2006年9月12日
愛知県知事 神田 真秋 様
 
産業廃棄物「フェロシルト」の瀬戸市内処分場への搬入に対する
公開質問状及び要望書
 
                  「瀬戸市にこれ以上産廃はいらない」会
                  
                   瀬戸市の問題を考える市民ネットワーク

                 ダイオキシン・処分場問題愛知ネットワーク

 
 去る9月1日より、突然、瀬戸市北丘町(蛇ヶ洞)地区に不法に投棄されていた産業廃
棄物「フェロシルト」が、そこから目と鼻の先の距離にある瀬戸市余床町の産廃処分
場「クリーン開発」に搬入されています。これは、不法に持ち込まれた産廃を同一地
域でタライ回しにするものとして、強く抗議し、反対の意思を表明するものです。
 私共は、本年6月21日に、愛知県知事及び瀬戸市長宛てに、『瀬戸市から産業廃棄
物「フェロシルト」を全量完全撤去させてください!』との文書にて、産廃「フェロシル
ト」の瀬戸市内及び県内の産廃処分場への搬入を認めないことを含む3点の申し入れを
提出、そして、それに対する署名活動を実施、8月3日、第一回集約分の5379筆の住民
の意思を知事と市長にお届けしたばかりでした。
 8月28日には、産廃「フェロシルト」の瀬戸市内処分場への搬入を懸念しながら、
「クリーン開発」の見学会を催しました。その折も、処分場の関係者からも、「フェ
ロシルト」搬入については、「本社に聞いてほしい」として説明はしていただけませ
んでした。
 更に、8月29日に、石原産業(株)が愛知県の勧告に対して報告書を提出した折にも、
同時に北丘地区の「フェロシルト」の撤去計画書の変更が届けられたことについては
報道もされることがない中での、瀬戸市内産廃処分場への搬入でした。
 つきましては、今回の瀬戸市内産廃処分場への「フェロシルト」搬入に関して、公
開質問状及び要望書を提出させていただきますので、誠意あるご回答をお願い申し上
げます。
 なお、「フェロシルト」が搬入されている産廃処分場「クリーン開発」についても
併せて質問及び要望をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 
【質問】
(一)知事は、これまでずっと県内での「フェロシルト」処分は考えていないと発言さ
れていましたが、
 (1)いつ、「クリーン開発」への搬入の件を了承したのか、
 (2)知事の発言もあり、突然に県内処分の了承が決定されることは考えられない。石
原産業からの相談も含め、経緯を詳細にお教えください。
 
(二)「フェロシルト」は放射性物質を含み、管理が必要な産廃であるが、
 (1)1991年に国が示した「チタン鉱石問題に関する対応方針」に基づいた放射線量の
測定、記録等は、「クリーン開発」搬入にあたって実施されているか。
 (2)搬入された「フェロシルト」の一部は、処分場の耐震化対策とされる「セメント
安定処理工法」により、セメント粉とミキシングして要壁を構築する部分に埋設され
ていると聞くが、前述の国の指針においても、飛散・流出防止、吸入防止のための措
置を講ずるべきところ、「フェロシルト」とセメント粉のミキシングはこれに反する
ものではないか。また、ミキシングにより温度の上昇、乾燥等の要素が加わった場合、
六価クロム等の有害物質の生成が起こるおそれはないのか。その点について、どのよ
うに安全性の確認を行ったのか。
 
(三)「クリーン開発」への「フェロシルト」搬入に関して、地域住民への周知は行わ
れたのか。
 (1)行われたのであれば、誰が、いつ、どこまでの地域の住民にどのような方法で行っ
たのか、
 (2)その周知に対して、住民の反応はどのようなものであったのか(詳細に)。
 
(四)北丘地区以外の「フェロシルト」も瀬戸市内処分場への搬入を受け入れるのか。
 
(五)これほど大きな社会問題となった、不法に製造され投棄された「フェロシルト」
を、愛知県は産廃の不法投棄と認定したにも関わらず、最後まで県外への搬出を石原
産業と三重県行政に強く訴えていくことができなかったのはなぜか
 (1)知事ご本人の率直なご意見を伺いたい。
 (2)今後、幡中地区(デジタルタワー横)の「フェロシルト」の撤去に関してもご意見
を伺いたい。
 
(六)クリーン開発について
 (1)既存の産廃処分場の廃棄物を、なぜ拡張された施設の方へ移動させることになっ
たのか。管理型処分場に埋設された廃棄物の掘り起こしを可能とする法的根拠は?
 (2)既存の処分場には、アスベストがかなり入っていると思うが、どのように確認し
ているのか。
 (3)アスベストの移動はどのようにして行うのか。
 (4)同処分場施設見学会(8/28)の折、既存の処分場からの原水の悪臭はひどく堪え難
いものであったが、悪臭の軽減はもっと考えてほしい。新たな搬入が始まると益々ひ
どくなると思うが、どのような対策を講じるのか。
 (5)既存の処分場の廃棄物を移動させる(崩す)時、悪臭、ガス等の発生は、原水の悪
臭からも可能性が高いと思われるが、どのような対策を講じるのか。また、県は、掘
り起こし工事にどのように関わっていくのか、詳しく説明いただきたい。
 (6)耐震対策として、セメント安定処理工法を採用すると聞くが、どのようなものな
のか。図を持って詳しくご説明いただきたい。
 
