Last modified: Fri Oct 30 19:17:03 1998

1998年10月

10/30
 水曜日のことだから28日になるのだろうか.朝起きたら左の足首がすごく痛いのだ.骨とか関節とかそこら辺の痛みで,ちょっとでも動かすと痛い.体重をかけるなんてもってのほか.ということで全然歩けないのだった.仕方なので外にも出ず家の中で四つんばい・片足けんけんで過ごす.
 次の日の朝はだいぶ良くなっていたが,やはりまだ痛くて歩けない.次の日はバイトが入っているのだが,この調子だと無理だということで休みの電話を入れる.さらに近くの整形外科に行こうとしたら休みだった.くそう.
 でさらに次の日(今日)はバイト休んで寝ていたら夕方になってだいぶ良くなり,少しなら歩けそうなので大学に行く.早急に連絡を取らねばならない必要もあったためである.車はオートマなので左足は使わないで済む.ということで無事大学に来れてこれを書いているのだが,一体この痛みはなんだったのだろう.とりあえず快方に向かっているようだが.ひねったりなんたりは特にしていないのに,朝起きたら突然痛かったのだ.(おお,久々に「近況」らしい.)

 横浜フリューゲルスが横浜マリノスと合併.ううむ,フリューゲルスはわりとひいきのチームだったのに.94年の天皇杯はよかった.本当に不況なのだなあ.

10/23
 先日総理府だか総務庁だかが高校生に対して行ったインターネットについてのアンケート調査がふと気になって探してみたのだが,ホームページ上にはそれらしきものはなかった.山根さんが言っている「都内の高校生アンケート」というのはこれのことかもしれない.
 記憶によればインターネットを利用したことのある男子高校生のうち6割だか7割がエロ画像を見たことがあるとか,親(にもアンケートしている)の7割くらいがエロ画像の法律などによる規制を望んでいるとかといった内容である.
 しかしながらこういったアンケート結果というのはかなり操作できる.例えば上記のアンケートは「インターネットでエロ画像が見られるのはよくないことだ」という調査項目のあとに,その対応策を聞いていて,その選択肢の中に「法による規制」という形式のようだ.で上記の結果になったわけだが,例えば「法により表現の自由を制限することは問題があるか?」という調査項目のあとに同じ質問があるとどうなるだろうか? おそらく「法による規制」を選択する人がかなり減るのではないだろうか(あまりに見え見えな例だけど).こういう答えが前の質問に引っ張られてしまうというのはよく知られた現象で,「キャリーオーヴァー効果」と名前もつけられているくらいだ.社会調査の本ならばどの本にも記述がある.政府の調査というのはその辺のことはどの程度気にしているのかわからないので,できれば調査の詳細が知りたいのだが...

 ちなみにそれを探していて見つけたのが「第3回 情報化社会と青少年に関する調査(結果の要約)」だ.調査時期・対象・範囲・方法などがまったく書かれておらず役に立たない.要約とは言えもうちょっと詳しく書いてほしいなあ.ここら辺も政府機関の調査を実行する人が社会調査論に無知ではないかと思わせてしまうところだ.

10/22
 TwotopNakamichi5連装CD-ROMドライブが19800円で売っていたので購入.それの取り替えのついでに,SCSIカードを今まで使っていたAdaptecのAHA-2940から,先日秋葉原で購入したジャンクTekramDC-390Uへ交換する.後者はジャンクとは言えSCSI-2なので,ただのSCSI-1のAHA-2940よりは速いだろう.たぶん今使っているIBMのディスクのスピードはSCSI-1を上回っていそうだから効果はあるだろう.ちなみに,Adaptecで使っていたディスクをそのままTekramのカードにつなげると使えるが,その逆では使えないらしい.今回は前者のパターンなので特に問題なく動く.
 でSCSI-2になって起動が少し速くなったような気がする.5連装CD-ROMはまだ入れるCDがそんなにないのでまだまだ.ただこれまで買い渋っていたCD-ROM辞書をこれからは買いやすくなるだろう.CD-ROM辞書は便利だが一々CDを入れ換えなきゃいけない点がネックだったからね.
10/20
 「デファクトスタンダード」とは何か.  ポイントとしては「広く受け入れられ市場占有率が高くなった結果」「製品そのものではなく規格・基準のこと」「公的機関が定めたものではない」と言ったところか.今現在の世の中の使われ方では,規格・基準だけでなく製品そのものにもこの術語は使われているようだが,それを許すと独占・寡占の美しい言い換えに使われてしまうのでそういう拡大用法は避けたい.実際『中央公論』に「Windows95はデファクトスタンダードだからそれに従うべきだ」みたいな論が載っていたらしい.確か岩谷宏がどこかに書いていた.
 で,なぜデファクトスタンダードについてわざわざ調べたかというと,ここの研究科のOBの文章の中に,「WindowsNTやNetscape Navigator/Communicator(以下NN/NC)と言った特定の企業の製造物がデファクトスタンダードになっている」(大意)という下りを見つけたからだ.私の感覚ではこれらはデファクトスタンダードでは全くないのだが,その感覚の裏づけをとろうと思ったのだ.

