3防環室第25号
                                平成3年6月28日  

  三重県理事 殿    

                           科学技術庁原子力安全局
                           原子力安全課防災環境対策室長
                                  漆 原 英 二    

 平成3年6月6日付け「チタン鉱石問題に関する対応方針」に基づく調査内容の報告について  

 標記の件について、4省庁打ち合せの上、当分の間以下の資料で報告して頂くことにしますので、よろしくお願い致します。
 調査及び報告書の記入等は事業者において実施しても差し支えないものと考えていますが、必要に応じ地方公共団体の職員の方々にも調査等に立ち会って頂くよう、併せてお願い致します。
 平成3年度に限っては、同封しました「工場敷地境界、工場内の空間放射線量率測定」、「鉱石の輸入時の調査」及び「廃棄物の調査」に関する報告書は10月に提出して下さい。
 なお、平成2年9月7日付け「チタン鉱石問題に関する基本的対応方針」に基づく調査に関して、平成2年9月26日付け事務連絡で依頼した件は廃止致します。ただし、平成3年4月分として試料採取し、現在分析中の敷地境界の大気、排気筒の大気、及び工場内で生じた廃棄物の分析結果は同封しました別添5、別添13に準じて分析結果が得られ次第報告願います。    

また、この資料の写しを事業者にも送付しておりますので、念のため申し添えます。  

 本件についての問い合わせ先、提出先
 〒100 東京都千代田区霞ヶ関2−2−1
 科学技術庁原子力安全局防災環境対策室
  山野、池内、
 電話 03−3581−5271(内線861、862)
 (関係省庁については、科学技術庁で取りまとめて配布しますので、調査資料T.〜W.については4部、X.Y.については2部送付願います。)  


T.工場敷地境界、工場内の空間放射線量率測定について
1.測定装置
   シンチレーション式サベイメータ
   グレイ表示のエネルギー補償型
2.測定対象地点
 [工場]
・ 敷地境界は50mごとに測定する。
・ 敷地内 原料鉱石(産地別又は各山ごとに測定)
      廃棄物 (廃棄物発生場所及び一時保管している時は各山ごとに測定)
      その他通常よりも空間放射線量率が高い場所。
・ 併せて、鉱石置き場、廃棄物置き場の作業状況(労働時間、人数)を記入する。
・ 測定地点については、縮尺のわかる地図に場所の特徴(例、鉱石置き場)を明示し、その資料(A4の大きさ)を添付する。
3.測定結果報告時の単位
   μGy/h(マイクログレイ/時間)

  (参考)
 単位の変換を行う必要があるときは次の関係に基づき行う。
  実効線量当量(シーベルト)の推定値を求めるには、空気吸収線量(グレイ)には0.8を乗じ、照射線量(レントゲン)には7×10−3を乗じる。[環境放射線モニタリングに関する指針 平成元年3月 原子力安全委員会より]
4.調査頻度
  6ヶ月に1度、毎年4、10月に実施する。
5.報告書形式及び記入方法
  別添1〜3参照
6.報告書の提出
  毎年5月に他の調査結果とともに科学技術庁防災環境対策室に提出する。
  ただし、異常値が測定された場合には適宜報告する。

(別添3)
  工場敷地境界用 の空間放射線量率結果報告書の記入方法
a :同一地点において5回程測定し、その平均値を小数点以下2桁までを記入。
A :左欄のaの値に宇宙線分0.03μGy/hを加えた値を記入。
採っている措置:廃棄物の移動、盛り土等を記入。措置を施していない所は無しと記入。  

工場内用 の空間放射線量率結果報告書の記入方法
測定場所:鉱石置き場、廃棄物置き場、その他の工場内(事務棟、代表的な生成行程場所等)別に記載し、鉱石名、廃棄物の種類等を記載し、測定場所に対応する番号を記入。)
電離放射線障害防止規則との比較:a−b(μGy/h)に1週間の平均労働時間と0.8と10-3を乗じてmSv/週間に変換した数値を記入。(0.3mSv/週間を超えているときは、直ちに科学技術庁に報告すること。)
採っている措置:バックグラウンド程度を超える場所については、人がみだりに立ち入らないようにしているさく等の区画や立入制限等の採っている措置を記入。鉱石や廃棄物については飛散・流出防止、吸入防止等の採っている措置も併せて記入。
労働時間と人数:その場での週間の1人当りの平均労働時間(単位:時間)と労働者の人数を記入。
バックグラウンド:工場内で鉱石、廃棄物の影響のない場所で測定した値。bは測定値を、Bは測定値bに宇宙線分を加えた値を記入する。  

