はすのはな第51号
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新年あけましておめでとうございます
檀徒の皆様にはご家族お揃いにて、恙無く令和五年の新春をお迎えの事とお慶び申し上げます。
昨年はロシアのウクライナ侵攻が勃発し、未だに平和への糸口が見いだせず、悲惨な戦争が続けられています。又、世界に於いては、コロナの感染収束に至らず、日本では第八波に入り、今年もその先行きが危惧される年となりそうです。
昨年はその様な一年では有りましたが、サッカー界ではワールドカップが開催され、世界各国が熱気に包まれました。未だその興奮も冷め止らず、新年を迎えた方も大勢居られるかもしれません。
さて、日本がドイツ戦に勝った時、森保一監督は、「一喜一憂」という言葉で次の試合に対しての心境を表現しました。又将棋界の藤井聡太竜王は竜王初防衛戦に勝利した際、「千思万考」という言葉を使い色紙に心境を揮毫されました。その色紙文字を新聞で目にした時、日頃の日常生活においては滅多に目に留める事のない熟語で、その『道』を極める人から発せられる言葉なのだと感銘しました。
四字熟語は約十万語もある様ですが、今年こそ、『世界平和』が一歩でも実現に向け、実り多き年となります様、心から念じております。因みに、当山の客殿に掲げております扁額は、五文字ですが、〈今日亦無事〉と揮毫されています。人類が《平穏無事》に日々の暮らしが営まれます様にと重ねて祈るばかりです。 合掌
(住職)
初句
令和四年《はすのはな》秋季号で『古希の挑戦』というタイトルで俳句への挑戦を載せた関係で、今日の今迄頭の中で俳句を考えていました。我が家で昨年失くした愛犬が、一周忌の命日に当たるので、今朝位牌をテレビの前に出し、お菓子とお水を手向けました。ふと外を見ると、紅葉の枯れ葉が散っていました。漸く、その気持ちを俳句へと思い、初挑戦です。皆様に笑われてしまうかもしれませんが、今年の初笑いとしてお目通し頂ければ幸いです。
愛犬のはや一周忌紅葉散る 盛重
(住職)
兎年
仏像や仏画に動物が表わされたり、西遊記でも動物がお供されたり、仏教では様々な場面で動物が登場します。中でも今年の干支である兎は特に仏教と深く関りがあるとされています。
「鳥獣戯画」もその一つで、かわいらしい動物の戯れの図の中で兎が供物を供えたり、袈裟のようなものを着て経本を読んだり、数珠を持っていたりする場面があるのです。京都の高山寺で見た時にはその事に気が付きませんでしたが、まじまじ動物の恰好や持ち物に注目してみると、今まで以上に動物たちが可愛く見え、愛しくなります。また兎で最も有名な逸話は今昔物語の月の兎のお話ではないでしょうか。昔兎が「食べ物を乞う人がいたら自分の食べ物を分けてあげるんだよ」と狐と猿に言いました。そこに貧しい老人(実は帝釈天)が現れ、狐は鯉を、猿は果物を差し出したものの兎は自分の干し草を人間は食べないし、何も見つからない・・・ならばと自ら炎の中に飛び込み、老人に自分の身を捧げたのです。その施しの姿に感銘を受けた帝釈天はその兎の姿を世の人に伝えるため月に残したといわれております。そしてその兎は、実は仏陀の前世であったともいわれています。穏やかな性格から「家内安全」元気にジャンプする姿から「飛躍」や「向上」を意味する兎年の今年は、そんな兎の力を借りていい年になると信じています。
(盛花)
元気があれば何でもできる
昨年は活躍されていた著名人の方が多くお亡くなりになりました。長く辛い闘病生活を送られていた方々がいらっしゃる一方、最期までお仕事をされていた方々も多く、突然の訃報に驚かされショックを受けました。
それぞれの分野で活躍されている方々が発する言葉や行動にはとても重みがあり、中でもプロレス界で活躍され、還暦を過ぎてもリングに上がり、ファンの中では不死身とも言われたアントニオ猪木選手の名言の数々には勇気を貰います。「迷わず行けよ、行けば分かるさ」「道はどんなに険しくても、笑いながら歩こうぜ」「出る前に負けることを考える馬鹿がいるかよ!」等、私達が迷った時、辛い時に励まされる言葉を幾つも残してくれました。
先日私も数日間腹痛が続いていたものの、忙しさを言い訳に放置していたら、大腸炎で入院することになってしまいました。絶食点滴で2歳の息子を残しながら不安なベッド生活を過ごしました。自由が奪われるもどかしさを知り、健康がいかに大切か、また自分は(若いから)まだ平気と過信しているといけないなとつくづく感じました。アントニオ猪木選手の「元気があれば何でもできる!」を思い出し、元気でいる為にも無理をせず、休息を疎かにせず、また今年は四〇歳になる年でもあるのできちんと健康診断を受けようと思いました。
旅立たれた方は多いですが、残してくれた物は数えきれない程沢山あります。その方々が生きていた証でもある財産を大切に、私はこの名言を心に刻み今年も頑張りたいと思います。
(盛花)