ゴジラバラゴンダガーラ 怪獣大決戦

・最終話


(はじめに)今回はBGMが流れますのでくれぐれも音量にご注意ください。

〈第7章 2003年8月・会津若松〉

 飯盛山――歴史では「白虎隊の悲劇」で有名な場所だが――の頂上へつながる階段を二人
の若者が昇っていた。
「千秋、こっちだ!」
 冬彦の声だった。そう、冬彦と千秋はバラゴンを追って、ここまで来ていたのだった。
 バラゴンは飯盛山のふもとまで来ていた。
 何が起こるのか、とバラゴンを見つめる野次馬たち。
「冬彦、あれっ!」
 千秋が指を指した。
 見ると向こうから四足の怪獣が飯盛山のほうに向かってきているのが見えた。
 そう、ダガーラが向かってきていたのだ。
   *
 やがてダガーラが立ち止まった。
 ダガーラを見て思わず絶句する千秋。
 バラゴンも30メートルと決して小さくはない体なのだが、一方のダガーラはどう見て
もそのバラゴンの倍の大きさはありそうな体型だったのだ。

 距離にして2〜300メートルはあるだろうか。2匹の怪獣は睨み合った。
 と、バラゴンがダガーラに飛び掛った。
 2匹の怪獣の頭同士が激しくぶつかる音が響いた。
 2匹の怪獣は一度離れると再び頭をぶつけ合う。
 そして組み合った。
 バラゴンがダガーラに拳を叩き落すとダガーラはバラゴンの体を何とか振りほどこうと
頭を振る。
 バラゴンが吹き飛ばされた。
 しかし、バラゴンは起き上がると勇猛果敢にダガーラに立ち向かっていった。
    *
 いつしか闘いの場は鶴ヶ城へと移っていた。
 ここまでダガーラの攻撃をしのぎきっているバラゴンだが、体格の差はどうしようもな
いのか次第に押されていった。

 不意にバラゴンが立ち上がった。
30メートルしかないとは言えやはり立ち上がるとそれなりの大きさはある。鶴ヶ城の天
守閣は36メートルの高さがあるのだがそれより少し小さい程度だったのだ。
 バラゴンはダッシュするとダガーラと組み合った。
 しかし、ダガーラはバラゴンを投げ飛ばした。

「……」
 バラゴンとダガーラを追って鶴ヶ城の近くに来ていた冬彦たちはじっと戦況を見守って
いた。
「…だんだんとバラゴンが押されてきているぜ」
 冬彦が言う。確かにダガーラはバラゴンよりふた周りは大きい。
 これではまるで子供と大人の喧嘩である。
「…このままじゃ、バラゴンは勝ち目はないわよ」
「…そりゃ、そうだけど」

 バラゴンが再びダガーラに立ち向かって行く。
 と、不意にバラゴンが飛び上がるとダガーラに角の付いた鼻先を向けて落ちていった。
 予想も付かなかった方向からの攻撃に面食らったかダガーラがひっくり返った。

 と、不意にバラゴンがあたりの地面を掘り始めた。
 起き上がったダガーラが辺りを見回すと、既にバラゴンの姿は見えなかった。
 ダガーラは辺りを見回す。
「…逃げ出したのかしら?」
 千秋が言う。
「いや、まだ決着は付いていないはずだぜ」
 その時だった。
 何かを感じ取ったか、不意にダガーラも鶴ヶ城を後に歩き出した。
「…どこへ行こうというのかしら?」
「…まさか…」
「どうしたの?」
「…行くぞ!」
「行く、ってどこへ?」
「オレに心当たりがある!」

〈第8章 2003年8月・猪苗代湖〉

 ようやく捕まえたタクシーで猪苗代湖の湖畔にやって来た冬彦と千秋。
「…本当に来るの?」
「来るさ。きっとバラゴンはやって来るよ」
 しかしあたりは既に住民の避難が完了したからか、物静かで物音ひとつ立っていなかっ
た。
 それとも「嵐の前の静けさ」だろうか?