U.大気、排水の放射能濃度について  
1. 試料採取地点
・ 大気 1)作業環境中で空間放射線量率が高く、かつ鉱石が最も発じんしやすい鉱石置き場1箇所。
     2)排気塔から最も近い敷地境界で1箇所。
・ 排水 敷地境界外に排出するすべての場所。
・ 採取地点については、縮尺のわかる地図に明示し、その資料(A4の大きさ)を添付する。
2. 採取方法
・ 大気 1)鉱石置き場の大気は1,000立方メートル程度を、ハイボリュームエアサンプラを用いて、作業時間のみ、日本分析センターから送付したろ紙に集塵する。正確な吸引量を記録する。
    2)敷地境界の大気は1,000立方メートル程度を、ハイボリュームエアサンプラを用いて、日本分析センターから送付したろ紙に集塵する。正確な吸引量を記録する。
・ 排水 20リットルを採取し塩酸(JIS特級約36%)40ミリリットルを添加。排水が濁っている場合はしばらく容器内で不溶物を沈降させた後、上澄み液20リットルを試料とし送付する。
3.試料の送付
 (財)日本分析センターに送付する。
 281 千葉市山王町295−3
  (財)日本分析センター 分析部 分析業務課
  TEL 0434 23 5325

4.調査頻度
 1年に1回、毎年4月に実施する。
5.報告書形式及び記入方法
 別添4〜7参照
6.報告書の提出
 毎年5月に他の調査資料とともに科学技術庁防災環境対策室に提出する。  

(別添7)
敷地境界大気用 排水用 分析結果の記入方法
採取場所:工場の地図に対応する番号を記入する。
分析供試料:分析に用いた試料量を記入する。(日本分析センターの報告を基に記入する。)
測定結果:日本分析センターの測定結果をA±Bの形で記入する。226Raの補正値は(参考1)に基づき計算する。
濃度限度との比較:各核種の測定値と「試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則等の規定に基づき、線量当量限度等を定める件」の周辺監視区域外の空気中または水中の放射性物質の放射能限度(参考2)との比をとり、その総和を記入する。総和が1を超える時は直ちに科学技術庁防災環境対策室に報告する。  

鉱石置き場大気用 分析結果の記入方法  
濃度限度との比較:各核種の測定値と「電離放射線障害防止規則の規定に基づき労働大臣が定める濃度及び方法」の空気中の放射性物質の濃度に関する限度(参考3)との比をとり、その総和を記入する。
作業員の被ばく線量:外部被ばく線量+内部被ばく線量。この値が0.3mSv/wを超える時は直ちに科学技術庁防災環境対策室に報告する。
外部被ばく線量:空間放射線量率(バックグラウンドを差し引いた値)×作業時間(h/w)×0.8×10−3
内部被ばく線量:濃度限度との比の総和×作業時間(h/w)/48  

 その他の記入方法は、上記の敷地境界大気用、排水用と同じ。  

 V.鉱石の輸入時の調査について  
V−1.空間放射線量率の測定(原産国で)
1. 測定場所
   原産国で鉱石の空間放射線量率を測定する。鉱石の上で測定可能なら鉱石の上1m、鉱石が山になっていて鉱石上で測定できない時は鉱石の側面1mで地上1mの箇所。
2. 測定結果
 測定結果は別添8の形式に準じて記録し保存する。科学技術庁への報告は必要ない。

V−2.空間放射線量率の測定(港湾での荷揚げ時)
1. 測定場所
 鉱石の空間放射線量率を測定する。さらに、作業時に空間放射線量率が高くなる場所において適宜測定する。
2. 測定結果
 別添8参照
3. 電離放射線障害防止規則の基準との比較のための評価値
 a−b(μGy/h)に1週間の平均労働時間と0.8と10−3を乗じてmSv/週間に変換した値を記入する。この値が0.3mSv/週間を超えているときは、直ちに科学技術庁防災環境対策室に報告すること。
4. 採っている措置
 鉱石の荷揚げ時においても、工場内の鉱石置き場に準じ、鉱石の飛散・流出防止、吸入防止のための措置を講じることとし、そのために実施している措置を記入する。
5. 報告書の提出
 毎年5月に他の調査結果とともに科学技術庁防災環境対策室に提出する。