 まずそもそも市場占有率についてだが,インターネットでの市場占有率の指標の一つとして,どの程度WWW serverとして用いられているかを見てみよう.NetcraftのWWW serverの市場調査によると,1998年10月現在ではMSのWWW serverであるIISの占有率は22.64%に過ぎない.一方トップシェアのApacheは52.31%を占めている.これがWindowsNTの市場占有率とパラレルなわけではないが(Netscape Enterprise serverやApacheもNTで動くからね),高い市場占有率とは言えない.ということでデファクトスタンダードとは言えないだろう.
 一方ZDNetNetscapeのシェアについての記事を見ると,NN/NCのシェアは(調査によって多少違うようだが)50%前後と,まあ高い占有率を示していると言っていいだろう.

 しかしNN/NCは製品であり,規格・基準ではない.上記の引用にあるとおり,製品そのものをデファクトスタンダードとは呼ばないようだ.じゃあNN/NCの採用している技術・基準というのはどういうものがあるかと言うと,まずはhtmlだろう.しかしこれはCERN個人が発案し現在はW3Cという(公的?)機関が制定している規格であり,特定の企業が特に関係しているわけではない(まあただW3で制定されるまでは,htmlはNetscapeによって拡張されてきたという過去はある).その他に目に付くような規格は特になく,NN/NCやhtmlがデファクトスタンダードであると言い難い.NN/NCはhtmlについてのreferenceに事実上なっているとは思うが,デファクトスタンダードではないだろう.

 また上記のOBは特定の企業の製造物がデファクトスタンダードになっていくことを何か特殊なことのように記述しているが,先の引用にあったとおり「特定の企業のものがユーザーに広く受け入れられて,そうなることが多い」ので,それは特に珍しいことではない.
 ということでどうもこのOBは,「デファクトスタンダード」という言葉をよく分かっていないし,おそらく現在のインターネット上でのそれぞれのメーカーの占有率にも無知な可能性が高い.

 まあ情報科学研究科とか言う学際領域にいて,自分の専門である文科系の学問の他に技術論もぶてますよみたいなアピールをしていても実際はこんなもんなんだよな.この間も書いたけど,複数の分野にまたがって正確な専門知識(少なくとも専門家から馬鹿にされないだけの知識)を身につけるのは難しいものだ.自戒も含む.でもってOBだろうがなんだろうが事実とは異なることを書いていれば批判されてしかるべきである.「意見が違う」という話であればともかく,この程度の単純な事実に関して「事実とは異なる」というのならば,反対意見もくそもない.

10/19
 先日柴田アナ「ジパングあさ6」にでているが朝早くて見れない」という話を書いたのだが,そもそも「ジパングあさ6」は仙台ではやっていないことが判明.つうことは彼女が見られるのは「スポーツうるぐす」だけか.

 この近況を読んだ学生時代の同級生が,「シャープなルックスに天然ボケな中身の美人同級生」の話に鋭く反応(笑).

10/15
 メモ.UCLA Center for Communication Policy "Television Violence Report"

 再近気になっているのは日本テレビ柴田 倫世アナウンサーである.「しばたともよ」と読むのだが,本人曰「23年間生きてきて、きちんと読んでくれた人は2人しかい」ないそうな.でも私は一発で読めたけど(だからどうした).今年の新人で,地上波では「ジパングあさ6」などでぼちぼち出ているようだが(朝早くて見れない),ケーブルテレビのNNN24では結構出ているので目に付く.
 で何が気になっているかというとあの目である.あの目は絶対「天然ボケ」の目である.実際雑誌『BOMB』の今出ている号のインタヴューでも「しっかりしているようで実はボケキャラ」という話がでていたりする.さらに理想の相手として「ボケとツッコミのタイミングがあう」という点を挙げている.よっしゃ,ワシがなんぼでも突っ込んでやる,色んなものを(←馬鹿&おやじ),と言う気分にさせてくれる.
 まあでも気になっている本当の理由は大学時代の同級生(女性・美人)に雰囲気が似ているからだろう.そいつもシャープなルックスに天然ボケな中身だった.

