●岡田さんより訂正のご連絡がありました。5/7NEW!
 陳述書の中の名古屋瀬戸道路反対運動の箇所は、「(計画道路ルートを)10メートルでも1メートルでも この町から離したかった」ではなく「どの町にも迷惑のかからない計画にすべきだ」という御意志でした。訂正させていただきます。


◎3月30日ゴンドラ支柱建設差止訴訟第2回公判にて、原告代表岡田さんが、この訴訟に至った事情を陳述されました。この事情をご理解いただき、ぜひご支援を!

                   陳 述 書
                                 岡田 みどり
 
 小さな 力もない我々が 大きな 力のある組織に正式に「ものごと」を述べる事ができ 公明正大に判断していただける場のある日本。この国の国民である事を誇りに思います。

 私は岡田みどり。愛知県瀬戸市上之山町3丁目の住人であり「瀬戸市上之山町3丁目町内会」の「総意」であるところの「二千五年日本国際博覧会」の「2会場間観客輸送ゴンドラ建設計画白紙撤回運動」を担当する「上之山町3丁目町内会、ゴンドラ(環境)対策委員会」の委員長でありこの運動を礎とした「平成15年12月10日提出の当訴訟」の原告15名の選定当事者でもあります。

 当町は瀬戸市の南端に(主に静かな里山の中に)25年ほど前にできた戸数75前後の町です。まず 別荘地として売り出されたため 交通がきわめて不便。名古屋へゆくのもまず「青少年公園」まで歩いてバスに乗ったとの事です。しかし その不便さよりも この静かな環境を 当町民は選びました。(甲−3)

 一般市民にとって莫大なローンを覚悟する「持ち家の取得」は一大決心が必要であり その選択には その人の生き方が表明されます。「己の終の棲家」の選択は一つの自己表現の場でもあるのです。「この町に集った人々は 便利さよりも静かな環境を選択する『町民性』を持っている。」それを 被告「二千五年日本国際博覧会協会」はもちろんの事他の行政諸君もすべからく尊重すべきです。

 この20数年 この町の住民は この環境の中で子どもたちを育て 慈しみ 秋祭りをし(甲−4) 地域の諸行事に参加し 隣人が身まかれば「さびしみまい」を持ち寄って共に「野辺送り」をしました。下水道の維持管理も 集会所の建設も(一軒あたり156000円の負担)も 行政の協力がえられないため輪番制の町内会長が 中心になって行って参りました。
 又、住宅周辺の里山の自然(シデコブシ、オオタカ、ギフチョウ等の絶滅危惧種をはじめとする動植物を含む)に対しても「物言わぬ隣人」として「尊厳」をもって接して参りました。

 県の「砂防課」の方が言わずとも私たちは「砂防地である住宅周辺の里山の土」を削りません。それは隣人を削る事だからです。
 「林務課」の方が言わずとも 私たちは「保安林でもある住宅周辺の里山の木」を切りません。それは隣人の腕を切ることだからです。
 「県有林事務所」の方が言わずとも私たちは「県有林でもある住宅周辺の里山」にむやみに入りませんでした。それは隣人の家にむやみに入る事だからです。
 私たちこそ この地に生き この地で死を迎え この地の土塊、木の一本一本になる者。まさに「自然との共生」をすでに果たしてきた当町なのです。

 このように 住宅周辺自然環境と共に静かに生き 法を守り 誠実に税金を支払ってきたこの町に数年前 晴天の霹靂のような「道路問題」が持ち上がりました。
 (甲−8)にあるように「名古屋瀬戸道路」「インターチェンジ」「第3環状線」が 当町を30メートルほどの橋脚やループ状の道路で取り囲み 当町のたった一つしかない出入り口をふさぐようなルート設計になっておりました。人を人とも思わない計画、私たちを「ほしくさ以下」におとしめた 非人道的としか言いようのない計画でした。実現していたならば この町は「大気汚染」「排気ガス」「浮遊粒子物質」等の谷間となり まさに「人体実験」の場となっていたでしょう。町として滅びていたでしょう。
 もはや 都市計画取り下げとなった今でも 誰が どうして このルートを決定したのかわかりません。この時も この町は町をあげ反対しました。ここに名古屋瀬戸道路の「公聴会」の公述人をつとめた当町民23人分の「予稿集」があります。この町の「誇り」であり「宝」であります。

 そしてこの「強いものの都合でひかれたルート」を自分の大事な町から家族から 
10メートルでも1メートルでも遠ざけようとして運動し 命を削り ついには死に至ったと思われる人もいるのです。
 力の弱い者 小さい者は力の強い者 大きい者の犠牲になれ 黙って死んでいけというメッセージを感じました。このようなルートを計画するのが「愛知県」のやり方なのだ 誠実に法を守り 税金を支払ってきたこの善良な町への これが「愛知県」の答えなのだと感じました。この町はこの事実を忘れないでしょう。私たちは今後も誠実に税金を払い清掃の呼びかけにも答えるでしょうが もはや100パーセントの信頼を捧げることはできなくなりました。自分たちの家は自分たちで守るしかないと思うしかありません。
 この町は この時すでに大きな大きな犠牲を支払っているのです。

 そして 今度の万博ゴンドラ計画です。「またか」と思いました。また この町の人間に対し「人を人とも思わない計画」がなされていると思いました。
 万博会場建設によりこの町には 他の地域にない環境負荷がすでにかかっております。
 先日は無通告の断水があり 当町の朝のライフラインに混乱が生じました。瀬戸会場建設の砂埃が私の家にもやって参ります。交通渋滞も前より激しくなりました。それでも 当町は万博事業そのものに対して「中立」です。これは大変な譲歩です。

 そもそも「よんどころない事情」で「海上の森1会場」を放棄し 転変の後 この町を取り囲むような「青少年公園」と「瀬戸会場」にいきなり決定したとき この町の者は しかし何も直接教えてもらえませんでした。かつての瀬戸市役所の万博推進官は 先日 私に「このような事業が来る町は今までより1000倍犯罪が増えるので気をつけるように」とおっしゃいました。そのような 住環境悪化を招くものが この町を取り囲む事になったのに 一言も何もない。

 このような対応を「万博協会は上之山3丁目に対し誠実である」となぜいえるのか。それでも この町は万博事業に対し中立なのです。これは大変な譲歩です。

 この万博は愛されるべきでした。少なくとも近隣住民に愛されるように協会側は ふるまうべきでした。周辺住民を追いつめるべきではありませんでした。
 「2会場」になったとき協会側のどなたかが「万博会場がこの近隣に移った、いろいろ迷惑をかけるが協力してくれ」と 腹を割って 万博開催の意義を情熱を持ってこの町に対しおっしゃっていたら 今日このような場所で 我々が万博協会のかたがたを「被告」などと申し上げる「当訴訟」を起こすまでには至らなかったでしょう。

 私たちは「万博事業にたいし中立」 しかし数々の法にふれるゴンドラ建設に対しては建設の差し止めを求めます。   

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