平成17年1月6日
 三重県環境森林部 
 部長 井藤 久志 様

                           石原産業株式会社四日市工場
                           常務取締役
                           四日市工場長

         フェロシルトの販売方法等の改善について

 拝啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は、環境対策につきまして格別のご指導を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、先般の瀬戸市の苦情事例に鑑み、今後のフェロシルトの販売等にあたりまし
ては別紙の通り改善致したく、ご報告申し上げます。

                                    敬具

         フェロシルトの販売方法等の改善について

 フェロシルトの販売にあたりまして、弊社はこれまでも販売先に対して製品の特徴
や施工上の注意事項等を説明して参りましたが、今般の瀬戸市で発生した苦情につき
ましては、施工業者のフェロシルトの取扱い不備に起因した結果であるものの、一部
に弊社の説明が不十分であったことは否めません。従って、今後は下記の通り販売方
法等について改善をして参ります。

                 記
1.これまでの販売方法
  販売にあたって事前に弊社は、
@フェロシルトのパンフレット、土質試験結果等、三重県リサイクル認定製品に係る
ホームページの資料を販売先に提供してフェロシルトについて理解を得る。
A事前に工事計画を聴取し、計画の適切性について十分検討を行うと共に、必要に応
じて販売先の業容を調査して販売の適否を判断する。
B施工方法について、他の土砂と混合して使用する、フェロシルトを堆積させない、
大雨等によりフェロシルトが付近の公共用水路等に流出する恐れのある場合は堰堤の
構築、調整池を設ける、中間段階で覆土を行う等の流出防止対策を講じる、埋戻し完
了後は山土などで覆土するなどの注意を行う。
これらの情報提供等を行い、弊社より提示した施工上の注意等を販売先が承知したこ
とを条件に契約締結を行い販売してきた。

2.過去の販売実績
(1)愛知県瀬戸市:埋戻し完了
  発注者:セントラル興産株式会社
  施工場所:愛知県瀬戸市市場町
  工事件名:土砂採取跡地路盤整備
  施工量:約140,000t
  施工時期:平成13年11月〜平成15年3月
  跡地:植樹実施

(2)いなべ市藤原町:埋戻し実施中
  発注者:諸岡建設株式会社
  施工場所:三重県いなべ市藤原町鼎
  工事件名:土採跡造成工事
  施工量:約38,000t
  施工時期:平成15年4月〜平成17年1月(予定)
  跡地:植樹実施

(3)四日市市:埋戻し完了
  発注者:丸中建材
  施工場所:三重県四日市市垂坂町
  工事件名:土採跡埋戻し工事
  施工量:約75,000t
  施工時期:平成14年1月〜平成14年8月
  跡地:植樹実施

(4)亀山市:埋戻し完了
  発注者:<個人のため非公開>
  施工場所:三重県亀山市辺法寺町1882他
  工事件名:茶畑用造成工事
  施工量:約70,000t
  施工時期:平成13年12月〜平成15年1月
  跡地:茶畑

(5)瑞浪市:埋戻し完了
  発注者:<個人のため非公開>
  施工場所:岐阜県瑞浪市稲津町
  工事件名:土採跡埋戻し工事
  施工量:約1,000t
  施工時期:平成14年6月
  跡地:植樹実施

(6)瀬戸市:
  発注者:<個人のため非公開>
  施工場所:愛知県瀬戸市北丘町100番地の1
  工事件名:土砂採取跡造成工事
  施工量:約73,300t
  施工時期:平成16年6月
  跡地:防災工事実施中

3.改善方法
 今後は以下の改善策を実施して販売することとする。
(1) 販売先に対しては、これまでと同様にパンフレット、フェロシルトの土質試
験結果等、三重県リサイクル認定製品に係るホームページの資料を提供して、施工上
の注意事項を申し入れて販売先がこれを承諾することを条件に販売することとするが、
施工上の注意事項等を契約書本文に記載することにする。

(2) また、フェロシルトには自然界より若干高いレベルの放射性物質を含むが、
他の土と混合して使用する、逐次覆土をするなど適切に埋戻し造成を行い、最後に山
土等で十分覆土することにより自然界と同化することについて、販売先に契約締結以
前に通知し、文書による承諾を得ることとする。また、工事発注者に対しては弊社、
又は販売先が発注者に説明を行いフェロシルトを使用することの承諾を文書で得るこ
ととする。

(3) 販売先が転売を行う場合は、販売先又は弊社が転売先に対して同様に製品の
特徴、施工上の注意等の情報提供を行うと共に、(2)項記載の契約を販売先、転売
先間で締結して転売先の承諾を得ることとし、弊社は契約書の写しを入手して保管す
る。

(4) 今後、新たにフェロシルトを販売する場合は、上記手順に従い契約締結を行
うが、現在販売している販売先に対しても契約書の見直しを行い更新を行う。

(5) 弊社は販売先又は工事発注者の要望に応じて、工事中乃至工事完了後に現地
の放射線量の測定を行う。また、放射線量は地域により異なるので、必要に応じて工
事着手前にも現地の測定を実施する。

4.瀬戸市の測定結果について
 放射線量について弊社はグレイ(Gy)表示のサーベイメーターによる測定を行い、
これまで品質管理基準値0.14μGy/hを超えるような結果は得られていない。従っ
て、瀬戸市で高い結果が出た理由はフェロシルト以外の影響も考えられる。放射線量
については一般的に次のように考えられている。
(1) 放射線の単位、グレイ(Gy)とシーベルト(Sv)
 放射線の単位にはグレイ(Gy)が広く用いられる。これは、吸収線量と呼ばれ、物
質によって吸収されるエネルギー(J単位)と質量(Kg)の比で表わしたものがGy単
位の吸収線量となる。
 一方、シーベルト(Sv)は放射線の種類により生物効果の程度に差があるため、そ
れを補正する目的で導入したもので、Gyに補正係数を掛けたものである。
 ただし、グレイ、シーベルトは共に放射線を校正する粒子の数を表した量ではない。
放射線の影響を詳細に検討する場合には、粒子の数が明らかでないと不都合な場合が
あるので、そのようなときはフルエンス(粒子束)という値を用いる。これは、放射
線の進行方向に垂直な面を考え、その面積あたりの平均通過粒子数を示したものであ
る。グレイ、シーベルト、フルエンスは互いに比例する。
(長崎大学環境科学部)
 従って、放射線量としてグレイ単位である地点を測定すれば放射線の影響は定量的
に求められることになる。

(2)周辺への影響について
 測定に用いられる計測機器のプロープは、ほぼ空間的に360度の範囲を測定でき
る。従って、測定値には全ての方向から入射する放射線を測定していることになる。
 一方、ある地点から発生する放射線の強度は可視光線と同様に、距離の2乗に反比
例する。すなわち、発生するエネルギーが等しい場合、10m離れた地点からの放射
線の強度は1m離れた地点からの放射線の強度の100分の1となる。(ある地点の
測定値が0.1μSv/hの場合影響としては0.001μSv/hとなる。これが50m離
れた場合は2500分の1であり影響は無視できる。)
 従って、同じ物質で表面が数十uのものを測定した値と数万uのものを測定した値
はほぼ一致することになり、現状の測定方法で得られた値が安全性を評価する上で問
題ないと思われるが、今回のようにフェロシルトが広範囲で多量に盛られたケースに
おいても整合がとれるか、弊社の測定方法の妥当性を確認して後日報告することとす
る。また、妥当性の確認が終了するまでの間、毎日(土、日、祝日等を除く)フェロ
シルトの放射線量を測定する。

                                   以上


 
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