<2007.1.13 とうめい新聞>
幡中町フェロシルト全量撤去へ
石原産業提訴取り下げ 瀬戸市長に報告
増岡市長に提訴取り下げ、フェロシルトの全量撤去を報告する石原産業の田村藤夫社
長(正面中)ら=瀬戸市役所で
瀬戸市幡中町に埋設された土壌埋め戻し材「フェロシルト」の撤去を命じた愛知県
の措置命令について、名古屋地裁に取り消しを求めて提訴していた製造元の石原産
業(大阪市)の田村藤夫社長が12日夕、瀬戸市役所で増岡錦也市長に会い、同日、神田
真秋知事に提訴を正式に取り下げたことを伝え、全量撤去の新たな計画書を提出した
ことを報告して了解を求めた。
同社は昨年5月、▽埋設地から有害な六価クロムは検出されていない▽周辺土砂を含め
た撤去量が約200万トンに及ぶ可能性があり、作業の長期化で二次被害も懸念される―
などとして措置命令の取り消しを求めて提訴。その後の口頭弁論で同社は「全量を撤
去しなくても安全性は確保できる」と強調。現地での「封じ込め案」を主張していた。
訴えの取り下げについて、同社は住民の気持ちを考慮したと説明したが、昨年12月
には不法投棄事件の捜査が終結。フェロシルトを不法投棄した廃棄物処理法違反の罪
で、法人としての同社や元幹部が起訴されたことから、同社は請求が認められる可能
性が低くなったと判断し、問題解決の道を探る必要に迫られたとみられる。
幡中町の埋設量は、東海三県下で最大の13万7000トン。提出された計画書によると、
撤去するフェロシルトは、すでに撤去された1万トンを除き土砂を含めて26万トンで、
▽防災上必要最小限の埋め戻しを除き現状への埋め戻し、造成は行わない▽工期は2013
年度末の約7年間▽1ヵ月間に土・日曜、祝日を除く毎日(午前8時〜午後5時)稼働▽1日当
たり最大100台(10トン車)が稼働▽同市余床町の民間最終処分場・クリーン開発を処分
場とする―などとなっている。
報告を受けた増岡市長は、「あくまでも全量撤去を求めるという従来からの市や地
元住民の意向に沿ったもので、一歩前進したと理解する」とし、「全量撤去には時間
を要するが、一日も早い撤去に務めてほしい」と話すとともに、同社に対して地元住
民への周知、説明を進めるよう要望した。
この日、田村社長は同市の伊藤清武・菱野自治会長らとも面会し、提訴取り下げと
撤去計画書の提出を報告。伊藤会長は「撤去決定は、住民にとってはよかったが、方
針変更を評価しているわけではない」と話した。
同社は近く、県、市をまじえて地元住民への説明会を開く予定。
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2007.1.14 中日新聞 愛知【尾張】
フェロシルト全量撤去2013年末までに
石原産業社長が陳謝
http://www.chunichi.co.jp/00/ach/20070114/lcl_____ach_____009.shtml
地元・菱野自治会の役員に頭を下げる石原産業の田村藤夫社長(左)と安藤正義常務=瀬
戸市自治会館で
瀬戸市幡中町のフェロシルト撤去問題で、製造元の石原産業が12日、県の撤去命令
取り消しを求めた訴訟を取り下げたことについて、地元の菱野自治会役員は「全量撤
去に向けスタートラインに戻った」と歓迎した。しかし、フェロシルトは同市余床町
の民間最終処分場に運び込まれるだけに、近くに住む男性(58)は「有害物質を含むと
されるフェロシルトが大量に運び込まれるのは不安だ」と表情を曇らせた。
石原産業が県に提出した計画書では、同社が民有地である同所を取得する。撤去量
は土砂を含めて26万トンと試算し、工期は2013年末までの約7年間とした。
搬出先は同市余床町の民間最終処分場「クリーン開発」で、1日当たり最大10トンダ
ンプカー100台が稼働。防災上最小限の工事を除き、埋め戻しを行わないと明記されて
いる。同社はこれまで、土砂を含めた撤去量は200万トンになるとみていた。
同社の田村藤夫社長は12日、瀬戸市役所で増岡錦也市長と面談したのに続き、菱野
自治会の役員3人と会って「ご迷惑をお掛けしおわび申し上げる」と陳謝。同自治会フェ
ロシルト対策特別委員長の伊藤明さん(67)は、余床町の処分場への搬出について「県
が認める場所であれば、地元が制約を付ける理由はない」と話した。
また瀬戸市は、同社の提訴で昨年5月21日以来中断していた市、学識者、地元住民ら
で組織した「幡中地区フェロシルト撤去方法等検討会」が、県主導で2月にも再開され
る見通しであることを明らかにした。
(細井卓也)
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