万博ゴンドラ許可取り消し裁判の報告 
                        加藤 徳太郎

 提訴後第1回公判が4月21日第2回公判が6月2日に開かれました。
 第1回公判では、被告側中部運輸局が、私達原告に対し、「ゴンドラ事業許可については、裁判に訴える法律上の権利がなく、いわゆる原告適格がない」として訴えを棄却するよう求めてきましたので、この点について原告側(私達)の反論を書面で提出するよう裁判長の発言がありました。
 また、被告とした国土交通大臣については、ゴンドラ事業の許認可権限を日本各地の各運輸局長に委託しており、今回の件では、訴訟の相手とならないことが確認されたので、被告から取り下げました。中部運輸局長のみとしました。
 行政による許認可処分によって、空港、鉄道、原子力発電所、道路などの設置が行われていきます。公共、公益性の名目によって進められていくこれらの事業が、周辺住民や市民生活に及ぼす影響がどのようなものになるのかは、様々に論じられなければなりません。公共の利益も住民、市民の個々の利益の実現を通じて達成されるものであることは明らかです。しかし、中部運輸局は、「ゴンドラ事業の安全性が確保されていれば、周辺住民の利益も確保されることになる」「鉄道事業法によるゴンドラ許可処分を通じて保護しようとしているのは利用者の安全という一般公益であり、個人の個別的法益を保護する趣旨ではない」等として、住民個々人の原告適格を認めず、門前払いをするよう主張しています。
 行政許認可取り消し裁判の原告適格については、小田急判決等に見られるように幅広く住民に認めるようになっています。原告適格を広く認めるよう行政訴訟法改正案が6月2日に国会で成立しています。
 1日17,000台以上の車が通行する国道155号線、30,000台以上が通行するグリーンロード線、万博開催期間中1日20,000人もの人を運ぶリニアモータカー東部丘陵線の上空を宙吊りのゴンドラが通過するときに安全対策が万全にとられているかを裁判において明らかにすることは極めて重大なことではないでしょうか。しかし、鉄道事業法に義務付けられた安全対策について実質的論議をしないまま結審を裁判長は決定しました。安全対策に踏み込んだ判決を強く望むものです。

 判決言い渡しは、7月8日(木)午前10時 名古屋地裁1101号法廷

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