一日目夜夜の観光バス
稲佐山の夜景  平和公園

密度の濃い長崎を1日半の間にすべて見るのは到底無理。
そこでまわり切れない部分を夜の観光バスに乗ることでカバーしました。
観光バスは長崎バスと長崎県営バスの各社からいくつかのコースが出ていますが、
最近ホームページを見てみたところ、これと同じコースはなくなってしまったかもしれません。

  夜7時、長崎駅を出たバスはまずライトアップされた眼鏡橋と近くの江崎べっ甲店(べっ甲は
長崎を代表する工芸品)に寄ったあと、湾を橋で渡って稲佐山のふもとへ。何と神社の中にあ
る乗り場からロープウェイに乗ります。 

  歴史とは関係ないけど、長崎といえば、この稲佐山からの夜景ははずせません。稲佐山に自分で行くならタクシ
ーを使うか、バスでロープウェイ乗り場行ってロープウェイ(往復1200円)に乗るのですが。観光バスではこの料金も含
まれて2590円でしたから、けっこうお得でしょ。
 
 夜景を見ながらのぼるロープウェイの中では
「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」の歌が流されて、
とてもドラマチック。稲佐山山頂(333m)には展望台
(レストランもあります)はさすがに寒いっ。その寒さ
にふるえながら撮ったピンぼけ写真。
さすが1000万ドルの夜景。山の上のほうまで建物
の光が散らばっているし、町のネオンは上から見
られることを意識して競っているのでは?と思うほ
ど、色とりどりです。
  
   稲佐山を出ると町の中心部とは逆の北の方、浦上地区へ向かいます。

   浦上といえば、大浦天主堂で「発見」された信徒たちの村。そして「浦上四番崩れ」といわれる迫害を受けて村人
のほとんどが各地に配流となり、その多くが配流先で亡くなったといいます。解放されて浦上に帰ってきた信徒たち
は33年の歳月をかけ1894年に東洋一の大聖堂、浦上天主堂を完成させます。ところが、1945年、その上に原爆が
落とされたのです。  
  車窓から見ると、今は普通の人々が生活する普通の町なのですが、この地に降りかかったさまざまな悲劇を思うと……浦上は悲しい町です。
原爆落下中心地に近い平和公園の平和祈念像の前でバスを降りました。静かな夜空の下に浮かび上がる浦上天主堂と平和祈念像と、原爆投下の時人々が求めた水をたたえる噴水……。何かを超越したような美しさがひときわ印象的です。ただただ、ここに落とされてしまった原爆が、人類で最後の原爆にになるように……と祈るばかりです。
  バスは市の中心部に戻ります。長崎駅前の山が壁になって原爆の被害は中心街にはさほど
及ばなかったのだそうです。

  ライトアップされた出島、そして繁華街の思案橋通りを抜けて、風頭(かざがしら)山をのぼっ
ていきます。風頭山は寺町の裏の山、亀山社中のある山なのですが、斜面には山頂までずー
っと住宅地が続いていて、その中のクネクネとした坂道を、大型の観光バスがいともスイスイと
切り返しもせずにのぼっていくのです。そのバスの運転手さんのテクニックと、坂とともに暮ら
す長崎市民の生活を垣間見られたことは、このバスに乗った大きな収穫でした。

  山頂の矢太楼という由緒あるホテルで明清楽(みんしんがく)という、中国本国では絶えてしま
ったものをここでだけ伝えているという音楽を聴かせていただきました。(生演奏でないのが残
念ですが)ここからの夜景は町を真下に見下ろすので稲佐山から見るほどの広がりはないもの
の、光が近く見えて、また違った風情でした。

  9時半。長崎駅着。説明もたっぷり聞けて(長崎ゆかりの歌とか、「蝶々夫人」のストーリーとか
いろいろ)良かったので、このコースがなくなってしまったとしたら残念です。




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