#18「マルコー・ノート」


今回前半がとっても辛口です、18話を楽しく見ることができた方には嫌な思いさせ てしまうかもしれません。ご批判待ってます(ドキドキ)。

「賢者の石の材料は、生きた人間だ」
どーん。
はい。このシーンが今回の山場(のはず)です
視聴者の視点はその事実を覗き見てしまったロス少尉にシンクロしているわけです 。
どんなふうに見せてくれるかなーと思ってたんですがどうも盛り上がりに欠けており 、非常に印象の薄い回になってしまいました。

今回はわたし20話まで見た段階でこれを書いています。ロス少尉の描き方は要す るに、うっとうしい姉ちゃん(18話)、知ったかぶりのおせっかい姉ちゃん(19話)とい う感じです(←かならずしもけなし文句のつもりではないが、ほめてもいません)。
18話〜20話をひっくるめて見れば、この3話の間にそれなりにロスの描き方は方向 性を得てきているのですが、どうみても18話では失敗しているように思えます。
ロスがときどき意味ありげにアップになるんですが描ききれていない。階級がずい ぶん上の人間…少佐待遇のエド、中佐であるヒューズにあんなトゲトゲの態度でい いんでしょうかねえ(ブロッシュはエドが中佐にタメグチなのを見とがめていますが) 。
そのわりに、ロスは職務上まったく正当な理由で食って掛かっているのにもかかわらず、どうも半端な理 由で引き下がっています

「頭は固いけれど職務を全うするためにはたとえ上司に にらまれても全力を尽くす人間」というキャラ立てなら、彼女はあそこで妥協しては いけないはずです。

だってヒューズが言っているのは
「彼らはちょっとやそっとで諦める連中じゃない」
「今彼らがやっていることは彼らにしかできないことだ、そんな子どもを見守ってやる のもおとなの役目だ」
というのですが、これは、上官が職務について語っているのではまったくありません。一般論にすりかえた、いうなればヒューズの個人的なおねだ りです。少尉、こんな理論で説得されちゃいけませんぜ。
これをうけて「あの子たち…(が何かを見つけるまで)…守るのが私たちの仕事よ」 と少尉。「おとなの役目」「自分の職務」と重ね合わせて納得したように見えます が、しかし、このままではその役目=職務がきちんと果たせないことを彼女は危惧 して進言をしたはずではないのか。役目を悟ったなら増援が来ない=役目が十分果た せないことにもっといらだつはず。何か諦めきった顔をしているのはおかしいです。
また、エドやアルの部屋をずっと盗み見ている(なぜか抜き身の銃を携えて!)の などはなぜなのかよくわかりません。警備なのか?それ?

こうしたところがどうもちぐはぐで、中途半端に書き込んであるわりには、あまり魅 力的な人物に思えないのです。しつけにうるさい姉ちゃんとも職務に忠実な職業人 ともどっちともとれないのです。
しかしロスの今後の役割としては職業人としてではなく「おせっかいな姉ちゃん」、もっといえば 「子どもの無理をたしなめるおとな」としてエドたちに関わっていくことになるわけで、 その意味でも描き方は中途半端といえるでしょう。
というわけで、件のシーン(エドたちが発見した秘密を覗き見てしまうロス)がどうに もインパクト不足なのは視聴者がロス少尉に感情移入しにくいことに大きな原因が あるのではないかと思います。

もうひとりどうしても描き方に文句をつけたいのがシェスカです。
シェスカの存在意義は、アルに「何かにいっしょうけんめいになれるのはそれ自体 が才能なんだ」と言わせ、それがエドにも当てはまることを確認するためだと思って いたのですが。エドに対してのセリフとして、これはすごく深いセリフと思うんだけど 、これだとシェスカはただ話を進めるだけの便利キャラになってませんかねえ…
(個人的には「世の中にはすごい人がいるもんだなあ、アル」も好きだったがなあ)

というわけで毒舌はこれくらいにしておきましょう(笑)。

今回ギャグがひじょうに良かったですね。原作の笑えるポイントが原作以上に笑え ました。ロスとブロッシュとの初対面シーン、シェスカのいっちゃってる声や演技や 妄想(笑)、そしてヒューズと大佐の電話

とくにヒューズと大佐の電話。自分的にスペシャルなので長めに引用。

ロイ:「中央復帰か、悪くない」
ヒューズ:「気をつけろ、今の上層部には敵が多いぞ」
ロイ:「覚悟はしている」
ヒューズ:「お前さんを理解して支えてくれる仲間を一人でも多く作っておけよ」


あとあとのこと考えると、これ中佐から大佐への最後の言葉です。
一瞬後の絶妙なオチもふくめて、ここ大好きなんですってば!!
大佐の中央復帰は時間の問題ですが、彼なりの道筋で「真実」に近づくであろう彼 が、ヒューズの言う「理解して支えてくれる仲間」をどれだけ作っておけたかが、彼の その後を決めるだろうと思います。

あとはスカーとラスト姉さんたちウロボロス組の第一分館でのバトル。
ウロボロス組の正体がホムンクルスであることは初出(マルコーさんが16話でちらっと言いかけたけど)※。ラストはどうもスカーの兄ちゃんの関係 者(恋人?)らしいことがほのめかされます。
スカーは全快しないままイシュヴァール人集落を出、エドをさらに追いかけることになります。

(2004.02.26記)
※26日にホムンクルスという言葉は初出であると書きましたが、言葉自体は3話に出てきていました。ユキサトさん、ご指摘ありがとうございました。(2004.02.27)


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