<海上の森通信NO.75より>
 
まやかしの万博ゴミリサイクル    
 
リサイクル率75%達成(万博協会ホームページより)は、ごまかしだった。
     
                            加藤 徳太郎

 万博協会は、万博会場から出されるゴミの85%を資源としてリサイクルする目標を立
てていました。
 185日間の会期終了により、その実態はどのようになったのかを検証してみたいと思
います。
 万博協会が作成している公式ホームページによれば
(エコロジーレポート第25章
http://www.expo2005.or.jp/jp/E0/E3/eco_025.html)、「ゴミリサイクル率75%達成、
―分別回収の理解と徹底がポイント、当初目標の9割を達成することが出来た。」とそ
の成果を誇っています。
 9月25日までに会場内で分別して取りまとめられた内訳の主なものは、可燃ゴ
ミ1,201トン、生ゴミ1,079トン、段ボール940トン、ペットボトル396トン、プラスチッ
ク類648トン、紙容器222トン、ビン294トンといったものです。総排出量は17分別合計
で5,164トンとなりました。
 来場者の生ごみは、会場内のメタン発酵処理施設で発電用燃料にされたり、堆肥と
なる。生ゴミ以外は、圧縮処理され、リサイクル業者やゴミ焼却場へ回り、徹底した
再利用、再資源化に取り組んだと報告しています。
 さて、万博協会は,ゴミ焼却処分を、瀬戸市、尾張旭市、長久手町の2市1町で運営し
ている尾張東部衛生組合へ依頼しています。2005年3月21日から9月30日までの万博協
会の処分持ち込み量は、総計2,234トンと記録されています。
 これは、万博会場内総排出量のなんと43%が焼却処分に回されたという訳です。会場
内で分別はされたが、結局は再利用、再資源化されないまま、生ゴミ、可燃ゴミとし
て、ゴミ焼却場へ持ち込まれてしまったのです。「75%のリサイクル率達成」などは、
まやかしに過ぎないのです。
 会場内で分別された可燃ゴミ、生ゴミの合計が2,280トンとなりますから、堆肥やメ
タン発酵発電に利用されることはほとんどなく、可燃ゴミ、生ゴミの2品目は、95%以
上が尾張東部衛生組合で焼却されたといえます。
 焼却されたゴミは再利用されないものと考えれば、リサイクル率は57%となり、当初
目標を大きく下回ることになります。
 万博協会は、ゴミ分別をサブストックヤードとメインストックヤードの2ヶ所で2回
にわたって分別しています。サブストックヤードでの分別作業で分けられた、可燃ゴ
ミ、不燃ゴミ以外は全てリサイクル可能としてリサイクル率を計算しています。それ
で、リサイクル率75%ということになるのです。
 しかし、その後もう一度、最終的な分別作業がメインストックヤードで行われるの
です。そこでは、リサイクル可能だったはずの生ゴミや紙容器が、いろいろなものが
混じっていたり、汚れているとして再利用、再資源化されずに償却用ゴミの生ゴミ、
可燃ゴミへと回されるのです。焼却場に持ち込まれた量を含めてリサイクル率は算出
されるべきです。
 また、昨年(2004年)7月に発表した万博協会の「万博開催時における環境配慮ガイド
ライン」では、最終処分量の削減目標として1日15万人の入場者数基準日に最終処分
量5.4トンとしています。すなわち、1人1日当たり37g以下となるように取り組んだわ
けですが、焼却処分場へ持ち込まれた量は、1人1日当たり100gですから廃棄物の分別
回収、中間処理の徹底がうまく出来ずに、最終処分量削減目標は達成されなかったこ
とになります。
 万博協会が、“ゴミの「削減、再利用、資源化」が、循環型社会実現の基礎となる。
愛知万博は「循環型社会」をテーマとし、2000万人以上が参加した壮大な「ゴミ実験」
である”とするなら、結果を正しく評価する上でも、メタン発酵発電や堆肥化などの取
り組みについても正確な情報提供が求められているといえます。
 
*万博ゴミの総量については、
 下記博覧会協会のサイトに掲載されています。
環境影響評価の履歴(2005.09.26〜)
http://www.expo2005.or.jp/jpn/about/post/post_d3/no02_07/index.html
2005年10月18日「開催時の廃棄物排出量(3月25日〜9月25日)」について 

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