺麗な温泉があり皆そこを利用しているのでそちらにした方が良いと勧められた。
明日どこで釣るか上流側の様子を見に行き、その後温泉に入り食事をして戻ると告げ、川を見に出かけた。
店から熊の湯温泉までの間に橋が3ツあり、どこから見てもアユは見える。二つ目の橋の所で数人が竿を出していた。道端に駐車スペースもあり、そこからすぐ川へ下りられるので、それだけの理由で明日はここで釣ることに決めた。
熊の湯温泉の前は荒瀬で、その下に早瀬がずっと続いている。この辺りのどこかで20cmクラスが釣れているようだが数人竿を出しているのをしばらく見ていたがなかなか掛からないので、街へ戻り温泉に入り夕食を摂ることにした。病院前の温泉はすぐに分かり、駐車場が一杯になるほど大勢が入りに来ていた。温泉で汗を流しサッパリしたところで、近くのコンビニとスーパーで買い物をして食事処を探したのだが7時前というのにどの店も閉まっている。駅の傍でようやく1軒だけ開いている店を見付けて入ったのだが、ご飯は一人分しか無く、麺類なら出来ると言う。昼は蕎麦を鱈腹食べたから、ご飯物を食べたかったが、他には無いのだから仕方がない。
食べた後、店の人に食事関係の店は何時頃まで開いているのか尋ねたところ、この辺りは5時頃には閉めてしまうとの返事だった。それが分かっていれば先に食事をしてから温泉と買い物に行くのだった。
この方面に釣りに行かれる方は早めに食事を済ませなければ、コンビニ弁当を食べる事になりますよ。コンピニもポツリ、ポツリしかないので、見かけた所で買い物をしたほうが無難だ。
少し薄暗くなり始めた頃に、先の太田商店へ寄り、老主人に集会所へ案内してもらった。
金鮎の謂れを聞いてみたが「昔から金鮎と言っている。」というだけで、謂われは分からなかった。
集会所は、百畳ほどの大広間と、十二畳の和室があり、どちらを使っても良いと言われたが、十二畳の部屋を使うことにした。座布団を敷き並べて寝る事にした。窓を開けると田の上を渡ってくる夕風がとても涼しく、クーラーなど不要だ。田んぼからは3種類ほどの蛙の鳴き声が聞こえてくるが、なんという名の蛙かは分からない。
いよいよ明日からアユ釣りだ。金鮎が沢山釣れる事を夢見る暇も無く朝まで爆睡。
第2日 8月4日(木) 赤石川・上流部、太田商店から二つ目の橋
二つ目の橋付近
天気;晴れたり曇ったり
水温;19〜21℃ 水色;澄み
釣果:16匹
Max.20cm
Min.16cm
Ave. 18cm
橋上流の早瀬と荒瀬を望む。
上流に向かい早瀬、荒瀬、早瀬と続いており、午前中は上手の早瀬と荒瀬に3人竿を出しており、そのうち一人がブロックの中ほどまで釣り下がってきたが全く掛からず3人とも昼前には移動して行った。
見た目は良いのだが、瀬の中では全く掛かりません。
橋下手のトロと下流の瀬を望む。
橋の上から見ると、野鮎は沢山見えるのですがなかなか掛かりません。少し下手にも瀬があり、その前後にも数人が竿を出していました。
白神山地のぶなの森を源流とする川だけあり、水は澄みわたっていました。
赤石川の金鮎です。
釣れた鮎は金鮎の名に恥じない美味さでした。
5時頃には皆目覚めた。朝の気温は20度位でシャキっとする。水道の水はとても冷たく水温を測ってみると18℃。飲んでも美味しい。コーピーを沸かしパンでゆっくりと朝食。
7時頃太田商店で釣り券(400円)とオトリを買っていると、釣り人が二人来た。そのうちの一人が車のナンバーを見て横浜から来たのかと聞く。「金鮎、銀鮎というのがいるというので来た。」と答えると、その人は横浜生まれの横浜育ちで現役引退後金鮎釣りの為に弘前に住まいを移し今年で7年目だという。解禁後は毎日アユ釣りだそうで、アユが終わるとリンゴ農家の手伝いなどをして悠々自適の暮らしだとのこと。なんとも羨ましい暮らしだ。この人もここ数年アユが少ないという。
どの辺りが良いのか尋ねると、やはり上流が良いと言う。1つ目も2つ目の橋も良いそうだ。我々より先に上流へ向けて去って行った。昨日見た二つ目の橋の際に車を停め、川へ降りる。
昨日橋の上から眺めた時は、橋の上下で沢山のアユが追い合う様子が見えたので、橋の下にS氏、橋の上にKY氏が入った。自分は橋の上手に荒瀬と早瀬があったので、早瀬でまず野鮎を捕ろうと思ったが大外れとなった。
上の写真の早瀬で午前中やってみたが、上から釣り下がってきた人も自分も全くダメ。昼までにようやく1匹。
橋のすぐ上のトロでやっているKYさんは順調に掛けている。
今日もというか、何時もの通りというか、早めの昼食・昼休み。昼からどうするか?瀬尻でもやってみようか?
午後は、瀬尻からトロにかけて泳がせてオトリサイズ以上の金鮎をようやく15匹。地元の人のように20オーバーは出来なかった。この辺りは瀬の中よりは流れの緩い所で掛かるようだ。
今夜は金鮎の塩焼きと、持参のそうめんとソーセージでの夕食なので、4時頃に早上がり。
ソーメンを茹で、冷たい水道水で洗い氷で絞めた。金鮎の塩焼きとボイルしたソーセージ、トマト、キュウリをおかずに冷たいソーメンをすすると暑さはどこかえ吹っ飛び、涼しい夕風が心地よい。
金鮎と称するだけあり、赤石川のアユは確かに美味だ。これ以上のアユを探すのは難しい感じがした。
今夜も昨夜同様に集会所に泊まり、明朝早く銀鮎の追良瀬川へ向かうこととした。
第3日 8月5日(金) 追良瀬川・見入観音堂前
見入観音堂前
天気;快晴
水温;18〜22℃ 水色;澄み
釣果:19匹
Max.21cm
Min.15cm
Ave. 17cm
見入り観音堂前の瀬より下流を望む。
水も空気も澄みわたっていました。
釣り人が川に出てくるのは8時を過ぎる頃からです。
午前中は瀬尻から下手のトロ、その下の瀬に5人ほどが竿を出していたが、午後には移動していなくなったので、午後から竿を出しました。
赤石川では瀬では掛かりませんでしたが、ここではまずまずの形が釣れました。
上の写真のすぐ上手です。
朝9時を過ぎた頃、Sさんが銀鮎を釣るのを、猿が向かいの赤い岩の上に座ってしばらく見物していたそうです。
ここから上は、観音堂のすぐ上の橋の上流まで瀬が続いています。
橋までの間の瀬には3人ほどが竿を出していました。
追良瀬川の銀鮎です。
跳ね回って上手く撮れませんでした。
昨日は金鮎。今日は追良瀬川の銀鮎。
5時起床。朝の風も水道の水もひんやり冷たく気持ちが良い。集会所の二十畳ほどある炊事場でコーヒーを沸かし、朝食を摂る。太田商店の老婦人に出発を告げ、追良瀬川へ向かった。
101号線に架かる「おいらせ橋」の上右岸に公園がある。対岸の河原に車とテントが1張りあり、釣り支度をしているのが見えた。数百メートル先に海が見えるこの水辺で川を見たが、アユの姿はそれほど確認出来なかった。
公園のトイレ脇に群馬ナンバーの車が1台停まっていた。我々と同じ現役引退・サンデー毎日組の人で米代川を釣ってからここへ移動し、昨日は対岸のテントの人達と追良瀬川を釣ったそうだ。
どこでやったのか尋ねると、観音堂の橋の上下だそうで、テントの一人は橋の上流にいって20cmクラスを20数匹釣ったそうだ。本人は橋の下手で小振りのを十数匹だったという。