V−3.空間放射線量率の測定(鉱石置き場搬入時)
1. 測定場所
(1) 山積みされた鉱石の側面から水平方向に1m離れた所で、垂直方向は鉱石のない地面の上1mにおいて、サーベイメータを持ち、ゆっくり歩き空間放射線量率が他より高い箇所がないか調べる。
(2) 他より高い箇所があればその箇所の測定を行い、他より高い箇所がなければ、山積みされた鉱石の周囲を数箇所測定し、その中の最大測定値を報告する。
2. 調査頻度
  鉱石の輸入のつど行う。
3. 輸送時の措置
鉱石の輸送時においても、工場内の鉱石置き場に準じ、鉱石の飛散・流出防止、吸入防止のための措置を講じることとし、そのために実施している措置を記入する。
4. 報告書形式
  別添9参照
5. 報告書の提出
  毎年5月に他の調査結果とともに科学技術庁防災環境対策室に提出する。

V−4.放射能調査
1. ウラン、トリウムの重量濃度の測定(空間放射線量率が最大地点の鉱石を分析)
2. 調査頻度
  鉱石の輸入のつど行う。
3. 報告書形式
  別添9参照
4. 測定結果について
  ウランの重量(ppm)を430で、トリウムの重量(ppm)を1800で除し、その和が0.8以上の時は、次の「V−5.詳細な放射能調査」を行う。
5. 報告書の提出
  毎年5月に他の調査結果とともに科学技術庁防災環境対策室に提出する。ただし、上記4.に該当する時は、直ちに科学技術庁防災環境対策室に報告する。

V−5.詳細な放射能調査
1. 試料量
 500gを日本分析センターに送付する。
2. 測定結果について
 ウラン、トリウム系列の全核種の総和が74Bq/gを超える時は、直ちに科学技術庁に報告する。総和の計算方法は、測定した核種は測定値を、また測定していない核種は親方向の最も近い測定した核種と同じとする。ただし、222Rnと218Poは214Pbと、220Rnと216Poは212Pbと同じとする。
3. 報告書形式
 別添9参照
4. 報告書の提出
 分析結果が得られれば、直ちに科学技術庁防災環境対策室に提出する。

  W.廃棄物の調査について
W−1.工場外へ持ち出すときの空間放射線量率測定
1. 測定場所(「チタン鉱石問題に係る検討の結果と今後の対応について」(平成3年5月30日科学技術庁原子力安全局チタン鉱石問題検討会)中の参考10を参照)
(1) 山積みされた廃棄物の側面から水平方向に1m離れた所で、垂直方向は廃棄物のない地面の上1mにおいて、サーベイメータを持ち、ゆっくり歩き空間放射線量率が他より高い箇所がないか調べる。
(2) 他より高い箇所があればその箇所の測定を行い、他より高い箇所がなければ、山積みされた鉱石の周囲を数箇所測定し、その中の最大測定値を報告する。
(3) 上記以外の測定方法で測定を行う場合には、事前に科学技術庁と協議すること。
2. 調査頻度
 廃棄物の山で測定する時は山ごとに、トラックで測定する時はトラックごとに測定する。
3. 輸送時の措置
  廃棄物の輸送時において、廃棄物の飛散・流出防止、吸入防止のための措置を講じることとし、そのために実施している措置を記入する。
4. 搬出基準値を超えている時の取り扱い方法
  搬出基準値を超えている廃棄物に対する工場内での取り扱い方法を記入する。
5. 測定結果について
 廃棄物に起因する空間放射線量率が1.4μGy/hを超える時は次の「W−2.放射能調査」を実施する。
6. 報告書形式
  別添11、12参照
7. 報告書の提出
 毎年5月に他の調査結果とともに科学技術庁防災環境対策室に提出する。ただし、上記5.に該当する時は直ちに科学技術庁防災環境対策室に報告する。

W−2.放射能調査
1. 試料量
 500gを日本分析センターに送付する。
2. 測定結果について
 ウラン、トリウム系列の全核種の総和が74Bq/gを超える時は、直ちに科学技術庁防災環境対策室に報告する。総和の計算方法は、測定した核種は測定値を、また測定していない核種は親方向の最も近い測定した核種と同じとする。ただし、222Rnと218Poは214Pbと、220Rnと216Poは212Pbと同じとする。
3. 報告書形式
 別添13参照
4. 報告書の提出
 分析結果が得られれば、直ちに科学技術庁防災環境対策室に提出する。


   
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