2004年10月29日

瀬戸市上之山町三丁目町内会 会長 山本 照彦 様
ゴンドラ(環境)委員会   委員長 岡田 みどり 様

                   愛知博覧会問題対応・三団体事務局各担当

 このたびは、愛知万博の施設建設とオオタカに関わる質問書状をいただき、ありが
とうございました。拝読し、ご質問の点について、関わる三団体事務局にて検討をい
たしました。
 いただいた質問状の中で、三団体がゴンドラを含む会場計画に「同意」した、ある
いは「お墨付き」を与えたという表現がございましたが、私共としてはこのような認
識を持っていなかったことから、たいへん残念に思いました。愛知万博会場計画の変
更の経緯はおおむね以下の通りと認識しており、この点からまずご説明いたします。

 @私共三団体が、博覧会の会場計画および新住・道路計画の変更にもっとも力を注
いでいたのは、1999年頃です。当初、博覧会会場計画地は海上の森にあり、その基盤
整備は新住・道路計画によって行うことになっていました。私共は、海上の森を変貌
させてしまうこの新住・道路計画の中止を求め、国際団体にも当時の現状を説明して
きました。これらの結果、BIEが事業者に新住・道路計画の変更を求め、翌2000年
4月に通産大臣、愛知県知事、博覧会協会会長が三者合意を発表し、新住・道路計画
は中止になりました。しかし、その代替案は海上の森南地区を会場とするものであっ
たため、私共三団体は5月から始められた「愛知万博検討会議」(主宰・博覧会協会)
の中で、この案についても変更・縮小するよう主張を繰り返しました。その結果、博
覧会協会が現在の海上の森西地区を会場とする計画に再度変更を行うことにつながり
ました。このことが、結果的に交通アクセスの課題をつくり、サンヒル上之山、上之
山三丁目住宅など近隣の方々の生活環境に関わる問題を発生させることにつながって
しまったことに対しては、お詫びするほかありません。

 Aしかし、私共が交通アクセスの課題に関して検討会議の中で主張したことは、ゴン
ドラのような自然環境、生活環境に負荷を与える案ではなかったことはご理解頂きた
いと思います。私共は、海上の森へのアクセスは、愛知環状鉄道のサンヒル上之山の
北側付近に海上の森会場駅を設置し、海上の森へ来る人は自動車や、もちろんゴンド
ラなどではなく公共交通機関を使って来場し、博覧会終了後は地元の方々の利用する
駅というものでした。もしこれが実現していれば、現在のゴンドラもサンヒル上之山
南側の大規模駐車場も必要ありませんでした。しかし、愛知県と博覧会協会は、これ
には膨大な費用がかかるとしてこの案を取り入れず、サンヒル上之山の南側に駐車場
を作り、シャトルバスで主会場と結ぶ案を選択しました。ここで検討会議は終了して
しまいますが、現在のゴンドラ案が登場したのは会議終了から1年ほど後のことです。
BIEから2つの会場の一体化を求められた博覧会協会が、ハノーバー博でゴンドラ
を視察した結果、この案を計画したとされています。

 Bこの時点で、すでに検討会議は終了していたため、このような課題も討議できる場
として、有志が自主的に運営する「フォローアップ会議」が作られ、私共も参画して
いました。このころ、上之山三丁目在住の方から三団体に要望書をいただいたため、
フォローアップ会議では、三団体から出席した委員は、(ゴンドラの問題は愛知万博
検討会議の時点では十分検討されていなかったので)「上之山三丁目住宅の住民の意
見を聞くべき」であると主張し、その機会が設けられました。ただし、このような博
覧会協会の意見聴取の結果やその対処のあり方に対して、その後の十分な監視やご協
力ができなかったことはたいへん申し訳なく思っております。このフォローアップ会
議は、博覧会事業の公式会議ではないという体制の脆弱さもあり、現在は休眠状態と
なってしまいました。

 さて、次にご質問のゴンドラとオオタカを含む自然環境への影響予測ですが、基本
的な認識としては以下のとおりです。
 ご承知のとおり、公式に「オオタカ検討会」(主宰・愛知県)が設置され、三団体
からは日本野鳥の会の小林が参画し、このゴンドラ計画との関係も検討されています。
これまでの検討の中では、現在続いている繁殖活動の開始時期等を含む繁殖状況、営
巣木と各種の人為との位置関係から影響の有無や程度を検討してきました。検討会全
体の認識としては、調査結果を見る限り、今のところ繁殖活動に直接悪影響を与える
と判定できる情報は得られておらず、モニタリングをすすめて行動変化等の有無を監
視していくとの姿勢をとっています。今年度の繁殖活動も観察されていますが、工事
による土地改変はあるものの、繁殖は行われました。ただし、問題視すべき悪影響の
有無は単なる距離のような要素だけで判断できるものではなく、面的な生息環境利用
との関係から見ていくことが必要なため、三団体としても、オオタカペアの行動と時
間を追ったその変化の監視を、日本野鳥の会を中心として続けている状況です。
 この委員会はオオタカに関する事柄について審議するものですが、私共はオオタカ
の繁殖にとって問題がなければそれでよしとするべきものではないと理解しています。
今後この会議の場においても、博覧会協会は地域から要請されるオオタカを取り巻く
環境問題には愛知県・博覧会協会として責任を持って対処していくべきであることを、
機会をとらえ主張したいと考えています。また、もう一つ公式に設置されている「海
上の森会場計画モニタリング委員会」(主宰・博覧会協会)でも、同様の努力を行い
たいと考えます。
 以上、簡単ではありますがご質問へのお答えをさせていただきました。失礼いたし
ます。

 
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