Last modified: Sun Aug 13 20:34:46 JST 2000

2000年8月

8/12 Hellboy/巻き
 今やHellboyは現在日本で出ている単行本四冊を揃えてしまった.「破滅の種子」や「魔神覚醒」と言った長編ものよりも,世界各地の民話をもとにした短編の方が私としては面白い.本屋で『亡びの右手』に収録されている「ヴォルド王」と「飛首」を立ち読みして非常に面白かったのがきっかけだったし.「飛首」の方は日本のろくろ首が原案で,1960年代の京都が舞台なのである.妙な日本家屋の描写はご愛敬.そのうち輸入版を買ってしまいそうな気がする.

 先日の"Ray"の話の続き.髪型やらファッションで巻き(お蝶夫人みたいに巻き毛したり,スカーフやショール巻いたりとか)が流行りであるという特集で,マリリンモンローやブリジットバルドーも巻き毛だった,オードリーヘプバーンもスカーフ巻いていた,やはりいい女は60年代から巻きをチェックしていたんだ,というようなあおり文句がついている.なんというか,今のファッションは60年代のリバイバルなんでしょ.60年代からチェックしていたんだ,なんて言い方は的外れも良いとこじゃないか? 曲がりなりにも「ファッション誌」(違うのかな)なのだから当然知ってて書いていると思うのだが,読者のレベルに合わせたのか? いずれにせよ,どの分野にせよ昔のことを知らないというのは,その分野への敬意にかけていることであり,その分野について語る資格に欠けるのである.Macintoshをみて「Windowsそっくり」とかのたまったTV番組ディレクターとかもいたっけな.いずれにせよ,「巻き」特集にベトナム春巻きまで入れるのは無理があると思う.
 やあ,一冊でこんなに楽しめちゃうと他のJJとかCanCamとか自分で買ってしまいそうで怖いな(笑).

8/6 社会調査と破滅の種子
 ということでHellboyなのだが,面白かったのでさらに「破滅の種子」も買ってしまった.付属のインタビューやらなんやらを読んでみると,作者のミニョーラはこれを書く際にH. P. Lovecraftなんかも意識したらしい.なるほどね.私はそこに魅力を感じたんだろうな.
 ついでに言えば,昨今のアメリカンハードボイルドヒーローの例に漏れず,ヘルボーイも愚痴りながら戦いまくる.『ダイハード』とかその辺(これもインタビューに書いてあったが).つうこってラブクラフト風世界において愚痴りヒーローが戦うという,非常に俺好みなものである.

 ヘルボーイついでに本屋をぐるぐる回ってきたのだが,そこで見つけた面白かった本を一冊紹介.

「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ
谷岡一郎著,文春新書110,¥690+税
ISBN4-16-660110-5
 目次から抜き出すと, という感じで,その辺に出回っている社会調査をゴミ呼ばわりしている.そしてそれは私の見る限り掛け値なしに本当のことである.このゴミな社会調査というのも,別にそこら辺の怪しげな調査などではなく,有名新聞やら各官公庁が行った,社会的に権威があり信じられると考えられているものもの.私も総務庁の調査報告がずさん極まりなく,社会調査について無知なのではないかと推測したことがある.さらには,それらの調査では,実は社会調査の方法論を逆用して自分達に有利な結果が出るようにしていることも示唆している.
 このような社会調査の本というのは色々あったのだが,そこで駄目な例として挙げられるような物は,大概洋もの(翻訳本だから)だったり架空の例だったりすることが多い.これは色々な事情があるのだろうけども,実際に巷で信じられている機関の調査がいかにずさんかということを分からせるにはどうしても弱い.それらの本で社会調査べからず項目を理解しても,それを実際に巷の大機関がしている調査に当てはめて見てみようという人はそもそも少ない.そう言うことをする人を育てるのが高等教育機関の役目の一つである.このような批判精神を育てるためには,この本のように実例をズバッとあげるべきだろう.その辺この本はよくやったと言いたい.
 また,日本の社会科学で行われている調査のお寒い実情への憤りなども述べられている.日本で調査データの公開がされないのは,研究者達が調査の方法論をまったく知らなくてお粗末な調査しかしていないのを自覚しているからだ,とかけちょんけちょん.実際,「そう言う方法論があること自体知らないんだろうな」と思わせる調査というのはたくさんある.
 で,最終的には様々な調査の信頼性をきちんと把握できるような「リサーチ・リテラシー」をみんなが身に着けるべきだという提言で締め.
 例が,一般的な日本人が信頼している官公庁やら大新聞やらなので,メディアリテラシー教育の一環として,学生に読ませてレポートなんか書かせたいなと思うような本.
8/4 青春の日々と破滅の右手
 本屋を回っていると,"Sald days"というコミックがあるらしい.テニスラケットが腹につき刺さって血がどぼどぼ出たり腕を掴んだら引きちぎられてしまったりピアノを弾いていたらフタが落ちてきて手首がもげたりとかするのだろうか(ただのラブコメらしいけど).
 という疑問とは無関係にヘルボーイの『滅びの右手』を購入.アメコミはあまりぴんと来ないのだが,これは良いな.
8/2 ロバート!ロバート!
 最近CD屋にいって読む句.

YMOは テクノの棚には ないのだよ
 同趣の句に
ロバジョンは R&Bの棚には ないのだよ
※ロバジョン:1920年代のアメリカのブルーズミュージシャン,ロバート・ジョンソンのこと.悪魔に魂を売ったという伝説が残っている.
というのもある.とか言いつつ購入したのはCreedence Clearwater RevivalのBEST盤(ちょうどCMで「雨を見たかい」がやってたもので)とThe Collector's King Crimsonだったりする.もっと前向きにいこうぜ.
 どうでもいいがYMOが「い」の棚にあったり「わ」の棚にあったりと,同じHMVの,新宿北店と南店で違うというのはいかがなものか(←社会派).

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