赤石川はどうかと聞かれたので、18cm前後を15,6と答え、地元の場所を知っている人は熊の湯温泉近くの上流部で20cmクラスを20位釣ってくるそうだと話すと、今日は赤石川へ行ってみると云う。
見入観音堂の上手にオトリ販売所が釣り場地図に載っていたので、観音堂を目標に上流へ向かった。
しばらく行くと道の左に観音像があり、その右手の岩山の上にお堂があるらしい。〔むがしこ/見入山の観音様〕
若い頃であれば頂上まで駆け上がりお参りしたかもしれないが、今岩山を登ったら釣りは出来そうにも無いので写真の観音様を拝んですませた。
すぐ上手に新しい橋があり、橋の上から眺めると、さきほど公園で聞いたことが判るような気がした。
右岸側の道を少し行くと、入漁証・オトリの看板が見えたので、玄関から声を掛けたが誰も出てこない。KYさんが戸を開け”お早うございまーす”と大声でいうと中学生の女の子が出てきた。今日親は出かけており、女の子が一人でお留守番だそうだ。入漁証とオトリを6匹欲しいというと、女の子は家の前の水路に結わえてある2ツの引き舟の所へ行き蓋を開けて中を確認して6匹くらいはいるという。入漁証を先に用意してもらい、そのあとでオトリをもらうことにした。
入漁料とオトリ代を払い、水路の引き舟を一つ上げ中の囮鮎をオトリ缶にザーっと空けるとちょうど6匹いた。女の子に6匹いることを確認してもらった。小振りではあるが、どれも背掛かりの野鮎だ。オトリ缶の蓋を閉めながら、どの辺りが良いのか聞いたが、女子中学生には分かろうはずがない。皆はどちらの方向に釣りに行くのか尋ねると、大抵は上流の方へ行くようだと云う。
とりあえず、狭い道を上流側へ行くとすぐに狭い橋があったので橋の上から覗くと3人が橋の下の淵でドブ釣りをしていた。一人は女性のようだった。水が澄んでいて淵の底まで見通せる。しばらく見ていたが、アユの姿がほとんど見えない。
この辺りはパスして観音堂の所へ戻り、すぐ前の瀬頭のあたりにオトリを浸けた。そろそろ9時だが釣り人は数人見えるだけだ。関東以南の川とは大違いだ。9時過ぎに川へ出かけても釣り場はたっぷり残っている。6時前には釣り場を確保しなければならない酒匂川や狩野川などのことを思えば、これはまさに天国だ。
道路脇へもどり釣り支度をしていると、通りがかりの車が停まりアユや鮎釣りの事を話しかけてきた。
今年は雪解けが遅く、アユの遡上が例年より半月から一月遅れた事、いつもなら良形に育っているのが今年はまだ小さく数も少ない事、最近は釣り人が多い事等々である。どの話もへーっと感心してしまうことばかりである。
釣り人が多くなったといっても、一人一瀬どころか一人二瀬以上の状態なのだ。
話を聞いている間に数人が橋の前後と下手のトロ、瀬の方に入っていった。観音堂前の瀬には引き舟と竿を置いてあったので前後の6,70m以内には誰も来ていない。
Sさんが瀬頭の辺りをやるというので、橋の上手に行ってみることにした。橋の下の中州へ渉り、右岸側の瀬の脇を上手へ歩いていくと、地元の人が一人瀬頭の辺りで仕掛けを張っているところだった。初めて来たのだが、どの辺りが良いのか尋ねてみた。
「この上の川がカーブした先に堰堤がありその下が石があってよい場所だ。橋の下手では、Sさんがやっている場所とその下の広くなっているチャラが良い。」と教えてくれた。
途中のチャラを眺めていると、件の人が「そこはダメ、もっと上に行くと堰堤があるからその下だよ」と大声で叫んで知らせてくれた。手を振り、頷いて分かったと合図し、上手の堰堤下へついた。かれこれ10時をまわる頃だ。
ブロックを積み上げた堰堤からザーっと流れて瀬、チャラになっている。見た目は、なかなか良さそうだ、が、地元の人が来ないというのは昨日あたりかなり攻められたのではなかろうか。
せっかく勧めてくれた場所だ。まず瀬の中にオトリを入れたが良さそうな所では反応無し。ヘチぎりぎりを探ると18センチ位のがググーンときた。同じ様な所を探ってみたが反応無し。瀬尻からチャラを泳がせたが、釣れたのは対岸際の木の枝の下とか、対岸よりの大石の脇などで、ようやく銀鮎を5匹。昼近くなったので、クーラーを置いてあるSさんの所へ戻って昼休み。
2番目の写真の日影になっているトロ尻で足を水に浸け涼みながら昼飯を食べていると、16,7cmの鮎が1mほど先の石に縄張りを持っていて、縄張りに入ってきた他のアユを盛んに追い払っている。水が透き通っているから縄張りアユと放浪アユの様子が良く分かる。トロと瀬頭の間には小振りのアユが沢山見えた。
午後は対岸へ渉り、上の写真の荒瀬に近い早瀬をやった。入れ掛りということは無かったがこの瀬で十数匹の銀鮎が釣れた。
瀬で掛からなくなったので、下のトロをやっていた時、又もやポカをやってしまった。鼻環周りがクチャクチャになったので交換したのだが、乳輪での止め方がいい加減だったのか、鼻環糸の結びコブがおかしかったのか、
オトリがスーっと流芯を遡って行くと、目印が数メートルひゅーっと動いた。”来たっ”と糸を張ったとたんに乳輪のところでオトリと野鮎がはずれ逃亡され、水中糸がふわりとなびく。戦意喪失。
5時前には食堂に行かなければ夕食はコンビニ弁当になってしまうこともあって、早上がりとした。
後で銀鮎の塩焼きを食べたが、なかなかの美味。が、金鮎には負けるような気がした。
追良瀬から深浦へ向かい街で食堂を見付け、ゆっくりと夕食を摂ってから外へ出ると、街の人たちが縁台などを道に出して何かを待ち受けている。ねぷたが来るのだ。
銀行の前では、ねぷたの人への振舞い酒の用意か?、テーブルにコップがびっしり並べて出している。
通りの向こうから太鼓と笛の音が聞こえてきた。若人が笛と大きな太鼓を抱えてねぷたの囃子をやっており、若い姉さん達が揃いの浴衣で踊っている。ねぷたの先触れのようだ。あたりが薄暗くなる頃になってもねぷたは出てこない。
ここであまりのんびりとしている訳にはいかない。というのもキャンプ場所を探さなければならないからだ。
車に乗り、深浦港沿いの道から国道に出ようとしたところで警官に停止を命じられた。何も悪い事はしていないが怪しげな老人3人組と見たのか、車のナンバーを控えさせてくれという。何かと聞くと、これからねぷたが出てくるので暫く待ってほしいと言うのだった。
青森のねぶたのように豪快なものではないが、街の若者や子供たちが総出で楽しむのも風情があっていい。
6,7台のねぷたが通り過ぎるのを最前列で見物出来た。
ねぷたの行列が通過した頃にはもうあたりは夕闇に包まれていた。この先にはテントを張れる所は何箇所もあるという話を信じて101号線を南下した。
しばらく走ると、舮作岬のあたりか?、道路の海側に「ゆとりの駐車場」というのがあった。駐車場と芝生の中にベンチ、東屋と掃除の行き届いたトイレがある。
駐車場には仮眠をするのか、何台か先にきて停まっていた。
芝生にテントを張り、今日はここで泊まり。
テントを張り終わり休んでいると、バイクで東北を旅しているという若者が来てベンチで休んでいたが30分ほどでまた旅立っていった。今夜は何所まで走るのだろう。
