<海上の森通信より>

  デジタルタワー横の最大量の不法投棄フェロシルト
「無害化」「封じ込め」画策、さらには
  同じ瀬戸市内のクリーン開発処分場※搬入へ!?


 石原産業のフェロシルト(放射性物質を含むチタン鉱石廃棄物。有害な六価クロムや
フッ素も規制値を超えて含まれていることがわかった)不法投棄で最大量の瀬戸市幡中
地区(デジタルタワー横。土砂含め撤去量は200〜300万トンといわれる)のフェロシル
トを、撤去しないで「無害化」「封じ込め」も考えるなどという驚くべき動きが現れ
たことは新聞報道でご存知の方も多いと思う。フェロシルト問題は、大規模で悪質な
産廃の不法投棄であり、愛知県も既に産廃と認定、埋設地から全面的、完全な撤去を
行うよう命令を出し指導を続けている。産廃物を埋設現地に残してもよいとし、産廃
の不法投棄を助長するようなことが許されるというのだろうか。

 あるときから、市民団体関係者に、有害物質の「無害化」技術を持つという複数の
会社から売り込みの電話等が入ってくるようになったが、どうもそれは市民団体が納
得すればその方向で進むからということのようであった。その後、3/15に、愛知県に
撤去の遅れを謝罪に訪れた石原産業・田村社長がインタビューで「無害化も選択肢の
ひとつ」と発言したことがテレビニュースで報じられた。3/23に、瀬戸市環境課に状
況説明を求めたところ、『石原産業、県と協議を重ねているが、幡中については、生
活環境を保全しながら搬出する方法が非常に難しい。土を含め200万トン。自治会長が
私見として「今の状態で安全というお墨つきがつけば封じ込めも」と言っている。前
田建設が封じ込めの技術を持っているという。「無害化」の話は知らない。地権者で
ある名鉄は撤去してほしいだろうが、そうもいかないとなれば、石原産業が買うとい
う話にもなるだろう』などと説明。また、『幡中のボーリング調査は東邦地水が行っ
て、一番深いところで26メートル、サンプルはできるだけフェロシルトがピュアな部
分で採取している。(当時の砂防許可は10メートルのはずだったが?と尋ねると)こうい
う土砂採りはたいていそういうものでしょう』と砂防法違反に寛容な反応。また担当
者は、フェロシルトの受け入れ先として目処が立っていた神戸の処分場も断られたそ
うだと話したが、それも、「そうやって皆さんが危険だと騒ぐから」と、なぜか責任
転嫁。
 3/25には、石原産業に説明を求める集会が土岐で開かれ、瀬戸からも参加した。石
原産業・安藤常務に、幡中の「無害化」「封じ込め」をしないよう要請。安藤常務は、
地元の要望によってそういう選択肢もあるという反応。その後、4/7、8に各紙で関連
する報道。4/12付で、瀬戸市が「幡中地区フェロシルト撤去方法等検討会」の設置を
議員向けに「報告」、4/15に第1回の会合を開催するとした。
 4/15の検討会では、地元住民や市民団体が傍聴を求めて駆け付けたが、瀬戸市は強
固に非公開とした。しかも、検討会の議論を聞いて勉強してもらわなければ困る若手
職員2名を、ドアの外に立たせて住民が入らないよう見張りをさせるという念の入れよ
う。鍵をかけたら済むことである。さらに、学識経験者として出席の笠倉委員(元豊橋
枝科大、三重県のRDF事故調査委員会座長等の経歴)が終了後、記者の質問に答え、
「私も、傍聴者がいると(発言するのに)圧力を感じます」などと瀬戸市をフォロー。
また、「いますぐ危険という問題ではない。データを見る限りでは。科学者として、
リスクの除去で何がいいかは県の命令とは違う。いろんな選択肢がある。コストが安
くて安全で、住民が満足する方法を検討する。全く害がなければそのままにする。六
価クロムとフッ素が何十年漏れ出ないことが証明できれば、置いておいても」との見
解を示した。もう一人の学識経験者の大東委員(大同工業大)は、「掘削除去で空気中
に触れて、余計に六価クロムが溶出するという問題もある。撤去については、それぞ
れリスク評価をして、住民に選択肢を提示する。結論を出すのは地元の住民である」
と話した。また、この検討会に提出された資料で、石原産業が県の求めに応じて行っ
た追加のボーリング調査は、最終処分場の水質汚染防止にかかわる「共同命令」
(1977年3月14日「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上
の基準を定める命令」)を根拠とするもので、粘土層がしっかりしていて地下水汚染の
恐れがないことを示せば、撤去せずに現地に置き去りもという意図があることは確か
である。

 一方、神田知事は、定例会見(4/17)で、「全量撤去の方針に変わりない」と述べた
と伝えられていたが、その後、瀬戸市環境課から「幡中の“無害化”はできない。その
話しはもうない」「決定ではないがクリーン開発に搬入することも考えられる」とい
うような話が出て来た。最大量の不法投棄被害にあった地元の処分場に大量に搬入す
ることを市が容認するというのか!?
 すると、5月15日から、突然、幡中で撤去作業が開始された。現場の方は、「県の命
令で今日から撤去作業を始めた。とりあえず調整池の北側のあたりを3mほど掘り下げ
て、搬出先が決まっていないので袋に詰めて置いておく」と説明したという。あれほ
ど「撤去すると危ない、データを示して住民の判断を仰ぐ」として検討会を設けたの
に?それよりも、少しずつでも撤去できるものなら、なぜもっと早くできなかったの
か!

 5月21日(日)、第2回の幡中地区の検討会が、下記の通り開催される。現地置き去り
や、同じ市内に移動して済ませるようなことは見過ごすことはできない。

 
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