平成16年9月9日
 平成15年(ワ)第5148号
             索道7号支柱及びその前後の支柱建設差止事件

                                 原告 岡田みどり 外14名
                                 被告 財団法人2005年日本国際博覧会協会

 名古屋地方裁判所 3部合議係 御中

                                             岡田みどり

                      準備書面  補充

 原告は平成16年9月3日付けの準備書面の補充をする。

第3 1.万博ゴンドラ第7支柱建設工事のためのヘリコプター飛行予定日は(甲44)となっているがその10日の飛行予定日の中に3日も「土曜日」が含まれている。週休2日制が小中学校に導入されて久しい。行政機関 民間会社への導入に至っては更に以前からである。「土曜日」が家族そろっての大事なくつろぎの時間であることに争いはないと察する。家庭での十分なくつろぎの時間が翌週の十分な活力につながるということも御異議はないと思う。工事用ヘリコプターは単独でも81デシベルあり一般住宅地での騒音の環境基準値55デシベルを遙かに越え ただでさえ違法であるが特に穏やかに過ごしたい家庭でのくつろぎの時間にこのような轟音爆音をあえてさせるような飛行計画を故意にたてるのはあきらかな平穏生活権の侵害であり住民の活力を奪う行為である。

 2.工事用ヘリコプター飛行日を含めゴンドラ計画に関し当町が住民説明会と認める場を万博協会より得たのは2002年12月(甲36)が最後であり その後の進捗状況等の情報を当事者とも言うべき当町住民はメディア等第3者から得るしかなかった。協会側が「住民説明会」と銘打っても実際は原告の9月3日付の準備書面の第2の記述が真実の中身であり 多くの非常識な住環境負荷に現実にすでに泣かされてつつある当事者であるこの町の住人の納得できるものではない。平成7年12月19日閣議了解となった「愛知県における国際博覧会の開催申請について」(甲49)の7に「地元での継続的対話、意見交換等を通じてより一層の合意形成に努めるものとすること。」とある。
(甲42)のヘリコプター使用工事に関する各首長助言をも考え併せると やはり被告万博協会の当町への説明義務不足は当町のみの意見ではなく「官」の立場からも明らかであり各方面から 被告の周辺住民への説明周知徹底義務不履行をいわれざるを得ない。

 このように当町住民の人格権侵害を引き起こす本ゴンドラ計画は手続きにおいても問題があり差し止めを強く求める。

求釈明

1.ゴンドラ第9支柱が平成15年9月発表の「評価書」の位置と相違があるが(甲50)変更の必然性は何か。これはいつ決定したのか。変更した「評価書」を又縦覧するのか。「評価書」の変更は他にもあるのか。評価書というものは住民意見を取り入れ縦覧し満を持して決定発表するもの理解していたが その発表後に支柱位置という重要な要素がいとも簡単に変更がゆるされるとしたら「評価書」自体の信頼がなくなるのではないか。又8月17日本件担当者は「ゴンドラは山口連区全体に関係しているので説明する」としてわずか4分の説明により「説明義務を果たした」としたが第9支柱変更理由に付いては「裁判で明らかにする」とした。ゴンドラが連区住民の共通項とするなら第9支柱変更理由をも説明会で明らかにすべきではなかったのか、矛盾があるのではないか。

2.騒音の環境基準が55デシベル以下とされている一般居住区域に81デシベル以上とされるヘリコプターを飛行させても違法ではない法的根拠を明らかにされたい。
 又 何をもって今回の支柱建設工事用ヘリコプター騒音は当町住民にとって受忍限度内と断定されたのかをお教え願いたい。
 又 「家庭でくつろぐ曜日」である土曜日を3日も爆音を伴うヘリコプター工事日とした必然性をお教え願いたい。ここが人間の住む住宅地と知っての工事曜日の選択であったのか。

3.当町で孵ったオオタカがすべて巣立ったのでヘリコプター工事に着手したと理解したいがオオタカの子どもたちの巣立ちを確認したのか。今年は3羽孵ったが3羽目は体が小さく成長も遅かったと聞く。(甲51)(3羽目は「スペア」なので大抵は育たないとのことだがここではなんとか育った。この里山の環境がオオタカにとって多様で豊かであり健康な生態系が保たれている証拠とのこと。)最後の1羽はいつどちらの方面へ巣立ったのか。8月25日のヘリコプターの音で驚かせて追い出したということはないのか。

4.森林法では「変更行為の終了後には直裁され確実に森林に復旧されるものであること」(甲22)となっているが第7支柱資材撤収のタイムスケジュールはいつ公表されるのか。土台のコンクリートは「埋め殺し」にはせず掘り起こして森林に復旧していただくという林野庁職員の言葉は守られるのか。何を直裁する予定か。工事資材撤収のための 又は別の名目の道路を作るということはないのか。伐採された1000平方メートル分の保安林の土砂流出防備機能は確実に今後数十年間低下するが何か策はあるのか、ないのか。第7支柱建設地の下流へのダメージも予想されるが何かフォロー案はないのか。これらの説明会はいつあるのか。

5.本ゴンドラ計画の必然性は昨今のゴンドラ事故を調べるまでもなく今だ未知数である。ゴンドラ運転はできないが万博会場を閉鎖するほどの強風でもない場合の代替案はどうするのか。風に弱いゴンドラ採用は瀬戸会場をかえって孤立させるのではないか。
又本ゴンドラは「冷房施設」が見あたらない。落下物があってはならないので窓もないはずである。調光曇りガラスにより眺望もかなりの時間遮断され乗客にとって「快適」な(甲52)空の旅とは行かず 予想されたとうり採算性のない計画(甲53)になるのではないか。

6.(甲52)についてお聞きする。「私は」とある私とは何方の事か。この人物が万博事業の最終責任者と判断して良いのか。

7.ゴンドラワイヤー取り付けのため「ラジコンヘリ」を使用すると言うことだが(甲54)この工事はいつ行うのか。このとき国道は封鎖となるのか。8月17日の説明会では聞いていない。このような大事な情報をこそ周知させるのが住民説明会というものではないのか。このラジコンヘリの騒音は環境基準値以下なのか。

8.(甲55)についてお聞きする。ゴンドラ搬器の夜間設置場所は一部を除きほとんどワイヤーにつり下げたままとのことであるが 搬器が風などに揺らされての雑音は夜間ということもあり予想外に響くのではないか。予測はたててあるのか。ここに夜のくつろぎを必要とする人間の住む住宅地があることを失念していないか。


 
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