2.基礎基本として身につけさせたい事柄と指導上の留意点、    及び教材
曲例

(1) 三味線の構え方
  三味線は、実に複雑でアクロバティックな方法により、胴を膝の上で支
え、安定させさせている。この複雑な構え方も、順を追って印象的に行え
ば集団指導においてもかなりの能率を上げることが出来る。又、後で思い
出して何度も繰り返すことで、より好ましい構えに近づいていくことが出来
る。
構えの善し悪しは音色や演奏技術の向上にも大いに影響するため、集団
の指導にあってもひとり一人の細かいチェックが必要である。

正しい三味線の構えへの4段階

  ステップ1 水平に持つ 
・右手で根緒、左手で鳩胸を下から支えて持ち、棹は水平の ままで胴を
右膝に乗せる。
・隣の人に当たらないよう間隔を空けて座る。
・この時は、まだ胴の底を膝に付けている。
・初心者は胴をお腹の真ん中近くに置きがちなので胴の左の 端が耳の
線に来るようにする。

  ステップ2 上に向ける 
・胴を20゚〜30゚上に向ける。
・この時、棹はまだ水平のままにしておく。
・膝と腕で胴の角を対角線ではさんで、支えることを知らせ  る。
・右手で上の角にに重みをかけ、下の角が膝を押しているこ とを自覚さ
せる。

ステップ3 右腕をのせる
・胴の前に手のひらを左もしくはやや上を向けた状態で腕を 差し出す。
・小指がわの手首から10p程の所を胴の角の中程に置く。
・肩をおろして力を抜き、胴の角に腕の重みを自然にかけ   る。

ステップ4 斜めに構えてできあがり
・手のひらを徐々に下に向けていきながら右手首を回し、そ  れに従って
棹を斜めに立てていく。腕と膝で胴の角を対角 線ではさんで、内側に向
かって支えていることを感じさせ  る。
・左手は棹を握りこまず、手のひらを胴の方に向け、指スリの 部分で下か
らそっと支える。
・親指と人差し指で糸がつまめる状態になる。
 リラックスした状態で正しい構えを
 ここまで出来たところで、右手首を回転させ親指や人差し指 の爪でジャ
ンジャンと自由につま弾かせてやる。また、左手 はいつもフリーな状態に
しておくようにし、指スリで棹を磨く ようなつもりで左手を軽く上下させてみ
ると良い。上手に弾 いているイメージで充分遊ばせることにより、手首や
肩の余 計な力を抜かせることが出来る。

   さらに、ひとりで「ステップ@ 水平に持つ」「ステップA 上に 向け
る」・・・・・・と言わせながら何度も繰り返させ、姿勢が崩れ てしまわないように
する。

   ひとり一人が繰り返している間に、教師は個人のチェックに回 ってやると
良い。 

  個人別に「構えのチェックカード(イラスト)」を持たせて注意を 促したり、良
いところを誉めてやったりするのも良い方法であ   る。  また、多数の受講
生の場合は複数のアシスタントを用い  ることも必要である

   以後、バチを使い演奏するようになってからも、練習の合間  に、時々この
4ステップを行うと、リラックスした良い姿勢を回復さ せることができる。

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