行ウ第37号
二千五年二本国際博覧会会場間索道支柱建設のための
保安林内一時作業許認可差止請求事件
名古屋地方裁判所 御中
平成16年6月11日
原告 岡田みどり 外4名
訴 状
第1.当事者の表示
1.原告 別紙当事者目録に記載の通り
2.被告 愛知県知事 神田真秋
〒460-8501愛知県名古屋市中区三の丸3丁目1番2号
第2.請求の趣旨
1.被告は訴外、財団法人二千五年日本国際博覧会協会に対し、別紙TUに関する森林法34条第2項に基づく許可をしてはならない。
2.訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求める。
第3.請求の原因
1.工事の場所
1)被告は財団法人二千五年日本国際博覧会協会(以後、博覧会協会という)が2005年3月25日より開催する日本国際博覧会において2会場間の観客輸送施設として索道を採用したことは周知である。
2)別紙、TUによれば索道は長久手会場を起点に瀬戸市上之山町3丁目地内の保安林(別紙目録(1)(2)の土地)を通過し、瀬戸会場にいたる、全長約2qの間に14基の支柱の建設が予定されている。
3)このうち第7号支柱は保安林内に建設される計画であり、同地域は別紙、愛知県砂防課による土砂災害危険箇所マップでは土砂流出危険渓流及び急傾斜地崩壊危険箇所に指定されている場所であり、索道支柱建設による土砂災害等が危惧される。
2.工事の規模
1)本工事は別紙第7支柱計画図に示されるごとく大規模な工事であり、支柱建設予定現場では立ち木の伐採や地形の改変を伴う。また、本工事は索道支柱という半永久的な構造物を設置するものであり、工事を実施するには森林法に基づき保安林の解除を必要とする。
2)しかし、被告は保安林解除を要せず、森林法第34条2項の作業許可を持って工事が可能であるとしている。森林法34条2項は森林営業のための軽微な行為のみを対象としたものであり、本件のような大規模な工事を想定していない。また、索道は二千五年日本国際博覧会終了後撤去するとしているが、その方法等は提示されていない。撤去作業においても建設時同様の大規模な工事を伴うものと考えられ、ここにおいても森林法第34条2項にいう軽微な行為とはならない。
3)被告は原告らの再三にわたる警告にもかかわらず、近日中に森林法第34条の作業許可を出す予定である。
3.自然災害の危険性
原告らは主に愛知県瀬戸市上之山町3丁目に在住するものであり、本工事場所に隣接する。上述のごとく、本地域は土石流災害等が危惧される場所でもあり、計画通り工事が始まれば、原告らは本工事に伴う土砂災害、環境の悪化にさらされる。また、本地域は貧栄養土壌地域であり、一度樹木の伐採や地形の改変を行えば、その回復は30年以上の年月を要し、原告らは二千五年日本国際博覧会終了後も長期にわたって、土砂災害等の危険にさらされる。
4.森林法の形骸化
本件のような森林法の違法な運用を看過すれば、今後同様の大規模開発が保安林解除なしに安易に行われる事に道をひらくものとなる。又 この「一時作業許可」(森林法34条2項の作業許可)は2年ごとの更新が可能であるので恒久施設建設も可能となる。本件が保安林制度の形骸化を招くきっかけとなりうる。近年 某県では保安林に産業廃棄物が大規模に不法投棄され周辺地域に深刻な環境被害を招いており国民に保安林の重要性を再認識させた。特に当該保安林は「土砂流出防備保安林」という防災上重要な使命を帯びた保安林であるので被告はひときわその保護育成に心がけるべき立場にあるはずである。又 当該保安林は県民の財産である県有林でもあり これを適正に保護、育成すべき被告の違法な本件許可処分を認める事はできない。
よって、請求趣旨記載の判決を求める。
第4.証拠方法
追って提出する。
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