3年前 買収合意 <2007年06月28日 朝日新聞 愛知>
【瀬戸市計画の「万博記念公園」用地】
●市民に不要論あるのに・・・
瀬戸市が「やきものモニュメント」を中心に整備を進める瀬戸万博記念公園(仮称)
の土地に関し、同市と土地を所有する県住宅供給公社の間で万博開幕前の04年4月に
「市が有償で取得する」との合意書を交わしていたことが分かった。この公園につい
ては、必要なのかどうか市民の間で今も意見が割れている中で、市はすでに3年前に買
収の方針を決めていたことになる。約7400平方メートルを約2億2千万円で購入する議
案は28日の市議会で採決される。
市によると、計画では万博が開催された際、瀬戸会場の入り口付近に設置されたや
きものモニュメント(直径30メートル、深さ7メートル)を「愛・地球博を未来に伝える
文化遺産」と位置づけ、周辺に観覧席や緑地を設ける。総事業費は4億5千万円を見込
む。
整備面積約1万3千平方メートルのうち、公社が公園として整備する予定の約5500平
方メートルを除いた土地を購入する議案が、この6月市議会に提出されたが、市はこの
議案を提出するまで議会側にも合意書の存在を明らかにしていなかった。
公園を巡っては、以前から市議や市民の間で不要論や「公社から土地を借りればい
い」などといった意見が出ていた。6月市議会の委員会で、公園整備に反対する市議が
「事前に購入が決まっていたのではないか」と指摘し、合意書の存在が発覚した。
合意書は万博開催前の04年4月16日付で、「市は博覧会記念公園として整備する敷地
を公社から有償で取得することとし、06年度に売買契約を締結する」としており、万
博開催にあたってのモニュメント施工は合意書の締結を前提としていた。
市はこれまでの市議会で「モニュメントは閉会後も現地に残す」「いろいろな財源
を視野に入れながら市費の軽減を図る」と説明。07年度の当初予算案にも公有財産購
入費として2億4千万円を計上したが、万博開幕前から購入を決めていたことには触れ
ていなかった。
問題を指摘した市議は「何度も説明する機会はあったのに、なぜ今になって……。議
会軽視も甚だしい」と憤る。別の市議も「公社から土地を借りるという方法もあった
はず。まず購入ありき、というのは税の無駄遣いだし、まったく説明責任を果たして
いない」。
大竹朝男副市長は「隠していたわけではない。土地取得の交渉は微妙な問題であり、
舌足らずな面や誤解を与える面があったかもしれない」と話している。(青瀬健)