2004年12月17日 三重県知事 野呂 昭彦 様 ダイオキシン・処分場問題愛知ネットワーク 瀬戸市の問題を考える市民ネットワーク 三重県リサイクル製品利用推進条例の 認定製品「フェロシルト」関する公開質問書 私たちは、愛知県で環境問題に取り組んでいる団体です。 愛知県瀬戸市北東部の砂防指定地で、ケナフ栽培を目的とした造成工事が行われ、石原産業製造の埋め戻し材「フェロシルト」が申請以上に持ち込まれ、覆土もせずにむき出しのまま20m以上の山となっています。申請とは全く違った行為であり、フェロシルトの不法投棄ともとれる状況です。これが、製品として利用されていると言えるでしょうか。フェロシルトをリサイクル推奨品として三重県が認定したことに、私たちは疑問を感じています。 瀬戸市に於いては、下流に天然記念物「オオサンショウウオ」の棲息地があり、雨の度にこのフェロシルトが流れ込み、棲息も危ぶまれています。このようなフェロシルトの野積み問題は、瀬戸市だけでなく岐阜県瑞浪市でも起きており、ともに市議会で取り上げられています。 フェロシルトが、酸化チタン製造過程からでた産業廃棄物(汚泥)から作られたものであり、トリウムという放射性物質も含まれていることを知り、私たちはますます不安を感じています。酸化チタン廃棄物の問題は、三菱マテリアルの子会社が、チタン残滓を70年頃から秋田県に埋めていたり、一部を「人工土」として無償で提供していたりで、昨年、新聞でも問題になっています。平成2年9月7日から、科学技術庁、厚生省、通産省及び労働省の4省庁が「チタン鉱石問題に関する基本的対応方針」のもと措置を実施し、平成3年には講ずるべき措置を取り決めています。 このように、鉱石や廃棄物として扱われる場合には、放射線の測定がされていますが、三重県がリサイクル推奨品として認定したフェロシルトは、どのような管理がされているのでしょう。 私たちは、認定者である三重県に、流通について調査を求めると共に以下の質問に対して回答を求めます。 【質問事項】 口頭でのご回答はそれぞれ記載。その他については、2週間を期限にご回答くださるよう要請しました。 T.リサイクル製品の開発について @製品開発に、三重県はどのように関わったか。 《回答》製品の共同開発とリサイクル認定とは、関係が無く、互いに接点はない。企業から提出されたデータを基に認定をしている。 U.フェロシルトの出荷量と利用先について A三重県は、石原産業からの出荷量と行き先、地目や利用目的を把握しているか。 《回答》認定後、藤原町で使用されたことは把握しているが、その他はしていない。年に一度「適合状況報告書」を提出して貰うことになっているが、石原産業からはまだ提出されていない。しかし、この報告書は、品質データの記載が主な目的であり、出荷量・施工時事例については、任意報告となっている。年間生産量については、把握していない。 《再質問》年間生産量もつかみ、どれだけ廃棄処分されているかも掴むべきではないか。ゼロ円で製品が動いた場合は、廃棄物と見なすのか?ゼロ円で安易に製品が動き、廃棄物処理法逃れのための製品作りになっていないのか→明解な回答無し Bそのうち、愛知県に出荷された量はどれだけか。 C石原産業から「愛知県の公共事業にほとんど使ってもらっている」と直接2年前に聞いているが、具体的な事業名は。 V.フェロシルトは、廃棄物かリサイクル製品かについて Dリサイクルの名を語った不法投棄まがいの事例が増えているが、 リサイクル推奨品として認定した三重県は、フェロシルトが製品として適正に流通しているかどうかの調査はしているのか。500円/tの単価で、製品としての適正に流通するかの審議はされたか。 《回答》廃棄物かどうかは、愛知県が判断することであり、愛知県から要請があれば、三重県として調査に協力する。 E瀬戸市では、ケナフが枯れている。植物育成については、稲を30日育成した結果のみで効果有りの評価がされているようであるが、他の植物を長期的に育成した事例、100%フェロシルトで育成した事例はあるのか。 《回答》三重県としては、埋め戻し剤として認定しており、生育土として認定はしていない。 F瀬戸市の野積みは、フェロシルトの適切な用途と考えるか。 《回答》野積み、覆土がされていない状況は、適切に使われているとはいえない。 W.放射線測定と環境汚染 G放射線物質が含まれているという製品の性格上、むき出しで使うことに問題があることは瀬戸市の事例で明らか。流通させる場合にどのような条件が付されているか。 H瀬戸市では、野積みのフェロシルトから0.26μSv/hの放射線が測定されているが、この数値への三重県としての評価は。 I平成14年には、瀬戸市のデジタルタワー建設地の埋め戻しに使われた経緯があり、同年8月29日に、石原産業ならびに石原テクノより、「石膏等が若干溶け出すことがあるので、使用する場所により判断が必要」と説明を受けたことがある。使用環境や持ち込み量についての評価はされたか。 X.リサイクル製品として認定した根拠と流通後の三重県の指導について J放射性廃棄物という特性から、「三重県リサイクル製品利用推進条例認定検討会」での4名の委員(教授)のうち2名から放射線に対し、条件を付すよう意見が出ている。また平成15年9月12日の検討会では、「販売する際に、購入者に放射線のことを十分説明するよう」事業者に対して事務局が指示することとなっている。その後、石原産業にはどのように伝えられ、流通段階・納入先・関連自治体・住民等に対し、放射性物質であることの告知の徹底は、どうなっているか。県はどのように確認しているのか。 《回答》WXについては、当時の担当者に詳しく確認する。瀬戸市の問題発覚後、石原産業には「販売先に使用上の条件を文書にて渡すこと」「契約内容を販売先だけでなく、第三者が工事をする場合は、その第三者にも周知すること」「地主にも周知すること」を指導した。 |