2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その3)
に対する経済産業大臣助言について

                      平成16年4月9日 経済産業省博覧会推進室
 
 本日、2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その3)について、財団法人2005年日本国際博覧会協会に対して述べた助言は以下のとおり。

【問い合わせ先】
 経済産業省博覧会推進室 中尾、加藤、田中 TEL 03?3501?0289

2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その3)
に対する経済産業大臣助言

 2005年日本国際博覧会については、2005年日本国際博覧会協会(以下「博覧会協会」という。)により、追跡調査が実施されているところである。

 博覧会協会は、経済産業省が策定した2005年日本国際博覧会環境影響評価要領に基づき、2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その3)を平成16年2月20日付けで経済産業大臣に提出した。当省は、同要領に基づき環境大臣に対して同報告書を送付し、これに対し、平成16年3月26日付けで環境大臣より環境保全の見地からの助言が提出された。

 経済産業大臣として、環境大臣助言を踏まえ、環境保全の見地から以下のとおり助言する。

1.大気質について、シャトルバスにおける低公害車の積極的採用、低公害車による駐車場への来場の推進、駐車場周辺住民のシャトルバス利用への対応等、観客輸送に係る交通手段の低公害化及び駐車場周辺の交通量の低減を促進する対策により、駐車場周辺地域における大気汚染物質の排出量の更なる低減のための方策を検討すること。

2.大気質に関する予測において、博覧会事業の実施自体による浮遊粒子状物質濃度の増分が少ない場合であっても、大気の状態やバックグラウンド濃度によっては環境基準を超える場合があり得ることから、影響を可能な限り小さなものとするよう細心の注意を払いながら事業を実施すること。

3.ダルマガエルについて、別の生息環境適地への移入という環境保全措置の効果について、予測の不確実性が伴うものであることから、必要に応じ、生息地を保全することを含めて、ダルマガエルの生息環境の維持・創出に努めること。

4.追跡調査報告書における動物の予測・評価については、影響の回避・低減が図られると評価されているものの、予測の不確実性が伴うものであることから、環境保全措置実施後の生息環境が適切に維持されるよう細心の注意を払いながら事業を実施すること。

5.駐車場における景観について、視覚的変化の影響の低減をプランターの設置により検討しているが、植栽コンテナの設置など駐車場規模と景観との調和に留意した影響の低減方策も検討すること。

6.また、平成16年3月26日付けの環境大臣助言(別添)において述べられた事項についても適切な対応を検討すること。
                                   
(別添)
「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その3)」に対する環境大臣の助言について

 2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価については、平成14年5月に「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価書(案)」に対する環境大臣意見(以下「平成14年環境大臣意見」という。)、並びに「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その1)」、「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その2)」及び「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(モニタリング調査)報告書(平成14年度)」に対する環境大臣助言を述べたところであり、これらについては引き続き適切に対処される必要がある。この意見、助言に加え、今般、「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その3)」(以下「追跡調査報告書」という。)が送付されたことから、環境保全上必要な助言を下記のとおり述べるものである。

                               記

(1)名古屋空港駐車場に係る浮遊粒子状物質及び騒音についての検討及び保全対策
 名古屋空港駐車場に係る浮遊粒子状物質及び騒音については、追跡調査報告書において、現空港機能移転前と比較してそれらの程度が小さくなることをもって環境影響は小さいと判断しているが、供用時の駐車場及びその周辺の沿道における浮遊粒子状物質並びに駐車場における騒音に係る環境影響がなお懸念されるため、その影響を定量的に検討するとともに、必要に応じ環境保全対策を実施すること。また、その検討結果については供用時までに公表すること。
(2)駐車場に係る浮遊粒子状物質及び騒音についての保全対策
 追跡調査報告書において、駐車場及びその周辺の沿道における浮遊粒子状物質並びに駐車場周辺の沿道における騒音が、工事中及び供用時に環境基準値を超過する等の高い水準にあることから、これらの環境影響を可能な限り軽減するため、次のような措置を実施する必要がある。

@「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価書」、「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その1)」及び追跡調査報告書に記載されている環境保全対策の実施にあたっては、工事の平準化や資材等の搬出ルート・時期の分散化の徹底、鉄道等の公共交通機関へ来場者の積極的な誘導の徹底、アイドリングストップの励行の強化、シャトルバスへの低公害車の積極的な導入、駐車場周辺の渋滞対策の強化等について、最大限の効果が得られるよう具体的な内容を十分検討し、その結果に基づき強力に推進すること。

A工事中及び供用時における円滑な交通の確保や自動車交通の抑制のための対策について、関係機関と連携して検討し、実施されるよう措置すること。

(3)ダルマガエル等の貴重な動物についての保全対策
@ダルマガエルについては、尾張旭駐車場予定地内を中心として生息しており、周辺の生息地も含め事業による影響を受ける範囲が広いと考えられることから、改変が可能な限り少なくなるよう、工事計画をさらに検討すること。
 また、移動を行う場合には、専門家の意見を聞き、ダルマガエルの生息に適した環境を確保した上で行うこと。

A一部の駐車場内及びその周辺では、ツマグロキチョウ等の貴重な動物が生息することから、平成14年環境大臣意見の中「4 具体的な環境モニタリング計画の策定及びそれに基づく対応」に基づき、工事中及び供用時において適切な措置を実施すること。

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