10/12
 学会も無事終了.学会会場は東京(武蔵小金井)だったので,ついでに色々回ってきた.お台場・神田古書街明治大学刑事博物館・新宿オペラシティ・秋葉原など.
 お台場では臨海公園で思索にふける.フジテレビ新社屋の球体展望台は混んでいたのでパス.だが社屋の壁に貼られている『走れ公務員』の巨大なポスターが良い感じ.ポスターの絵柄自体奥菜恵とさとう珠緒のミニスカのかなりローアングルなショットであるのに加え,貼ってある位置自体も階段から見上げるようなところで,思わず「見えるんじゃないか」と思わせてしまう(もちろん見えない).
 神田古書街は初めて行ったのでとりあえず場所と雰囲気の確認のみ.
 でその帰りに明治大学にもよって,出来たばかりの新校舎(リバティタワーとか言うらしい)の学食で昼食を取る.窓際の席では東京を一望することができる.やはり私立は金がある.こんな都内に土地持っていれば,こんなご時世でも金もどんどん借りれるだろうし.
 食後は付属の刑事博物館による.ここは拷問道具の収集をしている珍しい博物館として有名である.もちろん好事によるものではなくあくまで「刑事参考資料」であると主張しているが,そういう主張を突き抜ける何かを感じられて楽しい.この時は江戸時代の捕具(十手など)・拷問道具(いわゆる「石抱き」や捕縛技術(要は縄掛け),張りつけ台など)が展示されていた.さらにあちらのその手の道具としてギロチンや「鋼鉄の処女」なども展示されていた.申し訳程度に戦国時代〜江戸〜明治の資料も展示.
 新宿オペラシティはICC (Intercommunication Center)目当て.ちょうど『バベルの図書館』というのをやっていたのだが,出品作品の中では徐 冰(シュー・ビン)という人の作品が面白かった.アルファベットで漢字を作ってしまうのである.常設展では「ジャグラー」「ガムラン・オブ・飲むニケーション」「CAVEの共同[形]成」などが面白かった.他に"感覚とコミュニケーション"と称した講演会もしていたようだが,時間と体力が続かなさそうなので断念.
 秋葉原ではTekramDC-390Uのジャンクを5000円で入手.とりあえずうまく動くようだ.さて,何に組み込もう.あとATXのケースにATのマザーボードを組み込むためのパネルも購入.
10/7
 先日フーコーの子供に有害情報を与えるなという態度に関する考察について言及したのだが,なんとなくこの考察はマーガレット・ミードの例のサモアの話を前提としているような気がする.私の記憶ではサモアではそういう性に関する「子供の世界」と「大人の世界」の区別は(少)ないと言う話だ.フーコーがああいう話をするのは当然近代社会とは別のそういった社会との対比の上だろう.
 がしかしこの話は嘘だったという話がある(『言語を生み出す本能』上下.スティーブン・ピンカー著.椋田直子訳.NHKブックス.下巻pp.268-269参照).その上でこのフーコーの発言をどう受け取るかだが...

 学会の準備はほぼ完了.10/8-10は仙台にいないのでよろしく.

10/6
 私のいる研究科は「情報科学研究科」とか言って学際性を売りにしている.しかしながら学際とう言い方は,聞こえはいいが反面イソップのコウモリのニュアンスで受け取られかねない.その分周りから値踏みの視線はきつくなるような気がする.ということで私個人はその分野をよく知っていますよということを多少過剰にでもアピールする必要などを感じているのだが(まあ嫌みになっちゃうというのはあるかもしれないけどね),周りには結構そこら辺は無頓着な人が多い.複数の分野にまたがる話と称したもののいかにも自分はわかっていないというのが言葉の端々ににじみ出ていたら,「学際」とか「ジェネラリスト」という呼ばれ方でなく,「半可通」と呼ばれるしかないだろう.
 ちなみにいわゆるポストモダンな評論というのは,いかに多分野の話題を盛り込むかと言うところがポイントだったりするわけだが,実際のその盛り込まれた話題は専門家からみれば「半可通」以外の何物でもなかったりするという話もある.
 本当に多分野に渡る知識を身につけるというのは難しい.一番簡単なのはそういう知識を身につけた「つもり」になること.でもって専門家からの指摘には「彼らは保守反動だから反論するに過ぎない」「彼らは市民運動家だから反論するに過ぎない」「自分はジェネラリストだから専門家の言うことを知っている必要はない」とつっぱねる(笑).

 明後日から学会である.発表資料作成などの詰めの作業に入る


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