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このページでは、札幌市営バスを中心とした懐かしのモノ、車両、市営バスを偲び、会える場所を紹介してまいります。
1.烈々布郷土資料館
【所在地】札幌市北区百合が原11丁目194-1 烈々布会館内
【開館日時】通常非公開(下記に連絡すると鍵を開けてもらえます)
【連絡先】烈々布会館 011-771-2509
【交 通】地下鉄南北線麻生駅バスターミナルより、中央バス(麻25)(麻27)「烈々布会館前」下車。
この地は、明治16(1883)年、福岡県から移住してきた人により開墾が始められました。
苦しい環境の下、開墾を進めていった開拓民の楽しみといえば、歌舞伎を見ること。この烈々布郷土資料館には、明治35年に始まった「篠路歌舞伎」の
貴重な史料が残されており、身近な娯楽として親しまれた歌舞伎の様子、歌舞伎鑑賞で賑わう住民の写真などがおさめられています。
また、丘珠地区と並ぶ獅子舞、「篠路獅子舞」に関する資料もあります。
この資料館を管理されている中西さんをはじめ、地域に住む皆さんが集め、代々受け継いできた生活用具、農具なども展示されています。
あれっ!?これは・・・
館内に入ってすぐ目に入るのは、2基の「太平中央」の市営バス停(ちなみにもう1基は「大平中央」と誤植です)。
この会館の前は、何を隠そう昭和57年までは、市営バス(北77)篠路線(麻生駅前〜北49東8〜篠路駅前)が運行されていたのです。
なんと、市営バスの「篠路小学校前」行、「麻生駅前」行の「太平中央」標柱(ポール式)がなんとセットで保存されているんですネ!
篠路地域の歴史をしっかり学習した後は、こちらもしっかり学習します。
市営バスの停留所がまるごと展示・収蔵されているなんて前代未聞です!
さすがに、こちら目当てでくる人は「これまで聞いたことがない」といいます(中西さん)。
支柱自体は経年劣化でかなり錆びていますが、停留所名称板はきれいに残っており、嬉しい限りです。
おっと、下に目を移すと、時刻表も残っています。定番・アオキボウルの広告キャッチフレーズも「コンピュータボウリング」ではなく
「100万人の出逢い」・・・時代を感じさせてくれます。
なぜ停留所をそのまま保存されたのでしょうか。尋ねてみました。
篠路には、昭和9年に旧国鉄札沼線(現・JR学園都市線)開業時から「篠路駅」がありましたが、本数は十分とはいえず、昭和30年に旧・篠路村と
札幌市が合併して以降、宅地化も徐々に進み、篠路からも通勤・通学で札幌市街に出る人が多くなったといいます。
そんな中、市域の拡大とともに路線拡大をしていた市営バスを何とか篠路へ!と地域住民一丸となって取り込み、昭和35年12月には市営バスの篠路地区への
乗り入れを実現させたのだといいます。
市営バス乗り入れのその日、地域総出でアーチや立て看板までもを自作して市営バスを迎えるという喜びに沸いたそうです。
また、始発点である篠路駅前でのテープカットには当時の高田市長も駆けつけ、待ちに待った「27番 バスセンター行き」の発車をともに祝ったそうです。
そんな「篠路線」が、昭和57年6月より北海道中央バスに移譲されることとなり、何とか「市営バス」がこの篠路を走っていたという記録を残したい、と
いう思いから、下記の写真とともに、市営バスが撤退する際、保存のため、市交通局に標柱の譲渡を打診したところ、そういうことならと快諾され、
保存に至ったそうです。
こんな写真もあります
(左)開通式の様子(昭和35年12月) (中央左)開通を祝う手作りのアーチと「太平入口」停留所
(中央右)「北49東8」を発車する麻生駅前行 道幅も狭く、左側には「ショッピングセンター ラッキー」初期のロゴも見える (右)移譲前日、市営バスの停留所の横に中央バスの真新しい停留所
※撮影時の画像反射の関係上、多少色合いを調整してあります。
単に走っていた時の様子を記録してあるだけでなく、移譲時の地域の様子を記録されていることは、札幌市内の郷土資料館においてもほとんどなく、
非常に歴史的価値の高いものであると考えます。
篠路・太平・百合が原地区において、これから育つ子供たちは「市営バス」の存在を知りません。今ある交通機関の源流はこうで、歴史的な
流れの中で市営バスが姿を消していったこと。わたしたちにとっては、1つの路線にすぎませんが、地域にとってはかけがえのないライフライン
であること。
これを後世に伝えることは生易しいことではありませんが、ありのまま多角的に示してあるこの資料館の存在は、私にとっても非常に大きいものであり、
末永く収蔵資料を大切に保存していただき、誇り高き郷土の歴史とともに、後世に伝えていってほしいものと切に願うばかりです。
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