満天の星空を見ていて、伊豆・河津川へ釣に出かけたときに、暁の空に人工衛星が銀色に光って動いていたことを思い出して話して、今日も見えるかもしれないねーと真上の星々を見ているとオレンジがかって明るく輝くものが夜空を横切り動くのが見えた。KY,Sの二人に”人工衛星だ。ほらあそこ。”と知らせる。二人もそれ眺めた。
夜静かになると潮騒の音が遠く聞こえてきた。あたりは暗闇で夜空の星以外まわりの様子は分からない。が近くに海岸があるようだ。今夜も夜風がとても涼しい。エアーマットに横になると、あっという間に前後不覚。朝まで熟睡。
第4日 8月6日(土) 八森町、真瀬川の予定だったが、米代川へ移動・川見
夜が白む頃に目が覚めた。昨夜は夜空の星以外何も見えなかったが、明るくなってみると駐車場の東側は展望台のようになっており、このような東雲の光景が広がっていた。
今日も爽やかな朝、老釣師3人組はいたって元気。例によって、コーヒーを沸かして朝食。
夜が明けるころ、トイレなどを掃除に来た地元の婦人に十二湖を見て行くように勧められた。が、笹内川へも十二湖へも寄らず、白神山地ぶなの森を水源とする真瀬川へと向かった。
今日からは秋田県に入る。秋田音頭では、”八森ハタハタ”となっているが、八森に流れる真瀬川の鮎も美味らしいのだ。八森の街に入り真瀬川に架かる橋を渡ると、上手で一人竿を出していた。今日も旨いアユがつれるかもしれないと期待し、少し先の釣具屋へ寄って様子を聞いた。
店の奥に見える部屋のテーブルでは朝食の用意をしている最中の様子だ。友釣をしたいのだが様子はどうかと尋ねると、主人が出てきて「友釣ですか」と気の無い返事をする。ハッキリとは言わないのだが、今年は遡上が悪くアユがあまり見えないから友釣はやらないほうが良いということのようだ。それに今日は土曜日というのに囮は3匹しかいないという。川を見たいというのであれば、店と橋の間の道を国道に抜けてその先を山の方へ進むと監視小屋の広くなった所があるからそこから川へ降りて見ると良いと教えてくれた。
教えられた道を行くと写真の場所に出た。川へ降りる道が分からないので上から眺めるだけにした。地図では、もう少し上流へ走れば、道が川沿いに出るようなのだが、釣れそうもない川を見ても仕方がないということになり、今日は米代川へ移動して、本流と支流を見て歩こうと話がまとまった。
予定が有って無いようアユ釣の旅だから気楽なものだ。
101号線を南下し、能代市の手前から二ツ井へ向かった。
二ツ井の街の手前で7号線道路際に「自然倶楽部」という釣具&アウトドアーの店があったので、立ち寄り様子を聞いた。
レジの前に何種類もの釣り場地図がぶらさげてあるので、地図をもらいアユ釣情報を教えてもらった。
○7月は、本流は濁りが出て釣りになる日が少なかった。
支流の琴藤川は濁る事がなかったので、釣り人が琴藤川に集中した。(我々3人の様子を見て本流よりは支流の楽な所が良いと思ったのか、琴藤川の釣り場を詳しく教えてくれた。)
○3日に本流鷹巣で、4時間50匹釣った知らせがあった。
○支流の早口川は大淵から下がアユ釣場。
○大滝温泉、十二所あたりも釣れる。
○真瀬川、水沢川でも良いアユが釣れる。
(この二つは米代川とは別。白神山地を水源としているので特定のファンがいるそうだ。)
以上の情報をもとに、今日は川を眺め、キャンプ地探しをすることにした。天気は快晴で外にいるとすぐ汗が出てくる。ちょっと車を停めておくだけで、車内はサウナ状態になる。
二ツ井、鷹巣、大滝温泉の本流を見て歩いた。昨日までの川が綺麗過ぎたから、米代川の流れは濁って見える。何ヶ所も橋の上から眺めたが何所でもアユは(横浜在住者の感覚では)沢山見えた。
本流での釣りは、瀬になったような所に腰近くまで立ち込んでの釣だ。河原のあるところがほとんど無いので、釣っては休み、休んでは釣るというのには向いていない。自分はなんとかなりそうな気はしたが、鷹巣あたりは同行の二人には少々無理かもしれない。大滝温泉の近くなら何とかなりそうな気もした。
支流の琴藤川と早口川も見て歩いた。
早口川:本流との出会い近くの鉄橋下が良さそうに見えたが、川への降り方が分からない。中仕田の橋まで道路は川から離れてしまうが、川沿いに農道があって川に出られる。見た範囲では数人しか竿を出していない。川を見られる場所では、何所でもアユは沢山見えた。中仕田の橋でもアユは沢山見えたがほとんどが群れアユであちらこちらと群れで走り回っていた。水辺まで草や木が生えていて、河原はほとんどない。水は綺麗だった。
琴藤川:瀬とトロ淵が交互にある。ほとんどの橋の前後に良さそうな瀬がある。藤里町・藤琴橋の上流左岸に河原があり清潔な簡易トイレが設置されていた。釣り人が十人以上いて人気の釣り場のようだ。
矢坂の大沢橋のすぐ上のトロにはアユがウジャウジャ見えた。が鉄筋が何本も川底から出ている。上手にザラ瀬がある。橋の下から下20m位はブロックが敷き詰められその下はトロ。大沢橋から歩いてすぐの所にオトリ屋がある。
橋の右岸に清潔な簡易トイレがあり、グランドと桜の木の下にベンチが並んでいる。テントを張るには適当。今夜はここにテントを張り泊まることに決めた。
川を見て歩いている途中で宅配便の旗が出ている主婦の店があったので氷詰めにしてあった金鮎と銀鮎をKYさん宅へ発送。
夕食と買い物の後、大沢橋下のグランドに戻りテントを張った。お茶を沸かし、数匹残した銀鮎を塩焼きにして賞味。なかなかの味だ。
日が落ち、夕闇に包まれると空には満天の星がまたたく。夏にこんな綺麗な星空を見るのは久しぶりのことで、3人して星空を眺めていたら流れ星が幾つか流れた。入れ掛かりするように祈る間もなく流れ星は消えてしまった。
夜更けに横の桜の木から五位鷺の怪しげな鳴き声が聞こえたような気がしたが、睡魔のほうが強く夢現。
第5日 8月7日(日) 米代川支流琴藤川、矢坂・大沢橋
琴藤川、矢坂・大沢橋
天気;晴れ
水温;19〜22℃ 水色;澄み
釣果:19匹
Max.21cm
Min.18cm
Ave. 19〜20cm
大沢橋上手のトロ
川が見えなくなる辺りで左からザラ瀬が右の岸にぶつかっている。踝から足首上くらいのザラ瀬でKYさんがけっこう掛けた。その上流には堰がある。
写真下の波立ちから橋脚までの2,30mに良形のアユが沢山見えたが、底から太い鉄筋が沢山出ていて、よほどうまくしないと釣にならない。
大沢橋下より下流を望む
橋の下から下30mほどの間にはブロックがぎっしり敷かれていてその間を水が流れる。ブロックの下はトロで川が見えなくなりあたりに瀬がある。
午後に若い人がブロックの間を探っていたが、根掛りが多くてなかなか掛けられなかったようだ。
トロ場のアユはほとんど20cm前後でした。
琴藤川の源流は白神山地とのことでしたが、塩焼きの味は、金鮎・銀鮎にはおよびません。
今日も空が明るくなる頃に目が覚めた。数年前までは一番最後まで寝ていたのが、今回はなぜか夜明けと共に目が覚める。昨夜塩焼きに使ったコンロと網を洗いに水辺へ行くと、橋下の河原に車を停めカラオケを掛けながら大声で歌っている人がいた。こんな大声で歌うのは河原でなければ出来ない。喉自慢の練習なのだろうか。毎朝来て歌っているのか?
