「X.自家用車駐車場整備に伴う環境影響調査」に関する事業計画の概要及び 追跡調査の手法の詳細等から
“注目すべき動物種”を抜粋。
●尾張旭駐車場
調査結果の概要 p.80〜83
2002年8月より2003年10月にかけて、春季・夏季・秋季・冬季の4季について現地調査を実施。2002年8/20、11/13、2003年1/23、4/18、10/3。
また、上記の調査(以下、「本調査」)においてダルマガエルの生息が確認されたことから、その周辺域に調査範囲を広げ(追加調査範囲)、この範囲内の対象種の生息環境に類似した環境において、以下の日程で追加調査を行った。なお、調査日程の設定にあたっては、成体の確認適期に考慮した。2003年10/10、10/28〜30。
現地調査の結果
【本調査】 2002年〜2003年にかけて実施した注目すべき動物種の確認調査により、計画地内及びその周辺の水田耕作地及び水路等において、ダルマガエルの成体205個体を確認した(2003年秋季調査)。ダルマガエルの同定については、その形態的特徴のみから判断することは難しいが、よりダルマガエルとしての形態的特徴が強い個体を、今回ダルマガエルとして判断した。確認された種については、確認位置を図5−1−1(略)に、種の特性を表5−1−9に示した。なお、注目すべき動物種の選定については、表5−1−10に示す文献等に記載されている種とした。
【追加調査】追加調査の結果、計画地と同様に周辺域の水田耕作地及び水路等において、ダルマガエルの成体26個体を確認。確認位置を図5-1-1(略)に示した。但し、位置図には注目すべき動物種保護の観点から、地形図および計画地範囲、調査範囲を示していない。
表5−1−9 注目すべき動物種の特性
<種名>ダルマガエル
(両生類・カエル目・アカガエル科)
<生態特性>低湿地帯の水辺に生息する。繁殖期4月下旬から7月中旬までと長く、繁殖場所は水田、溝、浅い池、沼などの浅い止水が利用される。本亜種は、トウキョウダルマガエルの日本固有亜種であるが、長い間トノサマガエルと混同されてきた。また、発見年代(1941年)が新しいこと、完全なすみ分けができなくなったトノサマガエルとの自然交雑を生じており、遺伝的な純粋性を失いつつあることなどの点で注目される。
表5−1−10 注目すべき動物種の選定
類別 |
種名 |
科名 |
注目すべき理由(抽出根拠)*1 |
種の保存法 |
環境省レッドリスト等 |
愛知県RDB |
県保全調査 |
その他 |
両生類 |
ダルマガエル |
アカガエル |
|
VU |
NT |
|
|
*1:抽出根拠の略称について
「種の保存法」:「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(平成四年法律第七十五号)により、国内希少野生動植物種に指定された種。
「環境省レッドリスト等」:「改訂・日本の絶滅の恐れのある野生動物レッドデータブック哺乳類」(2002
年、環境省)、「改訂版鳥類レッドリスト」(1998
年、環境省)、「改訂・日本の絶滅の恐れのある野生動物レッドデータブック爬虫類・両生類」(2000
年、環境省)、「改訂版汽水・淡水魚類レッドリスト」(1999年、環境省)、「改訂版無脊椎動物(昆虫類、貝類、クモ類、甲殻類等)レッドリスト」(2000
年、環境省)
EX:「絶滅」我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
EW:「野生絶滅」飼育・栽培下でのみ存続している種
CR+EN:「絶滅危惧T類」絶滅の危機に瀕している種
CR:「絶滅危惧TA類」ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種
EN:「絶滅危惧TB類」TA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種
VU:「絶滅危惧U類」絶滅の危険が増大している種
NT:「準絶滅危惧」現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
DD:「情報不足」評価するだけの情報が不足している種
LP:「絶滅のおそれのある地域個体群:地域的に孤立しており、地域レベルでの絶滅のおそれが高い個体群
「愛知県RDB」:「愛知県の絶滅のおそれのある野生生物レッドデータブックあいち動物編2002」(2002
年、愛知県環境部自然環境課)
EX:「絶滅」愛知県ではすでに絶滅したと考えられる種、または野生では絶滅し、飼育・栽培下のみ存続している種
CR+EN:「絶滅危惧T類」絶滅の危機に瀕している種
CR:「絶滅危惧TA類」ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
EN:「絶滅危惧TB類」TA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
VU:「絶滅危惧U類」絶滅の危険が増大している種
NT:「準絶滅危惧」存続基盤が脆弱な種
DD:「情報不足」評価するだけの情報が不足している種
LP:「地域個体群:その種の国内における生息状況に鑑み、愛知県において特に保全のための配慮が必要と考えられる特徴的な個体群
「県保全調査」:「保全を要する自然環境要素分布調査」(1989年、愛知県)のうち学識経験者の判断による。
「その他」:鳥類については学識経験者判断により「昆虫食で、個体数が減少している」と考えられる種。
:昆虫類については「第2回自然環境保全基礎調査」(1981
年、環境庁)の調査対象種をあげた。「指標」は指標昆虫類
を、「特定」は特定昆虫類を示す。特定昆虫類の選定基準は以下に示すとおりである。
A:日本国内ではそこにしか産しないと思われる種
B:分布域が国内の若干の地域に限定されている種
