国河政第44号
                          平成16年6月29日

 審査請求人 岡田みどり 殿

                            国土交通大臣

        弁明書の送付及び反論書の提出について

 貴殿が平成16年2月9日付けで提起した審査請求について愛知県知事から
弁明書の提出があったので、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第22条
第5項の規定に基づき、その副本を送付する。
 また、同法第23条の規定に基づき反論書を提出する場合には、平成16年7月
30日までに反論書を正副2通提出されたい。
 なお、同日までに反論書の提出がない場合は、反論の意思がないものとして審理
手続を進めることとなるので念のため申し添える。

                       反論書提出先
                       〒100−8918
                       東京都千代田区霞が関2−1−3
                       国土交通省河川局水政課審査係

                           16砂第22−2号
                          平成16年6月22日
 審査庁
 国土交通大臣 殿

                         処分庁
                          愛知県知事

                弁 明 書

1 事件の表示
 審査請求人岡田みどり(以下「請求人」という。)が平成16年2月9日付けで提起した、平成16年1月23日付け15令尾建第10−199号で財団法人2005年日本国際博覧会協会に対して行った砂防指定地内における行為の規制に関する条例(平成15年愛知県条例第4号)第4条第1項の規定に基づく処分についての審査請求

2 弁明の趣旨
 「本件審査請求を却下する。」との裁決を求める。

3 却下を求める理由
 行政庁の処分に対して不服申立てをすることができる者は、当該行政処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれがあり、その取消等によってこれを回復すべき法律上の利益を有する者に限られるとされている。
 そして、ここでいう法律上保護された利益とは、当該行政処分の根拠となった法規が、私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障される利益であって、それは、行政法規が他の目的、特に公益の実現を目的として行政権の行使に制約を課している結果たまたま一定の者が受けることとなる反射的利益とは区別されるべきである。
 ところで、砂防法(明治30年法律第29号)第4条第1項の規定は、国土交通大臣が指定した砂防指定地内において、都道府県知事が、その定める条例により、治水上砂防のため、一定の行為の禁止又は制限をすることができることを定めたものである。
 ここでいう「治水上砂防」とは、おおむね次のような内容をいう。
 すなわち、土砂の生産は、山地の斜面が降雨などにより表面浸食等により削り取られ、また、渓床や渓岸が流水の作用により縦横浸食を起こすことによって絶えず行われており、これにより生産された土砂は不断に下流の河川へと流送され、あるいは台風や梅雨等による異常降雨時には土石流等となって莫大な量の土砂を流出させる。これら土砂の生産、流出は河状を常に変化させ、また河床上昇等の現象を生じさせ、水害の主要な原因を形成する。このため、土砂の生産を抑制し、流出土砂を扞止調節することによって災害を防止するのが治水上砂防である。
 よって、砂防法は、土砂災害の防止という公益の保護を目的としていることは明らかであり、個々人の土砂災害により侵害されるおそれのある個別的利益の保護を目的としているとは認められないのである。
 以上のとおり、請求人は法律上保護された利益を有するとは認められず、不服申立てを行う資格がないと考えられるので、本件審査請求は却下されるべきである。

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