コンロと網を洗い終わり、テントに戻ると二人とも起きていた。テントの所まで歌声が響いてくる。
お湯を沸かしコーヒーを入れ、いつもの朝食をしていると、河原で歌っていた人が帰っていくのが見えた。
今夜もここに泊まることにして、道具を片付けた。着がえを済ませ、引船を持ち、歩いてオトリ屋へと出向いた。
オトリ屋で呼び鈴を何度も押したが、誰も出てこない。玄関の戸は鍵は開いている。生簀にオトリはいる。戸を開け大声で「お早うございまーす」と叫んでも誰も出てこない。弱ったことだ。生簀前のベンチに腰掛け、そのうちに誰か来るだろうとタバコを吹かして待ったが誰も来ない。前の道路を鮎釣姿で上手へ行く車が数台こちらを見ながら通リ過ぎた。何時まで待っても誰も出てこないので、生簀の蓋を取って中を覗いたり、周りを見たりするうちに、生簀の端に代金入れと書いた紙がありその上に鍵の掛かった小さな金庫がワイヤーで縛ってあるのに気が付いた。必要なオトリを取って、その代金を金庫に入れてくれという意味のようだ。つまりはセルフサービスと言うわけだ。オトリはこれで良いが、入漁証は買えない。監視員が回って来たら、あそこのオトリ屋が留守で買えなかったと言えば良いだろうということで、オトリを2匹ずつ船に入れ、代金を金庫に入れた。玄関は開きっぱなしだし暢気なものだ。
オトリ屋が留守なので、何所が良いのか聞けなかったが、ともかく橋の前後でやってみることにして川へ出た。
Sさんは橋上のトロでやるという。KYさんは上手のザラ瀬の上のトロ瀬をやると上手へ向かった。自分もトロ場の端を上手に向かった。ザラ瀬が流れて左岸の岸にぶつかっている辺りが良さそうな気がしたのでそこに船と竿を置き、トロではなるべくオトリを引っ張らないように言おうとSさんの所へ戻った。
橋の下の河原に4WDらしき車が3台来て、頭から足の先まで”がまかつ”で決めた6人が出てきた。竿ももちろんがまかつだ。身のこなしから皆なかなかの鮎師と見えた。
Sさんにオトリを放したら、目印を良く見て糸を張らずたるませすぎずに泳がせるように話していたら、40代と思えるがまかつ軍団の一人が横に来て、「旦那さん目印から一時も目を放しちゃダメですよ。」といい泳がせの説明をしてくれた。自分が説明するよりよほど的確だ。今まではなかなか上飛ばしが出来なかったのに、今は10m近くも上に泳いでいく。
地元の人かと尋ねると、岩手から来たのだという。岩手にはいい川が沢山あるのではないかというと、いや最近はダメなので皆秋田へ来るのだと言う。6人組は小1時間ほどあちこち竿を出していたが、花火の音が遠くで響くと車に戻り上流へと去っていった。競技会でもあるのかもしれない。
上流に戻り、ザラ瀬の瀬尻あたりにオトリを出してやると、ほどなくしてオトリサイズが来た。瀬尻から岸へのぶつかり辺を流すが反応が無い。ザラ瀬のぶつかりのヘチ際で跳ねが時々見えるので、ヘチ際を引いてみるがまるで当りが無い。午前中ねばって2匹。
今日もまた、早めの昼休み。KYさんが戻ってきて、足首位のチャラチャラのザラ瀬でけっこう掛けたという。でも掛かると下に走りまわるので大きめの石にぶつかったり木の枝が邪魔になったりで何匹もバラしたという。こんな浅い所で釣るのは初めてだがすごく面白いという。ザラ瀬の下はさっぱりだったのは、追い気のあるのはザラ瀬に入ってしまったからなのか?それとも前日追い気のあるのは釣りきられたのか?
Sさんは、ついついオトリを引っ張ってしまいあまり釣れていないようだった。
午後は橋上のトロを左岸に渡ってやってみることにした。左岸に渡り、橋のすぐ上のトロを見ると親指ほどの鉄筋が何本も何本も川底から突き出ている。長いものは5mほどもあり、短いものでも1mはある。石がごろごろしているがその下にコンクリートがありそこから鉄筋が出ているようだ。橋桁から20m位はよほどうまくやらないと鉄筋にすぐ引っかかってしまう。道理で橋の上から見ると、橋のすぐ上に良形の鮎が沢山見えたはずだ。
でも、ものは試しと鉄筋の無い所へオトリを入れてやったが、すぐに鉄筋に絡んでしまって無理。
鉄筋の無い所から上を泳がせることにし、岸から静かに出してやると20cm前後のが来て、時には3連続入れ掛りもあったりして、引きはなかなか良く楽しかった。
この辺の食堂も早く閉まるといけないので今日も4時頃に終了。
街で夕食後はテントに戻り、今夜もここで泊まり。夕暮れ時から雲が広がり今夜は星空を楽しめなかった。
夜中に時々ポツポツと雨音がしたが、たいしたことはなかった。
第6日 8月8日(月) 阿仁川・桂瀬橋下流
阿仁川・桂瀬橋下流
天気;曇り、雨&雷
水温;19〜21℃ 水色;澄み
釣果:17匹
Max.22cm
Min.16cm
Ave. 19〜20cm
下流の中洲より桂瀬橋を望む。
曇り空から雨が落ちてきて、遠雷が聞こえてきた。
桂瀬橋の前後はトロ。橋の上流にも中洲があり右岸側の採石場への道を上流に行くと駐車場所があり、中洲へ出られる。
10時過ぎに川へ降りたのですが、中洲下流に2人いるだけで他には釣り人は見えません。
桂瀬橋下流の中洲を望む。
手前の足首位の浅い所にもハミ跡がいっぱいありました。
写真右は右岸側の瀬。左側に左岸側の瀬があります。
中洲の下流にも良い瀬があり、道路から河原へ出られるそうです。
ふっくら太った黄色みの強い鮎でした。
ほとんど20cm前後でした。
これくらいの大きさだと”アユを釣ったー”という気持ちになります。
昨夜は時折ポツポツ雨音がしていたが、今朝は雨は降っていない。コーヒーを沸かし、朝食を摂っていると、先ほどまで河原で黒い大型犬の訓練をしていた人が軽トラックでテントの前まできて、アユ釣りかと声を掛けてきた。川の近くの人は皆アユに関心が強いようだ。正確には聞き取れなかったのだが、もう網が始まっているらしい。その人は釣よりは網の方が面白いといい、どこそこでどんな具合にやるとよいなどしばらく話してから帰っていった。
昨日までの感じでは、9時頃までに川へ出れば十分釣り場は残っているようなので、ゆっくりテントを片付けて、阿仁川へ向かった。出発する頃から雨が落ちだし、阿仁川へ近づく頃には小雨模様になってきた。
9時頃に、米内沢駅から数分の105号線がカーブする脇にアユの旗が立っている「あゆっこ」が見えたので、川の様子と釣り場を教えてもらおうと立ち寄った。
写真の建物右手の道に”あゆ→”と書いてあったので、裏手へまわった。
事務所に年配の人が二人おり、その前に1.5mほどの幅で水深50cmくらいの水路が作られていて川のように水が流れている。水路を3m位に幾つかに仕切って数百匹のアユが元気に泳いでいる。
ここは、アユ養殖のために地下水を掘削していたら温泉が出て、温泉・宴会場、食事、宿泊施設を作ったのだそうだ。地下水も出てアユの養殖を行っている。
事務所に阿仁川で捕れた300g・尺アユのホルマリン浸けがあったので、いろいろ話を伺った。
ここのアユは、阿仁川のアユを親アユにし選抜して継代で人工産を生産しているとのことだ。稚アユを育てていると、放流時期に早くも20cmほどに育つものが出てくるそうで、春の冷たい水でも早く育つものを選抜して親アユにしているのだそうだ。採卵するアユは、ほとんどホルマリン浸けになった尺鮎ほどになるそうだ。
秋田、青森、岩手のオトリアユのほとんどはここのアユセンターから供給しているそうだが、その川の育ち具合に合わせた大きさに育てなければならないので、苦心があるそうだ。食用のものは22,3cmはありふっくらとしていた。今日は雨模様なので、ここで泊まれるか聞くと、宿泊用の部屋は満室だが宴会場前の部屋が空いているからそこでよいなら3人OK少し安くしてくれるというので、予約をした。
