■扉開いたままゴンドラ発車 奈良・葛城山ロープウェイ<2004年4月25日朝日新聞>
 25日午前11時半ごろ、奈良県御所市櫛羅(くじら)の「葛城山ロープウェイ」葛城登山口駅で、発車係の男性(43)がゴンドラ(定員51人)の扉を閉め忘れたまま発車させるミスがあった。「ドアが開いているぞ」という乗客の声に気づいた発車係が非常ボタンを押し、約70メートル進んだ地上約6メートルのところで停止。約1分後に同駅へ引き返した。乗客34人と、一緒に停止したもう1台のゴンドラの乗客8人にけがはなく、間もなく運行を再開した。
 運営する近畿日本鉄道(本社・大阪市)によると、ゴンドラは葛城山上駅にある運転室から操作する。発車係は、ゴンドラの扉を外から閉めて留め金をかけたうえで、運転室に発車了承の合図を送るボタンを押すことになっているが、扉を閉め忘れたままボタンを押したらしい。発車後、しばらくして乗客が中から扉を閉めたが、留め金はかかっていない状態だった。
 この発車係は、普段は大阪府羽曳野市で近鉄電車の車両検査を担当しており、この日は登山客が多いため臨時に同ロープウェイに派遣されていた。3月に訓練を受けたが、実際に発車係を務めるのは初めてだった。
 同ロープウェイでは94年にも、乗客22人を乗せたゴンドラが扉を開けたまま約200メートル運行するトラブルがあった。
 同社は「前回の再発防止策が有効な手立てとならなかったことを真摯(しんし)に受けとめ、安全確保の順守に努めたい」との談話を出した。26日にも国土交通省近畿運輸局に経緯を報告するという。
 同ロープウェイは67年開業。標高差561メートルの葛城登山口駅?葛城山上駅間約1.4キロを片道6分で結ぶ。2台のゴンドラが上り下りを交互に行き来する。年間利用客は約16万人で25日は行楽客が多く、約1000人が訪れたという。

■ロープウエー事故 3時間宙づり、1人負傷 広島・宮島<2004年5月7日毎日新聞>
 6日午後2時50分ごろ、広島県宮島町の「宮島ロープウエー」が運行中に突然停止してゴンドラ(8人乗り)14基が宙づりになり、男性7人、女性6人の乗客計13人が閉じ込められた。約3時間20分後に全員が救出されたが、乗客のさいたま市在住の陸上自衛官の男性(39)が停止した時の衝撃で腰を打って軽傷を負ったほか、別の兵庫県三田市の会社役員の男性(57)が宙づりの車内で気分が悪くなった。
 県警廿日市署などによると、急停止したのは始発駅「紅葉谷駅」と中間駅「かや谷駅」を結ぶ約1.1キロの循環式ロープウエー。当時、計18基のゴンドラで運行していたが、4基は両駅に入ったところで止まり、14基が最高で地上約22メートルの地点で宙づりになった。14基中、7基に計13人(上り線12人、下り線1人)が乗っていた。同社などが復旧作業にあたり、午後5時40分ごろ、運転を再開、午後6時10分ごろ、全員がゴンドラを下りた。

■宮島ロープウエー事故 外れたワイヤ調査      <2004年5月7日中国新聞>
 広島県警 実況見分始める
 広島県宮島町の宮島ロープウエーが六日、突然停止して、観光客十三人が約三時間閉じ込められた事故で、広島県警捜査一課と廿日市署は七日朝、実況見分を始めた。調べで、ふもとの紅葉谷駅内のゴンドラ収納庫の木製扉にゴンドラが激突した跡があることが分かり、事故当時の痕跡とみられることから、ワイヤが滑車から外れた原因との関連を調べている。
 捜査員たちは午前九時前から紅葉谷駅に立ち入った。これまでの調べで、当時、ゴンドラを移動させる循環式のワイヤが外れたことが分かっている。外れたのは、駅構内と、駅に最も近い鉄柱の二カ所の滑車とみられ、その部分を中心に調べた。
 激突の跡は、けがをした埼玉県の男性(39)が乗っていたゴンドラがぶつかったとみられ、激突とほぼ同時刻にワイヤがたるんで滑車から外れたらしい。同署などは、原因解明の手掛かりになるとみて調査を進める。
 同ロープウエーでは四年前にも強風が原因の人身事故があった。県警はその点も重視して、業務上過失致傷での立件を視野に入れている。
 ロープウエーは中国運輸局の指導で当分の間、運休の見通しで、この日は知らずに紅葉谷駅を訪れる観光客もいた。
 一方、事故にあった乗客のうち、関東地方から観光ツアーで宮島町を訪れた七人は七日早朝、宿泊先の町内のホテルから次の目的地の萩市に向けて予定通りに出発した。ホテル側の説明によると全員、元気な様子で、朝食もとったという。

■ワイヤ脱落の原因を捜査 宮島ロープウエー事故 <2004年5月7日(金)山陽新聞>
 広島県宮島町の宮島ロープウエーでワイヤが外れてゴンドラが緊急停止し、乗客1人が負傷、観光客13人が3時間近く宙づりになった事故で、廿日市署は7日、業務上過失傷害の疑いもあるとして、原因究明のため事故現場を実況見分した。
 同署は運行会社「広島観光開発」の社員を立ち会わせ、「曳索(えいさく)」と呼ばれる動力用ワイヤが外れた2カ所の滑車付近を中心に詳しく調べるほか、運行や安全管理について確認する。
 調べでは、6日午後2時50分ごろ、ロープウエーの紅葉谷駅付近でゴンドラを動かすワイヤが滑車から外れ、ゴンドラが停止。さいたま市の陸上自衛官の男性(39)が衝撃で腰を打って負傷、関東地方や兵庫、岡山などの観光客計13人が乗ったゴンドラが宙づりになった。

 
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