瀬戸市長 増岡錦也 様
           
                     要望書

今年1月、名古屋地検によって摘発された05年度瀬戸市の公共事業に関する
談合事件について、去る9月22日、名古屋地裁にて4名に対する有罪判決があ
りました。元瀬戸建設業協会・森山雄一被告に対する判決は「懲役1年6か月。
執行猶予3年」です。判決理由では「瀬戸市が談合防止のため導入した郵便公
募型指名競争入札において、弱点を研究したうえ、設計書を記録したCDの受
け渡しの際に業者が名刺入れに名刺を入れる慣習を利用して入札予定者を把握
するという手の込んだ犯罪であり、実績、結果等社会的に非難されるものであ
る。森山被告は建設業協会会長として大林組の小林を巻き込むとともに地元
業者を取りまとめた。談合において中心的な役割を果たした。」と指弾してい
ます。他3被告に対しても同様です。
 
裁判結果が出て談合問題の全容は明らかになったでしょうか。そして、今後、談合事
件は無くなるのでしょうか。
05年度瀬戸市の予定価格1千万円以上の発注工事は、<郵便公募型24件契約額7億9千7百
万円>、<工事希望型5件、6千4百万円>、<指名入札14件3億8千7百万円>ですが、これら
のうち、「談合の疑惑度が高い」とされている落札率(入札価格/予定価格)95%以上の
ものが43件中34件(79%)あります。これらの落札価格合計は9億2千7百万円です。また、
瀬戸市が談合防止のために導入した<郵便公募型24件>の平均落札率は95.7%です。裁判
の過程でも、検察官は論告求刑において「9月から11月までの12件について常習的な犯
行である」と、他にも談合疑惑があることを示唆しています。そもそも、摘発された
ものは一部に過ぎないし、今回の判決は氷山の一角を処断したものに過ぎません。そ
して今後再発しないという保障は何も無いと言わざるを得ません。
 
私たちは瀬戸市長及び市議会に対して「瀬戸市の公共事業を巡る談合疑惑問題のすべ
てについて調査・審議する委員会を設置し、厳正に調査し、すべての事実を市民に報
告してください」などを要点とする要望および陳情(5月22日付け)を行ってきましたが、
市長の態度は誠意が見られず、不審を抱かざるを得ません。
第一に、入札適正化法に基づいて作られている「瀬戸市談合情報対応マニュアル」に
は、市長が公正取引委員会に通報しなければならないことなどがこと細かく規定され
ています。今回、入札適正化法に基づいて適正に処理されてきたのかどうか疑わしい。
次に、瀬戸市の規則では、談合があった場合、落札額の20%を損害賠償請求することに
なっています。瀬戸市長は今回の裁判で有罪となった2業者3件については損害賠償請
求しましたが、検察官が示唆している残りの9件について、そして「談合疑惑度の高い」
落札率95%以上のすべてについても徹底した調査究明を行って、しかるべき措置をとる
べきです。
 
市民の税金が公明正大かつ有意義に使われていないこと、業界において力のあるもの
が犯罪行為によって不当な支配を行っていること、官民癒着の原因となる危険性をは
らんでいること、など、談合問題は行政を腐敗させる病巣です。市長は市民の不信と
怒りをもっと重大に受け止めるべきです。
 
私たちは以下の三項目について市長に要望いたします。

一 9月22日名古屋地裁にて有罪判決を受けた4業者3件だけでなく、談合疑惑が強いと
されている9件について公正取引委員会に申告するなど調査究明して、損害賠償などを
含むペナルティを科すこと

二 他の落札率95%以上の案件についても同様に調査究明すること

三 再発防止のために、すべて一般競争入札にすること、罰則の強化をすること、学
識経験者などを入れた入札監視委員会を設置することなど、出来ることをすべて実行
すること
 
以上。 

なお、これに対する回答は2週間以内に書面でお願いします。
 

2006年11月2日

瀬戸市の問題を考える市民ネットワ−ク


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