C:普通種であっても、南限・北限などの分布限界になると思われる産地に分布する種
D:当該地域において絶滅の危機に瀕している種
E:近年当該地域において絶滅したと考えられる種
F:業者あるいはマニアなどの乱獲により、当該地域での固体数の著しい減少が心配される種
G:環境指標として適当であると考えられる種
●長久手インター駐車場
調査結果の概要 p.99〜102
2002年8月より2003年10月にかけて、春季・夏季・秋季・冬季の4季について現地調査を実施した。2002年8/20、10/10〜11、2003年1/23、4/18、10/10。
また、上記の調査(以下、「本調査」)においてカヤネズミ及びツマグロキチョウの生息が確認されたことから、その周辺域に調査範囲を広げ(追加調査範囲)、この範囲内の対象種の生息環境に類似した環境において、以下の日程で追加調査を行った。また、ツマグロキチョウの調査については、生息環境の環境要素として重要であるとの観点から、幼虫の食草であるカワラケツメイ(マメ科・一年生草本)の分布状況についても同時に調査を行った。なお、調査日程の設定にあたっては、カヤネズミ及びツマグロキチョウ(成虫)の確認適期を考慮した。<カヤネズミ調査>2003年9/30、10/1、10/10、10/28〜30<ツマグロキチョウ・カワラケツメイ調査>2003年10/10、10/28〜30。
現地調査の結果
【本調査】2002年〜2003年にかけて実施した注目すべき動物種の確認調査により、計画地内の水田耕作地及びヨシなどの高茎草地において、カヤネズミの巣を4ヶ所で確認した(2002年夏季・秋季調査、2003年秋季調査)。また、改変地内の造成跡地の草地において、ツマグロキチョウの成虫を6個体確認した(2003年秋季調査)。確認された種の特性を表5−2-9に、確認位置を図5−2−1、2(略)に示した。なお、注目すべき動物種の選定については、表5−2−10に示す文献等に記載されている種とした。
【追加調査】
<カヤネズミ>追加調査の結果、図5-2-1(略)に示すように、計画地南の水田耕作地で6個の巣を新たに確認した。確認された巣は車道脇の水田耕作地内で、全ての巣がイネに造られていた。
<ツマグロキチョウ>追加調査の結果、図5-2-2(略)に示すように、計画地北の林道沿いで新たに4個体のツマグロキチョウの成虫を確認した。また、計画地北に位置する香流川土手の草地で1個体を、計画地の西側の民家脇の空き地で1個体を確認した。
<カワラケツメイ>図5-2-2(略)に示すように、計画地内に1055個体が確認された。また、計画地周辺部ではカワラケツメイが生育可能と考えられる造成地が少なく、調査対象面積に比して確認個体群は少なかったが、造成が行われた後と思われる堀越川北側に広がる農地(計画地西側)においては530個体が確認された。なお、カワラケツメイの生育地としては河原が想定されるものの、周辺部には本種の生育できるような河原を持つ河川がなく、生育は確認されなかった。なお、位置図には注目すべき動物種保護の観点から、地形図および計画地範囲、調査範囲を示していない。
表5-2-9 注目すべき動物種の特性
<種名>カヤネズミ
(哺乳類・ネズミ目・ネズミ科)
<生態特性>低地から標高1200mあたりまで広く分布している。通常、低地の草本・水田・畑・休耕地・沼沢地などのイネ科植物が密生し水気のあるところに多い。鳥が作るような球形の巣を作る。繁殖期は春と夏の年2回である。
<種名>ツマグロキチョウ
(昆虫類・チョウ目・シロチョウ科)
<生態特性>河川敷、堤防、湿地周辺や田畑の畦道などに生息する。夏型は食草群落を離れず、秋型は発生地を離れて庭園の草花を訪れることも多い。食草はカワラケツメイのみ。
表5-2-10 注目すべき動物種の選定
類 別 |
種名 |
科名 |
注目すべき理由(抽出根拠)*1 |
種の保存法 |
環境省レッドリスト等 |
愛知県RDB |
県保全調査 |
その他 |
哺乳類 |
カヤネズミ |
ネズミ |
|
|
VU |
|
|
昆虫類 |
ツマグロキチョウ |
シロチョウ |
|
VU |
VU |
|
|
*1:抽出根拠の略称について (尾張旭の説明と同じ)
●藤岡インター駐車場
調査結果の概要 p.131〜133
2002年8月より2003年10月にかけて、春季・夏季・秋季・冬季の4季について現地調査を実施。2002年8/20、10/10?11、2003年1/23、4/18。
現地調査の結果
2002年〜2003年にかけて実施した注目すべき動物種の確認調査により、計画地内に一時的に出現した湿地状の水たまりにおいて、ハッチョウトンボのオス1個体を確認した。この確認状況から判断して、当該地域は安定した生息環境ではないものと判断した。また計画地はその周辺域も含めて、開発に伴う攪乱の途上にあり、地被の状況を含めて大きく変化している地域である。このことから、周辺域に安定した生息環境が成立している可能性は低いものと考え、調査範囲を広げる追加調査は実施しないこととした。確認された種の特性を表5-5-9に、確認位置を図5-5-1(略)に示した。なお、注目すべき動物種の選定については、表5-5-10に示す文献等に記載されている種とした。
表5−5−9 注目すべき動物種の特性
<種名>ハッチョウトンボ
(昆虫類・トンボ目・トンボ科)
<生態特性>青森県以南に広く分布するが、産地はかなり局限されている。出現期は5月下旬から10月初旬まで。成虫・幼虫とも、モウセンゴケやミミカキグサ等が生育する滲出水のある湿原・湿地などに生息している。
表5−5−10 注目すべき動物種の選定
類 別 |
種名 |
科名 |
注目すべき理由(抽出根拠)*1 |
種の保存法 |
環境省レッドリスト等 |
愛知県RDB |
県保全調査 |
その他 |
昆虫類 |
ハッチョウトンボ |
トンボ |
|
|
|
|
指標 |
*1:抽出根拠の略称について (尾張旭の説明と同じ)
|