釣り場の話も聞いたが、良さそうな所は7月から連日攻められて、最近は”こんな所で”というような所で沢山釣ってくるそうだ。見た目の良い所、つまりいつも釣り人が入る所ではあまり数は出ないという。
その間に数人がオトリを買いに来ていた。若い人が来たのでこれからどの辺に行くのか尋ねたが、ジジイの3人組に教えてもしようが無いという感じでそそくさと去っていった。
事務所で着がえをさせてもらい、入漁証とオトリを買った。川のような水路にいるオトリはどれもすこぶる元気で選ぶ必要など無い。オトリ缶に20cm近いのを6匹入れたら、おまけにあと2匹くれた。
出かけようとすると、いろいろ話してくれた人がこれから釣り場を案内するからついてくるように云った。
上流へ向かい、何箇所もポイントで止まり、車の置く場所や川への降り場所を親切に教えてくれた。桂瀬橋まできて、この上手の中洲の瀬も良い所だという。橋下手の中洲両脇の瀬はどうかと聞くと、あそこに人が入っているのはあまり見ないが良いかもしれないという。案内はここまでで終わったが、初めての者にこんなにも親切にしてくれる秋田の人に心が温かくなった。
雨はだんだん本降りのようすになってくるし、良い所は攻められているということだ。桂瀬橋の下の瀬はにはあまり人が入っていないようなので、橋の手前の道路わきに車を停め、下手の中洲へ渡った。
中洲への途中のトロから瀬頭にかけては石がきれになっていて、2番目の写真の足首から脛くらいの浅い所もハミ跡がびっしりある。中洲まで行き、弁当、飲み物の入ったクーラーを置き、それぞれ気に入った場所で釣り始めた。
KYさんは右の瀬頭、Sさんは右の瀬尻で始めた。竿をのばそうとしたら、掛け鈎を車に忘れてきたのに気がつき、百メートルほどを往復。行き帰りの時、石を良く見たら瀬から上50m以上までもが艶が出ているほどきれいなのだがアユの姿が確認出来ない。なにか不思議だ。同行の二人が右の流れをやっているので、左岸へ流れる瀬頭のあたりで始めることにした。雨はいよいよ本降りの様相で、仕掛けを張っていると遠雷が響いてくる。
このまえ千葉で海水浴客が雷に撃たれて死傷者が出たニュースを思い出し、竿を出すのを一瞬躊躇したが、雷の音はまだ遠いので、オトリを付け瀬頭に放した。時計は10時を回っていた。
川のような流れの水路で飼われていたオトリはすこぶる元気で、まるで野鮎のようにすーっと沖へ出て行く。水は澄んで、水中は良く見えるがアユの姿が確認できない。石がこれだけ綺麗なのだから、きっとアユは沢山いるはずだ。糸一杯まで出て行って少ししてゴツンときた。取り込むと黄色みの強いアユだ。石の色とほとんど同じ様なので姿が見えないのかもしれない。オトリを換えて出してやると、また同じパターンで流れの真ん中を過ぎてから掛かる。少し後に瀬頭上のカガミで20cm位のが5連続入れ掛り。天国に来た気分。が、その後音沙汰なし。
雨が小降りになったので、昼休み。右側の瀬でやっていた二人はさっぱり釣れないという。
弁当を食べながら、二人に午前中の話を聞くと、この辺りはアブにご用心だ。下手の瀬でやっていた人が下から中洲まで上がって来て瀬尻下のトロ瀬でやってたが釣れないので中州を横切り左の流れに行ったそうだ。しばらくすると中洲の葦を横切り走って右の河原へ来て流れに飛び込んだのだそうだ。走ってくるのに気が付いて見ると、遠くから見ても分かるくらいアブが雲のようにその人に集っていて、水に飛び込んでもなかなかいなくならなかったそうで、頭まで何度も水に潜りようやく難を逃れたそうだ。
午後も左の流れでやることにし、二人にも瀬は脛から膝くらいのザラザラした所だけれどこちらのほうが釣れそうだと勧めた。
午後一番は瀬頭の上で3匹入れ掛かりだったが、後が続かず、ザラザラした瀬の中で7匹ほど。みな20cm位でよい引きを楽しめた。しかし不思議なのは瀬頭から10m位から上は石はきれいなのに全く追わないことだ。
4時前には雨が強くなり、雷も近くなってきたので、終了。
「あゆっこ」に戻り、明日用のオトリをオトリ缶に入れ水路に浸けてもらう。昨日の琴藤川のアユと今日の阿仁川のアユを氷詰めで宅急便で自宅へ送ってもらった。帰ってからアユの味を聞いたところ、関東近辺のアユよりふっくらしていて美味しかったという。
朝川を案内してくれた人が、今日川で捕れたという5,60cmのサクラ鱒を見せてくれた。重さは3Kg弱。春先のが味も良く今頃は産卵を控え味が落ちてくるのだそうだ。米代川水系にはまだまだ自然が残っているのだ。
着替えをして、写真の建物に入り、部屋に案内してもらった。十六畳ほどの小宴会用の部屋だった。
温泉に入り、ゆっくりくつろぐ。雨で冷えた体に温泉は何よりだ。さっぱりしたあとは食堂で夕食。アユ養殖が本業だけあり、アユ尽くしの夕食である。アユのおつくり、塩焼き、から揚げの他に数品のおかずである。KYさんもSさんもアユのお作り(刺身)は初めてと感激。
食べ始めて間もなく、食堂のお姉さんが「社長からです。どうぞ。」といってサクラ鱒の塩焼きを持ってきた。調理場入り口の前のテーブルで朝川を案内してくれた人が食事をしていた。あの人がここの社長さんだったのだ。
頭をさげて礼をすると、食事を済ませてからこちらのテーブルに来られたので、改めてサクラ鱒のお礼をいい、川やアユなどの話を伺った。アユのお作りは健康な活けアユでなければ出せないとのこと。
食後部屋に戻り、テレビを点けると衆議院を解散したというニュースばかりだ。郵政民営化法案が参議院で否決されたから衆議院を解散するというのは、まるで理屈が通らない悪ガキのヤケクソ・イナオリみたいなものだ。
横になってテレビを見ていても、頭がもうろうとしてくるので、早々と寝る事にした。
アユ釣旅行に来てからは、9時頃には寝て5時頃には起きるという自然に合わせた生活。極楽・極楽。
第7日 8月9日(火) 阿仁川、二日目 阿仁前田で釣るつもりだったが、昨日と同じ場所になってしまった。
阿仁川・桂瀬橋下流
天気;晴れたり曇ったり
水温;20〜22℃ 水色;澄み
釣果:15匹
Max.22cm
Min.18cm
Ave. 20cm
阿仁前田の河川公園です。駅からすぐの場所です。
青森、岩手の人たちが大勢キャンプをし、アユ釣に来ていました。我々も9日はここにテントを張りキャンプです。
この辺りは釣れないというので、ここでは釣りませんでした。
「あゆっこ」で7時に朝食。裏に回り入漁証を買う。ボイラー室で乾燥させてもらったタイツなどを纏め、水路に浸けてあったのオトリアユを引き上げブクでエアーを送り車に積んだ。社長さんにお礼を言って阿仁前田に向けて出発した。
スキー場の標識がある交差点にあるコンビニで弁当と飲み物を買い、小又川合流点下の橋を渡ると右岸堤防の下に上の写真の広場と駐車場が見えた。
駐車場に降り、とりあえずオトリを川に浸けた。
どのあたりが良いのか川を眺めていると、ここには始終来ているという青森の老釣師がいたので、今日はこの辺でやろうと思って来たのだがどの辺が良いのか聞いてみた。
彼が言うには、7月は良く釣れたが8月に入ってからは釣れないという。
7月のある日、ここで釣っていたら愛知から来たと言う二人連れが来たので、遠くからせっかく来たのだからと、釣り場を譲ったそうだ。そうしたら、師匠格の人が70数匹、始めて間もない弟子が45匹釣ったそうだ。とにかく7月は良く釣れたという。
