■ガイドローラー 逆装着/宮島ロープウエー事故<中国新聞 2004年5月13日>

 広島県宮島町の宮島ロープウエー事故で、運行する広島観光開発(星加盛彦社長)がゴンドラ上部にある握索・離索装置のうち、ガイドローラーと呼ばれる部品を誤って左右逆向きに取り付けていたことが十二日、分かった。広島県警と中国運輸局は、これが事故につながった可能性があるとみて詳しく調べている。
 握索・離索装置(全長約六十センチ)は、ゴンドラが駅に入る際、内部のロッドが連動してワイヤをつかんだり、緩めたりして、ゴンドラの移動、停止を制御する。
 問題のガイドローラー(直径二十二センチ、厚さ二センチ)は、ゴンドラの姿勢を安定させるための部品で、握索・離索装置のほぼ中央に装着。駅舎では天井にあるガイドレールの溝に外周部が入り、揺れを抑えるなどの役割を果たしている。
 中国運輸局などによると、同社は三月の点検時に、左右非対称のガイドローラーを逆向きに装着。ガイドレールの溝とのすき間が一方だけ狭くなり、ローラーと溝が異常な接触を繰り返していた。ロープウエーは、鉄道事業法で月一回の点検が義務付けられているが、同社は四月の点検時には、ミスに気付かなかったと説明している、という。
 設備を製造した安全索道(滋賀県水口町)は「ガイドローラーを逆向きに装着した場合、故障につながる可能性がある」と指摘する。これまでの県警や運輸局の調べでは、ガイドレールに傷があることが判明。ゴンドラが減速せず収納庫の扉に衝突した事故の原因として、この取り付けミスが浮上し、今後の調査の焦点となる。

 万博ゴンドラ問題に戻る  表紙に戻る