 と、不意に地面が揺らぎだした。
「…来た!」
 冬彦が叫ぶ。
 と、地面が掘り返され、中からバラゴンが飛び出した。
 それを追うかのようにダガーラも程なく猪苗代湖にやって来た。

 2匹の激突が再び始まった。
 四つに組み合うバラゴンとダガーラ。
 しかし、もともとバラゴンの倍の大きさはあろうかと言うダガーラにバラゴンは次第に
押されていった。

 ダガーラがバラゴンに噛み付いた。
 その激痛に耐えられないか、悲鳴のような鳴き声を上げるバラゴン。
 ダガーラはそんなバラゴンを引きずり、猪苗代湖に下半身を突っ込むとバラゴンを湖に
引き込もうとしている。
「…何をする気だ?」
「…まさか、猪苗代湖に引きずり込もう、というんじゃないかしら?」
「かも知れない。もともとダガーラは瀬戸内海で発見された怪獣だ。自分の得意な水中に
引き込んでバラゴンを倒そうとしているのかもしれない…」
「それじゃバラゴンは…」
「…水中に引き込まれたらバラゴンの勝ち目はないぜ!」
 何とか水中に引き込もうとするダガーラとそれに必死に抵抗するバラゴン。
 しかしダガーラの強さが優ったか、バラゴンは次第に湖畔に引きずり込まれていった。

 その時だった。
 バラゴンともダガーラとも違う怪獣の鳴き声があたりに響いた。
 その方向を見る冬彦と千秋。
「…ゴジラ…」
 そう、ついにゴジラまでが猪苗代湖に現れたのだった。
「…ゴジラは何をしに来たんだ?」

 ゴジラは2匹が争っている湖畔に近づいていった。
 何が起こったのか、とゴジラの方を見るバラゴンとダガーラ。
 ゴジラが大きく口を開けた。
 その大きな背鰭が発光すると青白い放射能火炎を口から吐き出す。
 放射能火炎は狙い違わず2匹の中間に命中し、爆発音が響いた。
 その音に驚いたか、ダガーラが思わず口を開けバラゴンを放す。
 ゴジラはダガーラに近づくと横からその首を掴み、思い切り投げ飛ばす。
 ダガーラが飛ばされ、ひっくり返った。がすぐにダガーラは起き上がるとゴジラに向か
っていった。
 正面から組み合うゴジラとダガーラ。
 ゴジラが右手を上げた。そして、思い切りダガーラの首筋に拳を落とす。
 しかしダガーラも負けじとゴジラの右肩に噛み付いた。
 ゴジラが悲鳴を上げる。
 ゴジラは必死に振りほどこうとするが、ダガーラはなかなか離れようとしない。

 その時だった。バラゴンがダガーラに向かってダッシュすると、バラゴンの背中に思い
切り体当たりをした。
 思わずのけぞるダガーラ。それを見たゴジラはダガーラの首根っこを掴んだ。
 そしてバラゴンが角の生えた鼻先を2回、3回とダガーラの背中に突き立てる。
「…ゴジラとバラゴンが…」
「…ああ、おそらくゴジラとバラゴンは当面の敵であるダガーラを倒すために結託したん
だ」

 ゴジラがダガーラを投げ飛ばした。
 ダガーラが起き上がるとゴジラに襲い掛かろうとする。
 しかし、それより早くバラゴンがダガーラに体当たりをし、ダガーラがひっくり返る。
 ダガーラは最後の力を振り絞って立ち上がると、その翼を広げて飛び上がった。
 そして逃げようとしたのかゴジラたちに背を向け飛び去ろうとしていた。
 そのとき、ゴジラがその口を大きく開いた。
 そして背鰭が発光し、放射能火炎をダガーラに向かって吐き出した。
 ダガーラの全身を放射能火炎が覆う。
 ダガーラは炎に包まれ、断末魔の悲鳴を上げると、眼下に広がる猪苗代湖に落ちていっ
た。
 大きな水飛沫が上がり、ダガーラが沈んでいく。
 それを見届けたゴジラは天空に向かって大きく咆哮をあげる。
 それは勝利の雄叫びのようであった。
 そしてバラゴンに背中を向けると今やって来た道を引き返していった。
 バラゴンも猪苗代湖から離れていった。

「…バラゴンが…」
「…帰るんだよ、自分のいた所に」
「自分のいたところに…」
「ああ」
 二人はいつまでもバラゴンの去った方向を眺めていた。

「…でも、何でゴジラは現れたのかしら?」
「…ひょっとしたら、バラゴンとダガーラの戦いを止めたかったのかも知れないな」
「戦いを止める?」
「…でも結局ダガーラが言う事を聞かなかったからゴジラはダガーラに制裁を加えたんだ
ろうな。…ゴジラは善とか悪といった単純には分けることができない存在なんだよ。時に
は善玉となり、時には人類の敵となる…。そういうヤツかもしれないな、ゴジラってヤツ
は。だから今度現れる時は人類の敵となって現れるかもしれないな」
「…そうはなりたくないわね」
「そのときゃ、バラゴンがまたオレ達の目の前に現れるかもしれないな。人類の守護神と
して、な」

(終)

BGM「ゴジラ・メインテーマ」
Special Thanks:「心のオアシス」内「としの音楽ホール」管理人・とし様


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