が、「昨日、下の橋から小又川合流までの間を1日やったが、たったの1匹だよ。ここは止めた方がいい。あんたたちは昨日はどこでやったか」と聞くので、桂瀬橋の下で17匹だったと答えた。そりゃーいいほうだ、と言う。桂瀬橋の上の採石場の方の瀬も良いと聞いたけれどどうだろう、と聞くと、あそこも良い所だそちらへ行った方がいいというので、9時半はとうに回っていたが、ここは諦めて桂瀬橋の上の瀬に引き返した。
昨日教わった道を桂瀬橋から採石場の方に向かうとすぐに右手に車を停められる所に着いたのだが、そこにはすでに岩手ナンバーの車が3台停まっていて、上手の土手にも1台停まっていた。ここはもう一杯。
橋にもどり昨日やった所を眺めると、誰もいない。どうも、この場所は好まれないようだ。
しかし、昨日もまあまあ釣れたし、他の場所を探してあるくのも面倒なので昨日の中洲に渡った。KYさんは橋の上から下のトロを見たらアユが沢山見えたので、橋の下のトロをやると橋の方へいった。Sさんと自分は昨日の左岸側の流れの瀬頭から瀬尻にかけてやることにした。
昨日同様に瀬頭のカガミにオトリを出してやると3連続の入れ掛り。どれも20cm位だ。今日は絶好調と思ったのだが後が続かない。瀬の下のほうでSさんがやっていたので、立ち込んでは悪いので岸から瀬の上の方をやって何匹か追釣。昼前にKYさんがぜんぜんダメと戻ってきた。アユは見えるがまるで追わないという。
瀬から少し離れるとトロでは全く追わないのだ。どうにも不思議だ。
昼からこの浅い瀬をやって10匹ほど。どれも20cm前後の黄色みの強いアユだった。
晩飯にあぶれるといけないので4時頃に終了した。車にもどる時にトロではさっぱり追わない訳がわかった。
中洲から戻っていく途中で、網をやっている人に出合ったのだ。刺し網をトロ場に張って、石を投げたりザブザブ歩き回ったり、潜ったりしてアユを網に追い込んでいるのだ。これでは人影を見たらアユが警戒して逃げてしまうはずだ。トロの石は綺麗なのにアユの姿が見えなかったのはこのせいだと思った。
日の明るいうちに阿仁前田の河原の広場に行き、テントを張ってから川を眺めていたら、朝会った青森の老人が来て、どうだったかと聞いてきた。採石場の方の瀬は岩手の人が車3台で入っていて出来なかったので、昨日と同じ橋の下流で15匹だったというと、どこでやったのかはいわず、わしは今日は7匹だったと言う。この広場にはテントを持ってしょっちゅう来ているようで、他にもいろいろと話してくれた。
阿仁前田駅の前でまだ開いている食堂があったので、そこで夕食をとった。立派な阿仁前田駅には温泉やゲームコーナーなどがあり、みやげ物売り場もある。駅らしくない駅だ。大勢の人が車で駅の温泉に入りに来ていた。
テントに戻り夕涼み。この場所には青森、岩手の車が10台近くも来ていて皆テントを張りキャンプ&アユ釣だ。
青森から来ていた7,8人のグループがバーベーキューをし賑やかに釣談義をしたり、ウクレレを弾き歌ったっりお酒を楽しんだりと、すてきなアウトドアーライフを楽しんでいた。
あたりが夕闇に包まれた頃にはエアーマットの上でバタンキュー。
第8日 8月10日(水) 玉川・新幹線の橋上流 (桧木内川は朝着いたら、泥濁りで断念)
玉川、新幹線の橋上流
天気;曇り後晴れ
水温;20〜23℃ 水色;澄み
釣果:6匹
Max.16cm
Min.14cm
Ave. チビしか掛からず
岩瀬橋下から新幹線の橋を望む
新幹線の橋の前後に荒瀬があり何人か竿を出していましたが釣れません。岩瀬橋の上手の瀬もダメでした。左岸は絨毯のような緑のコケが岸から20m位までビッシリ着いていてダメでした。
落合野球場の公園より玉川と桧木内川の合流点を望む
右奥に桧木内川が写っていますが、朝ついた時は泥にごりでした。玉川は澄んでいたので玉川でやってみました。
落合野球場には駐車場とトイレがあり、野球場と川の間の河川敷が公園になっています。
合流点の近くはどちらの川も堤防の道から川へ下りられます。
この写真の上流側に上の写真の新幹線の橋があります。堤防の道から川の前に降りられ、どこでも駐車できます。
阿仁前田から角館までは約1時間半ということなので、今朝はコーヒーを沸かすのは止めテントを畳んだ。
またぎ街道105号線を阿仁川に沿って走る。峠を越えると、もうそこは雄物川水系だ。所々で小さな川が見えアユの旗も見かけた。小京都といわれる角館に入り、橋の上から桧木内川を覗いてガックリ。まかっかというほどではないが、泥濁りで釣れる状況ではない感じだ。昨夜上流の方でかなり降ったようだ。
玉川との合流点の方へ行き公園から眺めると、玉川の方は澄んでいるので、こちらでやってみることにした。川の近くをうろうろしていると、新幹線の橋の手前にオトリ屋があったので入漁証を買い、どの辺が良いのか聞いてみると、岩瀬橋の上手の川がカーブしているあたりの左岸は最近人が入ってないのでその辺りを岸からやると良いという話だ。橋の下手は浅いから、渉れるという。
空は晴れてきそうな感じがしたので、岩瀬橋の日陰に駐車した。
橋の下では熟年の夫婦がキャンプ道具を片付け車に積んでいた。「夫婦でキャンプ旅行っていうのはいいねー。」「でも、奥さんが一緒に来てくれるかどうかだよ。うちは山菜取りには行くけど、キャンプにはこないだろーなー。」「うちもだめだよ。虫が飛んできただけでキャーキャーいうんだから。」「うちも、あなたかってにどうぞ、だろうなー。」と前の熟年夫婦を見て羨ましがる。
川を渉り、オトリ屋の勧めてくれた所へ行って見たが、川を渉りながら川底を見て戦意喪失だ。川の真ん中までは石は汚れてハミ跡なし。真ん中辺から左岸よりの20m位の筋だけがハミ跡があるがその先は岸まで2,3cmに伸びた絨毯のような緑のコケがびっしり川底を覆っている。このコケはアオノロとは違って、陸上の日陰の石やコンクリートに生えているコケを巨大にしたような形で、幹のような真ん中の芯から四方に枝が一杯出ている。上に乗っても全く滑らず上等の絨毯のような感触だ。
ともかく、オトリ屋の勧めた場所まで行ってみたが、左岸側はずっと岸から竿2本分ほど緑のコケがびっしり生えている。これでは、釣り人が入らないはずだ。少し上手で竿を出している人がいたが、少し見ている間に右岸側へ移っていった。
これではダメ。Sさんがやっている右岸側へもどった。上手右岸の瀬をやっていたKYさんも、しばらくして全然ダメと戻ってきた。KYさんがやっていた瀬の下の荒瀬はやったか聞いたところ流れがきついからやっていないというので、行ってやったが、全く反応なし。Sさんがチャラで数匹掛けただけだ。
周りを眺めても、瀬でやっている人はほとんど釣れずに、移動をくりかえしている。チャラをやっている人が時々掛けるがチビアユだ。
川の真ん中の石がきれになった所でやってみたがチビばかり。晴れてきてお日様がギラギラ照りつけ暑いし、釣れないので今日は午後2時過ぎに早上がり。
落合野球場の桧木内川側のサクラの木の下にテントを張り、今夜はここで泊まり、明朝小国川へ向かう事にした。桧木内川の濁りも薄れてきて、竿を出している人を何人か見たが、釣れていたのかどうかは分からなかった。
角館の武家屋敷などを眺めてから、温泉に入ってのんびりしていたりすると食事処が閉まってしまうかもしれないので、まずは夕食。ある食堂に入り、カウンターの奥の部屋に上がると、部屋の四方の壁一杯にいろいろな種類のキノコの写真が飾ってある。この店の主人が山で撮ってきたものだそうだ。秘密の場所を沢山知っているに違いない。山菜取りとかキノコ取りだけが趣味かと思ったら、アユ釣もするそうで尺に近いアユをコピー機で撮った物が額に入れて入り口に掛けてあった。
