△中日新聞2004年12月3日

<中日新聞2004.12.04 なごや東版>
 埋め戻し材 放射線量を測定 オオサンショウウオ生息の川上流 瀬戸市「人体に
影響ない」


【愛知県】国の特別天然記念物のオオサンショウウオが生息する瀬戸市下半田川町の
蛇ケ洞川上流域で、造成地に「フェロシルト」と呼ぶ埋め戻し材が大量に積まれ、流
出している問題で、市は三日、放射性物質を含む疑いも強いとの指摘を受けて現地で
放射線量(ガンマ線)を測定した。
 赤い色をしたフェロシルトがむき出しになっている造成地内では、一時間当たり〇・
二六マイクロシーベルトと、やや高い数値を観測。しかし、覆土した個所では〇・一
マイクロシーベルト台に下がり、造成地の道路わきで〇・一六マイクロシーベルトだっ
た。
 フェロシルトが流下していることが確認された約一・五キロ下流の下半田川町の田
んぼでは、〇・〇九−〇・一一マイクロシーベルトと、自然界からの線量程度だった。
 市環境課は測定結果について「今後、きちんと覆土して流出しないように措置がな
される。人体に影響が出るような値ではない」としている。
ぺーぱーナイフ リサイクル製品
2004.12.12 朝刊 25頁 県内総合版 (全579字)中日新聞社 

 【愛知県】廃陶磁器を陶土に50%混ぜてつくる再生陶磁器を、瀬戸市の業界が愛・
地球博(愛知万博)を契機に世に広めたいと躍起だ。万博会場でも、水受け鉢や食器
として活用される。捨てられ、埋められるだけだった運命の焼き物が立派にリサイク
ルされるのだから、再生陶磁器を開発した意義は大きい。

 そんな瀬戸市で、リサイクル製品の「根本」を問う“事件”が起きている。

 市北部の造成工事地。「フェロシルト」と呼ぶリサイクル土が埋め立て材として大
量に運び込まれた。雨のたびに流れ出して川を真っ赤にし、下流に生息する国の特別
天然記念物オオサンショウウオを脅かす。

 フェロシルトは、三重県内の工場が、酸化チタン精製で生じるかすを中和した製品。
名前が示す通り、成分の大半は鉄と石こう。国の基準値以下とはいうものの、酸化チ
タンの原料の鉱石イルミナイトに起因する放射線も含まれている。

 産業廃棄物から転じてリサイクル土として出回っているのは、三重県がリサイクル
製品に認定し、お墨付きを与えたことが大きいようだ。公表価格は一トン当たり五百
円となっているが、本来ならば逆に費用を出して、きちんとした処分場で処理すべき
ものでは、という気もしなくはない。

 「三重県が認定したといっても、他県で認定されているわけではない。搬入を断れ
ないのか」。住民たちの声にリサイクルの意味を深く考えさせられる。(小島哲男)

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