中日新聞【社会】2007年9月21日 夕刊
石原産業が産廃不法投棄 愛知・瀬戸の2カ所に 元取締役ら告発へ
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007092102050562.html
 
産廃が不法投棄されていた現場=21日午前、愛知県瀬戸市広之田町で
 
 石原産業(大阪市)は二十一日、土壌埋め戻し材のフェロシルトが埋まっていた愛知
県瀬戸市の少なくとも二カ所に、農薬の原料の精製過程で生じる液体などの産業廃棄
物二百五十七トンを不法投棄していたと発表した。現場からは環境基準を超える六価
クロムやフッ素などが検出されたという。同社は四日市工場(三重県四日市市)の元副
工場長佐藤驍(たけし)元取締役ら七人を処分したほか、佐藤元副工場長らを近く廃棄
物取締法違反の疑いで津地検に刑事告発する。
 
◆05年8月に把握も公表せず
 
 不法投棄は佐藤元副工場長主導で行われ、同社はフェロシルト問題発覚後の二〇〇
五年八月に事実把握したが、公表していなかった。これらの責任をとり、コンプライ
アンス統括役員の林英樹副社長と前社長の田村藤夫相談役が二十日付で退任したほか、
安藤正義顧問が三十日付で辞任する。
 同社によると、佐藤元副工場長らは〇四年九月から十二月にかけ、四日市工場で農
薬の原料の精製過程で生じる有機物の副産物(一一二・五トン)と焼石こう(一四四・五
トン)との混合物計二五七トンの処理を、同社からフェロシルトを購入していた愛知県
内の複数の産廃収集運搬業者に依頼。業者が瀬戸市の広之田地区に約二百七トン、余
床地区に約五十トンを埋め立てた。
 副産物は劇物のフェナシルクロライドなど五種類の化合物を主成分にしており、年
間二百トンを精製。通常は、工場内で焼却処分されていたが、当時、工場内に蓄積さ
れていた廃棄物が増えていたため、不法投棄したらしい。ほかに約七十トンも埋め立
てる予定だったが、豪雨でフェロシルトが埋設地の近くの川に流出し、地元で問題と
なったため、中断されたという。
 同社が七月下旬に実施した広之田地区のボーリング調査で、現地からフェロシルト
とは異なる異臭物を発見。分析した結果、猛毒の六価クロムが土壌環境基準(一リット
ル中〇・〇五ミリグラム以下)の約八倍の〇・三九ミリグラム検出されたほか、環境基
準の約五倍の三・九ミリグラムのフッ素なども検出された。余床地区からは昨年十一
月に、埋設されていた約四万トンのフェロシルトが全量撤去されているが、広之田地
区には約六千トンのフェロシルトが埋まっている。
 佐藤元副工場長はフェロシルトの製造、開発を主導。六月に津地裁から廃棄物処理
法違反(不法投棄)の罪で懲役二年の実刑判決を受けている。
 
 
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中日新聞【社会】2007年9月21日 14時04分
石原産業が産廃不法投棄 元取締役らを告発へ
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007092190140148.html
 
 有害物質が検出された土壌埋め戻し材「フェロシルト」の製造元の化学メーカー石
原産業は21日、フェロシルトが埋設されていた愛知県瀬戸市の山林など2カ所に、同社
四日市工場(三重県四日市市)から出た産業廃棄物257トンを不法に投棄していたと発表
した。
 同社は近く、この不法投棄を主導したとして、元取締役で元四日市工場副工場長の
佐藤驍被告=廃棄物処理法違反罪で公判中=らを津地検に告発するとしている。また、
投棄後に事実を知りながら隠していたなどとして、前社長の田村藤夫相談役ら幹部3人
が辞任、4人を降格した。
 同社によると、佐藤元取締役らは2004年11、12月、農薬原料の製造過程で出る副産
物など約257トンを、四日市工場から搬出。搬出業者が愛知県瀬戸市の広之田地区と余
床地区に埋設した。
 余床地区の埋設分はすでに撤去。広之田地区からは環境基準を超える六価クロムな
どが検出されており、フェロシルトとともに今後撤去する。
 佐藤元取締役は、搬出業者に口止めのためとみられる現金も支払っていたという。
05年8月には、田村相談役ら幹部が不法投棄を知ったが、社内の対策委員会に報告せず、
2年間公表しなかった。
 愛知県庁で会見した同社の織田健造社長は「不法投棄はフェロシルト問題と同じく
佐藤元取締役の主導。(会社ぐるみの隠ぺいと)指摘されれば甘んじて受けるしかない」
と話した。
(共同)
 
 
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石原産業:残渣を民有地に不法投棄 農薬原料製造で発生
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070921k0000e040064000c.htm
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新たな産業廃棄物の不法投棄と佐藤元取締役の刑事告発と発表する石原産業の織田健
造社長(手前)=愛知県庁で21日午前11時15分、小林努撮影
 
 土壌埋め戻し材「フェロシルト」の不法投棄事件で有罪判決を受けた東証1部上場の
化学メーカー、石原産業(大阪市)は21日、事件で懲役2年の実刑判決を受けた同社四日
市工場元副工場長、佐藤驍(たけし)被告=控訴中=らが、農薬原料の製造過程で生じた、
六価クロムなどの有害物質を含む有機物残渣(ざんさ)を愛知県瀬戸市内の民有地に不
法投棄していたと発表した。
 同社は近く、佐藤被告らを廃棄物処理法違反容疑で津地検に刑事告発する方針。
 同社によると、佐藤被告らは04年11月3日〜同年12月3日の間、同工場で発生した六
価クロムやフッ素を含む有機物残渣に、固形化するために焼石こうなどを加えた産業
廃棄物約257トンを瀬戸市広之田町と余床町の民有地に埋設した。六価クロムは環境基
準(1リットル当たり0.05ミリグラム)の約8倍、フッ素は基準値(同0.8ミリグラム)の
約6倍検出された。周辺の井戸水や河川からは有害物質は検出されていないといい、同
社は「人への健康や周辺環境への影響はない」などと話している。この残渣は通常、
工場内で焼却処理することになっていた。
 この不法投棄は佐藤被告が主導し、同社従業員らもかかわっていた。今年7月、広之
田町でフェロシルトの埋設が新たに確認され、同社がボーリング調査をした際、フェ
ロシルトとは異なる異臭物が発見され、調査していた。05年8月ごろには佐藤被告が会
社側に残渣の不法投棄に関する情報を伝え、田村藤夫前社長(当時社長)も把握してい
たが、愛知県には報告していなかったという。田村前社長は20日付で相談役を辞任し
た。
 民有地は土地の整地などを請け負っている建設業者の敷地で、資材置き場や空き地
になっている。現場は東海環状自動車道せと品野インターチェンジの北側で、周辺に
はゴルフ場のほか小中学校や老人福祉施設などもある。【武本光政】
毎日新聞 2007年9月21日 13時21分 (最終更新時間 9月21日 13時55分)
 
 
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