場所の名前は忘れてしまったが、今時分この辺りではどこそこが良いといい、そこへ入るには8時前には行かないとだめだな、という話だった。
食事の後、角館温泉で汗を流し、テントに戻り夜空の星を少し眺めたが、少年の頃覚えていた星座の名や位置はほとんど忘れてしまっていてカシオペア、オリオン、小熊座くらいしか思い出せなかった。
テントに潜り込んだら、あっという間に夢枕。
第9日目 8月11日(木) 小国川・舟形橋下流
(鮭川へ行ったのですが、網の人が7人もいたので小国川へ移動した。)
小国川、舟形橋の下
天気;曇り一時雨
水温;19〜21℃ 水色;澄み
釣果:36匹
Max.20cm
Min.15cm
Ave. 16,7cm
舟形橋の下から上流を望む
瀬頭から上のトロにかけて跳ねがけっこう見えました。
上手の左岸に綺麗な公園があり、その前も友釣専用釣り場です。
舟形橋の下から下流を望む
橋の下で流れが4本に分かれ、下の鉄橋の前でまた合流し瀬になって下っています。
左岸側が強い流れで、写真は左岸から2番目の流れです。この先でザラ瀬になり1番目の強い流れに合流します。そのザラ瀬と瀬頭をやりました。
右岸側の流れは1.5mほどのホソですが、水流もあり石が黒くなっていたのでKYさんが悪戯にオトリを入れたら3匹ほど立て続けに釣れました。
今朝も気持ちよく良く目覚め、テントの前でコーヒーを沸かして朝食を摂りながら、今日は鮭川へ行ってみようという話しになった。どこへ行くかはその日の気分しだいの呑気な旅だ。とはいえのんびりとはしていられない。9日目ともなるとテントの撤収や積み込みも手際が良くなって、すぐに出発。
105号線から大曲で13号線に入り、真室川町を経て、鮭川村に入った。
庭月観音の橋まで来て、橋の上から、さーここはどうかなーと眺めてがっくり。橋のすぐ上では川舟の上で刺し網の準備をしているし、下手の河原では軽トラック、4WDなど4台車が集まっていて6,7人がやはり網の準備をしているではないか。
秋田もそうだったが、山形も網というと刺し網のようで、関東・東海のように投網を打つ人はほとんど見かけない。
橋から見える範囲には釣り人が入る余地はない。網が入るのでは友釣は無理とみて、小国川へ移動。
舟形橋を渡り、左岸上流の公園へ向かった。小国川も釣専用区以外は昨日から網が解禁になったという話を聞き、もう2日早く来るのだったと思ったがもう遅い。
舟形橋から公園の上までの釣専用区は、瀬になっている所にはどこも2,3人竿を出している。もう10時を過ぎているのだから、当たり前の事だ。停まっている車はほとんどが他県ナンバー。皆松原アユに惹かれてやって来たのだろう。
あちこち釣り場を探して歩くのも面倒なので、舟形橋の下が空いているようだったから、橋下右岸のオトリ屋で入漁証とオトリを買い、様子を聞くが主人は留守で奥さんでは釣り場のことは要領が得ない。
岸から眺めると、左岸側の強い本流の瀬頭に1本竿が見えているだけだったので、昨日から網が解禁になったと言っていたが、この辺りでやってみることにした。弁当、飲み物の入ったクーラーをオトリ屋の休憩所に預かってもらい、ペットボトル1本を腰につけ川へ降りた。
橋の下手を左岸側の本流の所まで行ってみたら、橋の下にもう一人入っていて2本目の分流(上の写真)が合流した下手にも一人入っていた。
Sさんは橋上の瀬頭、KYさんは下の鉄橋のあたりでやってみると下流へむかった。左岸から2本目の深いところで膝位までしかない分流を渉る時、石がきれいになっていたので本流に合流する上のザラ瀬と瀬頭あたりで竿を出してみる事にした。
ここも阿仁川の時と同じ様に石はきれいなのだが曇天のせいかアユの姿が見えない。
オトリをつけて瀬頭にだしてやった時には、すでに10時半を過ぎていた。
アユの光るのも全く見えず、20分ほどは全く反応なし。瀬頭のヨレをオトリが横切った時に1匹目がようやく来た。16,7cmの黄色みの強いアユだ。オトリ継ぎをし、瀬頭に向けて出してやると3連続の入れ掛り。そのうちに雨がポツポツ落ちてきた。カッパを車まで取りに戻るのも面倒だ。もうすぐ昼だし、弁当の時まで多少濡れても我慢することにした。雨はカッパを着るほどにはならず、昼頃には止んだ。弁当を河原で食べる事にしてSさんにどうするか聞いたら、Sさんも河原で食べるというので、オトリ屋に預かったクーラーから二人の弁当と飲み物を取りにもどったが、KYさんはまだ戻っていない。
途中の3本目の浅い分流を渉る時に、チビアユがウジャウジャいるのが見えた。青森、秋田も山形も、どこでも地元の人は今年はアユが少ないというが、これが例年並の数になるとどんなことになるのか想像出来ない。
河原で弁当を食べながら、水中を見ていると、光線の具合かどういう加減なのかは良く分からないがアユの姿が見え出した。午後も釣れそうな気分になってきた。
午後も瀬頭の波立ちから上のカガミに上らせると、時には出してすぐ掛かる時もあり順調なつれ具合だ。今日は場所に当たったようだ。
すぐ上手のトロに師昇格の人に若い人がついてきて二人竿を出したが、こちらは順調に釣れているのに二人はなかなか釣れず、下の本流の方へ下がって行った。
オトリが上に登りにくくなったら、ザラ瀬の波立ちを横切らせると元気印の野鮎が掛かる。それを俗に言う上飛ばしで瀬頭から上らせてやると何もしなくても3連続とか5連続の入れ掛りになる。入れ掛りが止まったらまたザラ瀬を横切らせて元気印を掛ける、を繰り返した。
KYさんが来て「どうしてそんなに掛かっちゃうのかねー」と言う。「何もしている訳じゃないよ。場所がいいんだろねー」と答えた。どのアユも黄色味の強いアユだった。手にアユの香りが染み付いた。
雨が落ちてきそうな空模様だ。今日は公園でキャンプの予定だから、雨の降らないうちにテントを張らなければならない。公園には炊事場や炉も完備されているのだけれど夕飯を作るのは面倒なので、食堂を探さなければならない。
そんなわけで、4時過ぎに終了。元気で形の良いのを10匹ばかり明日のオトリ用に公園前の川に浸けた。
公園の上流側三分の一はこんな様子です。芝生の向こうが小国川です。公園のすぐ前でアユ釣が出来ます。
手前の道は写真を貼り付けたので曲がってみえますが、実際は直線です。写真を変形して真っ直ぐにするのは面倒なので、サボりました。頭の中で真っ直ぐに修正してください。
真中の芝生の木の影に炊事場、その横に炉が幾つも並んでいます。
左手の芝生がきれるあたりに、オトリ屋(軽食もやっているようです)とトイレがあります。
テントを張っている人達の半数はアユ釣の人で、あとは普通のキャンパーでした。最近は大型のテントで家族連れでキャンプをする人が増えています。右端の方にいた二家族は3日以上ここにいるそうです。また、キャンピングカーで旅行している人も増えています。
テントを張り終わり、食堂が駅の近くにあると聞いたので行ってみたが、店は閉まったまま。新庄市のほうに数キロ走ったら、食事処の看板が見えたので駐車場に入ると、大型トラックが沢山停まっていた。店に入り注文しようとすると、元気の良い女将さんが今日は麺類が沢山出てスープがなくなったので、ご飯物しかできませんという。ご飯物を注文し、出来てくる間テレビで甲子園野球を観戦。酒田が勝ち残っていて、地元の人は喜んでいた。
