<傍聴メモより>
 
 被告側の主張は弁護人の陳述、被告人質問を通じて、量刑は重すぎて不当であり、
執行猶予が相当であることを説明するもので、
「搬出業者に3000円/1トンを支払い、今回、起訴された4件についても、投棄した
量13万5千トンくらいなので全部で4億円も必要となるが、会社の承認なくして被告に
独断でできるわけがなく、会社ぐるみの犯行である。不法投棄罪の成立について法の
条文によれば、ファエロシルトは汚泥であり、不用物。販売者が20倍もの負担をする
のは間違いなく不用物で産廃であり、搬出するだけで違法。六価クロムが出たことは
不法投棄罪の要件とはならない。検察官の不法投棄の解釈は誤っている。懲役に処せ
られるのは当然であるが、会社ぐるみであったことが考慮されるべき。
 中部空港にフェロシルトを出せないことが確定した後のH13.4/27のH12年度の決算取
締役会で、中部空港に搬出が決定したとして、1トンあたり3000円、フェロシルト27
万8千トン、8億4千万円を酸化チタン売り上げ原価勘定で引き当てを決議しておき、中
部空港以外に搬出した。このようなことは株主や世間を欺く行為である。この取締役
会には、被告は取締役ではないので陪席していたが、大変驚いた。四日市工場でつくっ
た予算書が本社に送られ承認を受けるという手続だったが、このH13年度のフェロシル
ト搬出費は四日市工場の判断ではなく、本社の判断で盛り込まれた。
 起訴された亀山市辺法寺2件、長久手町(これは脱塩アイアンクレイ)、土岐市泉町で
のフェロシルト不法投棄は、いずれも会社の予算承認があって行われた。
 被告は反省の意味を表すものとして、H19.10.4に日弁連、三重県弁護士会に2000万
円の贖罪寄付を行っている。このお金は、被告所有の株券を売却し、貯金から降ろせ
る最大限を使って支払った。また、被告の退職慰労金8100万円が不支給になっている。
田村前社長は深く関与していたにもかかわらず、不処罰で退職慰労金を受け取ること
が決まっている。
 さらに、被告には石原産業から10億円の損害賠償請求訴訟が提起されており、株主
からは489億円の損害賠償請求の訴訟が提起されている。これらの請求がすべて認めら
れた場合、被告は裁判所に従うつもりだが、刑事処罰だけでなくすべての財産を失う
こととなる。」
 などというもの。
 検察は、「被告の主張はいずれも理由がない。原判決は妥当。」と主張。



11月14日13時4分配信 時事通信
不法投棄は「会社ぐるみ」=元副工場長、来月2審判決−名古屋高裁
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200711/2007111400398

 化学メーカー石原産業(大阪市)が産業廃棄物「フェロシルト」を不法投棄した事件で、廃棄物処理法違反の罪に問われ、一審津地裁で懲役2年の実刑判決を受けた同社四日市工場の元副工場長佐藤驍被告(70)の控訴審第1回公判が14日、名古屋高裁(田中亮一裁判長)であった。
 佐藤被告は被告人質問で「(投棄には)約4億円の費用が掛かり、私の独断では不可能」と主張。弁護側も「承認を受けてなされた会社ぐるみの犯行」とし、「不正の中核を担った」とした一審判決は不当と述べ、結審した。判決は来月26日。



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