【要望】
(一)8月29日に石原産業(株)から提出された、瀬戸市北丘地区の「フェロシルト」撤去
計画の変更についての文書及び、同市幡中地区についての報告書を公表していただき
たい。そのほか、これまでの「フェロシルト」問題にかかわる文書、資料等をホーム
ページ等にて、広く積極的に情報提供していただきたい。石原産業(株)との裁判で提
出のあった双方の書面等についても同様である。
 
(二)住民の希望がある度ごとに、「クリーン開発」の処分場の運用状況を見学できる
よう取り計らうと共に、住民の不安の声に応えて、県が責任を持って積極的な情報提
供を行うこと。
 
(三)「クリーン開発」の既存処分場の廃棄物の移動は前代未聞の事態である。移動の
前には、必ず住民、市民に広く周知するよう、県が責任を持って対処していただきた
い。
 
(四)「フェロシルト」撤去と「クリーン開発」に関して、愛知県と私共の話し合いの
場を持ちたい。
 
 
 以上についてのご回答を2006年9月19日までに下記連絡先まで文書にてくださいます
よう、よろしくお願い申し上げます。
 
 
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                               18循環第397号
                               平成18年9月22日
 
 「瀬戸市にこれ以上産廃はいらない」会 様
 瀬戸市の問題を考える市民ネットワーク 様
 ダイオキシン・処分場問題愛知ネットワーク 様
 
                             愛知県環境部長
 
 産業廃棄物「フェロシルト」の瀬戸市内処分場への搬入に対する公開質問につい
て(回答)
 
 2006年9月12日付けの質問については、別紙のとおりです。
 
                     担当 資源循環推進課
                        廃棄物監視指導室監視グループ
                       電話 052―954―6238
 
産業廃棄物「フェロシルト」の瀬戸市内処分場への搬入に対する公開質問状及び要望
書(平成18年9月12付)に対する回答
 
質問事項(一)
(1)、(2)
 平成18年8月29日、石原産業(株)から、瀬戸市北丘町地区に係る撤去計画書の修正版
が報告され、この計画の中にクリーン開発(株)への搬入について記載がありました。
 クリーン開発(株)の最終処分場は、法に基づく許可を受け適正に設置された処分場
であり、適正に処分される限り、フェロシルトが搬入されることに問題はないものと
考えております。
 
質問事項(二)
(1)
 クリーン開発(株)への搬入に当たっては、石原産業(株)がフェロシルト掘削現場に
おいて、毎日、フェロシルトに起因する空間放射線量率を測定し、0.14μGy/h以下であ
ることを確認しており、その結果は同社において記録保存されております。
(2)
フェロシルトとセメントのミキシングによる廃棄物の飛散・流出、乾燥等が起きたと
は聞いておりません。
 
 
質問事項(三)
(1)、(2)
 平成18年8月29日、石原産業(株)から、瀬戸市北丘町地区に係る撤去計画書の修正版
が報告された際に、クリーン開発(株)が地元の自治会に対して説明を行ったと聞いて
おります。
 なお、県に対して、住民の方々からの問い合わせ等はありません。
 
質問事項(四)
 石原産業(株)からは、北丘地区以外のフェロシルトを瀬戸市内処分場へ搬入する具
体的な計画は提示されておりません。
 
質問事項(五)
(1)
 石原産業(株)に対しては、埋設されているフェロシルト等を早期に全量撤去し、適
正に処分するよう強く求めて、四日市工場内への一時保管場所の拡張や県外の処分場
の確保についても指導してまいりました。
(2)
 幡中町地区のフェロシルトについても、早期の全量撤去を指導しております。
 
質問事項(六)
(1)
 クリーン開発(株)の同一産業廃棄物処分場内における廃棄物を移動することは、廃
棄物の飛散及び流出の防止、悪臭の発生防止など必要な措置を講じ、一般廃棄物の最
終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令に適合してい
る場合は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に違反しているとは言えません。
(2)
クリーン開発(株)において廃石綿等の埋立量及び埋立場所が記録されています。
(3)
クリーン開発(株)は、廃石綿等の移動は投入時の袋・容器が破損していないことを確
認し、大気環境中に飛散しないよう注意を払って作業するとしています。なお、投入
時の袋・容器が破損している場合は、飛散防止対策を講ずることとしています。
(4)
 クリーン開発(株)から、当該産業廃棄物処分場の浸出水に対する悪臭対策について
は、嫌気性にならないようばっ気等の対策を行うとなっております。
 
 
(5)
 クリーン開発(株)は、廃棄物移動時の悪臭対策として、悪臭の発生を防止するため、
中間覆土を残し、廃棄物が露出する部分を極力少なくするようにして作業するととも
に、必要に応じ、廃棄物露出部分へのシート掛けや消臭剤の使用を行うとしています。
 県は、維持管理基準等の適合状況について確認するため立ち入り検査を行っており
ます。
(6)
 クリーン開発(株)において実施されるセメント安定化処理は、堰堤、覆土及び廃棄
物にセメント10〜30%を添加するものであり、土質(強度特性)を向上させ、当該産業廃
棄物処分場の法面安定性を向上させるものです。


要望事項(一)
 行政文書の公開につきましては、愛知県情報公開条例に基づき行っております。
 
要望事項(二)
 最終処分場の設置者は、廃棄物処理法施行規則第12条の7の3に定める維持管理に係
る記録について、廃棄物処理法第15条の2の3に基づき、閲覧させることとされており
ます。
 見学に係るご希望については、事業者に伝えます。
 
要望事項(三)
 周辺住民への周知に係る要望については、事業者に伝えます。
 
要望事項(四)
 今後とも県民の皆様からのご意見には耳を傾けていきたいと考えております。


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