女将さんが知り合いからもらった物だが、美味しいから食べて下さいと西瓜を持ってきてくれた。シャリシャリした歯触りで甘い。シャリシャリする食感の西瓜は何年ぶりだろう。これは旨い。KYさんが今頃は山形の西瓜が美味しいんだと教えてくれた。
公園に戻り、小雨がポツリポツリするので、芝生の中にある東屋で夕涼み。水も空気も澄んだ場所でのキャンプは気分爽快だ。夜は寒さを感じるほどに涼しくなるので、気持ちよく熟睡できる。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
今回のアユ釣旅行での川への出方は、佐藤垢石が昭和初年に越後魚野川浦佐付近の漁師に説いた教えを全く無視したもので、垢石が我等3人組を見たら「諸君は鮎釣に対する真剣さがまるでない。」とかんかんに怒ることだろう。
垢石は「律儀」のなかで、次のように越後の漁師に説いているのだ。
『 殊に、諸君は朝は遅く、夕は早く竿を畳んで帰つてしまふのは心得ぬことだ。鮎といふ魚は、早朝あたりの閑静の時間には、安心して汀近くの石についた水垢を食ひに寄るけれど、陽が高くなつてくると、沖へ出てしまふ。諸君が、九時ごろになつてから川へ行つたのでは、鮎は沖へ出てしまつたあとだ。
早朝の鮎は、食慾が旺盛だ。従つて、掛りが早い。だから、諸君は一日のうち最も釣れる時間を見遁してゐるわけになる。
また夕方の時間のことも注意を要する。陽が西に傾いた午後四時すぎになると、鮎は再び汀近くの水垢を慕って集つてくる。磧に釣人がゐたのでは、人を恐れて汀近くへ寄来らぬが、あたりが静かになると、薄暮の頃に至るまで、鮎は邊地の石の水垢を争ひ食つてゐる。この時間に、鮎は激しい闘争性を發揮する。これを、日暮れの食ひだしといふ。
こゝが、釣人の狙ひどきなのだ。』と。
その通りなのです。でも、9時過ぎに川へ出て行っても、釣る場所があるしそこそこには釣れると思うと、ついついのんびりしてしまう老3人組なのでありました。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
第10日目 8月12日(金) 小国川・瀬見温泉
小国川瀬見温泉、弁慶橋下流
天気:雨
水温;18〜19℃ 水色;澄み
釣果:0
弁慶橋より下流を望む
弁慶橋から川が見えなくなる先まで、大石の詰まった瀬・荒瀬が続きます。
朝から冷たい雨が降る中、水辺まで低木が生えているので川に立ち込んでの釣で寒くなりました。
雨空で川の様子も分からず、撃沈でした。
晴天で、足場も良く見える日ならば、面白い釣り場だと思います。
義経橋より下流瀬見温泉方向を望む
橋の下は淵で、瀬が温泉場まで続き、そのあと弁慶橋までトロになっています。
川の左手が温泉場です。右岸側に見える広場へは、義経橋の脇から入っていけます。テントが二張りありました。
橋の上手は、大石の詰まったトロ瀬のように見えましたが、以外に押しが強いのかもしれません。魅力的な場所です。
瀬見温泉の前
上の写真のすぐ下です。川がカーブした所に上の写真の広場があります。
公衆浴場で身体を温めた後に撮りました。
左手の家並みの向こうに国道47号があります。
温泉に入ったあと、川を見ると二人竿を出していました。
昨夜から小雨が降り続き、今朝は半袖では寒いくらいだ。以前ここに来たときも雨模様で長袖を着ていても寒いくらいだったことを思い出した。
テントを張ったすぐ傍に東屋があり、朝のコーヒーをここで沸かして飲んだ。
昨夜賑やかに話が弾んでいた釣り人以外のテントからはまだ人が出てこない。
陸奥の鮎釣旅行の最終日は、瀬見温泉でやることにし、舟形の河川公園から川沿いに瀬見温泉へ向かった。
弁慶橋を渡り瀬見の町並みに入るとオトリ屋が見えたので、様子を聞くことにした。甚平姿の主人の話では、義経橋〜瀬見温泉は7月は釣れたが最近はあまり良くないという。最近は弁慶橋の下の瀬で地元の人が良形を釣ってくるという。
弁慶橋のすぐ手前を右岸沿いに道があるから、少し行くと栗の木があり広くなっている所があるのでそこに車を停め、川へ降りると良いと教わり、下手の栗の木のある場所へ向かった。
地元の人が車を停め、釣支度をしていたので、川への降り口を教わり、雨に濡れながら栗の木の下で着がえをした。急な斜面を降り、川へ出たが、河原は全く無く、岸際まで木が茂っていた。先に来ていた地元の人は荒瀬の始まりに竿を出していた。
岸辺でも膝から腰くらいの水深がある。上手の方に向かい岸辺が浅くなった所をさがして釣を始めた。初めての場所で、雨だから、底に大石が敷き詰められているような感じはするが、川の中の様子が良く分からない。
地元の人は川底の様子を良く承知しているようで、流れの中ほどまでも荒瀬の中に立ち込んで行き、昼頃までに5本ほど良形をあげた。何本かは身切れでバレた。
こちら3人組は岸辺から1〜2mの所から竿を出すのが限度だ。すべって下の荒瀬に流されたらお陀仏だ。
昼過ぎまでやったが、KYさんが1匹良形を掛けただけ。雨で寒いので早々と終了。
冷えた身体を温めようと、瀬見温泉街の義経橋と瀬見橋の間にある公衆浴場へ向かった。一般の人は朝6時から夕方6時まで利用出来る。それ以外の時間は街の組合員の家族しか利用できない。入り口の自動ドアの脇に、百円を入れるボックスがあり、百円入れると自動ドアが開く仕組みだ。6時以降は百円入れてもドアは開かず入れたお金も戻らないと壁に書いてある。
中へ入ると、脱衣場と掛け流しの浴槽が一つあるだけで、それ以外は何もない。中の様子を湯に浸かりながら眺めるとかなり年月がたっているようだ。石鹸が使えるのか試してみたら、問題なく泡立つ。温泉で石鹸が使えるというのは珍しいのではないだろうか。どおりで上がり湯も何もないはずだ。24時間掛け流しだから、湯船の湯で洗っても大丈夫。ゆっくり温泉を楽しんだ。
冷えた身体が温まったが、今度は汗がなかなか止まらない。よく温まる温泉だ。
雨が小降りになったので、温泉の裏の川を見た後、義経橋のあたりの川の様子を見にいった。
橋の両側に義経が笛を吹く像が立っている。橋のそばには駐車場ときれいなトイレがあった。
橋から下流、上流を眺めたが、こちらのほうが弁慶橋下流よりははるかに楽チンなかんじで、橋の上手のトロ瀬も大きな石が敷き詰められた感じで魅力的に見えた。こちらで竿を出してみるのだったと思ったが、今からまた釣る気にはならない。次回来た時の楽しみにしておこう。
最終日は最悪の結果ではあったが、それなりに楽しんだのだから、良しとしよう。
第11日目 8月13日(土) 小国川より横浜へ
この後どこかの川へ寄ってみる事も考えたが、寒河江のあたりは大雨だったようだし天気予報はあまり思わしくない。それにお盆の帰郷ラッシュが始まっている。今日帰るのが潮時というものだ。
青森、秋田、山形の鮎釣旅行は、終わってみればあっという間の10日間だった。
どの川も魅力一杯で、鮎釣をしましたというには其々の川に数日間滞在をしなければその良さを実感できないような気がした。米代川水系や最上川水系にいたっては、名の知れた釣り場を回るだけでも、一月いても足りないようにさえ思えた。
関東以西に比べれば、東北地方の釣期は一月も短いけれど、その短い釣期を補っても余りある魅力的な釣り場と真黄色のアユが鮎師に充実した夏を与えてくれるのだ。東北のアユ釣愛好家は幸せだ。
そんな思いを胸に、帰途に着いた。
陸奥釣行日記をようやく書き終えた。拙い文と写真ではあるけれども、其々の川の雰囲気とその魅力の幾分かはお伝えすることができたのではないかと思う。(8/23記)