プロローグ

 世界が、闇に埋もれようとしていた時、それを打ち破るために、勇者と呼ばれし者が立ち上がった。
 颯爽と現れた勇者は、仲間を伴うことなく、たった1人で魔王に立ち向かった。
 そして果敢にも、たった1人魔王と戦い――
 ――連絡は途絶えた。
 
『勇者が生死不明』
 この事態に、勇者代理と勇者代理補佐の2人が立ち上がった。
 2人は装備を整え、順調に旅を進めていた。
 しかしある日。勇者代理一行は健康食品のキャッチセールスに引っかかり、有り金をすべて持っていかれてしまった。
 仕方なく野宿をしていたところ、ゲル状の生物(ス○イム)に襲われ勇者代理が絶命(おいおい)。命からがら生き残った勇者代理補佐も『サガサナイデクダサイ』と城に電報を打ち、その姿をくらました。

 あまりに予想外(?)の事態に、世界の人々はパニックに陥った。
 なにしろ勇者と呼ばれし者(?)が、3人も続けてその姿を消しているのだ。
 恐ろしい! なんて恐ろしいっ!! これが魔王の真の力なのかっっ!?
 ナバルドニア城所有のブラックリスト――もとい、勇者候補者リストの候補者数は日に日に減っていった。
 勇者候補のある若者曰く。『低賃金でこんなハードな仕事ができるか!!』
 勇者候補の代理候補であるご老人曰く。『行きたいのだが……持病の神経痛が……』
 勇者候補の代理候補の代理候補である町工場の工場長曰く。『不景気で大変なんですよ。先に納品しないといけないんで』
 国王は悩んだ。『何故、皆はそんなに勇者をやりたがらないのか!!??」
 リストから名前がどんどん消えていく。
 そして……最後の1人になった。
 そう、それが本作の主人公である。
 ここから先の物語はまったくの未知数。数多の可能性を秘めている。
 さあ、冒険は今、始まるのだ。

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