2004年10月28日  

財団法人2005年日本国際博覧会協会会長 豊田 章一郎 様
経済産業大臣 中川 昭一 様
環境大臣 小池 百合子 様
愛知県知事 神田 真秋 様
2005年日本国際博覧会協会環境影響評価アドバイザー会議委員長 加藤 久和 様
経済産業省2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価会座長 森嶌 昭夫 様
愛知県環境影響評価審査会会長 河上 省吾 様  
海上地区会場計画モニタリング委員会 様

        万博瀬戸会場での絶滅危惧種ホトケドジョウ移植
        についての抗議と保護要望書

                 
                                                海上の森を守る会
                                    愛知万博アセスに意見する市民の会

  新聞報道によれば、愛知万博瀬戸会場内に生息する絶滅危惧種指定のホトケドジョウを県内2ヶ所に移植しているとされています。(2004年10月20日付朝日新聞夕刊
 この行為は、万博瀬戸会場内の自然生態系を強制的に破壊することにつながり、強く抗議するものです。
 瀬戸会場内ホトケドジョウ生息地一帯は、東海地方特有の植物である絶滅危惧種シデコブシや絶滅危惧種に指定されたギフチョウの食草や産卵場所となるスズカカンアオイの生育する湿地帯であり、ムササビが生息するスギ、モンゴリナラ、ヤマザクラ等の樹木が混合する雑木林の森でもあります。
 万博協会は、ホトケドジョウの生息する沢である通称ホトケ沢とその周辺を里山遊歩ゾーンとして万博期間中利用し、愛知県は、その為の基盤整備事業として県道広久手八草線や遊歩広場駐車場整備を行う計画でした。
 平成14年(2002年)6月に発表された万博アセスメント書では、「ホトケドジョウ生息水域に対する直接改変は回避されていることから、これらの工事によるホトケドジョウに対する影響は回避・低減されているものと判断した」(809p)とされています。
 こうしたアセスメントによって県と協会は、ホトケドジョウ生息域上流部での県道整備、駐車場広場整備や里山遊歩ゾーン整備を行ってきました。
 今回のホトケドジョウ移植は、公表された万博アセスメント書には何等取り上げられておらず、全く秘密裏に行われ、万博アセスメントを無視したものであり、万博事業のあり方そのものを根本から覆すものと言えます。
 移植をしなければ、ホトケドジョウの生息・保護が出来ないような事業であるならば、まず、事業計画の変更、縮小、中止が検討されるべきです。まず事業ありきといった事業優先ではない計画づくりが、愛知万博では常に問われてきたのではないでしょうか。「自然と共生する」万博として「自然の叡智」を事業者自らがテーマに掲げて世界各国へ参加を呼びかけてきたのではないのですか。
 万博瀬戸会場計画を検討する会場モニタリング委員会にも検討させないまま進められたものであり、専門的な立場からの検証もされないものであり全く無謀なものと言えます。
 直ちに移植を中止し、元の場所へ戻すべきです。
 また、ホトケドジョウが生息出来ないような自然環境に既に改変されてしまっているなら万博会場計画を見直し、ホトケ沢周辺への自然環境に、これ以上負荷を与えないよう、里山遊歩ゾーンの利用は取り止めるべきではないでしょうか。
 ホトケ沢上流部となる里山遊歩広場(駐車場)下の山が崖崩れを起こしています。10m以上もあるヤマザクラの巨木が根こそぎ倒れています。台風23号通過後のことですが、これは、元来山であったホトケドジョウ生息地上流域に駐車場を整備するため山を造成したため、木の根元が切断されたためと、造成地で集められた集中的な排水によるものと考えられます。
 また、アセスメント書では、かつて80匹ものホトケドジョウ生息が確認されたにも係らず、海上の森を守る会の直近の調査ではわずか7匹しか確認することができませんでしたし、毎年調査を続けている研究グループからは、「今年の夏は一匹も確認できなかった」とも聞いております。造成工事や土砂崩れ等により、ホトケ沢へ大量の土砂が流れ込み、水質や水辺環境を変化させホトケドジョウの生息に悪影響を与えているのではないかと思われます。ホトケドジョウが激減するような環境変化が上流部での造成工事により生じているのではないかと心配するものです。
 ホトケドジョウを始め、シデコブシ、ギフチョウ、ムササビなどの生息する生態系を保全し、ホトケドジョウの保護を強く求めるものです。
 
1. ホトケドジョウ移植についての経過と経緯を明らかにすること。
2. ホトケドジョウの移植を中止し、直ちに元の場所へ戻すこと。
3. 会場モニタリング会議を開催し、ホトケ沢生態系保護のため、里山遊歩ゾーン計画を見直し、縮小すること。
 
 ご回答につきましては、2004年11月 15日までに文書にてくださいますようお願いいたします。

       <連絡先>海上の森を守る会 代表 加藤徳太郎
          瀬戸市緑町1-17 TEL/FAX 0561-83-4353    

  なお、同日付で、下記自然保護団体にも要望を提出いたしました。

                                               2004年10月28日
日本自然保護協会 様
日本野鳥の会 様
WWF−日本委員会 様
 
     万博瀬戸会場での絶滅危惧種ホトケドジョウ移植についての
     抗議と保護要望書提出についての要望


                                               海上の森を守る会
                                    愛知万博アセスに意見する市民の会    

 表題の件につきまして、下記の通り事業者及び関係各機関に対し、抗議・要望いたしました。
 愛知万博会場問題に当初より係られた自然保護団体として現地調査を実施していただき、自然保護の立場から、事業者及び関係各機関に対し、計画変更を含めた適切な措置をとるよう助言していただくよう要望いたします。  
  記(略)


 万博関連に戻る  表紙に戻る